私は出産後から慢性じんましんや扁桃炎になるなど、自身の免疫力が低下しているように感じていました。「年のせい」や「自分の良い免疫が子どもにうつった」などいいように捉えていたのですが、38歳の夏ごろから体に異変が現れます。それは胃痛と嘔吐。最初は食べ過ぎだと軽く考えていましたが、何度も繰り返すため「胃がんなのでは」と不安になった私の話です。消化器内科で胃カメラをすると…繰り返す胃痛や嘔吐で不安になった私は、消化器内科を受診して胃カメラをすることに。すると先生は「とてもきれいな胃ですよ、ただほんの少し逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)の可能性があるかな」とのことでした。逆流性食道炎はその名のとおり、胃酸などが食道に逆流し炎症を起こす病気で、食べ過ぎなどが原因だそうです。そのため、胃酸を抑える薬を処方してもらいました。しかし、数日後にはまた胃痛と嘔吐がやってきます。「食べ過ぎたかな」と思いつつ日々を過ごしました。別の日、慢性じんましんの薬がなくなったため、皮膚科を受診。実は胃痛や嘔吐を繰り返すようになってから、じんましんの薬があまり効かず1日に飲む薬の量を増やしていたのです。皮膚科の先生に「最近薬が効かずかゆみが強く出るため薬の量を増やすことがある」と相談すると、「今処方しているものは1日3回飲んでも良いから自分で調整しても大丈夫」と言われました。ただ「あまり薬が効かないようなら薬の種類や服用量を見直しましょう」ということで、いつもとは違う薬に変更したのです。しかし、かゆみは一向に改善しません。むしろ胃痛と嘔吐の頻度は増え、胃痛の程度は増して痛む時間が長くなりました。体調不良は続き脱水症状を引き起こすほどに定期的に通院するも皮膚科では薬の量が増えていく一方……。不安になり消化器内科や皮膚科の先生に改めて今の状況を相談しました。消化器内科の先生には「私はもともと慢性じんましんがありますが、じんましんが胃痛に影響することはありますか」と。皮膚科の先生には「最近胃痛や嘔吐を繰り返すのですが、慢性じんましんが何か影響していますか」と。すると、どちらの先生も「相互の影響は考えにくい」との回答。また、消化器内科の先生からは「内臓疾患でじんましんが出るのはよっぽどのことだから」との言葉も聞きました。私は「自身の免疫力が落ちているのかも」と自己完結し、そのまま日常生活を送ったのです。そして12月。年末にかけて各種イベントで焼肉や鍋、おせちなどおいしい食べ物をたくさん食べる機会がありました。すると、数時間から半日後くらいに激しい胃痛と嘔吐が……。年始には嘔吐し過ぎて脱水症状のような状態になってしまったのです。その日は日曜日。休日診療の病院を探すと、たまたま消化器内科が診療をおこなっていました。いつもとは違う病院ですが「点滴をしてもらおう」と思い受診することに。黄疸が出ていた私の病名は…病院に行く準備をしていたときからなんとなく感じていたのですが、トイレの鏡で自身の顔を見ると顔が黄色っぽくなっているではありませんか。休日診療の病院では顔が黄色くなっていることを伝え、尿検査とエコーの検査、点滴を受けました。そして休日診療の先生の診断は「胆石(たんせき)」。「詳しいことはしっかり調べないといけないが、胆石がどこかに詰まっているのではないか」というのです。「近くの大きな病院に電話したからすぐに行きなさい」と手配してくれ、紹介状を持って受診。MRIを撮って判明した病名は「総胆管結石(そうたんかんけっせき)」でした。総胆管とは、肝臓や胆のうから出る胆汁を十二指腸に届ける管のこと。その総胆管に胆石が詰まっていたのです。食事をしなければ胆汁が出ないため痛みが和らぎ、食事をして胆汁が出ると管の間をプカプカ浮いていた胆石が排水溝のフタのように総胆管の出口をふさいで痛みが出たり嘔吐していたりしたという仕組みです。もしかしたら胆のう摘出も考えられるということで、さらに大きな病院へ行くことをすすめられました。その後祝日が重なり、入院予定の病院を受診したのは胆石とわかってから3日目のこと。すぐに入院で総胆管に詰まっている胆石を取る手術となりました。まとめ入院した病院の先生によると、胆石になりやすい人の特徴は4Fと言われているのだとか。「Fatty:太っている、Forty:40歳以降、Female:女性、Fertile:たくさん出産した」です。私が該当するのは「太っている・女性」という点で、どちらかというと胆石になるには「まだ早い」とのこと。総胆管結石の治療は「内視鏡的十二指腸乳頭括約筋切開術(ないしきょうてきじゅうにしちょうにゅうとうかつやくきんせっかいじゅつ)」で、内視鏡で胆石を取って終了。3泊4日の入院でした。今思えばじんましんが悪化するなど体からいろいろなサインが出ていたのですが、「まだ38歳だし」と思っていたことが病気を見つけられなかった原因なのかもしれません。とはいえ、原因がわかって治療できホッとしました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/里村仁志先生(里村クリニック院長)消化器疾患が専門。2003年 獨協医科大学医学部卒業、2005年獨協医科大学第1外科、2016年さいたま赤十字病院外科を経て、現在に至る。マンガ/山口がたこ著者/佐藤きみ(39歳)8歳の女の子を育てるママライター。年々健康問題が起きて、健康への取り組みを意識せざる得ない状況。ウソのような本当にあった体験談を紹介します。
2024年02月24日■前回のあらすじお見舞いに来てくれた夫。差し入れやマッサージに癒され、ようやく我が子と3人の時間を楽しめました。その後、義父母もお見舞いに来てくれましたが、産後の不安定さからか2~3時間でしんどくなってしまいました。■赤ちゃんが黄疸になってしまった黄疸が見られる赤ちゃんは多い、重度でなければ心配ない、と書いてあっても、体重が増えないことも重なり責任を感じずにはいられませんでした…。■授乳を頑張るも、体重が増えない…母乳の出を良くするために出来る限りのことを頑張りましたが、結局赤ちゃんの体重は増えませんでした…。■母親失格…母乳が出ない自分を責めてしまう母乳が出ないことで自分を責め続け、涙が止まりませんでした…。義父母の孫に会いたい想いも受け止めきれず、自分が情けなくなりました。次回に続きます。8月23日公開予定! 【同じテーマの連載はこちら】 湯本もゆのオドオド手探り育児 この連載の全話を見る >>
2020年08月22日皮膚が黄色くなる黄疸は、生まれてすぐの赤ちゃんに現れる生理的な現象です。通常、生後7日以内には軽くなりますが、生後7日以降に皮膚の黄色みが増してしまうことがあります。今回は黄疸のメカニズムや新生児期に起こる黄疸の種類などについてお話しします。 生理的黄疸とは(原因と症状)生まれてくる多くの赤ちゃんは生理的黄疸になります。なぜ黄疸が現れるのか、そのメカニズムや特徴について見ていきましょう。 生理的黄疸が起こるメカニズム黄疸を引き起こしているのは、ビリルビンと言われる物質です。ビリルビンは血液の中にある赤血球が壊されるときに発生します。おなかの中にいる赤ちゃんの赤血球と大人の赤血球では寿命と日数が異なり、赤ちゃんの赤血球のほうが寿命が短く、数が多くなっています。 胎児のときは赤血球が壊れてビリルビンができても胎盤を通じてお母さんがビリルビンを分解してくれます。しかし、出生後に壊れた血球から発生したビリルビンは赤ちゃんが自分の肝臓で分解しなければいけません。すると、ビリルビンの分解が間に合わず、生理的黄疸が生じます。ですが、日齢が進むにつれて肝臓での分解ができるようになってくるために黄疸が軽くなってくるのです。 生理的黄疸の症状や時期は生理的黄疸は、目で見てわかる症状として、白目の部分や肌が黄色〜オレンジ色になるのが特徴です。生理的黄疸は、生後2~3日から起こり始め、生後5~7日に最も症状が強くなります。多くは、生後7日以降に黄色みが薄れ、自然に消えていきますが、ビリルビンの量が増加すると白目の部分や肌の黄色みも強くなります。 病的黄疸生理的黄疸に対して、さまざまな原因で起こる病的黄疸があります。黄疸の値が高い状態が続くと「核黄疸(かくおうだん)」と言われる危険な状態になる可能性があるため、原因を調べると同時に治療を始めます。 病的黄疸とは病的黄疸は、生理的黄疸と異なり、①生後24時間以内に黄疸が現れたり、②黄疸が非常に強かったり、あるいは黄疸以外の症状を伴っていたり、③1カ月以上黄疸が消失しなかったりするものです。新生児期の病的黄疸の原因には、新生児溶血性疾患、新生児肝炎症候群、先天性胆道閉鎖症などがあります。 新生児溶血性疾患の代表的なものに、Rh式あるいはABO式血液型不適合があります。おなかの中の赤ちゃんにはあるが母体にはない血液型抗原が母体に移行することで、母体は血液型抗原を異物と認識し、抗原を排除するために抗体をつくります。この抗体が赤ちゃんの赤血球を速いスピードで破壊(溶血)し、ビリルビンが増えて、生後24時間以内に黄疸の症状が出ます。新生児肝炎症候群は、肝臓の中に胆汁が貯まることによって直接型ビリルビンが高くなる肝障害を示すもので、原因がわかっていません。生後2カ月以内に黄疸、肝腫大、灰白色便、褐色尿などが出てきます。そして、先天性胆道閉鎖症は胆汁が流れる管が生まれつきつまっているために腸に胆汁が流れず、黄疸が進んで、放置すると死に至る疾患です。黄疸が長引き、灰白色便、褐色尿などが出てきます。早期診断、早期治療が重要で、新生児肝炎症候群との鑑別が必要になります。 成熟児として生まれた場合には生後1週間以上、未熟児で生まれた場合には生後2週間を経過しても黄疸が強いとき、遷延性黄疸と言います。遷延性黄疸は、頭蓋内出血や頭血腫(とうけっしゅ)などの閉鎖性出血や胆汁の排泄が不十分なときに起こる閉塞性黄疸、母乳性黄疸などがあります。閉塞性黄疸は他の黄疸と異なり、皮膚の色がオレンジではなく緑っぽい黄色さを呈します。これは前者が間接ビリルビン、後者が直接ビリルビンが主に高くなっているためです。閉塞性黄疸の際には便の色が白色からクリーム色に変わります。 確実に防ぎたい核黄疸と治療法ビリルビンが脳の細胞に貯まると神経毒となり、核黄疸とという症状を呈することがあります。ビリルビン脳症ともいわれ、神経的な後遺症をきたすことがあります。核黄疸は、症状によって4つの段階に分けられています。それぞれの段階で現れる症状には次のような特徴があります。 ・第1期:眠くなりやすく、筋緊張の低下や呼吸状態が良くないといった症状が見られ、飲む力も低下する。全体的に元気がなくなる・第2期:筋緊張の状態が高まり、けいれんや頭を反って弓なり状になる後弓反張(こうきゅうはんちょう)などの症状が起こる。発熱も見られる・第3期:第2期に起こっていた症状が見られなくなる・第4期:慢性期である第4期では、聴覚障害や脳性麻痺などの症状が見られる 核黄疸を防ぐためには、第一選択の光線療法を迅速におこなうことです。光線療法とは、ビリルビンは光に分解されやすい物質なので、青い光を当てて便や尿に排泄するように促していく治療法です。光線療法だけでは十分な効果が期待できないと判断されると、交換輸血などをおこない、核黄疸を防ぐ治療がおこなわれます。気になる症状があるときは、スタッフに相談してみましょう。 黄疸が長引きやすい母乳性黄疸母乳が原因の黄疸は、母乳性黄疸といいます。母乳には、不足しがちなミネラルやたんぱく質などの栄養が豊富で、赤ちゃんの免疫機能をサポートして感染症のリスクを低下させる働きがあります。 ただ、母乳には遊離脂肪酸という物質も多く含まれていて、その遊離脂肪酸がビリルビンの代謝を妨げてしまうことが母乳性黄疸の原因と言われており、黄疸を長引かせます。 母乳を栄養補給のメインとしている赤ちゃんの場合、生後1カ月を過ぎても黄疸が続くことがあり、心配される方も多いと思います。そのまま母乳を続けていても生後2カ月ごろには自然になくなり、それが原因で核黄疸になることはありません。しかし、その他の疾患が隠されていることもあるため、黄疸が長引くときや気になる症状がある場合は、産婦人科や小児科などで相談してみましょう。 まとめ生まれてきた赤ちゃんに見られる黄疸は、生後間もない期間に現れるケースがほとんどですが、なんらかの疾患や母乳の影響で黄疸の症状が続くことがあります。日本人はもともと黄色人種なので、皮膚の変化に気がつきにくいかもしれません。しかし、黄疸の特徴である白目の部分や肌の黄色みの変化、元気がないなど、気になる症状がある場合は病院を受診しましょう。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長 松井 潔 先生愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。
2020年05月08日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。そのなかから特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、赤ちゃんの黄疸に関するご相談です。 Q.顔や白目の色が黄色っぽい感じがあります生まれて34日になります。退院するとき、黄疸の数値が高めでした。その後1週間後下がってきました。1カ月健診では何も黄疸に関しては触れることなく終わりましたが、顔や白目の色が黄色っぽい感じがあります。気のせいなのでしょうか? 一回下がった黄疸の数値が1カ月過ぎてまた上がることもあるのでしょうか? 高塚あきこ助産師からの回答肉眼的に黄疸があるように見えますと、ママさんはご心配になりますね。ですが、健診などの際には必ず黄疸の値を測定していると思いますし、基準を超えていなければ、黄色っぽく見えたとしてもご心配なさることはないかと思いますよ。おっぱいを飲んでいるお子さんですと、母乳性黄疸と言って、皮膚や白目が黄色っぽく見えることがありますが、お子さんの活気があり、おっぱいやミルクがしっかり飲めていて、元気なご様子であれば、あまりご心配いらないかと思いますよ。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください 黄疸が長引きやすい母乳性黄疸母乳が原因の黄疸は、母乳性黄疸といいます。母乳には、不足しがちなミネラルやたんぱく質などの栄養が豊富で、赤ちゃんの免疫機能をサポートして感染症のリスクを低下させる働きがあります。 ただ、母乳には遊離脂肪酸という物質も多く含まれており、その遊離脂肪酸がビリルビンの代謝を妨げてしまうことが、母乳性黄疸の原因といわれており、黄疸を長引かせます。 母乳を栄養補給のメインとしている赤ちゃんの場合、生後1カ月を過ぎても黄疸が続くことがあり、心配される方も多いと思います。そのまま母乳を続けていても生後2カ月ごろには自然になくなり、それが原因で核黄疸になることはありません。しかし、その他の疾患が隠されていることもあるため、黄疸が長引くときや気になる症状がある場合は、産婦人科や小児科などで相談してみましょう。※参考:基礎知識(ベビー)「【医師監修】新生児黄疸の原因は?症状と治療法について」【監修:医師 松井 潔 先生小児科 | 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長】
2020年01月16日神戸大学は9月23日、脳性まひや難聴の原因となる未熟児の黄疸を、経皮黄疸計を用いることで採血せずにモニタリングすることができると発表した。同成果は同大学大学院医学研究科の森岡一朗 特命教授、飯島一誠 教授(小児科学分野)らの研究グループによるもので、9月23日に米国小児医学雑誌「The Journal of Pediatrics」電子版に掲載された。黄疸は在胎30週未満の未熟児1000人あたり2人以上の割合で発生しているとされる。また、生後2週間以上経っても黄疸が増強するため、新生児集中治療室(NICU)で長期間にわたってモニタリングする必要がある。しかし、未熟児の黄疸は目視ではわかりにくく、毎日採血してモニタリングすることは現時的ではなかった。今回の研究では、成熟児の日常診療に使われている経皮黄疸計を使って、NICUに入院した体重1500g未満で出生した85人に対して肝機能の指標であるビリルビン値を測定。その結果、未熟児の胸部または背部が最も感度が高く、血中ビリルビンとの誤差が少ないことがわかった。同研究グループは、これにより、黄疸のモニタリングの確実性が増し、未熟児の脳性まひや難聴の減少につながることが期待されるとしている。
2015年09月24日