映画『おまえの罪を自白しろ』(公開中)の公開御礼舞台挨拶が5日に都内で行われ、中島健人、水田伸生監督が登場した。同作は真保裕一氏による同名小説の実写化作。ある日、政治家一族の宇田清治郎(堤真一)の孫娘が誘拐される。さらに犯人からの要求は、身代金ではなく「明日夕方5時 までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」というもので、それは決して明かすことが許されない、国家を揺るがす” 罪”だった。清治郎の息子で議員秘書を務める宇田晄司(中島健人)は、家族の命を救うため前代未聞の大事件に挑む。○■中島健人、茶髪サラサラヘアで『おま罪』舞台挨拶に登場今回のイベントでは、「おま罪総選挙2023」と題し、観客が投票で選んだベストシーンを発表。トップ12のうち10位から4位までにオレンジの花が付けられているパネルを観た中島は「ちょっと待って! 晄司の壁ドン、トップ3入ってないんだ!? えぇ! うそだろ? 相当気合い入っていたのに……!」と驚きの表情を見せる。壁ドンシーンは水田監督も印象に残っているそうで、「ロケハンをして、こんな風に撮ろうとイメージをするんですが、健人くんにはそんなに詳しく説明しなかったのに、イメージした通りに動いてくれた。(リハーサルもほとんどなく)ほぼぶっつけ。なんでわかるの?」と中島の演技を絶賛する。「こっちは40年以上やってるのに……なんですぐわかるの?」と水田監督に聞かれた中島は、「そうですね……天才?」と冗談交じりに返し、「私自身は思っていないですが、監督からよく天才と言っていただけるので、天才なのか? と最近思い始めました(笑)」と笑いを誘った。さらに監督は「撮影中にカットをかけて健人くんとすれ違うときに『天才』と声をかけていたんですが、本当にそう感じたんです。しかもよせばいいのに、努力する天才なんですよ! この容姿で生まれてきて努力された日には……って話ですよ」と中島をべた褒め。その後も水田監督からの絶賛を受けた中島は天を仰いで喜びをかみしめていた。そんな中島の天才ぶりが垣間見えたという壁ドンシーンについて、改めて振り返った中島は「今まで色んなヒロインを壁ドンしてきた歴史があるんですけど、いちばん肉厚な方でしたね(笑)。普段よりも近くてお互いの吐息を共有していた」と“壁ドンマスター”として話し、会場を盛り上げた。
2023年11月05日世界三大映画祭の常連で、映画ファンからも高い支持を得ている監督の一人として挙げられるフランソワ・オゾン監督。最新作『私がやりました』は、本国フランスで100万人を動員する大ヒットを記録して話題となっています。そこで、日本公開を前に主演を務めたこちらの方にその魅力についてお話をうかがってきました。ナディア・テレスキウィッツさん【映画、ときどき私】 vol. 612パリで起きた有名映画プロデューサー殺人事件で、容疑者から一躍スターになる若手女優のマドレーヌを演じたナディアさん。フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞では有望若手女優賞を昨年受賞し、今後の活躍が期待されている注目の存在です。今回は、現場の様子や大女優との共演エピソード、そして日本での忘れられない思い出などについて語っていただきました。―フランソワ・オゾン監督といえば、現在のフランス映画界を代表する監督の一人でもありますが、ご一緒されてみていかがでしたか?ナディアさん今回は私たちと一緒に1930年代に飛び込んでくれましたが、彼は毎回違う世界観の作品を描き続けているので、本当にユニークな映画監督だと思います。映画を作るのが楽しくてたまらないというのも伝わってきて、少年のような心を失っていない映画監督なんだなという印象を受けました。―どのような演出をされていたのかについても、教えてください。ナディアさん演技指導はとても細かいですが、いつも優しく付き合ってくださるので、監督との仕事は何にも変えられない喜びでした。オゾン監督は同じ俳優を繰り返し起用することが多いというのもあって、俳優たちとファミリーのような関係性を作り上げていますが、周りとの向き合い方も素晴らしいと思ったところです。とても尊敬しています。この作品ではそういう方々に囲まれて演じることができて私はとても幸せでしたが、監督自身もみんなと一緒に映画を作れることをすごく喜んでいるのを感じたほど。そんな彼のファミリーの一員になれていたら、とても光栄なことだと思っています。イザベル・ユペールさんには発見もあった―共演者であるイザベル・ユペールさんにも以前取材させていただいたことがありますが、本当に素敵な方でした。フランス映画界が世界に誇る大女優との共演では、どんなことを感じましたか?ナディアさんイザベルさんとの共演ということで、実は少し萎縮してしまうのではないかなと考えていたことがありました。でも、現場でご一緒してみたら、そんなことはまったくない。本当に素晴らしい演技をする方なので、共演をしてみて刺激を受けました。でも、普段はとても“普通の方”なので、それは発見でしたね。あと、これはイザベルさんだけではなく、みんなに言えることですが、この現場に来ることや役を演じること、そしてこの物語を語れることに幸せを感じているのが伝わってきました。父親役のベテラン俳優であるアンドレ・デュソリエさんなんて、「オゾン監督の現場に来たら、ゼロからはじめなきゃいけないんだよ」と言っていたほど。そういう気持ちで現場にいるというのはすごく美しいことだなと実感しました。―また、劇中ではマドレーヌが家父長社会であった時代に女性の権利を自分でつかみ取ろうと徐々に変化していく姿が描かれているのが印象的でした。ナディアさんマドレーヌは自分の考えよりも、都合のいいほうに動こうとする日和見主義的なところが最初はありましたが、ある時点から彼女の言動が政治的になり、いろんなことを自覚するようになっていきます。特に、1935年頃といえば、女性には選挙権もなく、小切手を持つことさえも許されていなかった時代。自由も平等もなかったからこそ、自分自身の声を聞いてもらいたいという思いが、いつしか家父長制度に対する反抗や権利を主張へと繋がり、マドレーヌを変えていったのです。これからも戦い続けなければいけないと感じている―まだまだ男性社会と言われている映画界のなかにいるという意味では、ご自身にも通じるところはあったのでは?ナディアさん確かに、この話には2023年を生きる私たちにも共鳴する部分があると感じています。実際、私たち女性にとって、まだまだ道のりは長いなと感じることもありますから…。だからこそ、俳優として現代に通じるメッセージ性を持った映画で、そういう思いを抱えた女性を演じられたことは私にとってはうれしいことでした。最近のフランス映画界でも、興味深い女性の役はどんどん増えていますし、女性監督も台頭してきているので、それは素晴らしいことですよね。でも、これからも女性は戦い続けなければいけないなとは感じています。―確かにその通りですね。また、マドレーヌのようにピンチがチャンスに転換したような経験はありますか?ナディアさんこれはいい質問ですね!最悪から最高という話ではありませんが、実はもともと俳優を職業にするつもりはなくて、最初はお小遣いや家賃を稼ぐつもりで始めたのがきっかけでした。その後も学業のかたわらで演技を続けていましたが、それがうまくいき、いまでは俳優が仕事になったので、それが私の人生のなかで大きく変わったことだなと思います。あと、マドレーヌとの共通点をあげるとすれば、あまり先のことを考えずに行動する部分かなと。生きることが素直に楽しいと思えるところも、似ている気がします。でも、私は嘘をつくことにストレスを感じるタイプなので、マドレーヌみたいに嘘はつけないですね(笑)。日本の文化には感動すら覚えている―では、日本にまつわるエピソードや日本の好きなものなどがあれば、お聞かせください。ナディアさん2019年の東京国際映画祭で最優秀女優賞をいただいたのですが、ありがたいことにみなさんから温かいおもてなしをしていただいて、「私はなんてラッキーなんだろう!」と思いました。でも、実はそのもっと前から日本との縁というのを私はずっと感じていたんですよ。というのも、私はフランスとフィンランドのハーフなんですが、フィンランドには日本の庭園がとても多く、日本に魅了されているおじいちゃんとよく一緒に散歩していたからです。あとは、宮崎駿監督の映画は何回も観ていますし、日本映画や日本文学も大好き。いまは、村上春樹さんの本を読んでいます。日本人の他人に対してリスペクトがある文化には、感動すら覚えているほどです。―そのように言っていただけてうれしいです。ナディアさんそれからもうひとつ、来日したときに驚いたのはムーミンの人気がすごいこと。フランスではほとんど知られていないのに日本ではみんな知っていて、「ムーミンはメイド・イン・ジャパンです」なんて言っていた人もいたくらい(笑)。「フィンランドの漫画ですよ」といっても信じてもらえなかったのですが、それくらい浸透しているんですよね。―フィンランドと日本には、通じ合うものがあるのかもしれません。ナディアさんだとしたら、とっても素晴らしいことですよね!信念と確信を持って進んで行けば大丈夫―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。ナディアさん若い頃はまだ自分が何者かをわかっていない時期でもあるので、なかなか難しいこともあるかもしれません。私自身もまだ模索している最中なのでアドバイスをするのはおこがましいですが、言えるとすれば「好奇心を持ち続けること」。自分の殻に閉じこもらずに、外の世界にアンテナを張り続けるのは大事だと考えています。それからもうひとつは、「簡単に諦めてはいけない」ということ。すぐにダメだと感じてしまう人も多いと思いますが、もう少し辛抱したうえで、「信念と確信を持って進んで行けば大丈夫!」という気持ちを忘れないでほしいです。どんなことでも、とことん最後まで突き詰めてみてもらえたらと思っています。インタビューを終えてみて…。終始ニコニコとかわいらしい笑顔を浮かべていて、とにかくチャーミングなナディアさん。一瞬で相手を惹きつける魅力があるだけに、オゾン監督が自身の作品で主演に抜擢したのも納得です。今後、幅広い役柄でフランス映画界を盛り上げてくれる存在となるのを期待したいと思います。激しい駆け引きから目が離せない!ユーモアを織り交ぜつつ、クライマックスまで見事な盛り上がりで観客の心をつかむオゾン流クライムミステリー・エンターテインメント。最高にお洒落で魅力的な女性たちの姿にも、誰もが虜になってしまうはずです。取材、文・志村昌美ストーリーパリの大豪邸で有名映画プロデューサーが殺され、貧乏な若手女優マドレーヌが容疑をかけられる。法廷に立たされた彼女は、正当防衛を主張。ルームメイトで新人弁護士のポーリーヌが書いた「自分の身を守るために撃った」という完璧なセリフを読み上げ、見事に無罪を獲得するのだった。悲劇のヒロインとして時代の寵児となり、容疑者から一躍人気スターの座へと駆け上がったマドレーヌ。豪邸に引っ越し、ポーリーヌと優雅な生活を始めるが、とある女性が彼女たちを訪ねてくる。その女性とは、いまや目にすることも少なくなったかつての大女優オデット。彼女は、プロデューサー殺しの真犯人は自分で、マドレーヌたちが手にした富も名声も、自分のものだと主張するのだった。果たして、「犯人の座」は誰の手に…。続きが気になる予告編はこちら!作品情報『私がやりました』11月3日(金・祝)TOHO シネマズ シャンテ他 全国順次ロードショー配給:ギャガ(C)Marta Bevacqua(C) 2023 MANDARIN & COMPAGNIE ‐ FOZ ‐ GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA ‐ SCOPEPICTURES – PLAYTIME PRODUCTION
2023年11月02日中島健人(Sexy Zone)がMCを務める映画情報番組『中島健人の今、映画について知りたいコト。』の第32回が、11月12日(日) にWOWOWで放送・配信される。それに先駆けて、予告映像と前回の未公開映像が公開された。『中島健人の今、映画について知りたいコト。』は、ハリウッドをけん引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや映画製作現場の取材などを通じて、中島が知りたい“映画の今”について学ぶ毎月1回のレギュラー情報番組。第32回は「釜山国際映画祭を徹底取材(前編)~大物監督たちが語る魅力とは?」と題し、10月に行われた第28回釜山国際映画祭を中島が徹底取材。映画祭のキーパーソンを直撃し、アジア最大級の映画祭の裏側に迫る。さらに、今回『福田村事件』でニューカレンツ部門 最優秀作品賞を受賞した森達也監督、同部門にノミネートされた『熱のあとに』の山本英監督、ドキュメンタリー部門の審査委員・原一男監督など日本から参加した映画監督にもインタビューを実施。また、映画祭を訪れる観客に中島自らが聞き込みする一幕も収められている。併せて予告映像では、森監督へのインタビューの一部を公開中。さらに、前回の未公開映像では、最先端アクションに挑む中島がレクチャーを受け、最後には華麗なヌンチャクさばきを披露している。■中島健人 コメント国際的な視線に触れることが本当に大切だと強く感じた貴重な回でした。今の映画監督の皆さんは、アジア諸国をライバル視していますが、まずは同じ土俵に立つことが最も大切であり、それを様々な監督と共有できたことが大きな一歩だと思いました。次は釡山国際映画祭に出演者として参加し、自分も国際的な視線に触れてみたいと思います。『中島健人の今、映画について知りたいコト。』第32回 予告映像(ショートVer)<番組情報>中島健人の今、映画について知りたいコト。第32回:11月12日(日) 午前0:00~放送・配信[WOWOWプライム] [WOWOWオンデマンド]関連リンク番組オフィシャルサイト:映画公式X:オンデマンド番組ページ:番組公式Instagram:
2023年11月02日稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太らが出演する、朝井リョウ原作映画『正欲』が、「第36回東京国際映画祭」コンペティション部門観客賞&最優秀監督賞をW受賞した。家庭環境、性的指向、容姿――様々に異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのか、というテーマを炙り出していく衝撃的な物語を、原作とは違い、ある種のラブストーリーとして、『あゝ、荒野』『前科者』の岸善幸監督と脚本家・港岳彦が映画化。稲垣さん主演映画の本映画祭での観客賞受賞は、『半世界』(阪本順治監督)、『窓辺にて』(今泉力哉監督)に次ぐ3度目となり、本映画祭が開催されて以降、主演作が3度の観客賞を獲得するのは初めてとなった。また岸監督は、初の国際映画祭コンペティション部門出品にして、監督賞受賞というこちらもWの快挙。プレゼンターのアルベルト・セラ監督は本作を「ソーシャルメディアに支配された社会のなかで、アイデンティティを確立することの難しさ、複雑さを描き出した」と評した。授賞式に出席した岸監督は、「東京国際映画祭の審査員のみなさん、本当にありがとうございます。この作品は『すべてのひとが自由で自分を偽らずに生きていける社会とは何か』ということを問いかけています。日本のみならず世界中が自分のアイデンティティを確立するのがなかなか難しい時代です。この映画を観て『多様性』の意味を考えていただけたら嬉しいです。素敵な賞をいただけて幸せです」とメッセージ。妻と息子と3人で暮らす検察官・寺井啓喜を演じた稲垣さんは「東京国際映画祭で『正欲』が監督賞と観客賞をダブル受賞できたことを大変嬉しく思います。岸監督、おめでとうございます」と喜び、ショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月役の新垣さんも「監督賞、観客賞、受賞おめでとうございます!作品に関わる一人として本当に嬉しいです」「この受賞をきっかけに映画『正欲』がさらに多くの皆さんに観ていただけること願っています。改めて、おめでとうございます!」とコメントを寄せている。『正欲』は11月10日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:正欲 2023年11月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社ⓒ 2023「正欲」製作委員会
2023年11月02日「第36回東京国際映画祭」(TIFF)のクロージングセレモニーが1日、都内で開催され、『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)が観客賞と最優秀監督賞を受賞した。朝井リョウ氏による小説『正欲』を、監督・岸善幸氏、脚本・港岳彦氏で映画化した本作。稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を出演者として迎え、家庭環境、性的指向、容姿――異なる背景を持つ人たちを描きながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく。観客賞、さらに最優秀監督賞にも輝き、2度ステージに登壇した岸監督。「4作目の作品ですが、名誉ある賞をいただけてこれからの映画作りの励みになります。これからも頑張っていこうと思います」と語った。そして、「この作品は、多様性の意味を、すべての人が自由で、自分を偽らずに生きていける社会は何かということを問いかけています。なかなか自分のアイデンティティを確立するというのは難しい時代です。この作品を見て多様性の意味を皆さんに考えていただけたら本当にうれしいです」と本作に込めた思いを説明。「これを励みにこれからもいろんな映画をいろんなテーマで作っていきたいと思います」と決意を新たにし、「ありがとうございました」と感謝した。なお、コンペティション部門は、114の国・地域から寄せられた1942本の中から15作品が選ばれ、日本からは『正欲』(岸善幸監督/稲垣吾郎主演)、『曖昧な楽園』(小辻陽平監督/奥津裕也主演)、『わたくしどもは。』(富名哲也監督/小松菜奈&松田龍平主演)の3作品がノミネートされていた。
2023年11月01日第36回東京国際映画祭コンペティション部門正式出品である映画『正欲』が、11月10日(金) に公開される。このたび、本作のメガホンを取った岸善幸監督のQ&A付き上映会が、10月31日(火) にTOHOシネマズ 日比谷で行われた。読者の価値観を激しく揺さぶる内容が多くの読者の支持を得てベストセラーとなり、発行部数はすでに50万部を突破している、朝井リョウの同名小説を映画化した本作。メガホンを取った岸監督は、「個人的に原作が衝撃的な内容だったので、“マイノリティ中のマイノリティ”の人々がどう世界を見ているのか、自分自身も知りたいと思い、色々調べました。物語の骨格は原作で、そこに刻まれている素敵な言葉と、現実を見つめる視点を大切にしながら、キャストやスタッフとも議論を重ねて作り上げていきました」と、あらためて映画化への思いを語った。観客から、原作を読んで受けた衝撃について問われた岸監督は、「理解する側や受け入れる側で、多様性という言葉を認識していた自分がいる、ということを気付かされたのが何よりも衝撃でした」と、あらためてそのインパクトについて回答。そんな原作を映画化するにあたり、本当に必要なものは何かをシンプルに考え、原作者の朝井や脚本の港岳彦、プロデューサーたちとは何度も打ち合わせを重ねていったという。「特に朝井さんは、映画化で大切にしてほしいことについて、都度意見をいただいて、それを守りながら脚本も進めていきました」と、原作者含め製作陣の入念な話し合いのもと、映画作りが進められたことを明かしている。また、稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗といった本作の出演者についての質問が上がると、岸監督はまず、「とにかく各キャスト全員と、話し合いながら進めていきました」と一貫して俳優陣と向き合ってきたことを語った。検事の寺井啓喜役で主演を務めた稲垣については、「稲垣さんの出演する映画を観て、僕がお願いしました」と岸監督が熱望していたことを明かし、「啓喜役は、観る人やその時の状態によって、共感もできるし悪役のようにも見えるという、非常に難しい役どころ。稲垣さんは本当にジェントルマンでエレガントなのですが、どこか狂気性のようなものも垣間見える方で。啓喜は“普通”の側に立つ検事ですが、だんだんと“普通”の価値観が揺らいでいき、狂気性が出てくるキャラクターなので、そういう意味で稲垣さんはピッタリでした」とキャスティング意図についてコメント。「最初にご本人にお会いした時も、“観客は稲垣さんを基準に映画を観て、やがて自分たちのことに翻って、あれ?と疑問が持てるような存在として演じていただきたい”とお伝えしました。啓喜役が稲垣さんですごく良かったと思っています」と、主演の稲垣を絶賛する一幕も。“ある秘密”を抱える桐生夏月役を演じた新垣については、岸監督は「プロデューサーが企画の段階で新垣さんに交渉していて、新垣さんがその後原作を読まれて、ぜひやりたいと言っていただけたんです」と出演経緯についてコメント。「夏月役を演じていただくことで、新垣さんに対する世間のイメージを覆すほどの存在感が示されて、映画にも相乗効果があると思いました。新垣さんには、感じたことを表現しながら演じることを最優先してもらいましたね」と、新垣に大きな期待を寄せていたことを明かした。夏月と秘密を共有する中学時代の同級生・佐々木佳道を演じた磯村については、『前科者』(2022)に続いての監督作出演ということもあり、確かな信頼を感じているという岸監督。「磯村さんは感情表現が豊かで、表情だけでなくて目や全身も使い、表現にグラデーションを感じるんです。自分でも演技設計をされていると思うのですが、相対する役者や芝居に対してもまた磯村さんの表現が生まれてくるというか、とても信頼しています」とコメント。さらに、「佳道という人物は、ノーマルとアブノーマルが分けづらいというか、日常的にある意味社会に紛れて暮らしています。そういう根幹に、生きづらさを感じている役なので、どう表現するかは磯村さんにまず演じてもらって、その度に対話しながら作り上げていきました」と、役作りのプロセスについても語った。さらに観客からは、映画のキーアイテムとして重要なシーンで度々登場する、“水”の描き方についての質問も。岸監督は、「水をどう撮ろうかということは、スタッフともよく話し合いました。水には美しいという大前提がありますが、暴力性もある。登場人物たちの心の表現のように、まるで水だけれど“乾いている”ような捉え方をしたいということを議論しましたね」と、水の表現について強いこだわりを持っていたことを語った。また、水の音についてもスタッフと議論を重ねたといい、「赤ちゃんを包み込む羊水のように、水を通して母親の心臓の音を聴くものであったり、水の音には命の源という考え方もある。一方で、暴力的な水もあるなと思ったので、そうしたことをそれぞれのシーンで、音楽とは別に、加工した水の音をつけたりしていきました」と、映画に深みを与えるために細部までこだわり抜いていたことを明かした。<作品情報>映画『正欲』11月10日(金) 公開(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会(C)2023 TIFF関連リンク公式サイト::
2023年11月01日映画『ドミノ』より、ロバート・ロドリゲス監督やベン・アフレックら主要キャストが多層に仕掛けられた〈世界〉の謎を語るコメントが到着した。本作は、ロドリゲス監督が2002年にデジタルリマスター上映されたアルフレッド・ヒッチコック作品『めまい』にインスパイアされ着想を得た作品で、サスペンスの帝王ヒッチコックに敬意を込めた予測不能なストーリー、多層構造に仕掛けられた〈世界〉で観客を翻弄する野心作となっている。ベン・アフレックが演じるのは、白昼の公園で突然姿を消した娘を探す刑事ローク。彼の前に、娘の行方の鍵を握る〈絶対に捕まらない男〉が現れる。男を追ったロークは、現実と見紛う〈仕掛けられた世界〉に踏み込み、やがて追いつめられていく。次々に、はまっていくどんでん返しのドミノ連鎖の先に想像を越えるラストが待ち受ける。「ベン演じるロークは刑事で、ウィリアム・フィクナー演じる〈絶対に捕まらない男〉を追っている。銀行強盗を起こし忽然と姿を消した男だ」とロドリゲス監督は説明する。ロークは、娘の失踪に心身のバランスを崩しているが、正気を保つために職場に復帰。タレコミを受けて急行した銀行強盗の現場で、脳をハッキングして人を自在に操る〈絶対に捕まらない男〉に出会う。鍵を握る〈絶対に捕まらない男〉を演じたフィクナーは、「ロークは娘が行方不明で深い苦悩に打ちひしがれながら、生きるために必死にもがいている。彼は心の葛藤を経て次第に分かってくるんだ。世界は我々が思っているようなものではない。彼自身が思っている世界とも違う」と、主人公の心の葛藤と認識の変化に注目だと語る。そして、「観客はロークと同様のスタンスで物語を信じるだろう。それが脚本のすばらしさだ。だが突然、ある時点で思う。『ちょっと待て、何かおかしいんじゃないか』と。ワクワクして見るに違いない」と、ロドリゲス監督が仕掛けた多層構造の〈世界〉に誰もが翻弄されるだろうと指摘する。また、〈絶対に捕まらない男〉の秘密を知る〈謎の占い師〉ダイアナを演じたアリシー・ブラガは、「重要な要素が絡み合って構成されている。出演のオファーをもらって光栄だった。どんな俳優もこの作品で演じたいはず。なぜなら全員の役に仕掛けがあるの」と、刑事ロークと行方不明の娘ミニー、〈絶対に捕まらない男〉、そして占い師のダイアナら、登場人物の背後にもそれぞれ謎が隠されていると意味深な発言も。ロドリゲス監督の脚本に魅せられたアフレックは、「登場人物たちが常に新しい面を見せ変化するのが好きなところだ。僕が演じる役柄が起こす“変化”も特に気に入っている」と、刑事ロークが変化することも注目ポイントだと語っている。<作品情報>『ドミノ』10月27日(金) 全国ロードショー『ドミノ』ポスタービジュアル公式サイト: Hypnotic Film Holdings LLC. All Rights Reserved.
2023年10月26日映画『私がやりました』が11月3日(金・祝) に公開される。このたび、本作のメガホンを取ったフランソワ・オゾン監督と、若々しいヒロイン2人に立ちはだかる重要なキャラクター・オデット役を演じたイザベル・ユペールがお互いを讃え合うコメントが到着した。オゾン監督が今回題材に選んだのは、ユーモアとブラックジョークにあふれたクライムミステリー。ある事件の“犯人の座”を巡って、年齢も性格も異なる女性3人が駆け引きを繰り広げていく一風変わったストーリーになっている。主人公のマドレーヌとポーリーヌ役は、ナディア・テレスキウィッツとレベッカ・マルデールが演じる。オゾン監督とユペールがタッグを組むのは、2002年公開の映画『8人の女たち』以来21年ぶり。ユペールのキャスティングと撮影秘話を聞かれたオゾン監督は、「イザベル・ユペールはとても好きな女優。彼女のおかげで、僕自身映画監督の道を進んでこれたんだ」と自身のキャリアはユペールによって築かれた、と言わんばかりの強い思いを告白。続けて「僕はシネフィルで、イザベル・ユペールが出ている作品はほとんど網羅していたね。そんな映画好きの僕が『8人の女たち』で彼女と一緒に仕事ができたことは本当に夢のようだった」と昔からユペールの大ファンだったことも明かす。ユペールといえば、繊細であまり感情を出さない人物を演じることが多いが、オゾン作品では“コメディ・タッチ”な彼女を見ることができる。そのことについて「これまで彼女は、日本映画に出てくる女性のように、あまり感情を大げさに表現せずにただ涙を一筋をこぼすような役が多かったよね。そんな彼女が、僕のコメディでははじけてくれる。今回の作品でも『8人の女たち』でも、すごく誇張された、過剰な演技をしてくれたんだ。そんな彼女の演技は観客たちには大ウケするんだよ!」とオゾン作品でしか見ることができない彼女の魅力を嬉しそうに語った。また、ユペールは本作の脚本を最初に読んだ時のことについて「皆が犯人の座を奪い合うというプロットはねじれているけれど、そこにオゾンならではのフェミニズムがきちんと表れている。現代的で社会的な問題を、ユーモアをもって映画に取り入れているという点がオゾンの聡明さなの。シリアスな出方にはまった映画の形で伝えるのではなく、ちょっと迂回して、少し反道徳的で不敬なものも取り入れて描いてしまうのがオゾンのすごさ」とオゾンの独創的なアイディアを絶賛。さらに、フランスで動員100万人超えのヒットを記録している理由については、「彼の作品は毎回フランスでヒットするのよ。『グレース・オブ・ゴッド』のようなシリアスな作品から今回のようなコメディまで。彼の描くコメディは大衆にウケる面白いポイントをしっかりと押さえながらも、単なるドタバタ劇ではなく知性を感じるコメディなの」とフランスにおけるオゾンの人気の高さと、監督としての秀才ぶりを称賛した。<作品情報>映画『私がやりました』11月3日(金・祝) 公開公式サイト: MANDARIN & COMPAGNIE - FOZ - GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA - SCOPE PICTURES – PLAYTIME PRODUCTION
2023年10月24日フィンランドで製作され、全世界の映画ファンを熱狂させている『SISU/シス 不死身の男』がついに27日(金)から公開になる。監督を務めたヤルマリ・ヘランダーはこれまでもユニークな設定を持つ快作を手がけてきたが、本作で彼は「誰が何と言おうと自分の好きなものを作ろう」と決意。冒頭からエンジン全開で、何があっても絶対に諦めない老兵の戦いを描いている。本作の舞台は第二次世界大戦の末期。ナチスの侵攻によって荒れ果てたフィンランドの北部で、老兵アアタミは掘り当てた金塊を運搬する途中でナチスの戦車隊に目をつけられる。しかし、彼が持っているのはツルハシ1本だけ。アアタミは持てる知恵と道具をフル活用して、ナチスに立ち向かう。何があっても絶対に諦めない、どんな攻撃を受けても絶対に死なない。不屈の魂を宿した最強爺さんの壮絶バトルが幕を開ける。1976年にフィンランドで生まれたヤルマリ・ヘランダーは、幼少期からアクション映画の大ファンだった。1980年代の映画界は豪快なアクション映画の全盛期。未来からやってきた最強の殺人機械ターミネーター、心に深い傷を負いながら“たったひとりの軍隊”にならざるを得なかったジョン・ランボー、クリスマス・イヴの夜にひとりでテロリストたちと戦うはめになったツイてない男ジョン・マクレーン……ヘランダー監督は「子どもの頃に観た映画は、いまでもその衝撃が残っている」と語る。「幼少期の頃に観た、というのもあるけど、80年代の映画は“特別なもの”が宿っていたと思う。何よりもピュアでシンプルだし、現在の大規模な予算でつくられるシリーズ映画とは違う特別な要素があったんだ」ヤルマリ・ヘランダー監督当然のように彼の子どもの頃の夢は映画をつくること。最大の転機は同じフィンランド出身の映画監督レニー・ハーリンの出現だ。「レニー・ハーリンが『クリフハンガー』や『ダイ・ハード2』を監督しているのを観て、アメリカ人じゃなくても、フィンランド人でもハリウッドで活躍できるって知ったんだ。つまり、自分にも可能性がある! その時からいつかハリウッドで映画を撮りたいと思っているし、いまもその目標に向かっている途中なんだ」その後、彼はCM監督として経験を積みながら、短編映画を撮影し、そのうちのひとつを発展させるかたちで初の長編映画『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』を発表。2015年にはサミュエル・L・ジャクソン主演の『ビッグゲーム大統領と少年ハンター』を完成させた。その後、彼はいくつかのプロジェクトを構想するが実現せず、撮影準備を進めていた企画もコロナ禍で中断してしまう。「前作から8年が経ってしまった。その間にいろいろなことがあって、自分の中にひっかかるものがたくさんあった。だからこそ、この機会に好きなことをやってやろうと思ったんだ。誰が何と言おうと自分の好きなものを作ろう、誰のためでもなく自分のために脚本を書こうと」そこで彼が思いついたのはもちろんアクション映画だ。「ある時、“主人公がナチスと戦う”というストーリーを思いついて、ナチスと戦えるほどの強靭なヒーローの存在が必要だと思った。書き始めた時は脚本のタイトルは“SISU”ではなかった。でも書き進めていく中で、“SISU”という言葉とアイデアが浮かんできて、どんどん筆が進むようになったんだ。そこで、それまでに書いていた要素、新しく思いついた要素をすべて“SISU”につながるように組み立てていったことで、映画のコンセプトになり、脚本が完成したんだ」タイトルにもなっている“SISU/シス”は、フィンランドの言葉で、翻訳不可能なものらしい。フィンランドの人たちの精神を表現する言葉で、あえて訳すとしたら、絶対に諦めない意志の強さ、何があっても折れない心のこと。本作の主人公アアタミは、心に“SISU”を宿していて、何があっても絶対に倒れることなく、敵をブチのめしていくのだ。ここまで純粋な映画にできた理由は…本作は、何があっても死なない老兵が次々と敵を倒していく“コンセプトありき”の映画に思えるが、実は勢いだけでなく、考え抜かれたアイデアがふんだんに盛り込まれている。そもそも、通常のアクション映画は、主人公が早々に殺されてしまうことはない、とわかっていても、観客は“ここで失敗したら主人公は死んでしまう”と思いながら映画を観ている。だからドキドキする。しかし、本作の老兵アアタミは絶対に死なない。何があっても諦めない。折れない。愛する故郷が火の手に包まれていることに涙するが、悩んだりはしない。自信も喪失しない。そんな暇があるなら敵を倒す。つまり本作は、アクション映画が必ず装備している“安全装置”がない状態で映画が進んでいく。劇中では主人公が生き残れるか? のドキドキは使えない。全シーン、主人公が”どうやって敵を倒し、どうやって難局を突破するのか?”だけが問われることになる。「アクション映画がたくさんある中で、本作が目立つためには戦闘やアクションシーンを他にはないものにする必要があった。うまく撮影できて本当によかったよ」この映画ではフィンランドのラップランドという地方が舞台になっている。どこまでも土地の広がる美しいエリアだが、そこには建物も木もない。つまり、主人公には隠れる場所も、銃弾から身を守る場所も逃げ場もない。そんな状態でどうやってアクションや銃撃戦にバリエーションをつける? ここも監督のアイデアと腕の見せどころだ。「最初の映画(『レア・エクスポーツ』)では高い山が登場するのでノルウェーで撮影した。フィンランドにはノルウェーほど高い山はないからね。次の『ビッグゲーム』では前作以上に高くて大きな山が必要だったから、『クリフハンガー』に出てくるような山を探してドイツで撮影したんだ。でも、今回の映画には山は必要ない(笑)。そこでついに自分の国フィンランドで撮影できることになったんだ」本作は、最強の老人が次々に敵を倒す、というアイデア一発の映画に見えるが、実は、監督が自ら高いハードルを設定し、それを多彩なアイデアでクリアしているところに面白さがある。単にテンションの高いだけの熱血映画ではないのだ。明確なコンセプト、自分を窮地に追い込んでも他にはないバトルを描こうとする意志、それに応えるだけの多彩なアイデアが本作にはギッシリとつまっている。「この映画では脚本を書いている時から頭の中にイメージが明確にあって、そのイメージをそのまま映画にすることができた。そのことが何より嬉しかったし、誇りに思っているよ。ここまで純粋な映画にできた理由は、脚本を書いてから撮影するまでに時間がなくて、脚本の初稿が“最終稿”だったことにあると思う。脚本の開発に時間をかけ過ぎてしまうと、ああでもない、こうでもないとアイデアを動かしたり変えたりしてしまうけど、この映画は作品に取りかかった時の興奮とエネルギーがそのまま映画に注ぎ込まれている。自分の本当に好きな映画をつくっている喜びがそのままスクリーンに現れているんだ。脚本を書いてる時は“こんなにも自分の好きなことだけ書いて、他の人はどう思うだろう?”と不安になる瞬間もあったけど、すぐに出資者が見つかって撮影に入れたし、この映画をつくっている間ずっと“この映画はなにか特別なものになる”という確信があったよ」監督が語る通り、本作はアクション映画なのに観ていると喜びがわき上がってくる感覚がある。観ているだけでテンションが上がり、爺さんが次から次へと敵を倒していく姿に思わず笑みがこぼれ、その不屈の精神に心が震え、なぜか尊いものを観ている気すらしてくるのだ。公開前に行われたいくつかの試写会では、上映後に客席から自然と拍手が起こったという。ツルハシ1本の爺さんが観客の“SISU魂”に火をつけたのかもしれない。『SISU/シス 不死身の男』10月27日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開(C)2022 FREEZING POINT OY AND IMMORTAL SISU UK LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
2023年10月23日●東京国際映画祭ナビゲーターとしてのゴールは「光」今年で36回目を迎える東京国際映画祭が明日23日に開幕する。今回、映画祭でフェスティバル・ナビゲーターを務めるのが、映画監督の安藤桃子氏だ。父は俳優の奥田瑛二、妹も女優の安藤サクラと映画一家と言える安藤にとって、映画とはどんなものなのだろうか――話を聞いた。昨年までフェスティバル・アンバサダーという名称で映画祭の顔となっていた役割が、今年から“ナビゲーター”という肩書きに変更された。「この変化の意味をすごく考えました。車などナビゲーションシステムを使われる方は多いと思いますが、それってゴールを設定しないと起動しませんよね。その意味で、この映画祭をナビゲートするという役割に置いて、我々の行く先、ゴール設定を、と思いました」安藤監督が東京国際映画祭をナビゲートする役割を担うと決まったとき、設定したゴールは「光」だという。「この映画祭で上映される作品は219本。年間公開される映画も1,000本以上あるなかで、すべてを観ることは叶わない。時に人によって全然響かない映画というのも存在する。でも、どんな作品でも人の心を描いていて、その奥にはドラマがある。誰かの心に刺さって、観た人の進む道に光を照らしてくれる。ロマンチックに表現すれば、映画は『光と影』でできています。映写には『光』がなければ、スクリーンに何も映らない。私たちの心を照らしてくれるメディアなんですよね」こうした安藤監督の考える“映画愛”を象徴するのが、生誕120周年、没後60年となる小津安二郎さんの特集だという。「小津安二郎監督は日本映画の父であり、小津監督作品が象徴しているものというのは、どこまでも優しく謙虚な目線。人生に偉いとか順位などはなく、どこを切り取っても愛がある視点というのは、今回の東京国際映画祭のテーマであると思います。戦争やシビアなテーマも心が震えるような温かさや愛で包んでいる。そんなことを感じていただければと思っています」○■ポスタービジュアルで父・奥田瑛二と共演映画の持つ“愛”へと観客をナビゲートする役割を担う安藤監督。そして映画人としては、先人から受け継いだものを、これからの人たちに繋いでいくという役目もある。そんな思いを象徴するのが、映画祭のメインビジュアルだ。安藤監督と父である俳優・奥田瑛二が並んでいる姿が印象的だ。「ポスター撮影のとき、父が『俺らの世代は、映画だけではなく白黒はっきりさせなければいけない時代で育った。納得しなくても歯を食いしばってこらえて物事を成し遂げてきた。そういうメンタリティを教えられた時代』と話していました。確かに父の世代というのは、映画界も男性社会でした。でも今は女性監督の活躍も珍しくないですし、世界中を見ても性別、年齢などを超えた多様性が求められています」父親が苦しい思いをしながらも努力して受け継いできた映画界。そんな世界を知りつつも、新たな時代へと移り変わる過渡期にいる安藤監督。「父親の時代の映画界と今の映画界、そして未来の映画界。父がビシッとした黒のスーツを着ているなか、私は白のフワッとした衣装です。風になびいたら揺れ動いて変化する柔らかさがあります。どんな方向からの風でも柔軟に対応できるような……そういう存在として未来に映画を繋いでいけたらと思っています」●映画を通じて子供たちに優しさを伝えていきたい安藤監督は現在、高知に在住。市内でミニシアター「キネマミュージアム」を主催し、子供向けに映画製作のワークショップなども行っている。「これから生まれてくる子供たちを含め、未来に向けて、映画というメディアの魅力と本質を伝えられたらうれしいです。『老人や子供たちという社会的に弱い人たちを敬うことで、中間層の世代が元気に活躍する』というのを聞いたことあります。まさにそうだなと思っていて、社会的に立場が弱い人に優しい視線を持つことで、社会全体が優しくなる。だからこそ、映画を通して子供たちに優しさを伝えていくことはとても重要だと思います」世界中の映画を通して“愛”をナビゲートしていくという安藤監督のミッションは非常に重要だ。それだけ“伝える”価値があるのが映画というメディアだという。「映画って本当に奥深いです。特に映画館で映画を鑑賞するということは、とても尊い。以前、大林宣彦監督が、1秒24コマのフィルムにはコマとコマの間に、目に見えない黒みがあって、そこに答えがあるとおっしゃっていました。人は目を閉じて、心で亡き人を思ったり、記憶を蘇らせる。映画の黒みは瞬きで、心の奥の記憶を呼応する。そういったことを体験できるのも映画館ならではなんです」コロナ禍で海外ゲストが減ってしまった東京国際映画祭も、今年は600人以上の映画関係者の来日が見込まれている。安藤監督は「映画は世界を変えると思っています。今年はたくさんの作り手が海外から東京のスクリーンにやってきます。この機会を逃すことなく体験してほしいです」と映画への熱い思いを語った。■安藤桃子1982年3月19日生まれ、東京都出身。ロンドン大学芸術学部卒。高校時代にイギリスに留学、大学卒業後、ニューヨークで映画作りを学び、2009年『カケラ』で映画監督デビュー。2011年、小説『0.5ミリ』(幻冬舎)を出版。同作を実妹・安藤サクラを主演に自ら映画化し、多数の賞を受賞。2014年、高知県へ移住し、ミニシアター「キネマM」を開設し代表を務めるほか、子供たちが笑顔の未来を描く異業種チーム「わっしょい!」では、農・食・教育・芸術などの体験を通し、全ての命に優しい活動にも愛を注いでいる。父は俳優で映画監督の奥田瑛二で今年度の「東京国際映画祭」のビジュアルには親子で登場。現在、日本テレビ系情報番組『DayDay.』に隔週水曜レギュラーとして出演中。
2023年10月22日映画『おまえの罪を自白しろ』(10月20日公開)の公開初日舞台挨拶が20日に都内で行われ、中島健人、堤真一、池田エライザ、山崎育三郎、尾野真千子、水田伸生監督が登場した。同作は真保裕一氏による同名小説の実写化作。ある日、政治家一族の宇田清治郎(堤真一)の孫娘が誘拐される。さらに犯人からの要求は、身代金ではなく「明日夕方5時 までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」というもので、それは決して明かすことが許されない、国家を揺るがす” 罪”だった。清治郎の息子で議員秘書を務める宇田晄司(中島健人)は、家族の命を救うため前代未聞の大事件に挑む。○■映画『おまえの罪を自白しろ』公開を迎えた中島健人水田監督は「同時期にもう1本公開してますけど、わちゃわちゃしてるじゃないですか。こっち本気でやりました」と、公開中の映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』に触れる。中島は「光栄ですけども、(松坂)桃李くんとかと会いづらいです」とつっこみ、監督は「割愛して」と懇願していた。また、最後には「個人的にも、正直、激動の数カ月を過ごさせていただいております」と告白。「その激動の数カ月の中でも、この作品を送り出すことが自分の使命だと思っておりますし、劇場で今の姿を皆さんに捕まえていただければと思っております。世代を超えて愛される映画だと信じております。皆さんでぜひこの映画を盛り上げてください。よろしくお願いします」と熱いメッセージを届けた。
2023年10月20日映画『ポトフ 美食家と料理人』 が、2023年12月15日(金)より全国順次公開される。同作品は、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞。カンヌ国際映画祭最優秀監督賞受賞作品映画『ポトフ 美食家と料理人』は、19世紀末のフランスを舞台に、料理への情熱で強く結ばれた美食家と料理人の愛の物語を紡いだ感動作。新たなるグルメ映画の⾦字塔として、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞に輝き、第96回アカデミー賞国際長編映画賞フランス代表に選出された作品だ。名匠トラン・アン・ユンが紡ぐ、天才料理人と美食家による愛の物語メガホンを取ったのは、繊細な映像美で高く評価されてきた監督、トラン・アン・ユン。『青いパパイヤの⾹り』でカンヌ国際映画祭カメラ・ドール、『シクロ』でヴェネチア国際映画祭⾦獅⼦賞を受賞した名匠トラン・アン・ユンが愛と⼈⽣を味わう感動の物語を描き出す。名優ジュリエット・ビノシュが天才料理⼈に出演は、フランスの名優ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメル。全⾝全霊をかけて厨房に⽴つ料理⼈と、料理へのまっすぐな情熱をそぞぐ美⾷家を演じる。ウージェニー…ジュリエット・ビノシュプロとして矜持を持って⽣きる天才料理⼈。ドダンが閃いたメニューを完璧に再現し、極上の料理によって⼈々を驚かせてきた。ドダン…ブノワ・マジメル〈⾷〉を追求し芸術にまで⾼めた美⾷家。ウージェニーへの切なく揺れる想いを抱える。彼女に何度目かのプロポーズをするが、ウージェニーはキスで答えるだけ。しかし⼆⼈の絆は強く結ばれている。ミシュラン3つ星シェフのピエール・ガニェールが監修映画『ポトフ 美食家と料理人』は、ミシュラン3つ星シェフのピエール・ガニェールが料理を完全監修しているのも見どころの1つ。前衛的かつ独創性と芸術性に満ちた料理から“厨房のピカソ”と称されるピエール・ガニェールによる極上メニューが次々と登場する。劇中では、ピエール・ガニェール本人がシェフ役として登場するシーンもあるので、ぜひチェックしてみてほしい。また、“食”という芸術を捉えるためのこだわりが、随所に散りばめられているのもポイント。調理過程を1台のカメラで撮影したり、劇伴を使うことなく魚や肉を焼いたり煮たりする音を音響効果と捉えたり、自然光をメインの照明としたり……と、食材が“究極のひと⽫”へと進化を遂げる様⼦を美しく描き出している。なお、映画『ポトフ美食家と料理人』では、肉、魚、野菜、バターなど使用する材料も出来上がった料理も全て本物。カットがかかってもあまりの美味しさに俳優たちはお皿を手放さずに食べ続けていたという。監督は、「2人とも実生活でも美食家で料理が得意なので非常に細かいところまで表現していて、さらに積極的に自分の役に取り組んでくれて、とても仕事がしやすかった」と振り返っている。映画『ポトフ 美食家と料理人』あらすじ舞台は19世紀末フランスの片田舎。シャトーで暮らす美⾷家のドダンと天才料理⼈のウージェニーの2⼈が⽣み出した料理は、⼈々を驚かせ、その類まれなる才能への熱狂はヨーロッパ各国にまで広がっていた。そんなある日、ドダンはユーラシア皇太⼦から晩餐会に招待される。豪華なだけで論理もテーマもない⼤量の料理に退屈するドダンは、家庭料理で皇太⼦を魅了できるか挑戦することに。トライするのは、最もシンプルな料理“ポトフ”。だが、そんな中、ウージェニーが倒れてしまう。ドダンは⼈⽣初の挑戦として、すべて⾃分の⼿で作る渾⾝の料理で、愛するウージェニーを元気づけようと決意するのだが……。【作品詳細】映画『ポトフ 美食家と料理人』公開日:2023年12月15日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋⾕宮下、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開監督:トラン・アン・ユン脚本・脚⾊:トラン・アン・ユン出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル料理監修:ピエール・ガニェール配給:ギャガ(ギャガロゴ)原題:La Passion de Dodin Bouffant字幕翻訳:古⽥由紀⼦©2023 CURIOSA FILMS – GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA
2023年10月19日ロバート・ロドリゲス監督の最新作『ドミノ』は、彼が20年もの年月をかけて構想を練り完成させた作品だ。彼はなぜ、ここまで本作にこだわったのか?ロドリゲス監督に話を聞いた。映画『ドミノ』予告編10.27公開彼は2002年にあるアイデアを思いつき、脚本を書いて誰かに売ろうと考えた。それは“相手を自由自在に操ることができる能力を持つ男の登場するサスペンス”だった。「何より、自分のオリジナルのアイデアだったことが大きいです。それに、アイデアを気に入ってくれて、評価してくれる人や出資しようという人まで出てきました。そこで、このプロジェクトは時間をかけてもじっくりと育てていくべきだと思ったんです」ついに彼はこのアイデアを自分で監督することを決め、さらに脚本を練った。主人公のロークは行方不明になった娘を追っているが、ある日、銀行強盗を追う過程で銀行の貸金庫から娘の写った写真を発見する。さらに銀行近くで謎の男を発見。彼は娘の情報を知ってそうだが、相手を話すだけで操る不思議な力を持っていることが分かる。相手の脳をハッキングする恐ろしい男をどう捕まえるのか?そしてこの男と失踪した娘の関係は?ロドリゲス監督が本作の原題でもある“ヒプノティック=催眠”というアイデアに魅了されたのは、この考えが“映画づくり”と深い関係があるからだ。「そもそも、相手を信じ込ませて、自由自在に操るというのは、僕たち映画監督が観客にしていることですよね(笑)。フィルムメイキングとは観客の周囲に虚構を組み立てて、観客を催眠状態に陥らせることだと思うのです。観客はそれが脚本に書いてあると分かっているのに、その世界を信じて、自らその世界に飛び込んでくれて、怖がったり笑ったりしてくれる。この映画のアイデアそのものが“映画をつくること”と同じなんですよ。僕は映画をつくることが大好きなんですが、この映画ではそうとは言わずに、サスペンスの姿を借りて“映画づくり”についての映画をつくることができる。これが、どうしても自分でこのアイデアを監督したい理由でした」彼は愛する題材、そしてキャリア初となるヒッチコック風のサスペンスを描くために時間をかけて脚本を書き、その過程で追求し続けてきた“家族”のモチーフも盛り込んでいる。「脚本に20年かかりましたが、最初の12年ぐらいはそこまで家族の要素は入っていなかったんです。でも創作していくうちに家族のエピソードが増えていき、これまでの作品と同じく家族の要素をもつ作品になりました。それが自分の信じているものだからだと思うんですよね。作り手は自分の信じるものを道具につくらないといけないと思っているし、自分が監督だけでなく脚本も手がけたからこそ後で加えることができたと思います。私には5人の子供がいるし、10人兄弟の一員ですから、何よりも家族が生活の中で大事なのです」得意のアクション、初挑戦のサスペンス、そして映画づくりと家族への愛情……本作はロドリゲス監督にとって特別な1作になったようだ。<作品情報>『ドミノ』10月27日(金) 公開(C)2023 Hypnotic Film Holdings LLC. All Rights Reserved.
2023年10月19日濱口竜介監督作『悪は存在しない』がロンドン映画祭で最優秀作品賞を受賞した。審査員全員一致の決定だったという。「繊細で、シネマティック、そして完全に悟った演技によって強調された、濱口監督の確信に満ちたドラマ」「家族とコミュニティ両者の抒情的な肖像画であり、土地開発の倫理についてのニュアンスを含む考察でもある」と評された。濱口監督は同映画祭のXアカウントに動画で喜びのコメントを発表。「『悪は存在しない』がロンドン映画祭で最優秀賞受賞という本当にうれしいニュースを聞いて、驚きました。ありがとうございます」と感謝を述べた。キャストやスタッフの仕事ぶりをカメラ越しで見ていて、濱口監督自身も「素晴らしい」と思っていたため、それが評価されたことに「勇気づけられる」と語った。また、前作『ドライブ・マイ・カー』の音楽を担当し、今作では音楽と共に企画・発案も担当した石橋英子氏の名前を挙げ、「彼女の音楽の存在が、この映画を完成まで導いてくれた」と説明した。『悪は存在しない』は今年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞も受賞した。日本公開は2024年GWを予定している。(賀来比呂美)
2023年10月16日「このミステリーがすごい!」大賞受賞小説を三池崇史監督が映画化した『怪物の木こり』が、スペインで開催された「第5回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭」にてワールドプレミア上映。現地時間10月13日19時より、サスペンス・アクションなどの作品がセレクトされるÒRBITA(オービタ)部門を締め括るクロージングイベントが開催され、主演の亀梨和也と三池監督が登場した。シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭は、ベルギー・ブリュッセル、ポルトガル・ポルトと並ぶ世界三大ファンタスティック映画祭の1つとして知られ、毎年10月に開催を続け、今回で56回目の開催となる歴史ある映画祭。過去には『十三人の刺客』がヴェネチア国際映画祭、『一命』『藁の楯 わらのたて』『無限の住人』がカンヌ国際映画祭に出品されるなど世界にその名を轟かせる三池監督の最新作というだけあり、本作上映のチケットは事前の発売後、即完売。会場には1,200人の観客が集結した。三池監督「映画ファンが集まる映画祭だからハードルは高い」ワールドプレミア前には現地メディアによるフォトセッションと記者会見に臨んだ亀梨さんと三池監督。取材前にはシッチェスの街並みを散策するなど、街の空気を感じた亀梨さん。「この『怪物の木こり』という作品と三池監督にせっかく連れてきていただいた舞台なので、しっかりとたくさんの方たちの印象に残れるように過ごしていきたいです」と意気込みを語った。その後、レッドカーペットには、亀梨さんは光沢のある鮮やかな黒いスーツで三池監督とともに登場。拍手と歓声を受けながら、「日本は12月1日に公開なので、ひと足先にワールドプレミアという形で、初めて関係者以外の方たち、それも世界の方のリアクションを感じられるというのは本当に貴重ですね。ドキドキしますし、ちょっとそわそわもします」とコメント。三池監督も「映画ファンが集まる映画祭だからハードルは高いんですけど、でもエンターテイメントですから。みんな『これはどういうもんだ』っていう点数つけに来てるわけじゃないので。どうやってこの映画を見て楽しもうかという、そういう人たちなので、きっとそういう人たちに楽しんでもらえる映画だと思います」と、久々のシッチェスの地を噛みしめるように、映画祭の魅力を語った。その後、亀梨さんと三池監督は上映前のステージに大歓声を受けながら登壇。スペイン語で自己紹介した亀梨さんは「今回三池監督と共に、『怪物の木こり』という作品でこのシッチェス映画祭に来られたこと、本当に光栄に思っています」と満員の会場を見渡し、喜びを噛みしめた様子。三池監督も「シッチェスでは毎年のように僕の映画を上映していただいて本当に感謝しています。自分の最新作をここでワールドプレミア、世界で一番最初にシッチェスの観客の皆さんに観てもらえることを本当に幸せに感じています」と感謝を込めて挨拶した。上映が始まると、血しぶきが飛ぶシーンでは歓声があがるなど、世界最大のファンタスティック映画祭にふさわしい盛り上がり。終了後は拍手喝采となった。観客と一緒に本編を鑑賞していた亀梨さんと三池監督は、上映終了後、「すごく緊張しましたね。上映中に一つ一つリアクションがあり、この作品は物語の展開をしっかり集中して観ていただくことによって、さらに楽しめる作品だと思うので、みなさん本当に集中して観てくださっていたのかなと思います」と興奮冷めやらぬなかコメント。さらに上映中の観客のリアクションに対して亀梨さんは「最後の方は本当にネタバレなので言えないですけれど、一番最後、この物語がずっと積んできたもののクライマックスのようなところは、ぶわっと沸いてくれていたので。あそこは鳥肌が立ちました」と感無量。三池監督も「シッチェスのお客さんってお祭りみたいに、ストーリーとかそんなことよりも楽しめるところでワイワイやるっていう感じなんだけれど、今回は真剣に見ていて。こんなにスペインの人も真剣に映画を見てくれるんだっていう感じがあって(笑)。最後に起こった拍手も、楽しんだというより、いい物語を観た、いい映画を観たっていう、あったかい拍手で。普段とは違うリアクションだったんですよね」と確かな手応えを感じていた。ワールドプレミア後には、本作を鑑賞した批評家や観客から「三池崇史は『怪物の木こり』で私たちに新しいスリラーを見せてくれる」「最高のスリラー!テンポもよくあらゆるタイプの観客に強くお勧めします!」「機敏な脚本のひねりでサイコパスを探求しており、全編を通じて私たちを魅了します」といった絶賛の声が早くもXに溢れている。なお、本作は10月下旬、東京国際映画祭「ガラ・セレクション部門(Gala Selection)」での特別招待上映にてジャパンプレミアが開催される。『怪物の木こり』は12月1日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:怪物の木こり 2023年12月1日より公開©2023「怪物の木こり」製作委員会
2023年10月16日映画『BAD LANDS バッド・ランズ』(公開中)のティーチイン付き舞台挨拶が15日に都内で行われ、安藤サクラ、吉原光夫、原田眞人監督が登場した。同作は黒川博行氏による小説『勁草』の実写化作。特殊詐欺に加担するネリ(安藤)と弟・ジョー(山田涼介)はある夜、思いがけず“億を超える大金”を手にしてしまう。金を引き出すだけだったはずの2人に様々な巨悪が迫る。※この記事は内容のネタバレを含みます。○映画『BAD LANDS バッド・ランズ』本編ラストの意味は?安藤は「山田くんがいないから空席があるかも?とドキドキしていました。でもこうしてぎっしりといてくれて嬉しい! たくさん話せると嬉しいです」と挨拶。原田監督も「涼介のいない分も頑張ります」と意気込み、会場からは笑いが起こる。「最後のシーン(ネリが林田にお金を振り込むシーン)で、暗号資産でお金騙し取られてないですよね?」と本編に踏み込んだ内容の質問に、安藤は「林田さん(サリngROCK)はキッチリ? 一切騙さず?」と原田監督に視線を送ると、原田監督は「僕の中ではネリはちゃんと海外に飛んでます。そして海外でお金をおろして、大金持ちになってます。今日は会場に編集を担当した遊人(プロデューサー)も来ていますけど、2人で『ネリが林田にお金をあげてるけど、そこからネリが500万をお小遣い用にお金持っていくシーンを本編にも入れておいた方が良かったよな』って話したんです」といった話も飛び出した。安藤は「そういったシーンがあったんですか?」とすかさず聞き返し、原田監督が「DVDの特典映像で付けます」とコメントし会場からは大きな拍手が沸き起こった。そして、本編ラストのネリが西成から天王寺に坂を駆け上がっていくシーンについて「西成から天王寺は坂ひとつで街がガラッと変わると思うんですけど、あのシーンはネリがしがらみから解放されるという意図があったのでしょうか? 安藤さんはどういう気持ちであのシーンに臨まれたのでしょうか?」という質問。原田監督は「映画はネリが西成にいてそこから脱出する話なので、西成からあべのハルカスに向かうっていうのが象徴的で分かりやすかったんです。最終的には彼女(安藤)のアップで終わるようにして、そしてあのままどこかに飛び立っていったんだろうなっていう終わり方にしてますね」と演出意図を答えると、吉原が「あのシーン結構泣けたんですよね。こけそうになったのはわざと?」と安藤に聞く。安藤は「ラストシーンは“走る”ということに重きを置きました。走る時ってこけないように少し制御して走るんですけど、その制御を外した走りをする。理屈で目的地に向かって走るというより、とにかく走るということに重きを置いた。でもその前に実はジョーから手紙をもらったシーンでもっとジョーに対する気持ちを表現してネリの涙が流れるシーンがあったんですよ。言ってもいいんでんすか?」と監督にお伺いをたてると、原田監督も頷き「それもDVDの特典映像に」と笑いながら回答した。
2023年10月15日映画『熱のあとに』(2024年2月公開)が第28回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門にてワールドプレミア上映され、橋本愛、山本英監督が上映後のQ&Aに登場した。同作は、愛した恋人を刺し殺そうとした過去を持つ沙苗(橋本愛)が、自分の愛し方を全うしようとするさまを鮮烈に描いた愛の物語。主人公・沙苗のキャラクターは、2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件にインスパイアを受けている。○第28回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門のワールドプレミアに登場した橋本愛来年2月の公開に先駆けて、釜山国際映画祭のコンペティション部門であるニューカレンツ部門でワールドプレミアを迎えた同作。釜山での3回の上映はすべてソールドアウトとなり、初回の8日の上映後には、山本英監督のサインを求める長蛇の列ができる人気ぶりとなった。主演の橋本と山本監督は、釜山での最後の上映となった11日のスクリーニング後に登壇。観客からの大きな拍手で迎えられ、橋本の韓国語による挨拶で始まったQ&Aは、若い観客から次々に手が挙がり、熱心な質問が飛び交った。『熱のあとに』というタイトルの意味を聞かれた山本監督は、「このタイトルは、企画の最初から映画の完成まで変わらなかった。自分が愛した男性への熱がこもったままで、治りきっていない感じが沙苗の状態に似ていると思い、このタイトルにした」と説明。橋本をキャスティングした理由を尋ねられると「脚本のイ・ナウォンさんとこの企画を立ち上げたときから橋本さんにお願いしていました。そういった意味では、僕とイ・ナウォンさんと橋本さんの3人が、一番長くこの作品に関わってくれています。橋本さんがこれまで出演された作品は拝見していて、素晴らしい俳優さんだということはもちろん思っていたのですが、橋本さん自身がSNSなどで発信しているのを見ていると、彼女は自分が信じているものを守っている人だと感じているので、沙苗役にふさわしいと思った」と答えた。役作りについて質問された橋本は「最初は、沙苗というキャラクターと自分自身の間に距離があった。沙苗自身が考える愛のかたちを、自分の中に少しずつ入れ込んでいくという作業をしていった。沙苗を演じることは、まるで夢のなかにいるような感覚だった」と回答。制限時間一杯まで観客の質問に丁寧に答えた2人は「釜山国際映画祭での『熱のあとに』の上映は今日で終わりですが、近いうちに是非、また韓国の方々に『熱のあとに』を観ていただける機会が持てればと思います」(山本監督)、「皆さんが本当に隅々まで映画を観てくれて、自分自身が撮影中には監督に尋ねることができなかったことをたくさん質問してくださって、あらためてこの作品を更に深く知ることができました」(橋本)と挨拶し、最後には観客と一緒に写真撮影をして、Q&Aを終えた。
2023年10月13日映画監督でありプロスキーヤーでもある、エリック・ポラード氏が、北海道・ニセコの伝説的なパウダースノー、活気ある文化、そして多様なスキーヤーやスノーボーダーのスピリットを祝うショートフィルムを制作しました。ショートフィルム動画URL: ニセコエリアでスキーを楽しむエリック・ポラード氏心を踊らすようなショートフィルム「A Place Called Niseko」は、世界中から集まったスキーヤーやスノーボーダーたちを結びつけ、ニセコの息をのむような風景の中で、冬のスポーツに対する情熱を描いています。エリック・ポラード氏は約20年にわたり、ニセコを訪れており、彼の作品は業界で高い評価を受けています。最近では2019年にPowder MagazineのSki Film of the Yearを受賞しました。スリル満点な冬のスポーツアクションだけでなく、ニセコの活気ある文化の中心を垣間見ることができます。ニセコを特別な場所にする伝統と習慣が捉えられており、視聴者を魅了します。地元の神社の静かな美しさから伝統的な茶道の芸術まで、日本文化の本質を捉えています。また、世界各地から集まった多様なアスリートたちの技術と芸術性も捉えています。カメラマン ジェフ・ライト氏の撮影風景Freeride World Tourの金メダリストである地元のプロスノーボーダー、浜和加奈氏を筆頭に、ドイツのレナ・シュトッフェル氏、オーストリアのリサ・フィルツモーザー氏といった世界的な有名選手たちがスポットライトを浴びています。アスリートたちはニセコの手つかずの自然の美しさに浸りながら、いとも軽々とゲレンデを滑走します。日本人プロスノーボーダー 浜和加奈氏「A Place Called Niseko」は、ウィンタースポーツとアドベンチャーの世界的な拠点としてのニセコの普遍的な魅力が表れています。■エリック・ポラード氏についてオレゴン州出身のプロスキーヤー、アーティスト、映画制作者であるエリック・ポラード氏は、フリースタイルスキーで、偉大な功績を残しています。また、20年以上のキャリアを持つエリック・ポラード氏が発案したスキーデザインは、ウィンタースポーツ業界に革命をもたらしました。彼は「Nimbus Independent」を共同設立し、高品質なスキーフィルムの制作に専念する有名な撮影クルーとしても活躍し、業界全体から絶え間ない賞賛を受けています。2019年の作品「Drawn From Here」は、Powder MagazineのSki Film of the Yearを受賞しました。■ニセコとのつながりエリック・ポラード氏のニセコへの思い入れは、20年前にさかのぼります。彼はニセコに足繁く通い、手つかずのバックカントリー地形を探検し、ニセコの目覚ましい成長を目の当たりにしてきました。ニセコの独特な個性とワールドクラスのスキー体験を高く評価するエリック・ポラード氏は、ニセコのアンバサダーとして最適な人物です。“ニセコは私に大きな影響を与え、多くのインスピレーションを得てきた。私は何年もニセコを訪れ、その経験を映像化し、それが私のアートだけでなく、製品デザインにも活かされている。ニセコに戻るたびに、新しい発見があり、また再訪する価値がある。” - エリック・ポラード氏 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年10月12日東京国際映画祭にて、永年の国内外を含めた映画界への貢献が目覚ましい映画人に贈られる“特別功労賞”が、この度、中国映画界を代表する監督であるチャン・イーモウ氏に授与されることが分かった。チャン・イーモウ氏は、73歳を迎えたいまもなお、多彩なヒット作を世に送り出し、各地の国際映画祭で数々の賞を受賞している。最新作『満江紅(マンジャンホン)』は、中国の旧正月に公開され歴史的大ヒットを記録(現時点で2023年公開の中国映画で第1位)、今年の東京国際映画祭のガラ・セレクション部門作品に選ばれている。会期中には来日を予定しており、国際交流基金と共催の「交流ラウンジ」でトークセッションも開催される予定だ。特別功労賞の授賞式は、10月23日(月)のオープニングセレモニーにて行われる。■チャン・イーモウ監督コメント今回「特別功労賞」をいただき、とても光栄です。「映画」は世界各国の人々を結びつける懸け橋となり、民族や文化を超える交流と相互理解を促進することができます。私には忘れられないことがあります。それは1990年に黒澤明監督がアカデミー名誉賞を受賞した時のことです。当時私はまだ駆け出しの映画監督として客席にいました。黒澤監督はそのスピーチの中で、「映画というものをまだしっかり掴んでいない」と話されました。この言葉は今でも記憶に刻まれています。この賞を贈ってくださった東京国際映画祭に感謝いたします。また、皆さんからの励ましや応援に感謝申し上げます。これをひとつの起点と考え、今後も映画の本質を理解して、素晴らしい映画を撮る努力を続けてまいります。第36回東京国際映画祭は10月23日(月)~11月1日(水)、日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアにて開催。(シネマカフェ編集部)
2023年10月10日映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』のプレミアイベントが9日に都内で行われ、岡田将生、松坂桃李、宮藤官九郎、水田伸生監督が登場した。同作は日本テレビ系列で2016年4月期に放送された連続ドラマの映画化作。「ゆとり世代」と社会に括られたアラサー男子3人の物語が、夫婦仲はイマイチ、家業の酒屋も契約打ち切り寸前の正和(岡田)、いまだに女性経験ゼロの小学校教師・山路(松坂)、事業に失敗し、中国から帰ってきたフリーター・まりぶ(柳楽優弥)の前に「Z世代」「働き方改革」「テレワーク」「多様性」「グローバル化」といった新時代の波が押し寄せる。○■岡田将生&松坂桃李、海外進出に意欲見せる「そりゃ、飛びつきますよ」今回のイベントは、同作のタイトル「インターナショナル」にちなみ、39の国と地域出身の外国人約100人の前に岡田、松坂らが登壇。会場に漂うインターナショナルな雰囲気に笑顔を見せた岡田は、「こういうイベントがなかなかないので、どういう感じなのかなと思って緊張していたんですけど、皆さんも迎え入れてくれた笑顔がとても嬉しくて、楽しい時間を過ごせたらなと思ってます」と挨拶する。MCから「英語でなにか一言話しますか?」と無茶振りをされると、「あ~大丈夫です~。今日は! 今日は(大丈夫です)……」と手振りを交えてリアクションし、笑いを誘った。改めて、会場の様子について岡田は「海外の映画祭に来ているような感覚。違う違うここ秋葉原だよね? と自分に言い聞かせています」とコメント。続けて、同作について話そうとするもマイクの調子が悪く、松坂がすかさず自身のマイクを手渡しフォローする場面も見られた。また、集まった外国人の観客からの質問に答えるコーナーでは、韓国から来た留学生の男性から「海外からのオファーが来たらどうしますか?」という質問が寄せられる。これに岡田は「そりゃ、飛びつきますよ」と即答し、松坂も「無論、やりたいですね!」と前のめりな姿勢を見せた。さらにMCから「英語が必要になってきます」と言われると、「今日だけ話してないだけなんで!」(岡田)、「普段裏では僕ら英語でやり取りしているんで。今日だけです」(松坂)と息の合ったやり取りを披露し、会場を盛り上げた。
2023年10月09日映画『月』の主演・宮沢りえと石井裕也監督が10月4日、第28回釜山国際映画祭のオープニングイベントに参加。アジア最大規模の会場は5,000人のキャパシティを埋め尽くし、大盛況のオープニングとなった。コロナ明けからは2回目の開催となる今年の釜山国際映画祭は、日本からのゲストも多く来韓しており、宮沢さん、杉咲花、田中麗奈ほか華やかな出で立ちの俳優たちが参加。映画祭のナビゲーターとして韓国のスター、『パラサイト 半地下の家族』『ベイビー・ブローカー』のソン・ガンホが登壇し、レッドカーペット上では石井監督、宮沢さんらと握手も。そのほか、ファン・ビンビンやチョウ・ユンファら中国のスターたちも参加し、映画祭がスタート。初めて釜山国際映画祭に参加した宮沢さんは、レッドカーペットを歩く前に「まだホテルの周りしか見れておりませんが、空港からホテルに着くまで文化的な伝統ある風景と、近代的なビルが混在していてとてもエネルギッシュな街だと思いました。あと、参鶏湯が美味しかったです(笑)」と初の映画祭への期待を覗かせた。さらに、釜山映画祭は10年ぶりという石井監督は「釜山に来るときはいつも気分が高揚するので、今回も楽しみにしています」とコメントした。石井裕也監督「どうしても自分がやらなければならない映画」また、主人公を演じる上で宮沢さんは、「(自身が演じた)洋子が持っている様々な葛藤から逃げ出さずに、向き合い続けるということにとてもエネルギーが必要でしたし、時々逃げ出したくなることもありましたが、精神力を保つことが一番大変でした。でも監督のエネルギー、スタッフの誠実さ、そして頼もしいキャストの皆さんに支えられて逃げ出さずに来れたと思います」と作品に対する険しい道のりを語った。さらに、石井監督はこの題材を映画化することについて「チャレンジングな題材だということはわかっていたので、怖いという思いが先行しましたが、同時にこれはどうしても自分がやらなければならない映画だということは確信しました」と覚悟を持って作品に挑んだことを明かした。出演した俳優に関しても監督は、「名実ともにトップの俳優の方々が覚悟を持って集まってくださいましたし、その上この映画をやり遂げるという強い思いと覚悟を持って挑んでくださった」と明かし、「現場では幸せな思いをずっと持っていました」とふり返った。同作が出品されているジソク部門(Jiseok部門)は、2017年から設定されていた本映画祭プログラミング・ディレクターの故キム・ジソク氏にちなんだ賞を独立させ昨年新設された部門で、新人をのぞけば唯一のコンペティション部門となる。本年は10本の作品の中から最大2作品にキム・ジソク賞が送られる。これまで『羊の木』(吉田大八監督)、『義足のボクサー』(ブリランテ・メンドーサ監督)がキム・ジソク賞を受賞。授賞式は10月13日を予定している。映画『月』は10月13日(金)より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開。第28回釜山国際映画祭は10月13日まで開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:月 2023年10月13日より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開(C)2023『月』製作委員会
2023年10月05日映画監督ハル・ハートリーの新作映画『ホウェア・トゥ・ランド(原題)』のクラウドファンディングが、日本時間10月5日(木) 午前1時よりスタートした。『ホウェア・トゥ・ランド』は、ハートリー本人を思わせる映画監督を主人公としたコメディで、常に現在進行形でキャリアを積み上げてきたハートリーの自伝的要素が含まれた集大成的作品。インディペンデント魂を貫くハートリーは、近年はクラウドファンディングを通してファンと直接繋がることで、過去作の復刻プロジェクトなどを実現させてきた。今回の新作『ホウェア・トゥ・ランド』も2019年にクラウドファンディングが行われ、世界中から1,555人の支援者が参加。目標額(300,000USドル)の124%もの資金を集めることに成功したが、コロナ禍の影響により製作は中止となっていた。そこから3年が経過し、ついにハートリーが『ホウェア・トゥ・ランド』プロジェクトを復活。クラウドファンディングの目標額は前回と同じ300,000ドルで、募集期間は1カ月。目標額に達しなければ全額返金となるオール・オア・ナッシング方式で、達成から1年後の完成を目指すとしている。また、新文芸坐では10月28日(土) にハートリーの代表作3本と日本未公開作を上映する『ロングアイランド・トリロジー+「月曜日から来た女」』オールナイトを開催。また10月に大阪にオープンした扇町キネマのオープニング特別企画『ミニシアター・リターンズ:Masterpiece』の1本として、1990年に公開された『トラスト・ミー』が上映される。ハル・ハートリー新作映画『ホウェア・トゥ・ランド』復活クラウドファンディング募集期間:11月4日(土) 午前1時まで ※日本時間目標額:300,000USドル(約4,500万円)※支援者へのリワードとして、クラファンの成功から一年後に『ホウェア・トゥ・ランド』の豪華ブルーレイBOX(日本語字幕付き)、音楽CD、ハートリー初の詩集などをお届け。募集URL:
2023年10月05日濱口竜介監督の『悪は存在しない』が、アジア・パシフィック映画賞に最多ノミネーションを果たした。作品、監督、脚本、撮影の4部門。作品部門には、やはり日本映画であるヴィム・ベンダース監督の『PERFECT DAYS』も候補入りしている。この部門のほかの候補作は、ジョージア、フランス、ブルガリア合作の『Citizen Saint』、カザフスタンの『Qas』、中国の『Snow Leopard』。また、若者映画部門には是枝裕和監督の『怪物』、アニメーション映画部門には『すずめの戸締まり』と『THE FIRST SLAM DUNK』、演技部門には『PERFECT DAYS』の役所広司、『Last Shadow at First Light』の白田迪巴耶が候補入りした。授賞式は11月3日。『悪は存在しない』2024年公開予定(C)2023 NEOPA / Fictive文=猿渡由紀
2023年10月04日映画『VORTEX ヴォルテックス』が、2023年12月8日(金)に公開される。監督はギャスパー・ノエ。ギャスパー・ノエ監督映画『VORTEX ヴォルテックス』映画『VORTEX ヴォルテックス』は、『カノン』『アレックス』『エンター・ザ・ボイド』『CLIMAX クライマックス』など、実験的な試みと過激描写で問題作を生み出してきた監督ギャスパー・ノエが手掛ける群像劇。嫌悪、蔑み…と人間たちの難しい感情を描き続けてきた鬼才だが、本作『VORTEX ヴォルテックス』では、“人はどう死んでいくのか?”という誰もが目を背けたくなるような現実を真正面から見つめ、冷徹なまでに描いている。映画『VORTEX ヴォルテックス』では、認知症を患う妻と心臓病を抱える夫の人生最期の日々を、スプリットスクリーンの画面分割により、夫婦それぞれの視点から同時進行で映し出していく。次第に日常が崩れ去り、迫りくる“逃れられない運命”により、静かに、しかし確実にゆっくりと破滅へと向かう人々の人間模様が描かれる。心が通わない家族、不測の出来事、やがて訪れる死など、暴力なき恐怖の渦に吸い込まれ、老夫婦が“死ぬまで”を追体験できる映画となっている。主演はダリオ・アルジェント&フランソワーズ・ルブラン主演を務めるのは、1977年の『サスペリア』をはじめ『サスペリアPART2』『ダークグラス』などを手がけ、ホラー映画の帝王とも称された80歳にして初主演を飾るダリオ・アルジェントと、『ママと娼婦』の娼婦役で鮮烈な映画デビューを飾ったフランソワーズ・ルブラン。死よりも恐ろしい“現実”をまざまざと感じさせる、不穏な空気感を生み出す演技に注目だ。夫...ダリオ・アルジェント作家であり心臓病を患っている。日に日に重くなる妻の認知症に悩まされ、やがて、日常生活に支障をきたすようになる。妻...フランソワーズ・ルブラン元精神科医。徐々に認知症が進行していく。息子...アレックス・ルッツふたりの息子。両親を心配しつつも、家を訪れ金を無心する。映画『VORTEX ヴォルテックス』あらすじ作家である夫と元精神科医で認知症を患う妻。離れて暮らす息子は2人を心配しながらも、家を訪れ金を無心する。心臓に持病を抱える夫は、日に日に重くなる妻の認知症に悩まされ、やがては日常生活に支障をきたすように。そして、ふたりに人生最期の時が近づいていた…。【作品詳細】映画『VORTEX ヴォルテックス』公開日:2023年12月8日(金)監督・脚本:ギャスパー・ノエ出演:ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ原題:VORTEX字幕翻訳:横井和子配給:シンカ提供:キングレコード、シンカ
2023年09月28日映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。【水先案内人 高松啓二のおススメ】初めて監督の名前を覚えたのがヒッチコックだ。子供の頃のTVで『ヒッチコック劇場』が放映されていたからだ。シャルル・グノーの『操り人形の葬送曲』の音楽と共に特徴的な横顔イラストから本人が登場、絶対忘れないインパクトがあった。その後、自作にちょいちょい登場するサスペンスの巨匠と知り、映画も観るようになった。今年で監督デビュー100年。本作はヒッチコックが自作を語るドキュメンタリーである。無論、亡くなっているので語りはアリステア・マクゴーワンの声である。ただし、言っていることは文献やインタビューを元にしている。オープニングから、ドアを開ける意味、カメラや役者を回すのが好き、『フレンジー』では殺人を見せないでカメラが離れて通りまで引いていく。スローテンポで独特なユーモラス語り口のヒッチコック節が楽しい。デジタルの無い時代、あらゆる工夫をして映像効果を高める天才だったと改めて認識させられた。ちなみに書籍の『定本 映画術』(ヒッチコック、トリュフォー)とは別物。<作品情報>『ヒッチコックの映画術』9月29日(金) 公開監督:マーク・カズンズ声優:アリステア・マクゴーワン公式サイト:
2023年09月28日第36回東京国際映画祭ラインアップ発表の記者会見が、9月27日(水)に行われ、フェスティバル・ナビゲーターの安藤桃子監督と、コンペディション部門に選出された『曖昧な楽園』の小辻陽平監督、『わたくしどもは。』の富名哲也監督が登壇した。開催まで1か月を切ったなか、東京日比谷ミッドタウンBASE Q HALLにて行われた第36回東京国際映画祭のラインアップ発表記者会見。今年の映画祭は、10月23日(月)から11月1日(水)の10日間、昨年に引き続き日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。また、昨年同様にオープニングのレッドカーペットを日比谷仲通りにて開催が予定されている。また、4年ぶりのフィジカル開催となる映画祭併設のマーケット・TIFFCOMは、10月25日(水)~27日(金)の3日間の同時期開催。今年は総勢約600人以上の海外ゲストが招へい予定であり、コロナ禍では積極的に実施が行えなかった「交流ラウンジ」などの映画人の交流の場を充実させ、世界中の映画人とファンとの交流が活性化していく年となる。東京国際映画祭チェアマン安藤裕康による開催の挨拶で会見は始まり、本年度の映画祭の特色として「コロナ禍を乗り越えて、さらなる飛躍をしたいと目指しております。作品の質・量ともにグレードアップしていく必要があると考えており、作品数は219本(昨年は174本)と約25%増えております。国際交流を大いに強化したいと考えて、海外からもたくさんのゲスト(現時点で600人以上)に来ていただき、日本の映画人や一般の方と交流していただくということを目指したいと思っております」とコメント。「関連イベントでは小津安二郎監督の誕生120周年ということで様々なイベントを実施し、小津監督作品をほぼ全作に近い35本上映いたします」と言い、「また今後の方向性として、アジアの国々との連携を強化してアジアの映画祭としての特色をより鮮明に出していきたいと思っております。今回上映する作品の6割以上がアジアの作品であり、お呼びするゲストの半分以上の方々がアジアからいらっしゃいます」と発表した。続けて、本年の審査委員長であるヴィム・ヴェンダース監督からのコメントも到着。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』など多くの映画祭受賞作を手掛け、最新作の『PERFECT DAYS』ではカンヌ国際映画祭にて主演の役所広司が最優秀男優賞を受賞、東京国際映画祭は第24回(2011年)以来4回目の参加となる。ヴェンダース監督は「東京国際映画祭にまた戻ってこられることを嬉しく思います」と語り、「今年の東京国際映画祭は私が敬愛する巨匠・小津安二郎監督の死後60年、生誕120年の記念すべき年に開催されるもので、そんな機会に参加できることは私にとっては特別なことです」と寄せている。また、昨年まで俳優・女優が歴任してきた「アンバサダー」を、映画祭をより楽しんでもらうための案内人である「ナビゲーター」という肩書きに名を変え、同ナビゲーターに就任した安藤桃子監督が登場。フェスティバル・ナビゲーター安藤桃子監督安藤監督は「今年から『アンバサダー』から『ナビゲーター』という肩書きに変わったのが、すごく大きな東京国際映画祭の指針にも感じられました。これから先、私たちがどこに向かっていきたいかという道を示していくことが、“ナビゲーション“だと思っていますので、東京国際映画祭もそういったことを意識されたんじゃないかなと感じて、ぶっ飛ぶほどに光栄に感じました」と任命された思いをコメント。今回の映画祭では「本当に数年ぶりに各国から、世界中からいらっしゃるゲストと出会って、”今”の世の中のこと、これから先私たちがどんな道に向かいたいかを、是非とも直接肌で語り合いたいなと思っております」と希望を語った。プログラミング・ディレクターの市山尚三からは、「コンペティション部門」15作品の紹介に続き、「コンペティション部門」に選ばれた日本映画3作品、岸善幸監督の『正欲』、小辻監督の『曖昧な楽園』、富名監督の『わたくしどもは。』が発表に。『曖昧な楽園』『曖昧な楽園』の小辻監督は「この作品のきっかけになったのは、私の祖父が亡くなった時の最後の時間をもとにして映画を作りました。曖昧で漠然とした瞬間を写したいと考え、実際の人生に近いような複雑であったり、漠然とした感覚に近い映画になれたならと思って作りました」とコメント。『曖昧な楽園』の小辻陽平監督富名監督は「今回の『わたくしどもは。』という作品は新潟県の佐渡島で撮ったのですが、1作目『Blue Wind Blows』(18)も佐渡島で撮っており、メイン舞台の佐渡金山という場所を初めて訪れた時、その場所から得たインスピレーションを受けたものを映画にしました」と語った。『わたくしどもは。』富名哲也監督さらに、今年の新たな取り組みが発表され、国内外の独自で豊かな映画文化を紹介し、刺激や感動と出会い、交流する場である「第1回丸の内映画祭」と、ジェンダー平等、環境、貧困、多様性、差別といった現代の重要な社会テーマに向き合った作品が対象の「エシカル・フィルム賞」、また昨年復活した「黒澤明賞」や「Amazon Prime Videoテイクワン賞」「交流ラウンジ」など、その他の部門の紹介、カンヌ国際映画祭でも実施されている映画界やアート界の様々なポジションで活躍する女性たちに光を当てるケリング「ウーマン・イン・モーション」のトークプログラム、ヴェネチア国際映画祭生涯功労賞受賞の俳優トニー・レオンによる主演作『2046』上映後のマスタークラスなど、例年以上の盛り上がりが予測される様々なイベントも紹介された。『わたくしどもは。』なお、映画業界での性暴力・性加害の問題提起を受け「東京国際映画祭としてのハラスメントに対する対応や声明など」について問われると、安藤チェアマンは「性加害の問題や人権の問題などについては、非常にセンシティブに真剣に向き合っていき、人権を侵すようなことは断固として許されるべきではないと考えております」と語り、「私たちとしても非常に、真剣に注視していきたいと思っております」とコメント。また、ジェンダーバランスについては、「今年の傾向について、全部門での女性監督、男性監督の割合というのは男性77%、女性21%(その他2%)と男性の方が多くはなっておりますが、常にジェンダーバランスを意識しながら映画祭としては作品本意で選定を行なっておりますので、割合のバランスを注意を払っていきたいと考えております」と回答。ちなみに、女性監督の作品は全体219本の中の35本(約20.6%)となり(※同じ監督による作品は作品の本数に関わらず1人としてカウント。ex.小津安二郎監督作品は35本あるが1人としてカウント)、昨年度の女性監督作品は男女共同監督作品を含めて174本中45本(全体の約23.2%)となる。「映画祭に携わるスタッフについては、意識的にできることが多いので女性の割合を多くする配慮を行っております(今年度の割合は男性37%、女性62%)。また、コンペティション部門審査委員についてはジェンダーバランスが5:5になるように、そのほか各部門に関しても女性に入っていただくように配慮をしております。我々はこういった取り組みを通じて、ジェンダーバランスについてを常に注意を払っていきたいと思っております」とチェアマンは語った。【コンペティション部門出品作品一覧】※プレミア表記は下記の通りWP=ワールド・プレミアAP=アジアン・プレミアIP=インターナショナル・プレミア『正欲』『西湖畔に生きる』WP グー・シャオガン 中国『正欲』WP 岸善幸 日本『曖昧な楽園』WP 小辻陽平 日本『エア』WP アレクセイ・ゲルマン・ジュニア ロシア『ゴンドラ』WP ファイト・ヘルマー ドイツ/ジョージア『真昼の女』IP バルバラ・アルベルト ドイツ/スイス/ルクセンブルク『野獣のゴスペル』WP シェロン・ダヨック フィリピン『ロングショット』WP ガオ・ポン 中国『開拓者たち』AP フェリペ・ガルベス チリ/アルゼンチン/オランダ『ペルシアン・バージョン』AP マリアム・ケシャヴァルズ アメリカ『雪豹』AP ペマ・ツェテン 中国『ロクサナ』WP パルヴィズ・シャーバズィ イラン『タタミ』AP ザーラ・アミール・エブラヒミ、 ガイ・ナッティヴ ジョージア/アメリカ『鳥たちへの説教』WP ヒラル・バイダロフ アゼルバイジャン『わたくしどもは。』WP 富名哲也 日本【オープニング・クロージング作品】オープニング作品『PERFECT DAYS』AP ヴィム・ヴェンダース 日本クロージング作品『ゴジラ-1.0』山崎貴 日本第36回東京国際映画祭は10月23日(月)~11月1日(水)、日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアにて開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:正欲 2023年11月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社ⓒ 2023「正欲」製作委員会PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年09月28日映画『イコライザー THE FINAL』が10月6日(金) より公開される。このたび監督を務めたアントワーン・フークアのコメントが到着した。本作は、デンゼル・ワシントン演じる元CIAトップエージェントのロバート・マッコールが、世の悪を完全抹消する闇の仕事請負人(通称:イコライザー)として暗躍する姿を描いた人気シリーズの最終章。多くの観客を魅了し続けている大きな理由として挙げられるのが、本シリーズの主人公で、見返りを求めず、正義のために一人で悪と闘うマッコールという存在だ。この魅力的なキャラクターを生み出したフークア監督は、日本映画界が世界に誇る巨匠・黒澤明監督へのリスペクトを度々口にしており、黒澤に憧れてエンジニアから映画監督への道へ進んだほどの“クロサワ・フリーク”。彼は誰もが観るべき黒澤作品のひとつとして『七人の侍』を挙げ、「武士は一杯のご飯のために他人を助けるのですが、それは正義だから。彼らの行動にそれ以外の理由はありません」とコメント。目の前で困っている人がいたら放っておけず、どんなに強い相手であっても果敢に立ち向かい、一人で悪を成敗するというマッコールの人物像にもその影響は色濃く表れており、『イコライザー』シリーズと黒澤作品との共通点については、“正義が両作品において重要なテーマ”であることが伺える。そして、謎めいた一匹狼マッコールを演じているデンゼルにも数々の共通点があるようで、フークア監督曰く、マッコールの人柄には「勤勉」「謙虚」「人格者」と、かなりデンゼルの人柄が投影されているという。フークア監督は「ある日、フラフラと車道を歩き車に轢かれる可能性があるホームレスを見たデンゼルは、自分の車を停めて車から降り、そのホームレスの男性を歩道へ連れていったんです。またある時は、非常に荒れた地域に住み、すさんだ生活を送っていたある粗暴な子どもに話しかけ、その子の母親に会い、きちんと生活を送れるようにお金を渡す。そういうことをメディアのいないところで、ごく自然にたくさん行っているんだ」と話し、デンゼルの素の姿こそがそのままマッコールなのではと思えるようなエピソードを明かした。<作品情報>『イコライザー THE FINAL』10月6日(金) 公開公式サイト:
2023年09月28日10月27日(金) より全国公開される映画『ドミノ』より、ロバート・ロドリゲス監督のコメントが到着した。本作は、主演にベン・アフレックを迎えて製作されたロドリゲス監督の最新作。構想に20年の歳月をかけたという本作は、公開されるやいなや挑戦的なストーリーと革新的な映像で話題をさらった。ロドリゲス監督は、2002年に4Kリマスター版で再公開された「ヒッチコックの『めまい』を見たことで脚本を書き始めた」と振り返る。「名監督である彼の大ファンだ。ひねりの利いたスリラー作品を自分でも作りたくなった。映画製作を初めて意識した瞬間だ」と最新作の製作を始めた。ヒッチコックを敬愛するロドリゲス監督は、巨匠が生み出した傑作にはワンワードのタイトルが多いことから、タイトルを『HYPNOTIC』に決めたという。「『めまい』『白い恐怖』『サイコ』……ヒッチコックがつけそうなタイトルはどんなものか。その時“催眠術”(ヒプノティック)が思い浮かんだ。すぐに物語の軸も思いついた」と、脚本を書き進めていった。ロバート・ロドリゲス監督「物語の軸は目の前にいるのに存在を感じさせない悪役だ。欲しいものを何でも奪って立ち去っていく。究極の力を持つ者だ。脚本を練り上げ多くの仕掛けを仕込んだ。観客には何が現実か分からないのが面白い。さらに面白いのは『間違えられた男』のような物語ということだ」と、存在そのものが謎めいているキャラクターたちを生み出した。ベン・アフレックが演じる刑事ロークは、行方不明の娘を探している。その前に謎の男が現れる。追いつめても目の前から姿を消す“絶対に捕まらない男”(ウィリアム・フィクナー)だ。現実と見紛う〈世界〉で、「追われ、追いつめられる、謎だらけの世界を観客に見せられる」と謎が謎を呼ぶドミノのような展開は、ヒッチコックの傑作からインスパイアされていると明かす。ベン・アフレックの起用にも巨匠の映画術が宿る。「ヒッチコック映画の要は配役だ。ケイリー・グラントやジェームズ・スチュワート、グレイス・ケリーにイングリッド・バーグマン……、だからスーパースターを配役したかった。ベン・アフレックはヒッチコック的な神秘性を与えてくれた。娘を捜す父親であり容赦ない刑事でもある。彼のスター性と存在感によって、ヒッチコック映画を撮っている気分になった」とし、誰もが知る存在感のあるスター俳優の起用は不可欠だったと語っている。<作品情報>『ドミノ』10月27日(金) 全国ロードショー『ドミノ』ポスタービジュアル公式サイト: Hypnotic Film Holdings LLC. All Rights Reserved.
2023年09月26日映画『若き見知らぬ者たち』が、2024年10月11日(金)に公開される。主演は磯村勇斗、監督は内山拓也。監督・内山拓也の商業長編デビュー作映画『若き見知らぬ者たち』は、2020年公開の『佐々木、イン、マイマイン』で注目を集め、新人賞を総なめにした内山拓也が監督を務める商業長編デビュー作品。脚本も内山拓也自ら書き上げたオリジナル作品だ。企画段階から海外からも注目を集めており、『若き見知らぬ者たち』はフランス、韓国、香港、日本の共同製作映画となっている。家族の問題、自分の人生の間でもがく青年の物語物語の主人公は、介護や借金返済といった家族の問題と自身の人生とのはざまでもがき苦しみながらもささやかな幸せをつかもうとする彩人。弟・壮平も同居しささやかな日常を送るが、思いもよらない暴力が彼らの日常を奪ってしまう。主演は磯村勇斗、福山翔大と兄弟役主演を務めるのは、『正欲』『月』『東京リベンジャーズ』シリーズなど話題作への出演が続く磯村勇斗。また、主人公の弟役として、若手実力派の福山翔大が共演。岸井ゆきの、染谷将太、霧島れいか、滝藤賢一、豊原功補も出演を果たしている。主人公・風間彩人…磯村勇斗亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。恋人との小さな幸せをつかみたいと考えている。壮平…福山翔大彩人の弟。家族と同居し、彩人同様に借金返済と介護を担いながらも、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れる。日向…岸井ゆきの彩人の恋人。難病の彩人の母親を、献身的に世話している。大和…染谷将太彩人の高校時代のサッカー部仲間であり、親友。1児の父親となった。麻美…霧島れいか難病を患い、介護が必要となった彩人の母親。夫を亡くしている。松浦…滝藤賢一国家権力を盾に傲慢な態度で街を取り締まる警察官。亮介…豊原功補彩人と壮平の亡くなった父親。元キャリア組の警察官。映画『若き見知らぬ者たち』あらすじ風間彩人は、彩人の弟・壮平とともに亡くなった父の借金返済と母の介護をしながら、昼夜働いている。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人との小さな幸せを掴みたいと考えている。しかし、彩人の親友の結婚を祝う、つつましくも幸せな宴会の夜、彼らのささやかな日常は、思いもよらない暴力によって奪われてしまう。【詳細】映画『若き見知らぬ者たち』公開日:2024年10月11日(金)出演:磯村勇斗、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、伊島空、長井短、東龍之介、松田航輝、尾上寛之、カトウシンスケ、ファビオ・ハラダ、大鷹明良、滝藤賢一、豊原功補、霧島れいか脚本・監督:内山拓也原案:内山拓也
2023年09月25日第36回東京国際映画祭が、10月23日(月) から11月1日(水) に開催される。このたび、目玉企画として実施される映画監督・小津安二郎の生誕120年を記念した特集上映とイベントの詳細が発表された。2023年は小津の生誕120年、没後60年にあたる。今回の特集上映は、新たにデジタル修復した多くの作品が初公開されるほか、国立映画アーカイブでの小津安二郎監督週間(10月24日(火) ~29日(日))のフィルム上映と合わせるとほぼ全ての小津作品が網羅される大々的な内容となる。また、世界的に活躍する映画監督を招き、それぞれの視点から小津を考える国際シンポジウム「SHOULDERS OF GIANTS」を10月27日(金) に三越劇場で開催する。シンポジウムは、冒頭にヴィム・ヴェンダースによる小津へのオマージュ(讃辞)に続き、『お早よう デジタル修復版』を上映。その後、黒沢清、ジャ・ジャンクー、ケリー・ライカートといった映画監督が登壇し、小津作品をめぐるトークセッションが行われる。そのほか、この1年の日本映画を対象に特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映する「Nippon Cinema Now」部門では、デビューから100本以上の作品を手がけ、昨年だけでも『愛なのに』『女子高生に殺されたい』『ビリーバーズ』『夜、鳥たちが啼く』などの話題作が立て続けに公開された城定秀夫監督を特集。さらに、昨年までのジャパニーズ・アニメーション部門は、アニメーション部門として今年からコンセプトも新たに再スタート。まずひとつめの柱は「ビジョンの交差点」と題して海外での話題作も取り上げ、国内の最新作と合わせて9作品を上映。レトロスペクティブは「海外映画祭と監督」というテーマで、海外映画祭で賞に輝いた監督の作品を3作品上映する。各企画の詳細は東京国際映画祭の公式サイトでチェックを。<イベント情報>第36回東京国際映画祭開催期間:10月23日(月)~11月1日(水)会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区公式サイト:
2023年09月20日