HP「主婦er」を通じて、「これからの主婦の在り方」を、発信中。 吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。 申し込みはHP「主婦er」の「お金のリビング」をクリック!
もし、子どもから「学校に行きたくない」と言われたら、どうしたらいいのでしょうか? 学校に行かない選択をした子が通うフリースクール「花まるエレメンタリースクール」の校長“はやとかげ”こと、林隼人先生にお話を伺いました。
発達障害と診断され、小学校低学年の時に特別支援学級に通っていた息子を持つライター。そんな子どもが中学高校生になってどんなトラブルが起こったのか、そして母親は息子に伴走しながら考えたことを綴ります。
子どもを危険から守ってあげたい。子どもには夢を叶えて欲しい。そのためには子どもの人生の選択肢を増やしてあげたい。そんな深い親の愛がじつは子どもをつぶしてしまっていることもあると話すのは、花まる学習会の高濱正伸さん。高濱さんに、今の日本の子育ての現場で起こっている問題点についてお話を伺いました。
物価高、エネルギー高騰。でもお給料はあがらず、老後不安はますばかり。そんな閉塞感を抱えてるママたちに、家計のプロが今すぐできる対策を教えます。
時代が大きく変わっている今、「見えない学力」を身に着ければ「見える学力」も上がると話すのは、映画『みんなの学校』で「不登校ゼロ」の公立小学校として話題となった大空小学校初代校長・木村泰子先生。「母親としてここだけは外さないポイント」を聞きました。
ファイナンシャルプランナー資格を持つちながら、何度も何度も、家計簿をつけ続けることに失敗してきた筆者。けれどもここ10年は家計簿が続いています。 家計簿が続かなかった理由。それは、「きちんと」家計簿をつけることにこだわっていたから。前回の記事では、無理なく「家計簿」をつけるための手抜きワザを2つご紹介しました。今回は、さらに私が実践している 「家計簿が続くヒミツ」 を大公開します。 【楢戸ひかるの「お困り家計」の見直し術】 Vol.1 お金は「いくら」あれば安心? 貯まらない人の失敗パターンとは Vol.2 住宅ローン、教育費…「貯金しなきゃ!」と、焦る前にすること Vol.3 「節約」ではお金が貯まらない!? 貯まる人が持っている“口座”が存在する Vol.4 結婚式、医療費…「急な出費」のピンチを救うプロの技 Vol.5 家計簿に書くのはたったこれだけ。挫折しない「手抜き」家計簿 ■家計簿は1週間単位でつける 家計簿は1週間単位でつけるのがおすすめです。なぜなら、ペース配分がしやすいから。いきなりマラソンで42キロを走りきるのは難しいように、家計の配分も1ヶ月単位より、1週間単位から始める方がわかりやすいのです。 また、予算がオーバーしてしまったときも、1週間という単位であれば、リカバーできる可能性は大! 最初から、1ヶ月を目指さず、最初の1歩(1週間)を着実に踏み出すことが大切です。 また、1ヶ月を5週間と考えておくのもミソ。使えるお金を5等分してスタートすると、最終週は、2日か3日しかありませんからつじつまを合わせるのが楽です。 ●おすすめは、高橋書店の「プチ家計簿」 高橋書店の「プチ家計簿」は、見開き1ぺージで、1週間分の家計簿が書けるようになっています。896円(税込)というランチ1回分ほどの価格も、「とりあえずトライしてみようか」という気分になるらしく、この話をすると「家計簿が続かない」と嘆いていた友だちも、こぞってトライアルしていましたし、私も8年ほど愛用していました。 ちなみに、近年はマネーワークショップを開催していることもあり、次のようなエクセルで作った自作の家計簿を使っています。 ■「状差し」でムダ遣いを「ひとごと」にする 家計簿をつける前に「日付ごとにレシートを並べる」という「ひと手間」、おっくうじゃないですか? 私は、お財布から出したレシートを差す 「状差し」 を使っています。「プシュッ」、「プッシュ」とレシートを状差に刺していく行為が、日常の中の、ちょっとした息抜きになります。いわゆる「プチプチ」と呼ばれるクッション材をつぶしていくのと、どこか似ていて生理的に心地が良いんです。 意外な効用としては、「お財布からレシートを出す」と「家計簿を記帳する」のタイムラグがあること。状差しを使うとレシートがカオス化しないので、2~3週間、家計簿つけを放置できます。 これくらいタイムラグがあると、記帳が「ひとごと」になります。「ああ、こんなお金の使い方をしちゃって!」などと思わないので、家計簿をつける気になるんです。反対に言えば、家計簿つけを阻む壁は、 「ムダ遣いをした自分を省みるのがイヤ」 という気分も大きな要因だと気がつきました。この発見、とても大きかったです(笑)。 ■家計簿つけの最初のゴールは、「3ヶ月」 私のワークショップでは、「家計簿を3ヶ月つけてみること」が最初のゴールです。なぜなら、3ヶ月間、家計簿をつけてみると、「家計費(コスト)」(※1)が出せるからです。 「コスト」と「クッション口座」(※2)をわけて集計してみることは、すごく大切です。なぜなら家計の変動は「クッション口座」のお金の上下であって、「コスト」は、そう大きくは変わらないからです。しかしながら、「コスト」という基準(ものさし)が手に入ると、家計についての視界が、グンとクリアになります。 ※1 コスト:生活費からクッション口座の金額を除いた金額を集計して、その月の日数で割った数字。たとえば1月であれば÷31日。それの3ヶ月の平均値を出すと、生活に必要な最低限の家計費が見えてくる。 ※2 クッション口座:簡単に言えば、「普段の家計費」と、「貯金」の間のクッションのような役割の口座のこと。どこかの銀行にある、特定の口座ではなく、筆者が名づけたもの。 ■「マクロな視点」「ミクロな視点」 この連載を通じて、「お金のことを考えてみる道筋」をお伝えしましたので、最後にザッとまとめとして整理をしておきますね。 「お金のことを考える道筋」で最初にやるべきは、①私(わが家)の未来をデザインしてみること。「未来のわが家の年表」は、マクロな視点で、私(わが家)のお金のことを考えてみる作業です。 そして、②デザインした未来を実現するために、お金の流れを整理し、③クッション口座を上手に使いながら、④家計簿でわが家の歩幅を把握します。これは、ミクロな視点でお金のことを考える作業です。 私が主婦として20年、家庭運営をしてみて感じること。それは、家庭運営には、 「マクロな視点」 と 「ミクロな視点」 が、車の両輪のように必要だということです。 ■貯金は、自分らしい人生を送るための「手段のひとつ」 主婦が「きちんとお金のことを考える」となると、とかく「節約」と「貯金」に気持ちがいきがちです。でも、それでは、永遠に「視界30センチ」から抜け出せません。 「節約」や「貯金」は、自分らしい人生を送るための 「手段のひとつ」 であって、 「目的」 ではないからです。 自分らしい人生を送るためには、「お金のこと」は不可欠です。この連載が、みなさんが、自分らしい人生を送るためのお金のことを考え始めるキッカケになればうれしいです。 <楢戸ひかるの「お困り家計」の見直し術> 1、 私(わが家)の未来をデザインしてみる 2、 「未来のわが家の年表」を作成し、私(わが家)のお金のことを考えてみる 3、 お金の流れを整理する 4、 クッション口座を上手に使う 5、 家計簿でわが家の歩幅を把握する 6、貯金は、自分らしい人生を送るための「手段のひとつ」と捉えるべし ■楢戸ひかる プロフィール HP 「主婦er」 を通じて、「これからの主婦の在り方」を発信中。 吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。 【 楢戸ひかるのワークショップ : お金のリビング 】
2018年05月26日ファイナンシャルプランナー資格を持つ筆者ですが、じつは、長らく(10年間)家計簿がつけられませんでした。何度も何度も、家計簿をつけ続けることに失敗した私がたどりついた結論とは…。 私自身の体験談とともに、がんばらなくても続けられる家計簿の手抜きワザを2つご紹介します。 【楢戸ひかるの「お困り家計」の見直し術】 Vol.1 お金は「いくら」あれば安心? 貯まらない人の失敗パターンとは Vol.2 住宅ローン、教育費…「貯金しなきゃ!」と、焦る前にすること Vol.3 「節約」ではお金が貯まらない!? 貯まる人が持っている“口座”とは Vol.4 結婚式、医療費…「急な出費」のピンチを救うプロの技 ■ダメだった最初の10年間の話 私は結婚してから最初の10年間、家計簿をつけられませんでした。毎年、年の始め(というか前年度末)に、「来年こそ、きちんと家計簿をつけよう!」と新しい家計簿を買っていましたし、大枚をはたいて家計簿ソフトを買ったことも何度かあります。 ありとあらゆることを試したものの、ことごとく玉砕して、何度、レシートの山を捨てたことか! いまでも、大量のレシートを捨てたときの、敗北感に似たドヨーンとした気分を思い出すことができます。 ■家計簿が続くようになった分岐点は? いま、結婚20年目ですが、前半10年は家計簿がつけられず、後半10年は家計簿が続いています。分岐点は、何だったのか? それを考えてみると、理由は、ひとつ。それは、「家計簿を 『きちんと』つけるのを諦めた 」ことなんです。 ファッション誌に出てくるような美男美女が現実にはそういないのと同じで、メディアで紹介されるような「きちんと」した家計簿をつけられる人なんて、そういない。 「私自身は、家計簿を『きちんと』つけられないのだから仕方ない」。そう割り切れたことが、ものすごく大きな進歩でした。では、私が「手を抜くと決めたこと」とは、何だったのかご紹介しましょう。 ■手抜き技その1:家計簿には全部書かない 家計簿をつけるとなると、とかく「家計に関する、全部のお金を記載しなければ!」と思いがち。ですが、実際は、お金の流れのうち、家計簿で管理すべきは、次の図の赤い囲みの部分だけです。言い変えれば、 「家計費」 と 「クッション口座」 の2点だけ家計簿で管理すれば良いのです。 住居費、保険料は、多くの家庭の場合、毎月決まった金額でしょう。水光熱費や通信費、教育費(学費、塾代、習い事代)なども含め、私は赤い囲みの部分以外は、半年に一度、エクセルで数字を一覧にする程度です。 「家計簿で管理すべきは、赤い囲みの部分だけ」と思えば、「何もかも『きちんと』つけなければ!」という焦りにも似た気持ちが、少し和らぐのではないでしょうか? ■手抜き技その2:費目はシンプルに 家計簿をつけ続けるためには、費目をシンプルにすることも大切です。たとえば、「家計簿の費目は、2科目だけ( 「食費」「その他」 )」という方がいらっしゃいました。「そんなのでいいの?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、正解です! 家計簿をつける目的は、お金の流れを把握すること。多くは望まず、できる範囲で続けることが大切です。私は、現在、下記のような費目で家計簿をつけています。ご参考までに公開しておきますね! ●楢戸ひかる自作の家計簿 次回は、「節約、貯金から抜け出したい! ママが楽チンになる「お金」の管理術」です。 ■楢戸ひかる プロフィール HP 「主婦er」 を通じて、「これからの主婦の在り方」を発信中。 吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。 【 楢戸ひかるのワークショップ : お金のリビング 】
2018年05月25日女性向けのマネー記事を約20年書いてきたライターの楢戸ひかるです。私が取材を通じて出会った多くの「実際に貯めた人」は、 クッション口座 (※)という『機能』を上手に使っていました。今回は、そのクッション口座についてお伝えします。 ※クッション口座とは、どこかの銀行にある、特定の口座ではありません。 「特別支出」「プール金」 など人によって呼称は違いますが、同じ「機能」を指して、私が命名しました。 【楢戸ひかるの「お困り家計」の見直し術】 Vol.1 お金は「いくら」あれば安心? 貯まらない人の失敗パターンとは Vol.2 住宅ローン、教育費…「貯金しなきゃ!」と、焦る前にすること Vol.3 「節約」ではお金が貯まらない!? 貯まる人が持っている“口座”が存在する ■使うことを前提に貯めるお金とは クッション口座を考えてみるとき、最初に、こんな疑問が沸くと思います。 「クッション口座」と「貯金」は、何が違うの? その機能とは、簡単に言えば、「普段の家計費」と、「貯金」の間のクッションのような役割の口座です。 ●クッション口座イメージ図 ■「クッション口座」と「貯金」の違いとは? 「クッション口座」と「貯金」の違いは、クッション口座は、 「使うことを前提に貯めている」 という点です。 生活をしていると、日々、突発的な出費があります。たとえば、冠婚葬祭。はたまた、「家電が壊れた」「ちょっと高めの洋服を買った」「虫歯の治療費がかかった」など…。生活をしていくことは、いわば「突発的な出費のオンパレード」。いちいち「あーあ、お金が出ていっちゃった」と、落ち込んでいては心が持ちません。 こういった経済的な打撃!?を吸収してくれる「クッション口座」を作っておくことで、主婦は心穏やかに暮らすことができるようになるのです。 ■経済的な打撃を吸収する口座の作り方 次の疑問は、コレでしょう。 「クッション口座」は、どうやって作るの? 「クッション口座」のお金は、 「毎月の積立」+「ボーナス時の積立」 で作ります。クッション口座に必要なプール金は、各ご家庭によって違ってくるので、ここは主婦の腕の見せどころ! 「わが家のサイズ」を探ってみてください。参考までにわが家のクッション口座の作り方を書いておきます。 <楢戸家のクッション口座の作り方> わが家の場合、毎月1万円、ボーナス時に18万円(※)を「クッション口座」に積立。 ※ボーナス時の積立額の計算根拠は、(月額の赤字分3万円 × 半年分6ヶ月)で計算。 「一般的な家計は、月額3万円の赤字。それをボーナスで補填している」(夫の会社の社内報より)をもとに算出。 20年、主婦として家庭運営してみて「月額赤字3万円」は絶妙なラインと実感中(笑) クッション口座にお金が一定額貯まったら、貯金口座に移行します。残念ながら、わが家は、クッション口座のお金を貯金に回す機会は、そうありません(汗)。だからこそ、本当に必要なお金は「先取り貯金」しておくのです。 ■「突発的な出費」はいくら以上? 3番目のステップは、コレです。 何を「突発的な出費とするのか?」 わが家の場合は、食費と日用品のまとめ買い以外で3千円を超えたら、「突発的な出費」として計上すると、決めています。 出費の内容ではなく、「 金額で線引き をしておく」というのは、クッション口座を長続きさせるコツです。家計簿をつけるたび、「これは、クッション口座? それとも家計費?」と迷うエネルギーは、相当です。金額で線引きをすると、機械的に割り振れますから、心が疲れません。 ■節約は「クッション口座」を意識することから 私は、「節約をするなら、クッション口座を意識することから始めてみませんか?」と、ご提案しています。たとえば1週間で食費を3000円抑えるのは、なかなか大変なものです。ましてや水光熱費を3000円安くするのは、毎日の努力が必要です。 一方で、同じ「3000円の節約」を、「服や雑貨の衝動買いを止めた」とか「食事を作るのが面倒という理由で外食に行かない」という部分でトライすると、意外と簡単にクリアできます。「ちょっと意識をして、踏みとどまる心」があれば可能だからです。 ■節約は「がんばる」ではなく、「ターゲットを絞る」 節約を思い立つと、「できるだけお金を使わない」といった 精神論でがんばりがち です。でも、これをやると、アッという間に苦しくなりませんでしたか? それよりも、「ここは、がんばる!」という 「ターゲット」を絞った 方が、結果的に楽なんです。節約で大切なことは、「続けること」。肩の力を抜いた節約の続け方として、クッション口座は使えます。意識するポイントを決める「だけ」だから、さほど疲れないのです。 <クッション口座の3ステップ> ●ステップ1:クッション口座とは、「普段の家計費」と、「貯金」の間のクッションのような役割の口座で、使うことを前提とした突発的な出費に使う。 ●ステップ2:クッション口座は、「毎月の積立」+「ボーナス時の積立」で作る。 ●ステップ3:最初にクッション口座を使うためのルールを自分で決める。例えば3000円以上の出費はクッション口座を使うなど。 次回は、「家計簿に書くのはたったこれだけ。挫折しない「手抜き」家計簿」です。がんばらないから家計簿が続く「手抜き技」を2つご紹介します。 ■楢戸ひかる プロフィール HP 「主婦er」 を通じて、「これからの主婦の在り方」を発信中。 吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。 【 楢戸ひかるのワークショップ : お金のリビング 】
2018年05月24日「わが家のお金の計画表」を作ったことで、人生の羅針盤ができあがりました。今回は、「未来にかかるお金」をどう準備していくのか? を具体的に考えてみます。家の購入費用、教育費など、金額が大きすぎて、「日常のお金」との距離感が、ハンパないですよね(笑)。 【楢戸ひかるの「お困り家計」の見直し術】 Vol.1 お金は「いくら」あれば安心? 貯まらない人の失敗パターンとは Vol.2 住宅ローン、教育費…「貯金しなきゃ!」と、焦る前にすること ■人生の3大資金「住宅」「教育」「老後」 「お金のことが難しい」と思う人が多いのは、 「考える分野がたくさんある」 ことも一因です。住宅ローンや教育資金、はたまた保険…。これらを、どう組み合わせて、総合的な「わが家のお金のこと」を考えれば良いのか? 全体像が見えづらいのです。まずは、次の「お金の知識」のマッピング図を見てください。 ●「お金の知識」のマッピング図 最初に見ていただきたいのが、赤文字の 「人生の三大資金」 。これは、 「住宅」「教育」「老後」 資金の3つを指し、人生でかかるお金のうち、もっとも多額なもの3つと言われています。 これに、「車を買い替える」「家族で旅行に行きたい」といった夢をかなえる 「一般貯金」 を加えて、私は「人生を構築するお金」と呼んでいます。これらは、どれも大きな額のお金なので、長い時間をかけて計画的に準備する必要がある種類のお金です。 ■家計費を節約してもお金は貯まらない 「人生を構築するお金」は、「人生の柱」のようなイメージを持ってみてください。柱がしっかり立ってこそ、日常の生活が滞りなく送れます。「人生の柱」をしっかりと立てるために必要なことは、 「人生を構築するお金」 は、先取り貯金で貯めるということです。 多くの方は、家計費の余ったお金を貯めていけば、その先に「人生を構築するお金」が貯まっていく。そんなイメージをお持ちのようですが、考える順番が逆です。 もう一度、「お金の知識」マッピング図を見てみてください。「使えるお金」から、「人生を構築するお金」を先にとりわけ、余った分を生活費にする。この順番を、頭や心で、しっかりとイメージしてみましょう。 ■「貯金」と「生活費」の配分は? 「『人生を構築するお金』を先取り貯金で貯める」とお伝えすると、こんな疑問が出てくるのではないでしょうか? お給料のうち、「貯金」と「生活費」、どう配分すればいい? 再度、お金のマッピング図を見てください。まずザックリ、「使えるお金」を、「人生を構築するお金(先取り貯金)」と「人生を回していくお金(生活費)」の二つにわけるとイメージします。「人生を回していくお金」とは、文字どおり、日々の生活を回すお金。いわば生活費です。 マッピング図を見て、配分をイメージしてみると、またひとつ疑問が沸くと思います。 「使えるお金」って、なんですか? これを説明しておきます。「使えるお金」とは、少し難しい言葉を使うと「可処分所得」のことです。給与明細を見て、次の計算式から割り出します。 使えるお金=(支払金額−源泉徴収税金−社会保険等の金額) このほかに「組合費」など、「差し引かれることが自分ではどうしようもないお金」は、支払金額から引いておきます。一方で、「社宅の費用」「財形貯金」「保険料」などは、差し引かずに「使えるお金」に含めます ■「貯める人」が持っている口座とは? さて。ここまででも、けっこう「おなかいっぱい!」ですね。あと、ひとつだけ。じつはここがポイントなのですが、「家計費」と、「貯金」の間に、私は 「クッション口座」 を作るようにご提案しています。なぜなら、取材を通じて出会った「お金が貯まる人」は、みんなクッション口座を持っていたからです。 最初にお断りしておくと、クッション口座とは、どこかの銀行にある、特定の口座ではありません。「特別支出」「プール金」など人によって呼称は違いますが、同じ「機能」を指して、私が命名しました。 その機能とは、ザックリ言うと「日々の家計費」と「貯金」の間のクッションのような役割です。 ●クッション口座イメージ図 ■突発的な支出に強い、主婦の味方となる口座 クッション口座の詳細については、次回で詳しく説明します。ここで、お伝えしたいことは、「クッション口座の必要性」です。 コツコツ真面目に貯金をしてきた人ほど、突発的な支出で「貯金のテンション」は下がります。ましてや、「貯金を取り崩す」などという事態に陥ろうものなら、「もう、どうでもいいや!」という気分になってしまいます。ですから、主婦の心の平穏のために(笑)、クッション口座を作るのは、家計管理の絶対的なポイントなのです。 次回は、「結婚式、医療費…「急な出費」のピンチを救うプロの技」です。貯まる人が持っている「クッション口座」について解説しましょう。 ■楢戸ひかる プロフィール HP 「主婦er」 を通じて、「これからの主婦の在り方」を発信中。 吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。 【 楢戸ひかるのワークショップ : お金のリビング 】
2018年05月23日「お金を貯めなきゃ!」「節約しなきゃ!」という「やみくもな焦り」は、見えない敵にシャドーボクシングをしているようなもの。それよりも具体的な目標を見定めてみませんか? ファイナンシャルプランナー資格を持つライターの楢戸ひかるが、 「お金の最初の1歩」 をナビゲーションします。 前回、 「未来のわが家年表」 は、人生という航海の羅針盤になることをご紹介しました。今回は、実際に年表を書いてみましょう。 【楢戸ひかるの「お困り家計」の見直し術】 Vol.1 お金は「いくら」あれば安心? 貯まらない人の失敗パターンとは ■私の人生どんなことやりたい? 最初に、「4月1日現在」の家族の名前と年齢を記入します。次に、「予定」や「やりたい」ことを書き出してみます。(表の二重線の上の部分だけ書く)今回はここまででOK。 今日、思っていることは、来年になったらまったく違っているかもしれません。最終確定なんてしなくても、大丈夫! むしろ、できないことの方が多いでしょう。紙に鉛筆でデッサンするようなつもりで、とにかく「思いつくまま」に、思ったことを書いてみてください。 ●「未来のわが家の年表」の目的 「未来のわが家の年表」を書く目的は、次の二つです。極端な話、年表を実際に書かなくても、「わが家の未来について考えてみるという時間を作る」だけで、最初は十分に意味があります。キチっと書くことなど意識せずに、心の中にある私(わが家)の未来の風景を、まずは紙にアウトプットしてみてください。 1)「わが家の未来を考えてみる」という時間を作ってみること 2)俯瞰(ふかん)の視点で、わが家の未来に起こるイベントの流れをイメージすること ■「未来にかかるお金」を具体的に調べてみる 次に、 未来にかかるお金 を具体的に調べてみましょう。「予定、やりたいこと」の下の部分に、書き入れていきます。これまで書いた部分が絵の下絵(デッサン)であるとしたら、「未来にかかるお金を具体的に調べて記入してみること」は、下絵に色をいれていくイメージです。 あるお金のプロから、こんな話を聞いたことがあります。 私は元・銀行員として、およそ数千人の方たちに住宅ローン融資をしました。その私の経験から言えることは、「住宅ローン破綻が一番多かったのは、年収1000万円くらいの人たちだった」ということです。 いいエリアに家を買い、子どもを私学に通わせる。ファッションにもお金をかけ、休みの日は外食…。そんな生活は、年収が1000万円あっても難しいのが現実です。でも、ご自身は『うちは年収が高いから、大丈夫」』と思ってしまうんでしょうね このお話を伺って私が感じたことは、「お金のことは、 『一般論』で考えては危ない 」ということです。つまり「わが家は、そのお金を実際に支払えるのか?」ということを検証する必要があるのです。 ■お金の貯めどきは、「子どもが10歳まで」 さて。ここまで話が進んでくると、息苦しさを感じる方もいるでしょう。「考えなければいけないのはわかるけれど、いまはまだ…」。そう思うのも当然です。じつは私のワークショップでも、この数字を書き入れる瞬間が、もっとも重苦しい空気が漂います。ワークショップ主宰者としては、「居たたまれない瞬間」です(笑)。 ひさしぶりに体重計に乗る時のように、いやいや、それ以上に! 現実を直視するのは、誰にとってもしんどい作業です。でも、こんなふうに考えてみてください。「この数字は、いつか直面しなければいけない現実。それに早く気がつけて良かった!」と。 いま、0歳の子どもは10年後には、10歳になり 教育費が本格的にかかり出します 。マネー業界では、 「お金の貯めどきは、子どもが10歳のときまで」 というのが一つの定説です そうは言っても、出てくる数字は普段接している金額とは桁が違いますから、怖いし、不安にもなりますよね。そんなときは、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談してみるのも良いでしょう。 「ファイナンシャルプランナーの知り合いがいない」という場合は、日本FP協会のWebサイトから相性が良さそうな方を探すのもおススメです。 》日本FP協会: 「CFP®認定者検索システム」 ※CFPとは、ファイナンシャルプランナーの最上級資格です。 次回は、「「節約」ではお金が貯まらない!? 貯まる人が持っている“口座”が存在する」です。「未来にかかるお金」をどう準備していくのか? を具体的に考えてみます。 ■楢戸ひかる プロフィール HP 「主婦er」 を通じて、「これからの主婦の在り方」を発信中。 吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。 【 楢戸ひかるのワークショップ : お金のリビング 】
2018年05月22日いまの家計が赤字になっているご家庭、そしていまは大丈夫でも、将来にわたって崖っぷちとなりそうなご家庭など、お金に不安を感じる人は多いのではないでしょうか? そこでエキサイトでマネー記事を担当する、私、楢戸ひかると「お金のことを考える道筋」について、一緒に考えてみませんか? 題して「 『崖っぷち家計』脱出法 」。「お金が貯まらない」という人の話を聞くと、じつは家計の考え方や順番が間違っている人を多くみかけます。そこで 基本からわかる家計見直し術 をご紹介します。 楢戸ひかる ファイナンシャルプランナー資格(現FP技能士)を取得し、女性誌でマネー記事を約20年間執筆。最近では、家計管理のワークショップも開催。家族は、夫と3人の男の子(高校生と中学生の双子)。 ■「節約」と「家計簿」が失敗するワケ お金の悩みは、大きくわけるとこんな感じなのではないでしょうか。 <よくある「お金の悩み」3つ> ●いまのままで「本当にお金のこと大丈夫なのかな?」と不安を感じている ●お金が、なかなか貯まらない ●節約や家計簿が続かない 「お金のことを、ちゃんとしよう!」と思って、多くの人が最初にトライするのが 「節約」 と 「家計簿」 。でも両方とも、面倒だったり大変だったりで、いつしかフェードアウト。そして「やっぱり、私はお金のこと、ちゃんとできないんだ」と、さらに苦手意識を持ってしまう…。これは、とてもよくある失敗パターンです。 ■“お金の道筋”を知らないと、うまくいかない じつは「家計簿」と「節約」は、 「お金のこと」の最終仕上げ! 本来、最後にやるべきことを、最初にやろうとするから、いままでうまくいかなかったんです。 多くの人が「お金のことを考える道筋」を間違えていると私は感じています。これが、「お金のことを、ちゃんとしたいけれど、やっぱりできない!」となる一番大きな要因です。 反対に言えば、「お金のことを考える道筋」を知れば、多くの人が「お金のことをちゃんとできる」と、私は思っています。 ■お金は、いくらあれば安心ですか? ところで。道筋をお伝えする前に、ひとつ、質問です。 お金は、いくらあれば安心ですか? この質問に、「ちゃんと」答えられる人は、そうそういないと思います。私も、長らくそうでした。「お金がたくさんあったら、きっと安心に違いない」と、ただ、漠然と思っていたんです。 でも、「お金のプロ」の方々は、口をそろえて、こう言います。「いくらお金がたくさんあっても、 『お金そのもの』に安心を見いだすことは無理 です」と。 世界的な大富豪ロックフェラーは、お金が減ってしまう不安で不眠症になったとか。こんな話を聞くと、「お金がたくさんあったら、安心」というのは、単なる幻想なのかもしれないと思うようになりました。 ■「いくら」を具体的に考えるには では、どうすればいいのでしょう? 答えは、いたってシンプルです。 お金は、 「いくら」 あれば安心ですか? この、 「いくら」を具体的 に考えてみるのです。 人生でかかるお金の全体像をイメージしやすいように、 「生涯年収のイメージ図」 を作成してみました。まずはこちらをご覧ください。 会社員の場合、生涯年収は限りがあります。ですから、その範囲内で、人生のイベントの費用をまかなう必要があります。これをイメージできるかどうか? ここは、とても大切なところです。 ●生涯年収のイメージ図 「生涯年収のイメージ」の図を頭にいれた上で、私が実際にやったことは、 「未来のわが家年表」 を作って、年ごとのイベントを書き出してみることです。 あるお金のプロが言っていました。「豊かさとは、やりたいときに、やりたいことができること」だと。言い変えれば、人生イベントにかかるお金の算段ができていて、日々の生活が回っていれば「豊か」なんです。 このことから、私は、漠然としたお金の悩みを解決するスタート地点は、『未来のわが家の年表』を書いてみること」だとご提案しています。 ■結婚、出産の早い段階で考える 私は、毎年1回、「未来のわが家の年表」を見直しして上書きしてきました。そして、こう感じるのです。「『未来のわが家の年表』は、 人生の羅針盤 になる」と。 たとえば、「家をどこに、いつ買うのか?」「子どもの教育は、公立にするのか、私立にするのか?」…。大切なことは、そういったことを、家庭運営の早い段階で「考えてみる時間を持つこと」です。 私も結婚して最初の10年(現在、結婚20年目です)、家計管理のやり方がわかりませんでした。その10年の、暗い海をさまよっている感じったら! それは、羅針盤を得て航海しているいまとは雲泥の差の気持ちです。 こんな体験を経て、「主婦は、家庭の経営者。経営者が、会社の未来のヴィジョンを持つことは、とても大切」と思うようになりました。 次回は、「住宅ローン、教育費…「貯金しなきゃ!」と、焦る前にすること」です。「未来のわが家年表」の書き方をご紹介します。 ■楢戸ひかる プロフィール HP 「主婦er」 を通じて、「これからの主婦の在り方」を発信中。 吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。 【 楢戸ひかるのワークショップ : お金のリビング 】
2018年05月21日良好な人間関係 は、幸せを感じる上でもっとも重要な条件のひとつ。 共感力のある人 は、そうではない人より成功の度合いが大きいことも研究からわかっています。 共感力を身につけることで、他人も自分自身も、より尊重できるようになるそう。今回は、そんな「共感力」についてお伝えします。 【世界一幸せな国デンマークの子育て】連載 Vol.1 日本の子育ては、子どもを「幸せな大人」にできるのか? Vol.2 困難に負けない「折れない心」を育てるために、親ができること ■共感力って、何ですか? 共感力とは、 他人の気持ちに感情移入できる力 。その感情を理解するだけではなく、気持ちに寄り添うことができる力のことを言います。 「共感力がありすぎると、いまの世の中、かえって生きづらいんじゃないの?」。そんなふうに思うかもしれませんね。でも、ちょっと想像してみてください。成功している人は一人で働いてはいません。人生においてプラスの結果を得るためには、他人のサポートが必ず必要です。 たとえばママが「この人と一緒に仕事をしたい!」と思う人は、どんな人でしょうか? きっと自分の感情に、きちんと向き合ってくれる人なのではないでしょうか? ■完璧なママの子どもは、共感力が低くなる? じつは、「何でも、 ちゃんとできちゃうママ 」は、子どもの共感力の発達に 悪影響を及ぼす ことがあります。「わが子に失敗させたくない」「嫌な思いをさせたくない」と、子どもの前の石ころをせっせと拾い、子どもの願いをすべてかなえてあげようとするママ…。 完璧なママとして弱い自分を子どもに見せないと、子どもが持つ 「他者の感情を読み取る能力」 の発達をさまたげ、ひいては共感力を減退させてしまいます。 過保護な家庭に育った子どもはナルシシズム、不安障害、うつ病になりやすい傾向があるそうです。なぜなら子どももまた「完璧な自分」を作り上げようとしますが、そのための行動と、本来の自分の感情とが一致しないために、自己調整がうまくいかないからです。 ■子どもの感情を受け止める では、どうすればいいのでしょうか? デンマークの親は、子どもと話をする前に、 子どもの感情 をまず受けとめることを考えます。 「どうしたの? なぜ泣いているの?」 その後、親の目線から見える内容を伝えます。 「あなたは怒っているのね。どうして怒っているの? あの子がおもちゃを取ったから? あの子はまだ小さな赤ちゃんなの。わざとやったとはママには思えないわ。あなたは、どう思う?」 子どもの感情に常にもっともな理由があるとは限らないですし、簡単に解決できる方法が見つかるとも限りません。しかし、少なくとも子どもの感情を受け止めて批判しないように努めれば、親は子どもに 「人を尊重すること」 を教えることができます。 ■デンマーク流「共感力」の育て方 自分が何かを思うたびに「ばかばかしい/不必要/間違っている」と批判され、「こう感じるべきだ」と強要されたら、ちょっと、いや、相当イヤな気分になりますよね?(笑) デンマーク流の共感力の教育の大きな柱は、 批判しないこと なんです。 デンマークの親は、自分の子どもやその友人や家族に厳しすぎる批判をしません。一番声が大きい人だけではなく、家族の全員に、「意見を尊重してもらう権利がある」と考えているからです。自分にも他人にも、 「寛容であること」 が最優先。 子どもは、ママのマネをします。寛容なママの姿勢は、子どもを「他者への批判が少ない大人」に成長させる助けになることでしょう。この「他者」は、ほかならぬママ自身も含まれています。 ■日本のママはどうしたら感情を受け止められる? そうは言っても、日本のママにとって「批判なく子どもの感情を受け止める」のは、なかなか難しいこと。なぜなら、自分が「批判なく感情を受け止めてもらった経験」が、あまりないからです。 まずは、自分の共感力のスタイルを理解することから始めましょう。次の質問について考えてみたり、パパと話し合ってみたりするのも良いかもしれませんね。 <「共感力」のヒントへの問い> ・私にとって、共感力はどんな意味を持つ? ・私のパートナーにとって、共感力はどんな意味を持つ? ・私は、自分と他人に批判的? パートナーは、自分と他人に批判的? ・そのことが、言葉の使い方にどのように反映されている? ・もっと共感力を強めて批判を減らすために、言葉遣いをどう変えればいい? ■壊れた人間関係は、心理的ダメージを受ける 壊れた人間関係は、肉体的・心理的なダメージの原因になることが証明されています。共感と許しは、脳の同じ領域を活性化させるため、共感力を磨けば、 「許す・許される」 が楽にできるようになります。 大切な友人や家族との良好な人間関係。これはお金よりもはるかに大切な、真の幸福を決定づけるもっとも重要な要因のひとつなのです。 ■デンマーク企業で働く女性たちの声 デンマーク人の子育てが、日本人の私が「無意識に伝承していた子育て」と大きく違うことにカルチャーショックを受けました。これぞ異文化体験なのでしょうか!? この記事を書くためにデンマーク企業で働く女性たちにお話しを聞いてきました。ある人は、「デンマーク人の上司は、私に寄り添ってくれます。『必要なことがあったら、サポートをするから遠慮なく言ってね』というのが、彼らの基本スタンスなんです」とおっしゃっていました。 毎日、子どもを叱ってばかりで苦しい。そんなとき、「子どもが『未来の幸せな大人』になるために、適切なサポートって何だろう?」。ちょっと立ち止まって、考えてみることができると良いですね! ■今回の記事の参考文献 『デンマークの親は子どもを褒めない~世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方~』 ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー/イーベン・ディシング・サンダール 著/鹿田昌美 訳/集英社 ¥1,500(税別) ジェシカ・ジョエル・アレキサンダーさん アメリカ人の作家、コラムニスト、文化研究者。デンマーク人と結婚して13年になり、常に文化の違いに強い関心を持ってきた。 イーベン・ディシング・サンダールさん ナラティブ・セラピーの認定療法士など資格を持ち、コペンハーゲン郊外で個人診療を行う。専門は家族と子どものカウンセリング。 翻訳者 鹿田昌美(しかた まさみ)さん 国際基督教大学卒業。訳書に「フランスの子どもは夜泣きをしないーパリ発『子育ての秘密―』(集英社)など多数。
2018年04月20日40年以上もの間、世界でもっとも幸福な国であり続けるデンマーク。その国で 「親が子どもに与えられる最高の贈り物」 とされているのが 「リフレーミング」 というテクニックです。今回は、そんな「リフレーミング」についてお伝えします。 【世界一幸せな国デンマークの子育て】連載 Vol.1 日本の子育ては、子どもを「幸せな大人」にできるのか? ■大人になって成功できるのは「折れない心」 「リフレーミング」とは、自分が世界を見ている額縁(フレーム)をとり替えること、いわば 情報を再解釈 するテクニックです。アメリカの多くの企業では、リフレーミングの研修が行われています。なぜなら、リフレーミングは、 レジリエンス(折れない心) に欠かせない能力と見なされているからです。 レジリエンスは、最近の教育界の「キーワード」でもあります。教育関係者に取材すると皆さん異口同音に、「今、もっとも子どもたちに必要なのは、レジリエンス(折れない心)です」と、おっしゃいます。 ハーバード・ビジネス・レビュー誌の記事では、アメリカのある創業者社長がこんなふうに言っています。「経験よりも訓練よりも、人のレジリエンスのレベルが 成功者と落語者を決定づける 。それはガン病棟でも、オリンピックでも、役員会議室でも言えることだ」。 ■「折れやすい心の子」にしてしまう親の言葉 ところで、私たちが既に持っている「フレーム」は、何によって形づくられているのでしょうか? それは、 言葉 です。普段、何気なく子どもにこんな「フレーム」を投げつけていませんか? あなたは、何をやってもダメよね この子は、繊細すぎる あなたは、わがまま! この子は、数学が苦手 あなたはスポーツがあまりできない 親からそう言われ続けている子どもは、これらの 「フレーム」につじつまを合わせる行動 をとるようになります。やがて子どもは「自分はそういう子だ」と信じ込むようになって、何かにトライするなんていうことはせず、 「折れやすい心の子」 の一丁あがりです。 与えられた物語がいったん人生の一部になると、自分のなかから追い出すのは至難の業。つまり自分や子どもについての気に食わないことをくり返し口に出すことで、まさにその欠点を強化してしまうのです。 ■デンマーク流の言葉がけ では、どうしたら良いのでしょうか? デンマーク人は、子どもに対しての言葉がけがとても上手です。子どもが不機嫌な時、一緒に感情の波に巻き込まれて乱暴な「フレーム」を投げつけるかわりに、そうなった理由を子ども自身が気づけるように促します。 少し長くなりますが、デンマーク流の親子の会話例を引用してみましょう。私は、この会話を声に出しながら読んでみました。声に出してみると「心に入って来る言葉」はわかるものですね。読み進むうちに、私はゆったりとした気持ちになりました。 「どうしたの?」 「別に」 「様子がちょっと変だけど、何かあった?」 「まぁね」 「どういうことなの?」 「わからない」 「悲しいの? 怒ってる? 嬉しい?」 「悲しい」 「どうして悲しいの?」 「悲しいのは、ゲイリーが遊び時間に私の人形を取ったから」 「彼が人形を取ったのね。どうしてあなたの人形をとったのかしら」 「彼が意地悪だから」 「彼は意地悪だと思う? ゲイリーはいつも意地悪なの?」 「そうよ」 「でも、先週はゲイリーとたくさん遊んでいたんじゃなかった?」 「そう」 「そのときは意地悪だった?」 「ううん」 「なるほど。じゃあゲイリーは優しいときもあるのね?」 「うん。優しいときもある」 出典: 『デンマークの親は子どもを褒めない』~世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方~ デンマークの親は、子どもが 自分の感情をきちんと言い表せる ようになるのを上手に手伝い、 建設的な思考 へと導きます。これはリフレーミングに欠かせない作業です。 自分の感情を、きちんと言い表せるようにする。これ、本当に大切ですよね。私自身、ひとりの母親として、「子どもと、そんな会話をしたことなかった」と反省しきり…。 ■ネガティブなことばかり言ってしまう場合 会話の続きに戻ります。 「彼が人形を取ったとき、どうなったの?」 「私が泣いちゃったの」 「人形を取られて悲しくなったのね。その気持ち、わかるわ。じゃあ、今度ゲイリーに人形を取られたとき、悲しくならないためには、どんなことをすればいいと思う?」 「ゲイリーに返してちょうだいって言う。それとも、先生に言おうかな」 「返してちょうだいって言うのが、良い解決策だと思うわ。ゲイリーは人形遊びが好きなの?」 「時々ね」 「返してちょうだいって言う以外に、何かできることはあるかしら?」 「一緒に人形で遊んでもいいかもしれない」 「それは素晴らしい解決策だわ。ゲイリーは、本当は優しい子なんだから、今度そんなことがあったら、一緒に遊びたい? ってきいてみたら?」 「そうする!」 出典: 『デンマークの親は子どもを褒めない』~世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方~ 「物ごとの良い方の面を見る」 というテクニックは、あらゆる状況に活用できます。出来事をきちんと分析し、状況を建設的にリフレーミングするために必要なキッカケを探す。そこから物語を紡ぎなおす。ママ自身がリフレーミングを知ることで、いまよりもっとハッピーな気分になれるのではないでしょうか? たとえば子どもに対してネガティブな決めつけを言いそうになったときは、 「わが子の違ったストーリー」 を見つけてみては? ふとわれに返れたとき(返れなくても、落ち込まず…)、自分に少し余裕があるとき、一つずつでも「わが家の言葉」を変えていくだけで、子どもに大きなプレゼントができているのだと私は思います。 「リフレーミングは、練習を積めば楽にできるようになり、楽しめるようになるでしょう」とは『デンマークの親や子どもを褒めない』の著者の弁。何だか、希望が湧きますね! ■今回の記事の参考文献 『デンマークの親は子どもを褒めない~世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方~』 ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー/イーベン・ディシング・サンダール 著/鹿田昌美 訳/集英社 ¥1,500(税別) ジェシカ・ジョエル・アレキサンダーさん アメリカ人の作家、コラムニスト、文化研究者。デンマーク人と結婚して13年になり、常に文化の違いに強い関心を持ってきた。 イーベン・ディシング・サンダールさん ナラティブ・セラピーの認定療法士など資格を持ち、コペンハーゲン郊外で個人診療を行う。専門は家族と子どものカウンセリング。 翻訳者 鹿田昌美(しかた まさみ)さん 国際基督教大学卒業。訳書に「フランスの子どもは夜泣きをしないーパリ発『子育ての秘密―』(集英社)など多数。
2018年04月19日突然ですが、子育てをしていて、幸せですか? 「毎日、子どもを叱ってばかりで子育てが、苦しい」。そんな気持ちを経験したママも多いかもしれませんね。「もっと違う子どもの育て方があるはず…」 そんなことを感じたことがあるママたちに、 「世界一幸せな国」 の子育て事情をお届けします! ■40年以上も世界一幸福な国はどこ? 「世界一幸せな国」に、 デンマーク は、1973年から40年以上ほぼ毎年選ばれています(OECD(経済協力開発機構)が選ぶ「世界一幸福な国」に選出)。 デンマークは北ヨーロッパに位置する小さな国です。日本人にとっては、「童話作家アンデルセン」と、「レゴ®」くらいしかなじみがないかもしれませんね。しかしデンマークは、国際連合の「世界幸福度調査」の2017年度ランキングでも世界第2位。ちなみに、日本は51位です。 ■日本の「子育ての価値観」は世界的に正しいのか? 世界幸福度調査は、「人々の心理的な幸福度こそが重要」という視点で分析されているそうです。「心理的な幸福度って、何?」 そう思ったのは私だけでしょうか? 「いい学校に入って、いい会社に就職する」とか「結婚して、子どもを産む」とか…。 幸福=枠から外れない人生をきちんと歩むこと。それくらいしか思い浮かばない私は、「そもそも幸福について、真剣に考えてみたことがないのかも」と思いました。でも、これが日本の現実(世界幸福度調査51位)かもしれませんね。 今回、ご紹介させていただく 『デンマークの親は子どもを褒めない』 の著者は、「親として大切なのは、まずは 自分の『初期設定』を確認 することです」と、言っています。 多くのママたちが、「普通の日本の価値観」の下で育ち、これが初期設定となっていることでしょう。「日本で『正しい』とされている子育ては、そもそも 『未来の幸せな大人』 になるために必要なことなのか?」 そんな疑問を持ってみることが、「未来の幸せな大人」を育てる子育ての第1歩です。 ■ママを楽にする「デンマーク流子育て術」 では、デンマークの子育てで大切にされているのは、どんなことなのでしょうか? 「PARENT(親)」 の各文字を使って、キーワードを整理してみます。 ●Play 遊ぶ <日本の“普通”の子育て> ・1週間の中のスポーツ、習い事を親が準備している ・学習の先取りや知育玩具を与えている ・遊び中で起こりそうな危険を排除している <デンマーク流ヒント> 自由に遊ぶことは、人が生きていく上で大切な『心』や『能力』を育ててくれる。たとえば折れない心(レジリエンス)、自分の人生は自分でコントロールできると感じていること、ストレスに対処する能力…これが幸福感の基盤になる ●Authenticity ありのままを見る <日本の“普通”の子育て> ・親が無理に笑顔を作って「大丈夫」と自分をだましている ・大きい家や新車を買うことを目標としている ・子どもに「頭がいいね」「賢いね」とほめている <デンマーク流ヒント> ありのままを見ることは、自分の感情を信頼する気持ちを育む。あらゆる感情を抱いて良いことを、忘れないで! 自分に正直になることを学べば、自尊心が生まれる。子どもがそんなふうに育つよう、親はプロセスを褒めてあげよう ●Reframing 視点を変える <日本の“普通”の子育て> ・「娘はわがままだ」「息子は数学が大の苦手だ」と言ってしまう ・決めつける言葉「私は●●が嫌い」「私はこんな人」と言っている <デンマーク流ヒント> 「リフレーミング=視点を変えること」の技術を教えることは、親が子どもに与えられる最高の贈り物! ネガティブな情報に目をつぶるのでなく、良い面に意識を向ける「リフレーミング」は訓練で習得できる ●Empathy 共感力 <日本の“普通”の子育て> ・ママ友にわが子の問題を正直に打ち明けたことがない ・「母乳育児しないなんて自分勝手!」など他人を批判する ・わが子に失敗させたくないと、あらゆる衝突を避けさせる <デンマーク流ヒント> 良好な人間関係は、幸せを感じる上でもっとも重要な条件のひとつ。共感力のある人は、そうではない人より成功の度合いが大きいことも研究からわかっている。共感力は訓練で習得できるし、それを習うことで他人と自分自身を尊重できるようになる ●No Ultimatums たたかない <日本の“普通”の子育て> ・自分が疲れているときに、子どもが悪さするとキレてしまう ・しつけとして子どものお尻をたたいたことがある ・「次に言ってきかなかったら、もう知らないからね」と言ったことがある <デンマーク流ヒント> 子どもに言うことを聞かせるために、親は怒鳴ったり、時にはたたいたりしてしまうこともあるかもしれない。支配型の子育てスタイルでは、恐怖を与えているだけ。短期的には効果があったとしても、長期的には悪影響が出る可能性も。 ●Togetherness And Hygge 仲間と心地よくつながる <日本の“普通”の子育て> ・わが子が何かで一番になって目立ってほしい ・困っているときに相談せずに困難に耐えようとする ・新米ママは、やることと睡眠不足で押しつぶされそうになっている <デンマーク流ヒント> 大切な人とともに居心地よくすごすことを、『ヒュゲ』という。デンマーク人にとって、『ヒュゲ』は生き方そのもの。美徳でもあり、自尊心でもある。デンマーク人は個人も重んじるが、他者との関わりやサポートがなければ、人として真の幸福は得られない、という考え方なのだ 「デンマーク人が、子育てをする上で優先していること」が、日本人の私の感覚とかけ離れていることに驚きました。「でも、デンマークの子育てエッセンスを自分の生活に取り入れてみたら、毎日が少し楽になるかもしれないな」と、感じています。 次回は、「困難に負けない「折れない心」を育てるために、親ができること」で、「リフレーミング」スキルについてのお話です。 ■今回の記事の参考文献 『デンマークの親は子どもを褒めない~世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方~』 ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー/イーベン・ディシング・サンダール 著/鹿田昌美 訳/集英社 ¥1,500(税別) ジェシカ・ジョエル・アレキサンダーさん アメリカ人の作家、コラムニスト、文化研究者。デンマーク人と結婚して13年になり、常に文化の違いに強い関心を持ってきた。 イーベン・ディシング・サンダールさん ナラティブ・セラピーの認定療法士など資格を持ち、コペンハーゲン郊外で個人診療を行う。専門は家族と子どものカウンセリング。 翻訳者 鹿田昌美(しかた まさみ)さん 国際基督教大学卒業。訳書に「フランスの子どもは夜泣きをしないーパリ発『子育ての秘密―』(集英社)など多数。
2018年04月18日「怒り」そのものは、人間として、ごく自然な感情です。本質を知り、付き合い方を知っていればむやみに恐れるものではありません。そうは言っても毎日子どもを怒ってばかりという日々から抜け出したいと思っているママたち。 では怒りの感情を持ってしまったら、どうすれば抜け出すことができるのか、最終回の今回は、 アンガーマネジメントの手法を3つ ご紹介しましょう。NPO法人えじそんくらぶ代表の 高山恵子さん にお話しを伺いました。 ■「アイメッセージ」で、「怒り」から抜け出す 自分の中に怒りを感じ、「腹が立つ!」と言ったときは、 「私=怒り」 です。 「でも、『私は、怒りを感じている』と言うと、 『私=感じている』 となり、感情(怒り)から少し距離をおけます」 (高山先生) 自分と感情の間に距離ができて、少し冷静になったら、怒りの種である「第一の感情」を言葉にして、アイメッセージで伝えます。まず、 「私は」 と言い始めてください。次に「○○(思考)なので、 ●●(感情)です 」と続けます。これが、 アイメッセージ です。自分の思考や感情を比較的冷静に、具体的に伝えることができます。 ●アイメッセージに言い換える方法 「なんで、いつも遊びながらご飯を食べるの!」 (本当の気持ち:ご飯をモリモリ食べてくれなくて悲しい) ↓(言い換える) 「ママ、○○くんが遊びながらご飯を食べていると悲しいな」 (「ママは」「わたしは」を使うと、本当の感情が伝えられて、冷静な会話がなりたつ) 「不満を言うだけでは、単なる親子げんかです。けれど、『ママは』をつけて、自分の気持ちを言い表すと、『意見』になり、子どもと少し冷静に話すことができるようになります」(高山先生) ■「なんで」は失敗の原因を探る言葉 怒っているときに、つい口から飛び出てしまう 「なんで」 という言葉。「なんで」、は、 失敗の原因 を探る言葉です。物事の解決につながりにくく、子どもや自分への怒りを招きがちです。 このような後ろ向きの言葉が口ぐせになっている場合は、 「どうしたら」 を口癖にするように意識してみると良いかもしれません。「『どうしたら』は、物事を、 『次の成功』 に導くための、前向きな問いかけです」(高山先生) 「どうしたら」と結びつくのは、「できる」です。「どうしたら」と自問すれば、「できるかな?」と、前向きな言葉が自然に出てくるのです。 ■怒りの記録をつけてみよう 最後に長期的な視点にたった、怒りに対しての抜本的な方法をご紹介しましょう。それは、「イライラした」「腹が立った」「気持ちが落ち込んだ」といった出来事の記録である 「アンガー・ログ」 をつけること。ほんのメモ程度でかまいません <「アンガー・ログ」の5つのポイント> ①いつ、どこで? 自分が怒りやすい時間帯や、場所を見極めるための項目。日付だけでなく時間も書き、場所も具体的だとgood ②どんなことがあったか? 怒りを感じた場面を描写。感情は抜きにして、場面を描写することに徹します ③そのとき自分が思ったこと その時、自分が思ったことを素直に書き出します。自分で読み返すだけのものなので、人目を気にする必要はありません ④どんな感情を持ったか イライラした、怒り、失望・・など、感情の種類を書きます。 例)〈感情〉イラっとした ⑤怒りのレベル 感じた怒りがどのくらいか、ランク付けをします。ランクは目安を、前もって決めておきます 例)〈怒りのレベル〉5点くらいだから、レベル2 出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 <怒りのレベル例> 出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 ■「怒りのきっかけ」を減らすには 「アンガー・ログ」は、 自分の観察日記 です。書いたときには「怒るのは無理もない」と思ったことでも、あとで読むと「こんな些細なことで怒っていたのか」「このときに怒ったのは、第一次感情(※)が、こうだったからだ」など、気づくことがあるでしょう。 こんなふうに、アンガー・ログを読み解いていくと、自分の 怒りのパターン が見えてきます。「アンガー・ログから浮かび上がることのなかで、いちばん対策を立てやすいのが 『怒りのきっかけ』 です。きっかけを減らすと、行動も変えやすくなります」(高山先生) ※第一次感情とは 怒りの下に隠れている感情を、第一次感情といいます。第一次感情のなかには、「不安」や「悲しみ」といったマイナスの感情だけではなく、「希望」や「期待」などの前向きな感情もあります。 ●「怒りのきっかけ」を減らす例 例1) <自分の「怒り」の傾向> 疲れがたまった夕方や空腹時にイライラして子どもに怒りやすい <対策> 大切な仕事は午前中、少なくとも午後の早めには終わらせておく。夕方になったら軽食をとる 例2) <自分の「怒り」の傾向> ママ友が思ったようなリアクションをしてくれないとき、怒りやすい <対策> 「期待・希望」といった第一次感情が大きすぎる。無意識に自分の「期待・希望」が大きくなっていないかノートに書き出してみる 「『アンガー・ログ』で怒りの傾向がつかめたら、まずは改善策をひとつ決めて実行してみましょう」(高山先生) 「怒り」という感情は、価値観、いわば、「自分らしさの根っこ」に関わる問題と感じている人も多いでしょう。でも、自分が「価値観」だと思っていたことが、単なる 「思い込み」 の可能性もあります。「アンガー・ログ」を使って、「自分の考え方の癖」を意識してみるだけで、怒りを感じる回数は減っていくことでしょう。 喜怒哀楽という感情の中でも、とりわけ強いエネルギーを持つ「怒り」。この「怒り」のエネルギーに自身が振り回されないように、「怒りとの付き合い方」を知り、コントロールできるようになっていけると良いですね。 「ぜひ、ご自身に合った方法をみつけて、怒りと上手に付き合っていただきたいと思います。そして、みなさまのハッピーな時間が一秒でも長くなることを心から望んでいます」(高山先生) ■今回のお話を伺った高山恵子さんのご著書 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)¥1300円(税別) 高山恵子(たかやまけいこ)さん NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。 専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。 注意欠陥/多動性障害(以下、ADHD)の正しい理解の普及と、ADHDを持つ人々を支援し、ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体として「NPO法人えじそんくらぶ」を立ち上げる。 NPO法人えじそんくらぶ公式サイト: <イベント情報> 「成人ADHD等の理解と対応」 (2018年1月~6月/全6回・東京) 第1回 『アンガーマネジメント概論』怒りのメカニズムとクールダウンの方法を学び、自責・他責を減らしましょう。(2018年1月23日(火))
2018年01月17日いつも子どもにイライラしてしまう。どうして子どもに怒りをぶつけてしまうのだろう。そんな風に毎日怒っている自分に悩み、夜はひとり反省会をしてしまう。 そんなママのための怒りの応急処置を前回教えていただきました。今回は、 「怒り」のメカニズム について教えていただきます。じつは「怒り」自体は、人間ならだれもが持つ、ごく自然な感情なのです。「怒り」の本質を知れば、むやみな恐れは消えるはず! NPO法人えじそんくらぶ代表の 高山恵子さん にお話を伺いました。 ■「怒り」は、悪なの? 高山先生は、言います。 「怒りは、 単なる感情のひとつ で、危機や攻撃に対する、人間としての自然な反応です」 。人間にとって、もっとも根源的な怒りは、「自分を傷つけるものへの怒り」。ヒトが、「獲物をとる」か「獲物になる」しかなかった原始時代には、危険に立ち向かうために怒りのエネルギーを使ってきました。 怒りを感じると、意識しなくても、脈拍や呼吸が速くなります。これは、交感神経が働いているサインで、交感神経のスイッチが入ったために、自然に体が活動に備える状態になったからです。こんなふうに、怒りは、「生きるエネルギー」そのものであり、大切な身を守る手段でもあったのです。 でも、現代では野生の猛獣と戦ったり、必死で逃げたりすることはまずありません。私たちは怒りのエネルギーをムダ使いしてしまっていないでしょうか。 「現代では、怒りの扱い方に、工夫が必要ですよね。そこを、アンガーマネジメントという “技術”で補完 しましょう」(高山先生) ■怒りのもとにある本当の感情とは? ところで、怒りは一瞬で湧き上がると感じていませんか? じつはそうではないのです。「怒りのもとには、必ず タネとなる別の感情 が隠れています」(高山先生) この感情は、感じている時間が短い上に、すぐに頭は怒りでいっぱいになるため、キャッチするのがなかなか難しく、気づきにくい感情です。 たとえば、「子どもが思い通り動いてくれず、悲しい」「想定外のことが起こって、不安だ」…。こういった怒りのもとに隠れている感情を「第一次感情」といいます。 また、「第一次感情」には、「不安」や「悲しみ」といったマイナスの感情だけではなく、「希望」や「期待」などの前向きな感情もあります。そういった感情も、簡単に怒りに変わってしまうのです。 怒りが爆発しているときは、怒りと自分が一体化しています。6秒ルール※で応急手当をしたら、第一次感情に耳を澄ませてあげましょう。こんなふうに、怒りの本質を見つめられるようになってくると、怒りは、 「怖いもの」でない と感じられるのではないでしょうか? ※ 6秒ルール 怒りは6秒間でピークが治まってくるといわれています。このためこの6秒間を我慢すると、怒りを静めることができます。次のような応急手当を試してください。 ・おでこに手を当てて数を数える ・水を飲む ・深呼吸をする <怒りは意外なところからも生まれる> ●不安 「いやだ」という拒否感や、自分の心や体が脅かされそうな不安定感から生じる感情で、怒りと仲良しです。自分を守ろうとするために、怒りを呼び覚まします ●悲しみ 自分のことを理解してもらえなかった、がっかりしたといった悲しみからも怒りは生まれます ●期待・希望 「~したい」「~になって欲しい」という期待や希望には、欲があります。期待や希望がかなわなかった時に、自分の欲が満たされないことへの怒りが生まれやすいのです 出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 ■「怒らない」よりも「爆発させない」 怒りは自然な感情なので、 「怒らない」 ようにするのは、相当の力が必要です。怒りを、「ただ、我慢」しようとすると、怒りと我慢で二重にエネルギーを消耗し、ヘトヘトになってしまいます。 しかも、「怒るのを我慢している」ことが見てわかるぐらいなら、家族が感じるトゲトゲ感は、 「怒ったとき」とあまり変わりません 。こんなふうに、「ただ、我慢」するのは、消耗するわりに、良い効果はあまりえられないのです。 「怒りを無理にねじ伏せて『怒らない』ようにするのではなく、『爆発させない』方が大切です。そのために 堪忍袋 を上手につかいましょう」 (高山先生) ■堪忍袋を上手に使うポイント3つ 「堪忍袋を上手に使うためのキーワードは、『小さく』と『少なく』です」(高山先生) 堪忍袋の上手な使い方について、ポイントを整理してみました。 ●ポイント1 怒りを拾わない 人が生活をしていれば、怒りを起こす原因は、身の周りにたくさんあります。まずは、怒りを堪忍袋にいれないことが大切ことです。 「時間があるときに、『何が自分をイラっとさせ、怒りの原因になるのか?』を考えてみます。それがわかれば、拾わないように注意できますよね?」(高山先生) ●ポイント2 怒りを大きくしない 堪忍袋の中に怒りのかんしゃく玉が入ったとしても、数が増えず、怒りそのものが大きくならなければ、堪忍袋の緒が切れることはありません。 「長期的には、これからご紹介するアンガーマネジメントの手法を使って、怒りと上手に折り合っていく技術を身につけていきましょう」(高山先生) ●ポイント3 ガス抜きをする 「怒りを拾わない」「怒りを大きくしない」といったことができるようになると、心に余裕が出てきます。そこで、自分の好きなこと、たとえば、「アイドルのDVDを見る」、「大好きなスイーツを食べる」などして、ガス抜きができるようになれば、堪忍袋の中身は、ますます軽くなっていくことでしょう。 次回は、「もう『怒り』に振り回されない! イライラせずに子どもと向き合うには」です。アンガーマネジメントの具体的な手法を教えていただきます。 ■今回のお話を伺った高山恵子さんのご著書 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)¥1300円(税別) 高山恵子(たかやまけいこ)さん NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。 専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。 注意欠陥/多動性障害(以下、ADHD)の正しい理解の普及と、ADHDを持つ人々を支援し、ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体として「NPO法人えじそんくらぶ」を立ち上げる。 NPO法人えじそんくらぶ公式サイト: <イベント情報> 「成人ADHD等の理解と対応」 (2018年1月~6月/全6回・東京) 第1回 『アンガーマネジメント概論』怒りのメカニズムとクールダウンの方法を学び、自責・他責を減らしましょう。(2018年1月23日(火)))
2018年01月16日ママの毎日は、ある意味、戦い。子どもを 感情的に叱った あと、言いようのない後悔に苛まれる…。そんな経験は、どんなママでもしているはず。けれども、 「私って、毒親?」「これって、虐待?」 と、自分で、自分のことが不安になってしまうこともあるのではないでしょうか。 「まずお伝えしたいことは、 『怒りはあなた自身ではない』 ということです」と言うのは、NPO法人えじそんくらぶ代表の 高山恵子(たかやまけいこ)さん 。「怒り」との上手な付き合い方について、お話を伺いました。 高山恵子さん NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。 専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。 ■「アンガーマネジメント」という技術 「アンガーマネジメント」 という言葉を、聞いたことがありますか? アンガーマネジメントとは、心理学に基づいた怒りを扱う技術のことです。最近は教員採用試験にも出題されるなど、子どもと接するすべての大人にとって、必須な技術として注目を集めています。 じつは、怒りの感情が沸くことは、人間としてごく 自然なこと 。「『怒り』との付き合いで大切なのは、まず『怒りという感情』と 『あなた自身』 を分離することです」(高山さん) 「自分は、いま、怒っている」と、きちんと自分で気づいてあげること。そうすることで、「感情」と「あなた自身」は、少し分離されます。 ■怒りの応急処置は、「最初の6秒」がカギ アンガーマネジメントの第1歩は、 「自分は、いま、怒っている」 と気づき、「いま、ここにある怒り」を、それ以上大きくしないことです。サインが現れた段階で「怒り」に気がつくことができれば、それだけ早く爆発を防ぐための行動に移行ができます。 キーワードは、 「最初の6秒」 。「怒りのサインに気づいた最初の6秒間をどのように使うかが、アンガーマネジメントの重要なポイントです」(高山さん) この時点で「怒りのもと」を深追いするのはご法度! 「どうして、イヤばかり言うの?」「どうして、早くご飯を食べられないの?」。そんな怒りのもとを考え始めたら、炎に燃料をくべるようなものなのです。 <早く気がつこう! 怒りのサイン> ・呼吸が浅くなる ・頭が真っ白になる ・顔がカッと熱くなる ・動悸がする 出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 なぜ「最初の6秒」がカギになるのでしょうか? それは、怒りには、「アドレナリン」というホルモンが関係しているからです。 怒るとき、体の中では、「アドレナリン」が分泌されています。アドレナリンには体を活発にする作用があり、怒っているときには、まさに「火に油を注ぐ」ように怒りがエスカレートしていきます。 カチンときて、アドレナリンが分泌されても、6秒後にはそのピークは過ぎるといわれています。言い換えれば、怒りの応急処置法とは、「最初の6秒を、いかに上手にやりすごすのか?」の方法論を知っておくことなのです。 ■自分が怒っていると気がついたら 「最初の6秒」を、ただ、我慢するというのは、意外と難しいものです。そんなとき、物理的な「応急処置メニュー」を知っておくと便利です。「あ、ヤバいな!」と思ったら、それをパッと取り出しましょう。 <怒りの応急処置メニュー3つ> ●おでこに手を当てて数を数える 目の真上、おでこの少し出っ張った部分には前頭葉があります。前頭葉は感情を制御する脳。手を当てて血流の動きを促すことで、動きを活性化させます。 ●水を飲む 水は、火を消すもの。水を飲む時には、心の中で燃えている怒りの火を鎮めることをイメージします。水を飲むことで、脳の血流を改善する効果もあります。 ●深呼吸をする 吐く時間のほうが長くなるよう、4秒吸って、6秒かけて吐きます。息は鼻から吸って、口から吐きます。肺から体のすみずみに新しい空気がめぐるイメージです。 出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 ■怒ってしまった自分に声をかける また、自分で、自分に声をかけてあげることも有効です。「 言葉の力 は、思っているよりも強く、確かなものです」(高山先生) セリフトークは、短く簡潔に! 大切なのは、しっかりと何度も唱えることです。 もうひとつ。「『ママ、ちょっとあっちの部屋で休んでくるね』と、その場を離れることも効果的です」(高山先生) その場を離れたら、子どもへの「続きのお説教」を考えることはやめましょう。怒りの原因から心も離すことで、気持ちは切り替えやすくなります。 <怒りをしずめるセルフトーク例> ・落ち着いて。 ・私は大丈夫。 ・コントロールできる。 出典: 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)より抜粋 次回は、「また子どもを怒鳴ってしまった…。『怒り』をぶつけてしまう本当の理由」です。怒りのメカニズムについて教えていただきます。 ■今回のお話を伺った高山恵子さんのご著書 『イライラしない、怒らない ADHDのためのアンガーマネジメント』 (高山恵子監修/講談社)¥1300円(税別) 高山恵子(たかやまけいこ)さん NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所 所長。臨床心理士。薬剤師。 専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。 注意欠陥/多動性障害(以下、ADHD)の正しい理解の普及と、ADHDを持つ人々を支援し、ADHDを障害としてクローズアップするのではなく、豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体として「NPO法人えじそんくらぶ」を立ち上げる。 NPO法人えじそんくらぶ公式サイト: <イベント情報> 「成人ADHD等の理解と対応」 (2018年1月~6月/全6回・東京) 第1回 『アンガーマネジメント概論』怒りのメカニズムとクールダウンの方法を学び、自責・他責を減らしましょう。(2018年1月23日(火)))
2018年01月15日「社会がこれだけ多様性に富んだものになっている今、ひとつの型に子どもたちを押し込めるのは子どもの『生きる力』を削ぐだけでしょう」と教育評論家の尾木ママこと 尾木直樹さん 。「一人ひとりが自分の個性に気づくようにと向けていくのが本来の教育です」と言うのは脳科学者の 茂木健一郎さん 。 日本の教育が世界から大きく取り残されていく中、「教育とは何か?」というテーマでお二人が対談。2020年の センター試験廃止 までに「親たちが知っておくべきこと」に迫ります。 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (尾木直樹(著)、茂木健一郎(著)/中央公論新社) ※本書に収録されている対談は、2017年に法政大学女子高等学校で行われた公開対談「これからの学び・これからの学校」と、単行本『おぎ・もぎ対談「個」育て論』(2013年9月青灯社刊)に掲載された対談です。 ■偏差値が「学びのアレルギー」を引き起こす 茂木 :僕がTwitterでこんなふうに怒ったことがあったんです。「予備校の偏差値表、 『この偏差値だと、この大学』 とか書いてある、あんな表を学校に貼るな! 子どもの心の傷害罪で訴えてやる!」と。そうしたら、みんなが喜んでいます。喜ぶということは、内心みんな思っているということでしょう? 尾木 :ひどいです! 大学名と学部名を聞いて、「ああ、偏差値あのくらいだから、俺より低い、高い」なんて瞬時に判断を下すようになっているのですから。 茂木 :子どもたちは、まずいご飯をたくさん食べさせられて、「もう食べたくない」という状況なんじゃないかと思います。おなかが空いたら食べますよね? 子どもたちの脳が、どうでもいい情報をたくさん入れられて、もういっぱい、いっぱいになっちゃっている。アレルギーを起こしているのかな? 「学びのアレルギー」 。 尾木 :ああっ。「学びのアレルギー」ね。それはすごく的確な表現だなぁ。 ■この子にとって「何」が一番大事なのか? 尾木 :僕が現場の教師だった頃は、「今、この子にとって何が大事か? どうするのがいいのか?」と考えて、真正面からぶつかっていきました。それが僕の教育実践スタイルだったの。 茂木 :尾木先生みたいな先生がもっとたくさんいたら、日本の子どもは救われるのにね。 尾木 :おもしろいとは思いますよ~。 茂木 :おもしろいし、子どもたちも、親御さんも、救われるんじゃないかなぁ。 尾木 :僕は、今のこの日本の現状を、どう突破するかということが一番気になりますね。 茂木 :教育について「 理想の教育システム とは何か?」といった「議論」はよく聞きます。でも、僕が思うのは、「じゃあ、その理想の教育システムって、いつできるんですか? 10年後、20年後ですか?」ということです。 いまの子どもたちは、「理想の教育システム」ではない教育を受けているという現実があります。この瞬間に、 目の前にいる子ども を救えなかったら、意味がないと思ってしまう んです。 教育って常に、「管理」とか「標準化」との闘いなのかもしれませんね。そういうシステムからはみ出したところを教員や親をはじめ、大人がもう少しフォローしてあげる。やろうと思えばできるはずですからね。 尾木 :ええ、本当に。 茂木 :たとえば、尾木先生がある生徒に岩波新書を毎週読めと指示した、というのは良い例だと思うんです。いまの管理主義的な教育が続いたとしても、その中でも工夫はできる。周囲の大人が、その子の個性をしっかり認めているよということを伝えればいいんです。 たとえば、先生が通知表を渡す際などに、「これは、本当は違うんだよ」と言えばよい。「いまの入試制度が変わらない限り、『あなたの偏差値はここかな』という話はしなければいけないけれども、 どこの学校に行ったって、一生懸命やれば大丈夫なんだよ、偏差値で 人の価値 が変わるわけじゃないんだよ 」ということを、本人の長所とともに伝える。そういうことを言ってあげれば、それで救われることがきっとあるはずです 尾木 :簡単にできますよ。そこは、個人の裁量、工夫の範囲ですから。そういう大人の姿勢が大切だと思います。 ●尾木先生の教員時代のエピソード 教員時代に、一人やたら優れた子がいたのです。「この子はすごいわ、能力を伸ばさなきゃ」と思って、1週間に一冊、岩波新書を読みなさいって言ったのです。それで、何を読んだかを全部報告させたのです(中略) やっぱり、高いレベルの学びや世界に挑戦していく、視野を広げていくというリードをこの子にはしてやらないと、変な天狗、井の中の蛙で終わっちゃうと思いました。彼にはもっと高い峰に立ってほしかった。 出典: 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (尾木直樹 茂木健一郎/中公新書ラクレ)より抜粋 ■お父さんの教育観、お母さんの教育観 茂木 :昔はお父さんお母さんに、学校が偏差値とか言っていたって、そんなのうちは関係ない! っていう強さがあった。 尾木 :それぞれの家庭が生活に根ざした 独自の伝統的な価値観 を持っていたんですよね。いまは、まるで逆です。学校の価値観の中に同心円状に各家庭がストンとはまってしまっている。むしろ、家庭の方が求めている。 茂木 :昔の人の伝記を読んでいると、 お父さんの教育観、お母さんの教育観 とかがすごく感じられますよね。本当はそこがすごく大事なのかもしれない。教育再生には。 ■ブレない親の「個」教育が個性を伸ばす 尾木 :内心ではみなさんそれぞれに結構思っていることがあっても、なかなか言い出せないだけなのかもしれないですね。 茂木 :それを、どんどん、言っていけばいいんじゃないのかな。僕が見ていると、意外と、 強い親 に育てられた子どもって大丈夫な子どもが多い気がします。 尾木 :たしかにその通りだと思います。子どもの個性―すぐれた面も気になるところも、かくれた才能も含めて―を一番的確につかんでいるのは、何といっても親御さんなんですから。 すべての子どもたちが、本当に伸び伸びと自分の持ち味を生かしながらどこまでも成長していくためには、 「個別」教育 が最適ですよね。個性を伸ばそう、寄り添って成長をサポートしよう、そういう発想と姿勢を意識的に強く持たないと、一斉主義や集団的指導・教育の甘言にまどわされ、巻き込まれてしまうように感じています。 ■「挑戦する脳」を作るためにママができること 尾木 :2020年には、大学入試改革を中心に据えた抜本的な 教育改革 が行われます。戦後7度目の改革ながら、ここまで大がかりな改革は初めて。でも、そこまでしなければならないほど、日本の教育はどうにもならない状況に来ているのです。 茂木 :まずは、ママたちが『当たり前』や『常識』をうのみにせず、 自分のフィルター を一度通して考えてみることです。それは自分自身の思考や感覚に対する肯定でもあります。 いかがでしたか? 「挑戦する脳」を作るために、いま、ママができること。それは、まずママ自身が、あふれる情報や「常識」を妄信せず、自分の頭で考えてみることのように私は感じました。 ■今回取材にご協力頂いた“尾木ママ”こと尾木直樹さんと、脳科学者の茂木健一郎さんの共著 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (中公新書ラクレ) 尾木直樹 著 茂木健一郎 /中央公論新社 ¥780(税別) 尾木直樹さん プロフィール “尾木ママ”の愛称で親しまれる教育評論家、法政大学特任教授。「子育てと教育は“愛とロマン”」をモットーに、22年間中学・高校でユニークで創造的な教育実践を展開。その後大学教員に転身して22年、合計44年間教壇に立つ。現在は講演会活動、メディア出演、執筆活動など幅広く活躍中 尾木ママ オフィシャルブログ: 茂木健一郎さん プロフィール 脳科学者、作家、ブロードキャスター。東京大学理学部、法学部卒業後、ケンブリッジ大学を経てソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。「一リットルの脳の中に、現実も、夢も、宇宙も、すべてある」と。 茂木健一郎 オフィシャルブログ:
2017年12月14日「子どもの やる気、主体性 を尊重したほうが、教育は良い結果が出ることが多いのです」と言うのは、教育評論家の尾木ママこと 尾木直樹さん 。一方で、「子ども達の学ぶことに対する感動や好奇心が、どうしてここまで下がってしまっているのか」と、危惧する脳科学者の 茂木健一郎さん 。 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (尾木直樹(著)、茂木健一郎(著)/中央公論新社) ※本書に収録されている対談は、2017年に法政大学女子高等学校で行われた公開対談「これからの学び・これからの学校」と、単行本『おぎ・もぎ対談「個」育て論』(2013年9月青灯社刊)に掲載された対談です。 そんなお二人が出版した本 『教育とは何?』 の中では、子どもの 「生きる力」 についてもお話されています。子どもの「やる気」や「主体性」。ママにとって、関心の高いキーワードなのではないでしょうか? ■なぜ子どもたちは「学ぶ意欲」を失ったのか 茂木 :大学で教えていて、「どうしてこんなにやる気を失っている子が多いのか」と、強い危機感を感じています。僕は、それを「学力低下」だとか、「偏差値が●●の学校の生徒だからそうなのだ」みたいないい方で説明するのは、根本的に間違っていると思うのです。 尾木 :僕も大学で教えていて、 学ぶ意欲 を失った大学生が増えていることが、とても気になっていました。おそらく、中高時代に知的な学びにおけるドキドキ感をあんまり味わったことがないのではないかと思うのです。学ぶことによって、世界がパッと広がるような感じ、あの感覚、知的興奮を知らないのでしょうね。 茂木 :本来、 すべての子どもには、 知的好奇心 があって、目を輝かせていたはず なんです。けれども、日本の教育を受けているどこかで、そういう心を殺されてしまった…。だから、彼らはある意味、「被害者」なんだと僕は思っています。 ■子どもの“好き”を応援して では、子どものやる気にスイッチを入れるために、ママたちはどうすれば良いのでしょう? 尾木 :まずは、わが子のことをよく観察して、その子の興味・関心があるものを見つけ出してあげることが大切です。 以前、体操の内村航平選手のお母様に直接話を伺ったことがあるのですが、もともとご両親はサッカーか野球をやらせたかったそうです。でも、彼はそちら方面にあまり関心を示さなかった。トランポリンが好きで、跳ねたり回ったりするのに夢中になっていたから、誕生日にトランポリンを買ってあげた。 そういうところから、どんどん体操にはまっていたそうです。お母様の話を聞いて、他人との比較ではなく、その子の自己決定を尊重し、大人が“個”に寄り沿うことで、子どもの力は無限に伸びていくのだと実感しました。 ■松岡修造さんは「がんばれ」という言葉が嫌い? 尾木 :また、元テニスプレーヤーでスポーツキャスターの松岡修造さんと対談させていただいたときのこと。修造さんが、「僕、 『がんばれ』 という言葉が一番嫌いなんですよ」と切りだされたので驚きました。 「でも、いつも『がんばれ』と声をかけているじゃないですか」と言うと、「僕は自分からがんばれと言ったことは一度もないのです。本人が自分で『がんばる』と言ったときだけ、『だったらがんばれ』と言っているんです」とおっしゃった。これは、ものすごく本質をついた言葉です。 錦織圭くんや萩野公介くんといった、若くして世界レベルで活躍しているトップアスリートたちの話を聞いても、自分が興味を持ったことを、自分でしっかり考えてやっていく中で、確実に成果を出しているのです。 ■子どもの「生きる力」を育てるために 茂木 :脳科学者として言いたいのは、一人ひとりの子どもの中に、必ず 「個性」 はあるということです。その個性を、それぞれに見いだすようにしていかなければならない。いまの教育ではそれを見いだす機会を与えられていません。一人ひとりが自分の個性に気づくようにと向けていくのが本来の教育です。 尾木 :日本では 「一斉指導」 ばかりを重視して、ちょっとでも基準からはみ出す子は白い目で見たり、排除したりしがちです。でも、大人が一方的に枠を与えそのなかで競わせていては、子どもたちの可能性を狭めることにしかなりません。 これだけ多様性に富んだ社会になっている今、一つの型に子どもたちを押し込めるなんてナンセンス。そんなの、子どもの「生きる力」を削ぐだけでしょう。そうではなく 一人一人の多様な個性を尊重すれば、子どもたちは大人の想像を超えてどんどん成長していく はずです。 次回は、「2020年の大学入試改革までに、親が知っておくべきこと」です。 ■今回取材にご協力いただいた“尾木ママ”こと尾木直樹さんと、脳科学者の茂木健一郎さんの共著 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (中公新書ラクレ) 尾木直樹 著 茂木健一郎 /中央公論新社 ¥780(税別) 尾木直樹さん プロフィール “尾木ママ”の愛称で親しまれる教育評論家、法政大学特任教授。「子育てと教育は“愛とロマン”」をモットーに、22年間中学・高校でユニークで創造的な教育実践を展開。その後大学教員に転身して22年、合計44年間教壇に立つ。現在は講演会活動、メディア出演、執筆活動など幅広く活躍中 尾木ママ オフィシャルブログ: 茂木健一郎さん プロフィール 脳科学者、作家、ブロードキャスター。東京大学理学部、法学部卒業後、ケンブリッジ大学を経てソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。「一リットルの脳の中に、現実も、夢も、宇宙も、すべてある」と。 茂木健一郎 オフィシャルブログ:
2017年12月13日「海老蔵さんは東大には入れませんが、ハーバード大なら合格できるかもしれません」と言うのは、脳科学者の 茂木健一郎さん 。偏差値に重きを置く日本の教育に 強い危機感 をお持ちです。 一方で、教育評論家の尾木ママこと 尾木直樹さん は「茂木先生が感じていらっしゃる日本の教育の『おかしさ』とその分析の的確さに驚嘆しました」と、おっしゃいます。 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (尾木直樹(著)、茂木健一郎(著)/中央公論新社) ※本書に収録されている対談は、2017年に法政大学女子高等学校で行われた公開対談「これからの学び・これからの学校」と、単行本『おぎ・もぎ対談「個」育て論』(2013年9月青灯社刊)に掲載された対談です。 そんなお二人が、日本の偏差値教育、日本の教育の未来について語った対談をまとめた『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』を出版されました。お二人の教育論、偏差値システムの問題点、そして親が家庭で何をすべきかについて、本の内容をご紹介します。 ■「挑戦する脳」は、本来だれにでもある 「挑戦する脳」 。このキーワード、ちょっと、気になりませんか? もし、物事に意欲的に取り組める脳、いわば挑戦する脳があるのなら、その育て方を知りたいものです。 茂木さん (以下、茂木):人間は生まれると、やがてハイハイしたり、立ったりする。あれは、全部、挑戦です。人間は、子どものときからずっと挑戦をしています。挑戦する能力、すなわち 「挑戦する脳」 は、本来だれにでもあるものです。 それを「挑戦しない脳」にしてしまうものは何か? それをしっかり考えてみる必要があります。僕は、その理由のひとつに 偏差値に重きを置く「日本の教育システム」 があると考えています。 尾木さん (以下、尾木):日本の教育の癌(がん)とも言える偏差値主義について、日本人はもっと現実を直視しなければなりませんね。 茂木 :たとえばアメリカの入試には、偏差値の概念はありません。歌舞伎役者の市川海老蔵さんは、僕に「日本の教科書は、読んだことがない」と豪語されていました(笑)。彼は日本の最難関、東京大学には入れないでしょう。 けれども、ハーバード大学なら、彼を合格させると思いますよ。彼は歌舞伎役者としては超一流ですからね。この違いが 日本の教育が抱えている問題点 を浮き彫りにしていると思います。 ■マジメに終わっている日本の教育 偏差値って、そんなに悪いもの!? ママ世代にとっては、「偏差値をあげるために勉強をする」というのは、ごくあたり前の感覚。すぐにはピン!ときませんが…。 尾木 :僕は、何年も前から著書などで、日本の学校や教育現場は『博物館』『化石』だと言ってきました。日本の教育が世界の流れから取り残されて、20年近く経つのではないでしょうか? マジメな話として、今の 日本の教育は終わっています 。 茂木 :そもそも、人間の能力はいろんなとがり方があります。たとえば役者としてとがっている人と、学者としてとがっている人は、とがっている部分がまったく違います。 こんなふうに、本来、いろいろな方向に向いている人の能力は、比べられるものではないんです。つまり 「偏差値」 というモノサシだけでは、 人間を評価する方法 としてはまったく足りない のです。 ■「探究科」を新設して進学校になった堀川の奇跡 「人間の能力は、偏差値というモノサシでははかれない」と言われても、現実問題として、わが子は偏差値で評価されています。そうではない学校なんて、あるのでしょうか? 尾木 :実際に「結果を出した」という意味では、京都の市立高校である堀川高校のお話は、説得力があるかもしれませんね。 堀川高校で「探究科」を新設したところ、1期生が卒業した2001年には、国公立大学の現役合格者数が106人になりました。その前年は6人だったので、「堀川の奇跡」とも言われました。 その後、京都大学にも毎年30人台の合格者が出るようになり、堀川高校は京都の公立高校ではトップと言えるような進学校になっていきました。「探究」というのは、社会や身近な生活の中から生徒自ら課題を見つけ出し、実験や調査などをもとに論文をまとめ発表するという授業活動です。 たとえば、琵琶湖の水を浄化するにはどうすればいいかといった調査研究を3年間続けてそれを卒論にまとめます。生徒が100人いれば100通りの探究がなされ、それを先生がサポートする。先生だけでは指導しきれないので、京都大学の大学院生などがアシスタントに入ります。 ■「受験勉強」をするために必要なもの 偏差値主義ではない学校で、しかも受験に直接、役に立たなさそうなことをして、なぜ難関の京都大学に合格できるのでしょうか? 尾木 :受験勉強の土台に、「この学校で、これを学びたい!」という強い想いがあるんです。自分なりの探求を続けているうちに、「京大の○○先生の研究室に行きたい」「東大の○○先生のゼミに入りたい」というような目標を持つことになり、生徒はその目標達成のためにがんばります。 偏差値の高さや有名大学かどうかではなく、自分の内側から沸いてくる強いモチベーションがあれば、何とかなるものなんです。この例からもわかるように、 子どものやる気、主体性 を尊重したほうが、教育というのは良い結果が出ることが多い ものです。 次回は、子どもの「やる気」や「主体性」について考えます。 ■今回取材にご協力いただいた“尾木ママ”こと尾木直樹さんと、脳科学者の茂木健一郎さんの共著 『教育とは何?-日本のエリートはニセモノか』 (中公新書ラクレ) 尾木直樹 著 茂木健一郎 /中央公論新社 ¥780(税別) 尾木直樹さん プロフィール “尾木ママ”の愛称で親しまれる教育評論家、法政大学特任教授。「子育てと教育は“愛とロマン”」をモットーに、22年間中学・高校でユニークで創造的な教育実践を展開。その後大学教員に転身して22年、合計44年間教壇に立つ。現在は講演会活動、メディア出演、執筆活動など幅広く活躍中 尾木ママ オフィシャルブログ: 茂木健一郎さん プロフィール 脳科学者、作家、ブロードキャスター。東京大学理学部、法学部卒業後、ケンブリッジ大学を経てソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。「一リットルの脳の中に、現実も、夢も、宇宙も、すべてある」と。 茂木健一郎 オフィシャルブログ:
2017年12月12日「このままでは、日本は将来 メシが食えない大人 を量産してしまうのでは?」という危機感から花まる学習会を始めた高濱正伸さん。 息子を「メシが食えない大人」にしないための方法を教えていただきます。今回は「男の子ならでは!」の、とりわけ身につけさせたい生活習慣についてお話を伺います。 ■子育ての最終目標とは 突然ですが、子育ての最終目標とは、何でしょうか? それは、親元から離れ、ひとりで 自立して生きていく手段 (=仕事に就く能力)を身につけさせてあげることでしょう。ゆくゆくは自分の力で仕事を見つけ、自立してほしい、というのが親の共通した願いのはずです。 そのために、今回は、「子ども時代にどんな習慣を身につけさせ、どんな経験をさせることが必要か」について考えてみます。「子どもに必要な生活習慣」のベーシックな部分は、次のとおりです。 ※高濱さんの考える「自分の力で生きていくために必要な 幼児期からの習慣 」 その1 休みの日も「遅起き」しない その2 「休まない体力」が必要 その3 「なにくそ」と思える根性 その4 「やったぁ!」という達成感 その5 「これだけは負けない」ものをひとつ身に着ける これに加えて、男の子なら身に着けてほしい「プラスαの力」を高濱さんに教えていただきました。 ■男の子の「運動コンプレックス」は危険!? 「幼少期における運動コンプレックスを、甘くみてはいけません」(高濱さん)。とくに男の子が、このコンプレックスを持ってしまうのは危険です。「 ひきこもってしまった子 たちのなかで、『運動が苦手でした』というケースはたしかに多かったからです」(高濱さん)。 【息子の運動嫌いを克服させるコツ】 運動コンプレックスは、運動でこそ克服できます。たとえば、水泳は、太っている、やせているということは関係ありませんし、何といっても「級システム」がいいのです。細かく級が上がるので、「五級に上がったよ」と、ひとつひとつをお母さんに報告できます。 また、作法がはっきりある「武道」系はすべてよいでしょう。とくに、察してもらいたがるタイプが多い、 長男の悩み には効きます。武道系は、声を出すことで、はっきり発言できるようになるので、目を見て言いたいことを言う能力を養うのに最適です。 ■ケンカを回避しすぎると、社会で渡り合えない? 男の子は、 「何回ガツガツと他人とぶつかり合えたか」で、「人としての 幅の広さ 」が決まってくる ところがあります。 「目の前のケンカを回避・除菌したくなるのが、ママとしての気持ちでしょうが、それを避けすぎても健全ではありません。男の子は、本能として オス同士で張り合うもの なのです」(高濱さん)。 【自信のある男の子を育てるコツ】 息子が、友だちとケンカをしているのを「傍観」するのは、ママにとって身を引きちぎられるような気持ちです。でも、高濱さんは言います。「ママには、『あとあと、この子は魅力的になるぞ~』というおおらかな視点が、ある意味必要なのです」 ●ケンカもあるけれど、でも、「みんなと一緒にいたほうが楽しい」という経験 ●つらかったし悲しかったけど、「いまはもう大丈夫」という経験 ●ちょっと厳しい課題だったけれど、「自分で乗り越えたもんね」という体験 「僕は、社会と渡りあえる」と思わせてくれるひとつひとつの経験が、幅の広い、分厚い自信をつくりあげていくのです。 ■失敗に「めげない子」を育てるには 逆境、失敗、敗北、がんばったけれどうまくいかない…。人生には、何度もそういう場面が訪れます。「そういう場面での、自分のイヤな気持ちを プラスへコントロール するためには、経験値が必要でしょう」(高濱さん)。 事あるごとにいちいち、めげたりしょげたりしていては、生きていけません。また、逃げ癖や負け癖が身についてしまって、何事もあきらめて、投げ出してばかりの人は魅力的ではありませんよね。 【簡単にめげない男の子を育てるコツ】 「簡単にめげない子を育てる秘訣(ひけつ)は、物事を 『事件化しないこと』 だと思います」(高濱さん)。 子どもがめげてしまう裏には、かわいいわが子だからこそ「事件化して、親がしょげたり、怒ったりしている」という背景があるのかもしれません。 逆説的にいえば、「めげない子」をつくるためには、「そういうこともある!」と、ひとつひとつの出来事をいちいち事件化しないという形で親が子どもに状況を提示してあげる必要があります。 「見渡してみても、強くてめげない人の基礎には、『いちいち事件化しない姿勢』『いろいろなことがあるけれど、乗り越えてきた』という経験が必ずあるものなのです」(高濱先生) ■優秀な男の子には落とし穴があった! 「思いやり」は、なまじっか「優秀」と称賛されて生きてきた男に多い 落とし穴 のひとつです。自分ではちっとも思いやりがないとは思っていない。とくに、男子校でずっと育った場合は、必要に迫られないのでわからない部分かもしれません。 「頭だけよくて論理的に優れていても、それは 「嫌みな人」 というだけで、世の中ではまったく通用しないのです」(高濱さん) 【思いやりのある男の子に育てるコツ】 「『思いやり』というのは、思いやり体験をたくさんしていないと、育たない部分です」(高濱さん)。 思いやり体験とは、「他者性」と言い換えてもいいでしょう。思いやりを持てる人になるためには、自分とは違う 立場の人たち 、感性の異なる人たちへの想像力が必要なのです。 幼児期においては、違う主張や考えを持った、異学年や異性や立場の異なる子どもたちとたくさん遊び、交流する経験こそが重要です。 「女はすぐ泣くんだもん」などと言いながらも一緒に遊ぶことが大切ですし、女の子が捕まえられずにいた虫をさっと捕まえられた、などの小さなことでも、女子から「えーすごい!」と本気で言われたり、心から「ありがとう」と言われたりすることを体験していくことで、だれかにまた「思いやり」を届けることができるようになります。 このような 「ミニもて経験」 こそ、大人になったときに、魅力として出てくる部分です。 いかがでしたか? 記事を書きながら筆者が思ったことは、「『息子を育てること』が、to doリスト化していたなぁ」ということです。毎日の生活を回すために、「コレ、して」「アレ、して」と、to doリストを消すかのごとく、息子に接していました。 でも、高濱さんに男の子の「特性」を教えていただいたことで、その接し方が、息子の「男の子としての本質」からいかにずれていたか! それをつくづく実感しました。 これからは、「いまの困った」は、「将来、有望男子になる芽」であることをイメージして、ゆったりした気持ちで子育てしていきたいです。 【自立できる男の子の育てるため まとめ】 ● 運動コンプレックス を甘く見ない ひきこもってしまった子たちの多くは、「運動が苦手」だった。 ●ママはケンカを回避・除菌しすぎない 社会と渡りあえる大人に育てるには、 ケンカの経験 も必要。それが、幅の広い、分厚い自信をつくりあげる。 ●ママは物事を 事件化しない 事あるごとにいちいち、めげたりしょげたりしていては、生きていけない。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年12月07日男の子は、「ママとはまったく違う生き物」。男の子の特徴を知ることで、「何で!?」「どうして?」というママたちの気持ちを、「これは男の子の特徴なんだ」と納得モードに切り替えることができます。 ママから見ると、ため息をつきたくなる行動ばかりだけれど、そんな男の子の特徴を知って、接し方を少し工夫するだけで、ママは随分と楽になることでしょう。お話を伺ったのは、花まる学習会代表の 高濱正伸さん です。 ■行動が遅い男の子は「個性」で認めない 男の子の「行動が遅い」というパターンには、2種類の意味があります。それぞれ別問題なので、別個の話としていくつかの事例を使ってご紹介しましょう。 ①「ひとつひとつの行動が遅い」場合 例)朝、洋服を着替えるのに時間がかかるという男の子 【ママの接し方のコツ】 「個性」だと認めず 、根気よく声かけを 「ひとつひとつの行動スピードは、ある程度までは上げないといけません。美意識からではなくて、『現代の厳しさ』という意味からです」(高濱さん)。 高濱さんは言います。「近年の教育で間違っていたことのひとつは、なんでも『個性』で認めすぎてしまったところです」。 たとえば、「ごはんを食べるのが遅い子もいます」と多少認めることは問題ありませんが、それも程度問題。あんまり遅いと、その子が社会に出たときに苦労します。 現代の日本社会で働いていくためには、「トロい人は正直困る」というのが、みんなの共通感覚でしょう。基本的に、子どもに対しては 「 テキパキできる のがカッコいいよね」というスタンスで、根気強く声掛けをしてあげることが大切です。 ②動作への「取りかかりが遅い」場合 例)朝起きて、洋服に着替えるのになかなか取りかからない男の子 【ママの接し方のコツ】 言葉だけでなく、体をさわりながら指示を 「早く、洋服着替えてね」と言っているのに、「は~い」と返事をするもののパジャマのままブロック遊びをしている…。これが 「取りかかりが遅い」 ということです。 「やっていることがおもしろいとやめられないのが、男の子の特徴です。男の子には、何歳になってもそういう側面があります」(高濱さん)。高濱さんの経験では、口だけの指示でなく、肩でも頭でも さわりながら指示 すると、声かけが体に入っていきやすいようです。 ■「字をきちんと書く病」の男の子は伸び悩む!? 「平均して、男の子のほうが字は汚くなりがちです」(高濱さん)。でも、低学年時代にママが「この子、字が汚いんです」と言うときは、「常にいつもきれいに書いてほしい」というママの想いが強すぎる、という事例がほとんどだそう。 学校に入ってしまうと、学校の様子をママが垣間見るのは、連絡帳やノートからだけ。だからとくに低学年時代は、子どもにガミガミ言ってしまいがちなのだとか。 【ママの接し方のコツ】 ママの意識こそ変えるべき 「男の子に対しては、字は書くべきときに書ければよいと割り切ってください」(高濱さん)。 たとえば、年賀状や硬筆の時間などの、ちゃんと書くべきときにきれいに書くことができていれば充分。かえって高濱さんが 「きちんと病」 と呼んでいる状態に陥ってしまう方が怖いそうです。 「きちんと病」とは、ノートをきれいに書くことばかりに神経を使ってしまい伸び悩みに繋がること。これは、「最初の子」かつ「男の子」の場合に多くあるそう。 もちろん、汚い字が良いということではないですが、「字がきれいでもまったく頭に入っていないのでは本末転倒。 「必要なときにきれいな字を書ける、頭の回転が速い子」 に育てたいもの。「ここは、 お母さんの意識 こそを変えるべき項目です」(高濱さん)。 ■男の子が「汚いこと」に悲鳴をあげるママへ 「信じられない!」。ママの悲鳴が聞こえるほど、男の子は「 ママが汚い と思うこと」をまったく気にしません。上着に泥がついていても平気。膝が破けたズボンを次の日も学校にはいていこうとする。これは、「男の子ある、ある」なのでは?! 【ママの接し方のコツ】 思春期までは目くじらを立てずに見守る 男の子は、「危ないから!」と思うようなことも平気でやります。男の子にとっては、怪我は挑戦の勲章なのです。 『風邪をひくから、汗をかいたら着替えなさい』の感覚もわからないのです。「俺、風邪なんてひかないし」と思っています。一説には、男の子は女の子より皮膚感覚が鈍感ということもあるようです。 思春期に入って、「「身だしなみ」という言葉がわかるようになるまでは、あまり目くじら立てずに、大らかでいてください」(高濱さん)。 ここまで書いてきて、「男の子を育てるには、やっぱり度量が求められるのねぇ」と、筆者はため息のひとつもつきたくなりました(涙)。でも、次はステキな話ですよ! ■男の子は「お母さんのことが世界で一番好き」 男の子は、ママたちが自分で意識している以上に、 「母への忠誠心」 を持っています。「お母さんが喜ぶならなんでもしたい」と思っているのです。つまり、お母さんは、男の子にとっての 「女神」 なのです。 「女神を崇拝している、その中心には『ご飯』があります」(高濱さん)。 昔から言われていることですが、男の子(男)は「胃袋をつかむ」ことが大切なのです。また、いつでも自分の身の回りのことを心配してくれている人という意味でも、ママは男の子にとって一番大切な存在。どんなときでも「おなか空いてないかな? 寒くないかな?」と、息子のことをイメージできるママは男の子にとって、 唯一無二の味方 なのです。 この記事を書いている筆者の実感として、男の子と女の子、両方の性別の子どもがいるママ友たちは口をそろえて、「男の子の方が、かわいい!」と、言います。 子どもが全員男の子の私は、「男子の子育て、これだけ大変なのに?」と、そんなママたちの意見が長らく謎でした。けれども、「お母さんは、男の子にとっての『女神』なのです」という一言で、謎が少し解明された気分になりました。 男の子を育てることは、かなり大変! でも、男の子の「ママへの想いは世界一!」そう思えたら、「がんばろう!」という気持ちになれそうです。 次回は、「ママの『いま困った』が、将来“自立できる男の子”の芽となる?」です。小学校3年生までに身につけたい生活習慣(男の子編)を教わります。 【男の子を育てる上でママの意識改革が必要なこと】 ●行動が遅い 「ひとつひとつの行動が遅い」場合と動作への「取りかかりが遅い」場合では 対応方法が異なる 。 ●字が汚い ノートをきれいに書くことばかりに神経を使う子は 伸び悩み に繋がる。必要なときにきれいな字を書けるればいいと、ママの意識こそ変えるべき。 ●汚いことを気にしない ケガもなく無事なら、ママは目くじらを立てない ●お母さんのことが世界で一番好き 男の子は、「お母さんが喜ぶならなんでもしたい」と思っている。ママは男の子にとっての「女神」だった。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年12月06日息子を 「メシが食える大人」 に育てるために大切なことは、「男の子は、自分とはまったく違う生き物だと思うこと」。そうすることで、「男であることの芽」を摘まずにすみます。では、男の子の特徴って、何ですか? 花まる学習会代表の 高濱正伸さん に、子育てで大切な時期にあたる 3歳から10歳まで の「男の子」の特徴を5つ教えてもらいました。 ■男の子は「何度言っても片付けができない」 「『脱いだ靴下は、ここ』と、男の子に何度言っても無駄なんです」と、高濱さん。ママたちにまず知って欲しいことは、幼児期の大きな特徴は、 振り返りが苦手 だということ。 そもそも、自分の行動を振り返ることや反省という概念そのものが、幼児にはありません。いま、いま、いま、と「いま」を生きていて、次々と新しくて面白いことをやりたいのが幼児なのです。 【ママの接し方のコツ】 どんなことでも 「新しいゲーム」 として提示しよう 片付けを「ゲーム」にしてしまいます。「さぁ、これから時計の長い針が6にいくまでに、どれだけきれいになるでしょう? よーい、スタート!」 「ママが洗濯物をいれるのと、まーちゃんが全部おもちゃを片付けるの、どっちが早いか競争ね!」 こんなふうに、どんなことでも「新しいゲーム」であり、 「前向きなもの」 として提示します。 ■男の子とは「好きなことしかやらない生き物」 「子どもが一生懸命やることは、二つしかありません」(高濱さん)。それは「生活のなかで 必然性 があること」か、「 おもしろい こと」です。 「おもしろいこと」を一生懸命やるのはわかりますが、“必然性”というのはどういう意味なのでしょうか? たとえば「自分がこのお茶わんを運ばないと、家族みんなが食事をはじめられないと思うと、手伝いたい気持ちになるし、一生懸命やります」(高濱さん) 【ママの接し方のコツ】 ママは女優になって、ワクワクする声かけを このとき、の接し方の一番のポイントは、 “強制”のニオイ がしないこと。少しでも強制のニオイがしたら、もうNGです。「でも、それだったらお茶わん運びなんてお手伝い、うちの子は絶対にやらないです」という声が聞こえてきそう。 じつは、これは大人側の力量・芸風の問題でもあります。前述の片付けと同じように、遊びとして提案すると成功する可能性は大! 「子どもがワクワクするような声かけ」を極めるのは、ママの技量。「どう声がけすれば、この子は動くかな?」。そう考える「間」が、「何で片付けられないの!?」と、キーっとなっているママのテンションを少し下げてくれるかもしれませね。それだけでも十分、意味があるのかも…(笑)。 ■男の子にとって、冒険やスリルは「カッコいい」 「うちの子は、何をしでかすか、わからない」。男の子のママの中には、そんな不安と隣合わせで毎日を送っている人も多いでしょう。(じつは筆者もそうです)。 「男の子同士では、危険なことをした人間は“株が上がる”のです」(高濱さん)。男の子は「冒険」というだけで、大概、なんでも好きになるし、わくわくするものです。なぜかはわかりませんが、 リスクやスリルは 「カッコいい」 という気がする のです。「危ないことが、『何でこんなに好きなのかなぁ』と、女性ならだれもが不思議に思うくらい好きなものなのです」(高濱さん)。 【ママの接し方のコツ】 これが「男」という生き物だと受け入れるべし ママは、男の子とは理由もなく 危険を愛する「生き物」 と、受け入れるしかなさそうです。 なぜなら高濱さん(現在、50代後半)ですら、たとえば、いま、座っている椅子を座りながらどこまで傾けたら倒れるか、試したい気持ちが常に「ある」そう。「笑ってしまうと思いますが、これが男の子(男)なんです」(高濱さん) ■勝ち負けにこだわる男の子の将来は? 「家族でトランプをしていても、負けると最後は泣き出すので困る、というママもいるでしょう」(高濱さん)。「はい、それは、うちの息子です!」と思わず筆者も手を挙げたくなりました。 わが家の3人の息子は、毎日が「勝った」「負けた」のケンカで明け暮れています。女親の私は、「よく、毎日、勝ち負けにこだわれますね」と思ってしまいます。でも、本人たちにとっては、「勝ち負け=プライドの問題」のようなのです。 【ママの接し方のコツ】 将来有望?! ドンと構えて見守ろう じつは、「勝負事に負けて泣けるような子、また、この負けず嫌いの傾向は、将来有望な証でもあります。勉強面で、 『自分がわかったか、わからなかったか』や『目の前の一問』にこだわれる子が多いので、 伸びる可能性 が高い のです」(高濱さん)。 こちらも将来をイメージしながら、ゆったりした気持ち(諦め?)で見てあげるのが良さそうですね ■男の子は「品のないことが大好き」 高濱さんが、花まる学習会のサマースクールで、小学校1~3年生の班を担当したときのこと。「男の子たちは、1日の9割は、品のないことを言っていました」(高濱さん)。1日の9割ですか! 【ママの接し方のコツ】 それが男という生き物、と傍観せよ 「『下ネタ』だったり『笑われること』を言えたり、やったりする方が勝ちというのは、まさに 男の文化 です」(高濱さん)。 これまた、ママたちにはまったくわからない領域の話ですね。「 男には『カッコつけないほうがカッコいい』『どっちが恥ずかしいことを言えるか』」というように、 『品の悪さ』で勝負 しているところがある んです」(高濱さん)。 「へぇ、そうなんですね」と、ママはへぇボタンを押しつつ、心のメモ帳にメモしておきましょうか。 次回は、「ママ泣かせの『男の子あるある』。でもママの意識こそ変えるべきだった!?」です。「ダラダラ」「グズグズ」と、行動が遅い男子への接し方のコツです。 【男の子の特徴】 ●何度言っても忘れる 片付けができない “いま”を生きる男の子 は、新しくて面白いことをやりたい。 ●好きなことしかやらない 男の子がやるのは、「生活のなかで 必然性 があること」か、「 おもしろい こと」。 ●冒険やスリルが好き 男の子とは理由もなく 危険を愛する「生き物」 。ママは、そうなんだ、と受け入れるしかない。 ●勝ち負けにこだわる 勝負事に負けて泣けるような子は、 将来有望 。 ●品のないこと好き 男の子は、「 カッコつけない ほうがカッコいい」で勝負している。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年12月05日「どうして、うちの子はこうなの?」。男子を3人育てている筆者は、毎日、そんな気分で暮らしています。そんな「少しあせり気味のママたちに、聞いて欲しい話がある」というのは、花まる学習会代表の 高濱正伸さん 。3歳児から10歳まで、大事な時期の 「男の子」の育て方 について、じっくりお話を伺いました。 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ■「メシが食えない大人」が量産されている 「この国は 『メシが食えない大人』 を量産しているのではないか?」そんな痛切な問題意識が花まる学習会の出発点だったと高濱さんは言います。20年以上前、高濱さんは予備校の先生として18、19歳の大学受験生を教えていて、「はたしてこの子たちは、将来、メシが食えるのか?」と、本気で心配になったそうです。 高濱さんは、企業の人事担当者と話すことも多く、その人たちは異口同音に「いいと思う子は、みんな女の子なんですよ」と言っているそう。ムムム! これは男子母としては聞き捨てならないセリフです。 男子の何がいけないのでしょうか? 「 男の子はたたかれると、ボキっと折れてすぐに会社を辞めてしまう 子が多いんですよ」(高濱さん)。そうなんですか! 息子が将来、社会で食いっぱぐれてしまっては困ります。 ■折れやすい男子に共通していること 「何かあるとポキッと折れてしまう男子に共通しているのは、 『鍛えられていない』 こと。ガツンと言ってくれる大人に出会えずに育ってしまったというのが問題です」(高濱さん)。 ノウハウ重視で、表面上はわかったふりをしているけれども、本質的な厳しさや我慢を知らず、根性が身についていないそうです。 「いる、いる」「ある、ある」。わが子を棚に上げて(しまいこんで!?)、社会で見かけた、あの人、この人の顔を思い浮かべるママも多いのでは? 息子が将来そうならないために、いま、ママができることは何なのでしょうか? 「もともと男の子というのは、自分とは まったく違う生き物 であり、さっぱりわからないし、ママの女性らしい感覚は共有できない。これを共通認識として持っていて欲しいのです」(高濱さん)。つまりは、「ママの理解の範疇」で息子を育てようとすると、それは、真綿でくるまれた「ヤワな男の始まり」だということなのですね! ■ママには息子は理解できない? 「男の子ってわからない!」。これは高濱さんが教室や講演会場で、お母さんたちからよく聞くセリフだそうです。男の子を育てている筆者にしても、「男の子のことなんて、ちっとも、わかりたくもない!」という気分になる日が多々あります。 「そもそも『男と女』は物事の考え方に大きな違いがあって、根本のところではわかりあえないもの。くわえて、男の子は『子ども』でもあるので、 『異性&子ども』 のダブルパンチです。ママは、わからなさすぎて、イライラしてしまうことも多いのでしょう」(高濱さん) ママの感覚で息子を理解しようするから、「何で?」「どうして!」という怒りばかりが沸いてくるけれど、「自分とはまったく違う生き物である」。そう思うことができれば、気持ちの距離ができて、少しは心の余裕が生まれるのかもしれません。 それでは、男の子とは、どんな「生き物」なのでしょうか? 高濱さんに、より具体的に教えていただきましょう。 ■男の子に「じっとして!」は絶対無理 高濱さんは、「子育てに悩むママたちにこれはぜひ教えてあげたい!」と思うことがあるそうです。たとえば、 「高校生以降伸びるタイプの子は、小さい頃は 生命エネルギー にあふれていて、落ち着きがなかった」 ということ。 「男の子に対して、『いい加減に じっとしていて! 』は絶対無理! と肝に銘じるべきです。何かおもしろいことをしたいし、興味のままに動く」のが男の子。身体が大きくなって、ママと体格が同じくらいになれば、うそのように落ち着くものです。「たいていの男の子は、『振り返ったら同じところにもういないもの』と思って育ててください」(高濱さん)。 高濱さんに、男の子に「じっとして!」は絶対無理と言われると、「うちの子だけじゃないんだ!」と、筆者はものすごくホッとしました。 次回は、「息子が『何をしでかすかわからない!』不安と隣り合わせのママへ」です。「男の子の特徴」をあげてもらいつつ、それに対しての対応策を教えていただきます。 【男の子とは?】 ●ママとは まったく違う生き物 ママの女性らしい感覚は共有できない。 ●男の子に「 じっとして!」は絶対無理 男の子は、「振り返ったら同じところにもういないもの」。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年12月04日娘にはすてきなパートナーと出会い、幸せな家庭を築いてほしいと思うママは多いことでしょう。「仕事でも家庭生活でもキーワードとなるのが、 『魅力』 です。魅力的であることは、『自立』(※)の次のステップとして重要なのです」と言うのは、花まる学習会代表の高濱正伸さん。 では、魅力とは何なのでしょうか? かわいがられる女性の魅力について、お話を伺いました。 ※高濱さんの考える「自分の力で生きていくために必要な幼児期からの習慣」 その1 休みの日も「遅起き」しない その2 女の子だって「休まない体力」が必要 その3 女の子にも「なにくそ」と思える根性 その4 「やったぁ!」という達成感 その5 「これだけは負けない」ものをひとつ身に着ける ■魅力があるからこそ、次のステップにいける 高濱さんが使っている「魅力」という言葉は、「まわりから好かれる=かわいがられる」という意味です。この場合の「かわいがられる」とは見た目の「かわいさ」ではなく、 「この人と仕事がしたい」 と思ってもらったり、「あの子、こっちの部に異動して欲しいな」などと、自分より年長で責任ある人から認められて、引っ張られる、引きたてられるという意味です。 「 人と人とのつながり で人は生きていて、社会が構成されている以上、『目上の人が引きたてて認めてくれて』のくり返しで、人は成長していくのです」 (高濱さん) ■魅力のベースは、「愛されてきた自信」 「魅力にはたくさんの項目がありますが、まず、魅力論のベースに来るのは、 『愛されて育った人』 に共通する、伸びやかなオーラです」(高濱さん) 「お母さん・お父さんは、私のこと、大好きだもんね」という、愛されてきた自信は、 絶対の自己肯定感 を育んでくれると高濱さんはいいます。 この自信は、人生を生き抜くうえで、そして人と対峙していくうえで、どんなに助けになってくれることでしょう。逆にこのベースがない女性は、本当にちょっとしたことでやる気や自身を失いがちになります。 ポイントは、「その子その子の成長を、 認めてあげること 」。そのための親の態度として幼少期に大切なことをひとつあげると、「比較して評価しない」ことだといいます。次の「OKワード」「NGワード」を参考に、声がけを具体的に変えていくことから始めてみてもいいですね。 <高濱さんの考えるOKワード・NGワード> ●OKワード 「あなたのいいところは〇〇ね」 「前より〇〇ができるようになったね」 そして、ほほえみやうなずき。 (ほめるのが苦手なママは、ちょっとしたほほえみやうなずきだけでもOKです。子どもは認められたことを敏感に感じとります) ●NGワード 「弟ができているのに、なんであなたはできないの!」 「隣のAちゃんはもう字が書けるんだって」 「うちの子、まだ〇〇ができないのよ(世間話で)」 ■うまくいかないことを人のせいにしない 「品というのは、育ちから生まれるものなのでしょう」と、高濱さん。立ち居振る舞いや、節目、節目のちょっとした行動に、品のよさは現れます。高濱さんが一緒に働いている女性は、みな品のよい方たちだそうです。 「そんな女性たちの共通項は、 愚痴と人の悪口は言わない ことです」(高濱さん)。 彼女たちは、人の落ち度を責める態度は一切見せないそうです。何かあった際も、あくまで自分の落ち度として報告してくるといいます。 人間とは不完全な生き物です。そういう 自分の弱さを直視 できるからこそ、人の至らなさや弱さも許し、最終的には「自分が至らなかったんだ」という考えをもてるのでしょう。 人生において、うまくいかない局面は多くあります。そのうまくいかないことを人のせいにすること自体を、恥ずかしいと思う矜持があるということです。こういう女性は、絶対的に信頼できます。 「 人のせいにした瞬間に失うもの があるのです。それが『品』なのです」 (高濱さん) ■素直な気持ちが伸びていく秘訣(ひけつ) 高濱さんは、「他人からの指摘に対して、『そうかな』と思って、素直に受け入れることができる人は伸びます」といいます。人からの指摘というのは、基本的には苦いものです。でもそれを受け止めて、自分を変えられるかどうかが重要なのです。 素直さを別の言葉でいうと、「 世界に対する肯定的な見方 を身につけていること」ともいえます。「これを子育てに置き換えて何が大事かというと、幼少期には、 ポジティブな言葉 をまわりが言い続けていることが重要なのです」(高濱さん)。 子どもは、周囲を見て育ちます。素直な姿勢も、人への敬意も、親の態度から学びます。ここで気をつけたいのは、ママが陥りやすい落とし穴。それは、「愚痴」です。女性同士では愚痴の言いあいが、世間話のひとつのようになっている場合もあります。「せめて、子どもの前では愚痴を言わないでください」(高濱さん)。 ■「漏れなく、きちんと」は最強の女の武器 「女性と一緒に仕事をしていくなかで、大きな魅力のひとつとして感じるのは、 『漏れのなさ』 や 『きちんと全部やる』 という能力です」(高濱さん) いわゆる清楚(せいそ)な良妻賢母に求められる「きちんと」ではなく、女性本来の性質としての「きちんと」を母娘間で継承していくと、社会に出てからも重宝されます。 「ときどきいるお姫様体質の子や天才型の女の子はさておき、女の子が10人いれば、7人は『きちんと』ができる芽があると思います」(高濱さん)。 女の子の子育てにおいては、 「きちんと」できたこと を認めてほめてあげましょう。「その『きちんと』は将来、全部同時にやり遂げる 『マルチタスク能力』 として、わが子の大きな武器になります」(高濱さん)。 ■「おしゃれ」は気持ちの負け組にならない 「おしゃれ」と言うと、「なんだ、そんな表面的なこと」と思うかもしれません。もちろん、娘がおしゃればかりにかまけていたら、ママとしては心配でしょうから、何事もバランスが必要ではあります。ですが高濱さんは、 「幼児期から思春期にかけて、外見に関して、気持ちの面で 負け組 にまわらないでほしいと思います」 といいます。 高濱さんによると、「不思議なことに、外見の服のセンスは、その家の文化が母娘間で伝承することが多いように感じます。身なりに興味がないママは、娘がオシャレをしはじめると、得てして非難したりしますが、それは確実に コンプレックスを植え付ける ことになります」。 「娘さんの魅力をぜひ口に出してほめてほしいあげてください」(高濱さん)。「あなたは目がいいよね」「髪の毛がサラサラですてき」というように。どんな子にも魅力的なところがあるはずですから! いかがでしたでしょうか? 高濱さんが教育現場での20年を経て、ご自身の目で見て実感していることをお伝えいただきました。「『そうそう』もしくは、『そうかなぁ?』と、いろんな感想があるかと思います。 この記事を書きながら、「女の子には、多くのプラスの言葉がけが大事なんだな」と感じました。筆者には、3人の男の子がいますが、日頃、「女の子のママたちは、まじめでがんばり屋の方が多いなぁ」と感じています。反対に言えば、プラスの言葉がけを意識していれば、少し抜けていても大丈夫なのかもしれません。女の子のママたちが少しでも肩の力を抜けるキッカケに本連載がなれたらうれしいです。 ママがいきいきと日々を過ごすことこそが、子どもにとって何よりも人生の指針となることを信じて! 【娘を愛され女子に育てるコツ】 ● 「ママに愛されている」 が自信になる お母さん・お父さんは、私のこと、大好きだもんね」という、愛されてきた自信は、絶対の自己肯定感を育んでくれる。 ●「 他人のせい にするのは恥ずかしい」と思う矜持 品のある女性たちの共通項は、愚痴と人の悪口は言わないこと。 ● 素直な気持ち が伸びていく秘訣 素直さを別の言葉でいうと、「世界に対する肯定的な見方を身につけていること」。幼少期には、ポジティブな言葉をまわりが言い続けていることが重要となる。 ● 「漏れなく、きちんと」 は最強の女の武器 女性本来の性質としての「きちんと」を母娘間で継承していくと、社会に出てからも重宝される。 ●見た目で負けないように応援する 幼児期から思春期にかけて、外見に関して、気持ちの面で負け組にまわらない。 娘の魅力は口に出して ほめる。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。
2017年11月30日「これからの時代、たとえ女の子であろうとも自力で 『一生メシを食える』 大人に育てる必要があります」。そう語るのは、花まる学習会代表の 高濱正伸さん 。 将来、仕事を持ち、自分の力で生きていくためには、幼児期にどんな習慣を身につけさせる必要があるのでしょうか? 小学校3年生までに 育てたい力 について、高濱先生に伺いました。 ■休みの日も「遅起き」は許さない 幼児期に身につけさせたい生活習慣とは、何なのでしょうか? 「生活習慣の一番目の項目は、 『早寝早起き』 です。精神的な強さにつながる一歩目です。社会人だったら毎日、早起きし続けられる人は信頼できます」(高濱さん) 「そんな当たり前のこと!?」そう拍子抜けした方も、いらっしゃるかもしれませんね。けれども、不登校やひきこもりの子たちも多く預かったことがある高濱さんにとって、ここは「まずお伝えしたい最初の要」なのだといいます。 ネットやゲームなどで昼夜逆転の生活を送るようになると、子どもたちは、ちょっと頭が痛いとか、眠いとかで「今日、無理かも。学校を休もう」という発想をしてしまいがちになります。 「 幼少期において、親が気をつけるべきは、『休みのときくらい』という軽い気持ちで 『遅起き』を許さない ということです」(高濱さん) ■女の子だって「休まない体力」が必要 「私が知るかぎり、社会で活躍している女性で、休みが多い人は見たことがありません」(高濱さん)。体力といってもプロのアスリートのような最大級の体力ではなく、 「基本的に休まない」 という基礎体力のことです。 さらに具体的に言うと、「脚力」が基礎となります。たとえば、東大生は意外と1500m走のタイムが良いとか。これは何につながるかというと、 「粘り強さ」 です。頭がいいといわれる人でも、基礎体力、粘り強さという意味での体力は必須項目なのです。 とりわけ都会で育つ子は要注意! 「意識して、外遊び、体を動かす機会を設ける必要があります」(高濱さん) ■いじめられても、女の子にも「なにくそ」根性を 高濱さんは、「 『なにくそ』と思える子 を育てないといけない」といいます。働くうえでは、この精神的な力があるかないかで、任された仕事をやり遂げられるかが決まります。つらくても、そんな自分をコントロールできる力が必要なのです。「やってらんないわよ」と逃げ続けていても、何にもなりません。 「試練や逆境などの 『もめごと』経験 が、どれほど子どもの『こやし』になるかを、私たち大人は考え直さなければなりません」 (高濱さん)。 つらい経験があり、それを克服した経験こそが、子どもが社会に巣立ったときに必要なのです。学校や近所でも、トラブルは日常茶飯事であり、それに対処していくことが、生きていくということです。 「子どもには、いじめられないようにと教えるのではなく、 いじめられてもはねのける精神力 を身につけられるよう、支えたいものです。支えるという意味では、たくさんの成功体験で自己像を大きくしておくことが重要です」(高濱さん)。 どんなにつらい状況に陥っても、「私は、大丈夫! がんばれる!」と思える子どもに育てることが、親にできる最大の“支え”なのかもしれませんね。 ■「遊び尽くす」で得られる達成感が自信につながる 「『遊び尽くしたこと』と『がまんの経験をしたこと』。幼少期におけるこのふたつの経験が、 『達成感の経験値』 を上げます。」 (高濱さん) まずは「遊び」について。熱中して「遊び尽くす」ことは、幼児期にこそできる貴重な体験です。「逆に言えば、没頭して熱中する経験は、幼児期では、『遊び』以外では絶対にないでしょう」(高濱さん) たとえば、積み木で「どの高さまで積もう?」と考えたなら、自分で何度も挑戦する時間が必要です。「自分で決めるから、やり遂げようと思うのです。ここに『遊びの原点』『情熱の原点』があります。『いつまでやっているの!』と怒られるくらい没頭するのが良いのです」(高濱さん) ただし、いわゆる電子ゲームはNGです。一方で、「がまんの経験」も、「達成感を得る経験」としては必須だと高濱さんはいいます。 人生においては、何度も苦しいときがやってきます。そのときにがまんしてそれを自分の力で乗り越える経験が足りないと、人は折れやすくなってしまいます。 「『あのときがんばって乗り越えられたから、いま、苦しくても、きっとこの先にはまた新しい世界があるんだろう』と思えることが重要です」(高濱さん) ■「これだけは負けない」ものをひとつ持たせる 「これは、親御さんにとって大きな課題です。子育ての中で、わが子に 『これだけは負けない』 と思えるものを、たったひとつでもいいので身につけさせてあげること。それができれば、子どもは自分の人生を活き活きと生きていけるでしょう」(高濱さん) 得意技は中学・高校で変わっても大丈夫! そして、簡単なことで良いのです。マンガやイラストを描くのが上手、話が面白い、水泳が得意…。「クラスのなかで一番」というレベルで構いません。 「足場があることが重要なのです。子ども同士の関係で 『すごいね』と称賛される瞬間 があることこそが重要なのです」(高濱さん) 親が幼少期にできることは、子どもが興味を持ったことを 否定しないこと です。もしかしたら、それは将来につながるダイヤモンドの原石かもしれないのだから。 いかがでしたか? 子どもが男の子であっても、女の子であっても、子育ての基本方針として再度、確認したいことばかりだったのではないでしょうか。 【小学校3年生までに育てたい5つの力】 ①休みのときも 「早寝早起き」 。「遅起き」は許さない。 「早起き」ができない人は、社会人になっても、どこかで「つらい」「無理」と言い出す。 ②女の子だって 「休まない体力」 は必要 女性だからといって仕事をしていれば甘えは許されない。「いざ」というときに乗り切る体力を。 ③女の子にも 「なにくそ」根性 を。 この精神力があれば、任された仕事をやり遂げることができる。 ④ 「やったぁ!」の達成感 が自信を生む 遊び尽くすことで最後までやり遂げる経験を味わえる。 ⑤ 「ここだけは負けない」 ものをひとつ身につけさせる それができれば、自分の人生を活き活きと生きていける 次回は、「娘を「愛され女子」に育てるためにママができること」です。 女の子がすてきなパートナーと出会い、幸せな家庭を築くために必要な「魅力」について考えます。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年11月29日ママにとって、娘は同性。「だから、わかる!」という思い込みを、いったん横に置いておいて、 「女の子という生き物」 について知ってみませんか? 「『娘にイライラしてしまう』というママは、すごく多いんです」とおっしゃるのは、花まる学習会代表の高濱正伸さん。娘に対して客観的な視点を持つことが、母娘関係の風穴になるかもしれません。 前回、女の子の特徴として「ママがモデル(お手本)」と伺いました。引き続き、女子の特徴について、高濱先生に解説していただきましょう。 ■女の子はナンバーワンよりオンリーワン 「男の子が群れの一番をめざす生き物であるのに比べて、女の子はだれかにとって 自分がオンリーワン であれば満足する生き物なのだと思います」(高濱さん)。 たとえば、花まる学習会のサマースクールという野外体験では、夕飯時や寝るときに、ホームシックになる子がいます。男子は、やせがまんで何とか乗り切るか、ポロポロ泣いて、疲れ果てたら眠る。 一方、女の子は、同じホームシックになっても、そのおさまり方がまったく違うそう。「リーダーに 『特別扱い』 されると、あっという間に落ち着いてしまうのです」(高濱さん) 【ママの接し方のコツ】 女の子はお姫様扱いせよ! 野外体験のホームシック対策で、高濱さんがよくするのは、「お姫様作戦」。 まず、「ねぇ、星空を見に行かない?」と、ほかの子がいない空間に誘い出します。そして、「ほら見てごらん、星がきれいだね」「○○ちゃん、がんばれって、応援しているんだよ」とお姫様を扱うかのように言うと、あっという間に泣き止むのだそうです。 「目の前の人が『自分の気持ちをくんでくれて』 『自分のためだけに』 何かをしてくれたら、女の子は、それで心が満たされるのです」(高濱さん)。 お姉ちゃんが下の子に嫉妬していじわるをする…なんていうパターンでは、この「特別扱い」は効きそうですね。 ■女の子は「あなたのことを思っている」で納得する 高濱さんが受け持っている教室で、先日、「作文が書けない」「絶対に書かない」と泣き叫ぶ小学校2年生のSちゃんという女の子がいました。キーっとヒステリックになり、廊下まで響き渡るほどの声で、意地になって泣いています。 そんなときは、高濱さんの出番です。高濱さんは、こんなとき、慌てず「今日は勝負だな」と覚悟を決めて、徹底して時間をかけます。「女の子は 『とことん心配してくれる』 という、相手の熱い気持ちに反応するからです」(高濱さん) 【ママの接し方のコツ】 ヒステリーには感情で納得させよ 「作文なんて書かない。もう帰る!」と泣きさけぶSちゃんに対して、高濱さんは静かに語りかけました。 「Sの将来のことを考えたら、とてもこのままでは帰せない。「書かない」ということは簡単だけれど、この先、「もういやだな」と思うことはもっとたくさんある。それを全部「やりたくない」って逃げてしまったら、「Sさんはいつもすぐ諦めるから」って言われてしまうよ。先生、がんばり屋さんのSがそんなふうに言われちゃうのは我慢できないんだ」 こんなふうに「いかにあなたのことを思っているのか」ということをラブコールのように伝えると、だんだん泣き止みはじめ、しばらくすると、Sちゃんはカリカリと作文を書き始めたそうです。 男の子が「理屈で説得」すれば納得するのに比べて、女の子は 「感情」 で納得します。「『感情』が納得し、満足すれば、力を発揮し、目の前のことに取り組めるのが女の子です」。(高濱さん) ■女の子は「いじわるして、いじわるされて」しぶとく育つ 「女の子のいじめは小さな頃から 精神的な圧迫合戦 です」(高濱さん)。男の子は精神的な圧迫をかけるという発想もなければ、そんな考え方に触れることもないまま、一生を終えるのではないかと思います。基本的に、男の子はケンカ、女の子はイジメになりやすいようです。 人生を語っている本には、みな一様に「人間は何がきついかというと、みんなに無視されることである」と書いてあります。学校へ行っても、グループのみんなに無視されるなど、自分が存在していないかのように振る舞われることほど、つらいものはないのです。女の子は、人にとって何が一番きついか、幼くして知っているから神経戦をしかけて、だれかを孤立させようとするのでしょう。 【ママの接し方のコツ】 いじわるされたら「生き抜く練習」と思え! 「いじわるで しぶとく育つ 女かな」 という句は、女の子独特の特性をまさに言いえています。 女の子のいじめは、グループ内で順繰りに回ったりします。これは、男の子にはあまりありません。「次は私にいじめが回ってくるかも」と思いながら、同調圧力をかけあう女子たち。「これを小さいころから経験しているからこそ、社会人になってからも、ちょっとやそっとのことには負けず、本当に しぶとく生き抜ける のは女の子なのです」(高濱さん)。 娘がいじわるをされているとなれば、ママとしては生きた心地がしません。でも、そんなとき、「しぶとく生き抜く練習をしている」と思えたら、ママの胆力につながるかもしれません。 ■女の子は「これ、かわいいね」で友だちができる 男の子の判断基準が「おもしろい」「カッコいい」であることに対して、女の子の判断基準は、何歳になっても、「かわいい」「きれい」「わかる」だとか。「 『共感そのもの』 を食して生きているのが女の子、女性なのでしょう」(高濱さん)。 男の高濱さんからすれば、「よくそんなことを共感できるな」と思うことを共感しあっていて、それこそが「女性ワールドなんだなぁ」と思っているそうです。 【ママの接し方のコツ】 ほめると仲良くなれる基本をマスターせよ 高濱さんは小学校1年生の女の子から教えてもらった、あるひと言が忘れられません。それは、「あのね、 『これ、かわいいね』とほめると、友達ができる んだよ」。ほとんど金言に近い言葉だったと高濱さんは感慨深げに言います。 「女の子同士の仲良くなる基本が『見せて~』であり、『かわいい!』であり、『きれ~い!』であり、『わかるぅ~』なのでしょう」(高濱さん)。 娘といえども、女同士。こんな「ミニ知識」をママが意識的に使えると、「いざ!」というときに威力を発揮するかもしれません。 ■女の子の「よい子でありたい」美学を理解する 「女の子は、いわゆる『よい子』を演じようとします。「『しっかりとした美学』があり、 『恥』という概念 を獲得するのが早いのでしょう」(高濱さん)。 男の子のように下品なことを言って笑いを取ろうとしたり、枠をはずしてみせたりすることはほとんどしません。「あの子は変だ」、「あの子は馬鹿だ」と思われるのがイヤなのです。 だから、たとえば、「マルつけのときにこっそり間違いを消して書き直す子」「ほかの子の方が先に解けるとなると『やらない』と言い出す子」「間違っても『わかりません』とは言わない子」などが出てくるそうです。 【ママの接し方のコツ】 繰り返し問題意識を改善せよ 親としては「たくさん間違うから頭がよくなるんだよ」「できなかったことをできるようにするのが勉強だよ」など繰り返し指導して意識改善をしていく必要があります。 けれども、「恥をさらせる男の子に比べて、『よい子でありたい』という気持ちは、女の子特有だなぁと日々感じています」(高濱さん)。 「「なんでかな よい子でいたい 私なの」 という句は、まさに女の子の心情を表しています。「女の子は、そういう生き物なんだ」という気持ちの余裕を持てるといいですね。 いかがでしたか? 高濱さんに「女の子という生き物」を解説してもらうと、「たしかに、それってあるなぁ」と、筆者自身もわが身を省みて思うことだらけでした。この知識は、娘との関係の上ではもちろん、ママ友、そして、自分自身と付き合う上で役に立ちそうです。 【女の子ってこんな生き物】 ●女の子にとって ママはモデル (お手本) 娘の口調がママと同じになっている。 ●ナンバーワンより オンリーワン 目の前の人が『自分のために』何かしてくれたら心が満たされる。 ● 感情 で納得する 女の子は「とことんまで心配してくれる」相手の熱い気持ちに反応する。 ●いじわるをする/いじめが神経戦 いじわるな世界を生き抜いてきた分、女の子は社会人になってからも、 しぶとく生き抜ける 。 ●「かわいい」「きれい」「わかる」が基準 「これ、かわいいね」 で友達をつくっていくのが女の子。 ● 「よい子」 であろうとする 「あの子は変、馬鹿だ」と思われるのが女の子はイヤ。 次回は、「将来を生き抜くために、小3までに身につけたい5つの力」です。 これからの時代、たとえ女の子であろうとも自力で『一生メシを食える』大人に育てるために必要なことについて伺います。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年11月28日「娘にイライラしてしまう」 。「花まる学習会」代表の 高濱正伸さん に寄せられる相談でもっとも多いのは、母と娘の関係性の悩みだそうです。そこには、もしかしたら同性同士だからこそ気がつかない落とし穴があるのかもしれません。 そんな「イライラしてしまうママたちに聞いて欲しい話がある」と高濱さんはおっしゃいます。 女の子とは一体どんな生き物なのでしょう? ママたちも知っているようで知らなかった 女の子の特徴 と、小学校3年生までの 「女の子」の育て方 についてお話を伺いました。 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ■娘とうまくいっていない母の特徴とは? 「自分とうまくいっていない娘のことを話すママは、一様に顔の相が悪いんです。ため息まじりに、はき捨てるように娘のことを話す様子は、息子のことを語るママにはまったくない特徴です」(高濱さん)。 娘の方もわざわざ母親がイライラするようなことを言うのです。たとえば、 「お母さんだって、口だけじゃん」 「その服、似合わないね」「買い物、失敗したんじゃない」 いったいなぜ、こんな関係になってしまうのでしょうか? ●ママも知らない!? 「女の子という生き物」 自分と同性である娘は、ママにとって「自分と同じ」だから「わかる」と思いがち。でも、その思い込み、距離感こそが、問題なのかもしれません。 まずは、高濱さんに「女の子とは、こんな生き物だ!」ということを教えてもらいます。娘を少し客観的に見ることで、母子の関係性の「風通し」が良くなることでしょう。また、ママの中の 「女の子」を客観視 することで、ママ自身を知ることにも繋がるのではないでしょうか? ■女の子にとって母は「お手本」 「男の子にとって、母は『女神』であり、その愛が自信の源であるのに比べて、女の子にとっての母は『 モデル(お手本) だなぁ』とつくづく思います」(高濱さん) ある朝のこと。高濱さんは家の近くで小学校へ向かう、登校班を見かけました。班長は女の子だったのですが、ふざけて歩いている男の子に向かって口をすっぱくして言っていたのが、このセリフ。 「何回言えばわかるの?」 「白線をはみださないでって、言っているでしょ!」 まるで、その子のお母さんのような口ぶり。「きっとこの子のママも、まったく同じ言い方をするのだろうなぁと思いました」(高濱さん) 娘の口調が、「怒っているときの自分」にそっくりでヒヤっとしたこと、ありませんか? それこそが、女の子にとってママが「モデル=お手本」という証明なのだと思います。 ■母の時代とは異なる「いい男」観 「いくらとり繕おうとしても、わが子の前では隠せません。子育ての場面では、 ママのいままでの 人生観 がすべて出てしまうのです 」(高濱さん) 娘にとって、ママが「モデル=お手本」だと言われてしまうと、相当プレッシャーですよね。さらに、時代が激変しているいま、ママ世代の価値観だけで娘を育てていて本当に大丈夫なのかな? という不安もあるでしょう。 たとえば大きな流れとして、今後は当然のように、女性も一生仕事を続ける時代がやってきます。産休後の仕事復帰タイミングも、どんどん早まっていくかもしれません。 また、 「いい男」観 もどんどん変化しています。ママたちの時代は、「いい男=経済力のある男」でしたが、これからの女性が男性に求めているのは、経済力だけでない+αの「思いやり」「共感力」「会話力」…。 「この連載を通じて、どんな潮流にもわが子が対応できるように『 一生メシが食える 』かつ『 いいパートナー を見つけられる』女性に育てる方法を考えてみましょう」(高濱さん) 次回は、「女の子特有の『いじわる』。娘がされたら、ママはどうすればいい?」です。 ■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書 『お母さんのための『女の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) ●こちらもあわせてどうぞ! 『お母さんのための『男の子』の育て方』 (高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別) 高濱正伸さん 花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。 ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。 花まる学習会公式サイト: <Google Play Awards 2017>のKids部門ファイナリストに選出された 思考センス育成教材アプリ 「Think!Think!」 (iOS/Android対応/無料) 「Think!Think!」は、空間認識・平面図形などの問題をとおして、思考センスを育む教材アプリです。子どものヤル気スイッチ! をONにする「わかった!」という成功体験を引き出すゲームが満載。開発したのは、世界算数・算数オリンピックの問題作成を行う東大卒問題作成チーム、「花まる学習会」のグループ会社「花まるラボ」です。 Think!Think!とは:
2017年11月27日前回、「『夫婦間の気持ちの隙間』が、家計に現れる」というお話を、家計再生コンサルタントの横山光昭さんにうかがいました。 横山さんは苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させる中で、 「お金の不安を乗り越える」 という永遠のテーマについても考え続けてきたといいます。今回は、そんなお話を伺ってみましょう。 ■お金の不安はどこから来るの? 質問です。 ●「なぜ、お金が欲しいのでしょうか?」 ●「そして、欲しいと思っているお金の金額はいくらなのでしょうか?」 この質問に対して、すぐにハッキリとした 「お金が欲しい理由」 と 「具体的な金額」 を答えられる人は、意外と少ないかもしれません。「お金はあればあっただけ安心だから」。ただ、漠然と何となくそう思っている方が大半なのだと思います。 「 お金に安心 を求めては、ダメです。不安を無くすには、お金ではなく 自分を大切にすること です。 生き方や貯め方が定まればお金は何とかなるものです」と、横山さんはいいます。 横山さんは、こんな人をたくさん見てきたといいます。 不安だからお金を貯める ↓ 貯まったら、もっと不安にかられる ↓ さらに貯めなければと焦る そんな一方で、あまりお金がなくても楽しくやっている人がいることをよく知っているそうです。そして「お金に安心を求めることは意味がないと確信するにいたった」(横山さん)そうです。 ■その不安は、本当に「お金の不安」ですか? 横山さんは、こうも言います。「「『お金の不安だと思っているもの』は、本当はお金の問題ではなくて、お金に表れた、いまの生活における 心のゆがみ なのです」。 たとえば…。 食品の有機野菜や産地にこだわりお金をかける傾向のある人は、「保障」タイプの生命保険料にお金をかけている人と通じるところがあり、良いものを買っておけば安心と考えるタイプだと言います。ある意味、自分に 自信がない とも言えます。 携帯電話代が高い人は、周囲の人への 依存度が高い という傾向を感じるそうです。交際費や洋服代も膨らみやすく、断りきれないローンなどを抱えてしまうことも。 「漠然とした将来の不安」は、実は一緒に人生を歩む 家族への不安 であり、がんばっている自分を家族が認めてくれないことへの寂しさから来ているということもよくあるそうです 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「表面上は、お金の形を借りて現れたので、お金のことにとらわれてしまい、奥底にある 本質的な不安 は自覚しにくいものです」(横山さん) いま、みんなが焦っている、そんな風に感じたことがありませんか? 「私は収入が低いから。子どもがいるから。いや、いないから。退職金が出るかどうかわからないから。年金だって…と。そして、挽回したい、追いつきたいと必死になってしまっている人も多くいるようです」(横山さん)。 ■お金の不安をなくすための第1歩 焦っている渦中にいると、自分ではどうにもならない気持ちになってきます。では、そんな私たちはどうしたら良いのでしょうか? 「最初にとりかかるべきは、目に見えるところです」(横山さん) ●お金の不安をなくすための第1歩(例) 不用品を処分して、家をスッキリ片づける。 豪華でなくても栄養を考えてきちんと三食料理する。 なんとなく買い物をせずに、どんなに小さなものでも納得して手に入れ、使い尽くす。 愛する家族との関係 を大切に過ごしているか、自分に与えられた 目の前の仕事 がおろそかになっていないか、きちんと向き合う 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「 生活の足もと を固めるのです。毎日の暮らしを『自分はこれでいいんだ』と納得して生きていければ、その自信によって必要なお金はあとからついてきます。 そして自分の生活の一部として、自分なりのお金の『貯め方』が確立すれば、不安はよりつかなくなってくるでしょう。そのために「 消 (ショウ)」「 浪 (ロウ)」「 投 (トウ)」も強い味方となるはずです」(横山さん) ■横山さん式のお金との付き合い方 「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」 お金と正しくつきあうということは、「自分なりに」お金と付き合うことを始めること。そうすると、「お金がなければ幸せになれない」という焦りからも抜け出せるのかもしれませんね。 当初は、「お金が貯まる財布になれば良いなぁ・・」と書き始めた本連載。書き終わったときは、自分を見つめる長い長い旅行に行っていたかのような気分になりました。 ママの生活は、本当に忙しいですよね。けれども、たまには、ふっと肩の力を抜いて、「節約ではない日々のお金のこと」と向き合ってみるのも、悪くないのかもしれません。お金の話といえども(お金の話だからこそ!?)、自分の心の中の「深いところ」に潜ってみると、自分の人生と向き合うことになるかもしれません。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込) 【お金の不安をなくす「貯まる財布」のつくり方 】 【貯金感覚で始める3000円投資生活】 【年収200万円からの貯金生活】
2017年10月02日「お金を貯めようと思っても、 夫があまり協力的でない 」。じつは多くのママが感じている不満ではないでしょうか? そんなママたちの共通の悩みについて、今回はお話を伺います。お話を伺ったのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。これまで1万人以上の家計と向き合ってきました。 まずは、横山さんに 「協力的でない夫を変える技」 を2つ教えてもらいましょう。 ■その1:家計のミエミエ大作戦 「家計簿でも、手書きの予算表でもかまいません。家計の状況を夫の目のつくところにバシっ! と数字で貼りましょう」(横山さん) 気をつけて欲しいのは、けっして夫に「これを見て」と言わないこと。でも、必ず目に入るようにします。「え、それだけ?」と思うかもしれませんが、これは横山さんの隠し技リストの中でも、ずば抜けて 成功率が高い作戦 だそうです。 「 男には、『言われてやるのはイヤ』という傾向があります。 どんなにいいことだと頭ではわかっていても、命令されたらやる気をなくす。ましてや妻から感情的に恨み言を言われたりしたらなおさらです。面倒な生き物ですが、わかってやってください。そして利用してください」(横山さん) 嫌でも目に入る数字をみると、自分のおこづかいの高さや飲み会の多さ、趣味に使うお金の高さが理解できます。そうすると妻から言われてもできなかった節約に、自分から取り組む姿勢がみえるように。 ■その2:パパ頼りになる大作戦 次の技は、たとえば外食するとき、遊園地に行くときなど、家族で楽しむ費用を家計から出している、という場合に有効な作戦。 ●パパ頼りになる作戦♥やり方 今まで家計では月に1万5千円レジャー費を使っていて、ここから5千円節約して1万円の予算にしたいとします。その場合は、その1万円の予算を、全部夫の子遣いに上乗せしてあげるのです。 「この1万円はパパにあげる。そのかわり、これからは外食する時や遊園地に行く時は、パパが支払いお願いね、任せるから。もちろん余った分は好きに使っていいわ」ということで夫は小遣いが増えたと錯覚します。 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「ポイントは、 子どもたちの前で、お金を出してくれる夫を立てること です。子どもの前で夫が支払うことで、なんだか 父親の権威 が上がったような気がします。気を良くして、ムダなことには使わないよう画策してくれたりするようになります。もしくは、ちょっといい格好したくて、たとえ少し足が出ちゃったとしても、男気を出して自分の小遣いから補填してくれさえします」(横山さん) 「夫に協力的になってもらう技」には、「共通すること」があります。それは、 お金と感情の関係 。そこのところを、もう少し突っ込んでお話を伺います。 ■夫婦のスキマとお金の関係 「多くの家庭を見てきて感じるのは、お金が貯まらないと嘆く家庭に 『夫婦別家計』 が群を抜いて多いことです。」(横山さん) ●お金が貯まらない家計の典型例 住居費や水道光熱費、生命保険料は夫が払い、食費や通信費、日用品は妻が払う、といった費目ごとの支払いを決めているご家庭もあれば、基本別家計だけれども、二人の共通費目は折半にして出し合い、それ以外は個々で支払うことにしているというご家庭もあります。 このようなケースは、大概は、夫婦のどちらかが 浪費気味 になってしまっているそうです 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「 夫婦で力を合わせてお金を貯めるためには、まずは 家計を一つ にしたほうがいいと私は思います。そして、一番大事なのが、 夫婦の話し合い です。 お互いを信頼して、壁を作らず、お金のことを本音で話し合いましょう」(横山さん) 横山さんは、お金の相談を受けると、まずは相談者を観察して、夫婦間の気持ちの隙間がどこかにないか、探るようにしているそうです。たとえば、こんな例がありました。 夫に言われたことは絶対で、妻としてできる限り応えてあげるべきだと一心不乱にがんばる妻。グルメな夫のために毎日手の込んだ料理を出していたりして、一見 「いい奥さん」 です。 でもその家庭は、お金が貯まっていないことが多いのです。原因は、食費が高いというのは想定内で、往々にしてそれ以外にも変なところがあります。生命保険に入りすぎだとか、娯楽費が毎月高いとか、外食が多いとか。 この家の場合は、夫婦の気持ちが 対等ではなく 、妻が一心不乱にがんばることで、ぶつかるのをさけていました 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「こうした 『夫婦間の気持ちの隙間』 が、家計に現れたのです」(横山さん) ほかにも、「夫が妻に対して負い目がある」とか、「過去に何かあって妻が夫を信用していない」、「夫の求めるレベルが高すぎて妻が卑屈になっている」など、ありとあらゆるケースがあるのだそうです。 「 家計の問題というのは、じつは 金銭管理能力とは別 のところに家計の足を引っ張る『気持ちのすき間』が潜んでいて、本人たちが気づいていないことが多いのです。 お金を合わせることで、本当に合わせていきたいのは夫婦の考え方や価値観、二人の力なのです」(横山さん) 心理学の専門家によれば、「お金の話は、自己開示の最高レベル」だとか。 う~む、すごく深いですね。でも、言われてみれば、思い当たることがアリアリです。自分持ちを深くのぞきこみたくなるような、なりたくないような…。何だか、「心のツボ」を押されたような気持ちになりました。 次回は、「お金の不安」を本当になくすことはできるのか?」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年10月01日お金が貯まっている人って、どんな人!? じつは、すぐ近くのママ友がお金を着実に貯めていたとしても、そんな話は人には言わないもの。今回は、 「実際にお金が貯まっている人」 の人物像を探ってみます。興味ありませんか? 横山光昭さんは、NHK 『あさイチ』 という番組内の 「女のカネ」 シリーズで、お金の不安をなくすノウハウをたくさん公開してきました。その番組ディレクターであり、「スーパー主婦直伝」担当の 伊豫部紀子(いよべ のりこ)さん は、「お金の劣等生だった」と話します。 今回は、伊豫部紀子さんが出会ったスーパー主婦のお話をご紹介します。 伊豫部紀子さん フリーディレクター。NHK朝の生活情報番組『あさイチ』の人気シリーズ「スーパー主婦直伝」を手掛ける。 著書に『NHK「あさイチ」スーパー主婦の直伝スゴ技!』や、横山光昭さんとの共著である『お金が貯まる財布のひみつ』があり、主婦層に幅広く支持されている。 伊豫部紀子さんにインタビューは コチラ ■NHKディレクターがお金の達人から学んだこと 伊豫部紀子さんは、みずから「お恥ずかしいマネーライフを送っていて、 お金の不安、たっぷりあります 」とおっしゃいます。今回は、伊豫部さんが取材を通じて出会った 家計の達人 から学んだことをお伝えしましょう。 それは、 「3本立て予算」 。家計の達人たちが目指しているのは 「予算生活」 。何にどれぐらいお金を使うか決めて、それを守って暮らす。とってもあたり前に思えることなのですが、伊豫部さん自身も「予算を立てる」ことの力をあまり実感していなかったといいます。 しかし阪神大震災で家を全壊された主婦が、「何年かけてこう暮らす」という予算を立て、家を再建させたそう。「自分で決めたことなら、つらくない」と話すその主婦の言葉に、伊豫部さんは 「予算の力」 を理解しました。 ■リストラも怖くなくなる、お金の優先順位とは? この「3本立て予算」の良いところは、自分にとってのお金を使う優先順位を意識化できること。 ●3本立て予算とは 基礎費① 基本の生活に最低限必要な費用 例:家賃、基本の食費、水光熱費、肌着、家着、医療費、火災保険、整髪料金など 基礎費② 今、その家庭に必要な費用 例:幼稚園~高校までの教育費、携帯代、掛け捨て保険、家の修繕、クリーニング代、慶弔費、小遣い、給食代など ゆとり費 選択できる費用 例:旅行、お菓子・健康食品、家具・園芸・ペット 外出着、大学の教育費、交際の食事、趣味のお金など 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 より一部抜粋 優先順位トップの基礎費① 「これだけあれば、最低限、生きていくことはできる」 という金額を「知っているか」「知らないか」はおおきいのではないでしょうか? たとえば減収やリストラなどのときに、基礎費①を把握していれば「いくらあれば毎月の生活はできて、あとどれくらい削れば良いか」がすぐにわかるからです。 ちなみに、家計の達人が多く属していることで知られる友の会(※)の中には、基礎費①を 20万円以内 に抑えるという予算を組んで生活することを目指す取り組みを行っているところもあります。目安があると、取り組みやすいですね。 ※全国友の会とは、食・住・家計を中心に、「健全な家庭をはぐくみ 地域に働きかけ よりよい社会を創りたい」と社会貢献をめざす団体。家事の中でも最重要テーマとして「家計」について取り組んでいます。NHK『あさイチ』で毎日の家事に役立つ技を教えてくれるスーパー主婦が多くいる集いとして話題に。 次回は、「家計に「協力しない夫」は改造できる? 夫婦のスキマに潜む問題点とは」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年09月29日「お金はいくら使ったかではなく、何に使ったかが大切」と語る、ファイナンシャルプランナーの横山光昭(よこやまみつあき)さん。これまで1万人以上の家計を「再生」してきた家計再生コンサルタントの達人です。 そんな家計の達人である 「横山家」の家計ワザ 、興味ありませんか? そこで今回は、横山家(いうまでもなく、貯まっている人です!)が実践している「ひと工夫」についてお話を伺います。 横山さんは、いいます。 「お金は裏切りません。きちんと取り組めば、 取り組んだ分だけ効果 が出て、不安とも一線を引けます」 。 ■ATMでおろす瞬間から貯める人のワザが始まる 横山家。じつはいまどき珍しい大家族なんです。横山さんと奥さま、そして 6人の子ども たち。そんな横山家では、食費と日用品あわせて 月10万円 までと決めています。それを5で割った2万円を、毎週月曜日に奥さまがおろしてくるそうです。 ●ポイント1 週イチで決まった金額をATMからおろす 「2万円で1週間の生活費をまかなう」 と決めると、たとえば水曜日くらいに財布をみると、「半分以上残っているから大丈夫」、もしくは「ペースが早いな」などがすぐにわかります。そうすると、細かい計算をしなくても自然に支出の調整ができるようになります。 「月単位だと感覚がつかみにくいし、月初めなどは気が大きくなって多めに使いがち。そうすると、月末にたりなくなって、我慢もできずに予算オーバーということを何度も経験してきました。そこで『 週イチ で決まった金額をATMからおろす』にたどりつきました」(横山さん) じつはこのときにもうひとつのポイントがあるんです。 ●ポイント2 月の予算を5で割った金額を1週間分とする 「1ヶ月は、30日間か31日なので、4週間と数日。5週目は、7日間ありません。だから月初めから、週2万円を意識して暮らしていけば、 月末の最終週は楽 になります」(横山さん) ■口座もひとつの「財布」と考えるワザ これまでは常に持ち歩く「財布」でのお金の貯まる方法をご紹介してきました。でも横山さんは、「口座もひとつの財布」といいます。 横山さんは、基本の口座を 「使う」「貯める」「増やす」 の3つに分けています。 ●「使う口座」 :日常で使う生活費を入れておく財布 ●「貯める口座」 :貯蓄の財布 ●「増やす口座」 :資産運用などを行う財布 ただ単に「口座を3つ作ればいい」というわけではありません。大事なのは、口座に お金をいれていく順番 。たとえば、「貯める口座」にまでたどりついていないのに、「増やす」口座に大金を投じてしまうというのは、厳禁です。 お金が貯まらない人というのは、この順番を間違えてしまうことが多いそうです 。 ●「使う口座 1カ月生活するための「消費」のお金。住宅ローンの支払いや保険・光熱費などの引き落としはこの口座からにします。この口座には、手取り収入の1.5カ月分をいれます ●貯める口座 「使う口座」から、少しずつこちらに移してお金を貯めるための口座。ここには手取り収入の6カ月分が貯まるまでをいれていきます ●増やす口座 「貯める」口座に6カ月分が貯まったら、それ以上はこちらに貯めます。この「増やす」口座は、証券会社の口座に開設するのがおすすめです 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 ■急な支出にショックを受けないためには 「『使う』口座に、1.5ヶ月分いれておくのは、次の財布、 『貯める』口座から逆流 して引きだして欲しくないからです。そのために、わざと余裕を持たせています」(横山さん) 家計の支出は、「一年間をとおして一定」なんてことはなく、変動します。それが生活をしていくということ。たとえば年末年始の12月、1月は、出費がかさむのは普通ですし、突発的に歯科治療費がかかるなんていうこともあるでしょう。こうした変動を汲んでの 余裕資金 としての1.5ヶ月分なのです。 「思わぬ支出にショックを受ける人もいますが、そのことを毎月気にする必要はなく、 原因 がわかっているのなら、それでいいのです」(横山さん) ■「使う」「貯める」「増やす」口座の違いとは 「『使う』口座が『普通に出る支出・変動するものへの対応』に対して、『貯める』口座は、急に職を失ったとか、入院したとか、収入が途絶えたときへの 備え です」(横山さん) 横山さんは、「いざというとき、立て直すのに半年あればなんとかなる」と見込んでいます。でもこの金額は人によってさまざまで、「ちょっと心配だから、1年分をいれておきたい」など、あくまで目安としてとらえてください。 「増やす」口座については、お金の目減りを防ぐための資産運用の 投資口座 です。横山さんはいいます。 「これからの時代は、現金や預貯金で置いておくことで 価値が下がる危険性 もあることを覚えておいてください」 次回は、「NHK『あさイチ』で紹介された、リストラも怖くないお金の達人の知恵」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年09月28日前回は、家計再生コンサルタントの横山光昭(よこやまみつあき)さんに「貯まる財布の作り方」の極意を教えていただきました。 「お金を貯めるうえで大切なのは、あなたの価値観」と話す横山さんは、確実な家計再生をめざす庶民派のファイナンシャルプランナーです。 横山さんがこれまで家計を見てきた方のなかで、「貯め上手さん」には共通することがあったとか。貯め上手さんは 「貯め方が上手なのではなく、 お金の使い方 が上手だ」 ということ。 これまでお金を貯めるためには、「お金を使わない」ことを優先度第一位に考えてきませんでしたか? でも「我慢して節約→リバウンドでムダ使い」、これを繰り返して落ち込んだり。大切なことは「お金の使い方」にこそあったとのです。それでは詳しくお話を聞いてみましょう。 ■あなたはお金を“何に”使っていますか? 「お金は『いくら使った』ではなく 『何に使ったか』 が大事です」と、横山さんはいいます。 前回、財布には財布だけの働きをさせましょうということから、「レシートは、お財布から出した方が良い」と教えていただきました。 今回は、お財布をレシートから出したあと、「何に使ったか」を整理していく方法を教えていただきましょう。最初に、知っておいていただきたいのが、「お金の使い方の3つのタイプ」。まずは、この言葉を覚えてください。 「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」 ●お金の使い方の3つのタイプ 「消(ショウ)」 消費 生活するのに必要なものの購入や、使用料としての支払い全般。生産性はさほど伴わない 【例】食費や住居費、水道光熱費、教育費、被服費、交通費など 「浪(ロウ)」 浪費 生活に必要でないもの、今をひたすら楽しむためなどの、無意味な使い方のこと。いわゆる無駄づかいで、もちろん生産性もない使い方 【例】嗜好品(タバコやお酒、珈琲)、程度を超えた買い物など 「投(トウ)」 投資 将来の自分にとって有効なお金の使い方。資産運用のことだけを指すのではなく、何かを学ぶ、本を読むなどもこれに当たる 【例】習い事、本代など学ぶための費用、投資信託、貯蓄など 出典: 『年収200万円からの貯金生活宣言』 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)」より抜粋 ■同じ収入でカツカツの人、貯めている人の違い この「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」を参考にして レシートを仕分け してみましょう。なかには同じ項目内であっても、内容がわかれることもあるかもしれません。 たとえば、食費で考えてみましょう。 料理するのに必要な素材を買っている部分は 「消費」 。 質問:では、料理をするのが面倒くさいからとおそうざいを購入した場合は、何になるでしょうか? これは「浪費」になるかもしれませんね。でも料理する時間を勉強する時間にあてたり、子どもと遊ぶ時間に使ったりすると、「投資」かもしれません。 「この仕分けをしてみるだけで、お金が貯められるようになります」(横山さん) 本当ですか!? たとえば、同じくらいの収入であっても、堅実に貯めていく人と、いつもお金を使いきってしまい、カツカツな気分で暮らしている人がいます。その差は、どこにあるのでしょうか? 「その差は、自分の軸があるか、ないかなのです。お金を貯めるうえで、大切なのは、 あなた自身の価値観 です。そのためにお金の使い方の中身に意識を向ける必要があります」 (横山さん) ■「お金の使い方」の理想割合とは お金の使い方の中身に意識を向けるのに有効な「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」。この3つの項目の目指したい理想割合があります。まずは3つの項目の内訳が支出全体のなかで、どれだけの割合を占めているのかを計算してみましょう。計算方法は、次のとおりです。 各項目(消費、浪費、投資)の金額 ÷ 支出合計 横山さんが、「貯め上手さんだなぁ」と感じる人の数値をもとに割り出した「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」の割合の理想割合は、次のとおりです。 ●横山さんが考える消費・浪費・投資の理想の目安 消費 : 70% 浪費 : 5% 投資 : 25% 「3つの項目ごとの割合を知るという 新しいモノサシ を手に入れることで、人はいままでの自分の常識を疑い始めるでしょう。そして、 お金の使い方自体 に意識を向けられるようになるのです」(横山さん) そう考えると貯まるのか! と目からうろこの次回は、「同じ収入でも、貯められる人×貯められない人」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年09月27日「お金が貯まるのは長財布」 。そんな言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。本当に、「お金が貯まる財布」なんてあるのでしょうか? 今回お話を伺ったのは、家計再生コンサルタントの横山光昭(よこやまみつあき)さん。横山さんは苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させてきました。横山さんが顧客と真摯(しんし)に向き合うなかで編み出した 「貯まる財布の極意」 について、お話を伺いましょう。 横山光昭 (よこやまみつあき)さん 苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させてきました。 『年収200万円からの貯金生活宣言』 シリーズの書籍で一躍有名に。 ■パンパンに膨らんだ「ブタ財布」の中身はなんですか? 「貯まる財布とは、 お金を大事にしている財布 です」 と、横山さんはいいます。お金を大事にしている財布とは、「ブタ財布ではない財布」。「パンパンに膨らんだブタ財布では、お金はなかなか思うようには貯まらないものなのです」(横山さん) では、ブタ財布の中身には、何が入っているのでしょう。一度、自分の財布の中に、何が入っているか確かめてみませんか? たとえば、こんなものが入っている人が多いのではないでしょうか? ●お守り →お金が増えて欲しいという願いを込めて? ●レシート →家計簿につけそびれているから? ●割引券やポイントカード →少しでも得したい! ●子どもやペット写真 →いつでも一緒の気分? これらを持ち歩くことで、「安心したい、少しでも得したい」という気持ちはひとまず満足しますよね。でも横山さんは、それが問題だと話します。「そこで安心してしまうことで、実際には 本当に お金をかけてでもやりたいこと 、持つべきものが見えにくくなる ことも多いのです」(横山さん) 財布の中に何が入っているのか。ここに気がつくことが、「貯まる財布」への第1歩になります。 ■「お金が貯まる財布」3つのポイント お財布に入っていたものが、じつはお金ではなかった! ここに気がついたら、次に何をすれば良いのでしょうか? 横山さんは、「お金を貯めるためには、お財布には、 『財布の働き』 だけをさせましょう」と言います。つまり、「お財布の機能=お金そのものの出し入れ」、これだけに集約させるというのです。 お財布を機能的にするためのポイントを3つ教えていただきました。 ●お金が貯まる財布の3つのポイント 1)お金と関係のないものはいれない 2)レシートはためない 3)ポイントカードはよく使う最小限のものだけいれる 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 より一部抜粋 ■自分の財布で検証したら、ある事実が判明した! お守りやペットの写真はともかくとして、 レシートやポイントカードは、一見、「お金と関係のあるもの」のような気が…。だからお財布から出してしまうことに抵抗があります。 でも本当にそうなのでしょうか? 筆者の財布の中身で、検証してみました。 【レシート】 お財布から出したら、すぐに家計簿をつけなければいけない気がして、ついついお財布に「入れっぱなし」にしていました。つまりは、「レシートをお財布から出す」=「お金を使ったという事実に向き合う」のがつらいんですね。 だったら、ステップを分ければいい。筆者は、家計簿をつける前に、まずはレシート置き場を用意することにしました。現在、写真のような状差しを使っています。これの何がいいって、これにプスプス刺していけば自動的にレシートが日付順になるという点です。 【ポイントカード】 筆者自身、ポイントカードは、お財布とは別のホルダーを持つほど好きでした。最近は、「このポイントカードを持つことで、年間いくらお得になっているのだろう?」ということを考えるよう心がけています。 なぜなら、ポイントカードの還元率自体を知らないのに、「ポイントが貯まること」がうれしくて、たくさんのポイントカードを持ち歩いていたからです。 「 得をすることにとらわれている と、自分の判断力や時間、体力という大事なコストを支払っていることに気がつかないのです」 (横山さん)。 たしかにポイントカードに対して、何となく「とらわれている」という気分になったことは、だれにでも一度くらいはあるのではないでしょうか? お財布を整理することで、自分の行動パターンや思考回路を見つめてみること。そして、自分にとって本当に必要なことに精神を集中させること。それが「貯まる財布の極意」の正体なのかもしれませんね。 次回は、「同じ収入でも、貯められる人×貯められない人」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年09月26日これまで「投資」をしてこなかった人たちでも、はじめたとたん、 「投資アンテナ」 が立つひともいるでしょう。これは勇気をもって投資の第一歩を踏み出したからこそのアンテナ。でも、たくさんの投資に関する情報の中から、取捨選択をどう行っていけばいいのでしょうか。 全6本に渡ってお送りした本連載も、いよいよ最終回。今回は、投資に対して、「アンテナを立ち始めたとき」に、入ってきがちな情報について、横山さんに検証していただきます。 ■金融機関の「おすすめ商品」は、本当にオトクなの!? 「投資を始めよう」と思い立ち、証券会社や銀行から投資に関する資料を取り寄せたり、証券口座を開いたりすると、必ず 「おすすめ商品」 が紹介されます。ネット証券会社が、サイトのトップページなどで大きく宣伝している商品も、ほとんどはその会社の「おすすめ」といえるでしょう。 おすすめ商品は、たいてい 高利回り をうたっており、もしかしたら、「バランス型の投資信託やインデックスファンドへの投資より、そちらの方がよいのではないか」と思ってしまう人がいるかもしれません。 「一見どれほどおトクに思えても、 金融機関のおすすめ商品には、『 手数料 が高い』『 リスク が高い』といった 問題が隠れている 可能性があります 。とくにはじめて投資をする方は、『おすすめ』という言葉や目立つ広告に惑わされないようにしましょう」(横山さん)。 ■個別株やFXで「勝てる」確立は低い 投資に慣れてくると、「別の金融商品も試してみたい」と考える人も出てくるでしょう。貯金や堅実な投資を続けながら、生活に必要なお金をしっかり確保し、きちんと研究したうえで行うなら、もちろんそれもありだと思います。 ただ、横山さん自身は、経験やさまざまな方から聞いたお話を考え合わせると、次のように考えているそうです。 「よほど投資に精通した人でない限り、個別株への投資で 成功する確率 は、それほど高くありません。とりわけ短期間で利益を出すのは難しいでしょう。 『9割が負けて1割が勝つ』 といわれる株式の世界で、プロの投資家たちと争い、利益を上げるのは、よほど勉強と経験を重ねなければ難しいのかもしれません」。(横山さん) 唯一、横山さんが個別株でおすすめしている買い方は、ある程度勉強したうえで、「好きな会社や応援したい会社の株を無理のない範囲で買うという方法。 「FX」 という言葉も、投資とセットと語られているような気がして、何となく気になるところです。FXとは、 外国為替証拠金取引 のこと。米ドルやユーロなど外国の通過の動きを予想して売買し、為替差益(かわせさえき)を得るというものです。 「 私はFXは、投資というより完全に ギャンブル だと思っています 」(横山さん) ギャンブルの多くがそうであるように、FXで勝てる人は、ほんの一握りだそう。途中まではどんなに順調に利益を得ていても一度の失敗ですべてを失ってしまう可能性もあります。「生半可な知識しか持たずに個別株やFX大金を投じるのは、絶対に避けましょう」(横山さん) ■外貨預金にも注意が必要 為替差益が出る可能性がある金融商品としては、FXのほかに 「外貨預金」 があります。外貨預金は、米ドルや豪ドル、ユーロなど、さまざまな国の通貨で預金をするというもので、銀行で扱っています。 「預金」という名前がついているだけに、安心感や親近感を持つ人もいるでしょう。けれども横山さんは、こう言います。 「 外貨預金 は円建て(普通の)預金よりも、はるかに リスクの高い金融商品 です」 外貨預金のデメリットは、大きくわけて二つあります。 ●外貨預金のデメリット ・為替差損が出る可能性がある 為替差益が出る可能性があるということは、為替差損が出る可能性があるということ。為替相場は、プロでも正確に読むことはできません ・手数料が高い 外貨預金では円を外貨に換えて預金し、満期になったら再び円に戻すのですが、いずれの作業にも、それぞれ為替手数料がかかります。たとえば米ドルで1万ドルを預けると、銀行窓口で1万円~2万円、ネットバンクでも2千円~5千円の為替手数料(※)がかかります。 ※銀行窓口0.5円~1円、ネットバンクで0.1~0.25%(金融機関によって異なる)で試算 出典: 「はじめての人のための 3000円投資生活」 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 外貨預金を、為替相場によって「勝手に上下する預金である」という前提を理解しておく必要はあるでしょう。「くれぐれも、『預金』という言葉に惑わされないようにしましょう」(横山さん) これにて、はじめての人のための3000円投資生活連載も終わり。この記事を書いている私自身、数年前まで、「投資!? そんなの怖くて絶対にイヤ!」と思っていました。 けれども、取材を通じて、「公的年金は、老後の生活の基幹部分くらいしか出ない」と痛感し、「老後のお小遣い稼ぎ」のつもりで、投資を始めました。 マイナス金利の現在、銀行の金利はすずめの涙ですよね。漠然と「お金の不安」を抱えるよりも、まずは一歩を踏み出してみることも「アリ」かもしれませんよ。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年09月03日