2022年11月18日 20:00
老化が進むメカニズムを徹底解説! アンチエイジング研究最前線
ところがサーチュイン遺伝子は、本来過酷な環境下で働くもの。食べ物が豊富で環境も良好な現代では、OFFのまま。そこでサーチュイン遺伝子をONにするべく、カロリー制限などの健康法が脚光を浴びています」
3、体中に火事を広げるゾンビ細胞に要注意。
テロメアが短くなって分裂できなくなった細胞は、“老化細胞”と呼ばれる。老化細胞は、普通ならマクロファージという免疫細胞に分解されて一生を終える。ところが、なかにはそのまま居座るゾンビのような細胞が存在することが、最近明らかになった。
「居座る老化細胞が体にどんな影響を与えるのか、完全には判明していません。しかし、炎症性サイトカインという物質を出して慢性炎症を広げること、ガンの原因になり得ることは分かっています。
そのため老化細胞だけを取り除く方法の研究が進み、2021年には東京大学の研究グループが“GLS1阻害剤”というものを開発しています。しかし先ほどもお話ししたように、老化細胞はまだ全容が不明です。さらに、老化細胞が炎症を広げることで、細胞や組織が修復されるというプラスの面もあるのです。老化細胞を除去することが本当に体にとってよいのか、見極める必要があります」