45歳で白髪染めをやめた。そして、自分の心が喜ぶ生き方を見つけた
■手放す自由と、こだわる選択
私は、老いや死の象徴に立ち向かうという選択もあれば、受け入れるという生き方があってもいいと考えている。もちろん白髪への対処だけではない。しわ、シミ、たるみ、体形の変化……。闘っても、受け入れても、それはその人の選択だ。
ある日取材をしに来てくれた新聞記者の女性は、私と同い年だった。彼女はメイクを少しずつ手放していき、今はほぼノーメイクで過ごしているという。その代わり、白髪染めはきっちりとしていて、やめようという発想さえなかったと話してくれた。
一方の私は、悩んだ末に白髪染めをやめたけれど、メイクはこれまで以上に楽しんでいる。
そもそも私は、メイクをやめたいと思ったことがない。グレイヘアになった今は、これまでよりも華やかな色合いのチークや口紅をチョイスしている。
お互いに「その発想はなかった!」と言いあい、お互いの選択を面白がったけれど、これこそ価値観が多様化したひとつの姿なのではないかと思う。
何をうっとうしく思い、何をやめるか、何を良いと感じて何を取り入れるかは、その人次第。必ずしも自分と同じ選択をする人ばかりではない。すぐ隣に、正反対のことをし始める人もいるということだ。