乳がんになりやすい「リスク」を調べて、立ち向かう勇気を「
近親者に乳がんになった人がいる人は自分もかかりやすい、と聞いたことがあると思います。研究が進むにつれて、
乳がんのかかりやすさはもう少し詳しくわかってきました。乳がんについては日々、情報もアップデートされるので、今わかっていることだけでも知っておきましょう」(島田先生)
乳がんの「リスク」、本当のところこれまでの研究で、乳がんに関係すると考えられる危険因子は徐々に明らかになってきています。特に、乳がんの発症は
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌と密接な関係があり、
月経の回数の多さが影響していると言われます。初潮が早くて閉経が遅い人、出産・授乳経験がない人は自ずと回数が多いということになります。
□ 母親、姉妹など家族にがんになった人がいる
□ 授乳経験がない
□ 乳がんや良性の乳腺疾病になったことがある
□ 初産年齢が30歳以上
□ 身長が高い
□ 閉経後、肥満になった
□ 初潮年齢が早い
□ 閉経年齢が遅い
□ 生まれたときの体重が重い
□ たばこを吸う
日本乳癌学会編「科学的根拠に基づく縫う右岸治療ガイドライン2 2013年版」より
その他、家族歴はなくても
ピルを10年程度使ったことがある人、
不妊治療をされた女性などもリスクは上がることになります。でも、このような危険因子に当てはまる項目が多いからといって、必ず乳がんになるというわけではなく、逆に全く当てはまらないからと言って絶対に安心とも言えません。
どんな人にも可能性はある、と捉えるのが賢明です。
リスクファクターのうち、
家族歴は特に気になるところ。お母さんや姉妹が乳がんになった女性は一般の人に比べて
2倍以上、乳がんになるリスクが高いという調査報告があります。乳がんという病気そのものが遺伝するわけではないのですが「なりやすい体質」が遺伝すると考えられています。
でも、がんは遺伝要因だけでなく、
環境要因も大いに関係があります。環境要因というのはその人の食生活や喫煙、過度の飲酒、ストレス、生活環境など。環境要因と遺伝要因のかけ算の結果によって、発症リスクが上がると考えましょう。
やはり気になる「遺伝性乳がん」近年、注目されているのが
「遺伝性乳がん」。これは、正常な細胞がガン化するのを抑える「がん抑制遺伝子」が欠如したり変異したりするがんで、両親のどちらかから
遺伝します。
既に発見されているのは
「BRCA1」、「BRCA2」と呼ばれるがん抑制遺伝子で、このどちらかの遺伝子に異常がある女性の7~8割が乳がんになるとい言われています。
遺伝性乳がんの特徴は・・・
◎若い年齢で発症しやすい
◎乳がんと卵巣がんを併発しやすい
◎男性が発症することもある
などです。
≪遺伝性乳がんの可能性チェック≫
血縁者に乳がんの人がいて、次の項目にひとつでも当てはまると、一般の人よりも乳がんの遺伝子を持っている可能性が高くなります。
□ 40歳未満で乳がんを発症した人がいる
□ 年齢を問わず、卵巣がんを発症した人がいる
□ 男性で乳がんを発症した人がいる
□ 父方・母方どちらか一方の家系内で2人以上、乳がんや卵巣がんを発症した人がいる
こういったチェックからBRCA遺伝子の変異が疑われる場合には、遺伝子検査が検討されることもあります。ただ、現在は健康保険適用外で、実施している医療機関は限られ、検査の前には
「遺伝カウンセリング」を受けることも必要で、費用も高額になってしまいます。
遺伝性がんと言えば、
アンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がんを予防するため両乳房を切除したことはまだ記憶に新しいはず。これについて、藤森さんはこう語ります。
「その理由を『母親ががんだったのでリスクが高いから』と単純に受け止めてしまった人は『健康なおっぱいを取るなんてやりすぎじゃないの?』と考えたことでしょう。
でも、彼女の場合はBRCA1遺伝子に変異が見つかった。その結果、生涯で乳がんが発症するリスクが
87%という診断を受けたそうです。それが
自分だったとしたら…?女としての決断を迫られるほど重大なこと。誰も彼女の行動を責められないと思うんです。
実は、私も遺伝子検査をしました。手術の後、ドクターに勧められてしたのですが、手術費や治療費に加えて、高額な遺伝カウンセリングと検査。医療保険に入っておいて本当によかった! と思いました。遺伝子検査は自費なうえ、手術から検査までの合計金額は、医療保険がなかったらかなりの負担です。
がんのリスクと
保険は切っても切り離せない、それが現実。アラフォー世代は、がん保険や女性特約など、きちんと見直したほうがいいですね。病気になると精神的にも大変だから、お金のことくらいは心配しなくてもよいように。特に、お子さんがいたり、休職しなければならない人は経済的負担も大きくなりますから。これ、大事ですよね」