自分の体は自分で守る! 早期発見のためにできることは “検診”早期に発見できれば、
9割以上が治る乳がん。藤森さんが自ら発見したことからもわかるように
セルフケア=自己検診はやはり大事です。自分で乳房に触れたり観察して、変化がないかをチェックしましょう。
「あまり難しく考えることはありません。バスタイムに
石鹸がついた手でやるか、アフターバスに
ボディクリームなどをなじませるのを兼ねてでもいいのです。乳房の凹凸がわかるように指を動かします。毎日触っていれば、何か
異常があったときにわかりますよね。検診では医師が触診しますが、
普段のあなたの胸と比べることはできませんから」(島田先生)
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そして、医療機関で行われる乳がん検診には次のようなものがあります。
【視触診】
医師が乳房を診察し、しこりの有無を判断する検査。形状や皮膚の変化を目で見て、指で乳房や腋の下などに触れ、しこりの有無を調べます。
【マンモグラフィ】
乳房のX線検査のこと。小さながん、石灰化のある乳がんの発見に適しています。検査の精度は、約80~90%。乳房をプラスチックの板ではさんで平らにして撮影するため、多少の痛みがあります。また、乳腺密度が高い人や若い人の場合は、わかりにくいのがデメリット。
X線による放射線の被曝は、東京からサンフランシスコまで飛行機で移動中に自然のなかで浴びる放射線量と同程度なので、適切な設備と撮影方法、頻度で行えば、健康に重大な影響を及ぼすことはないことがわかっています。
【超音波(エコー)検査】
超音波により、乳房の病変を検査する方法。医師の触診だけでは発見できない小さいしこりや、しこりの良性・悪性の診断に用いられています。乳腺が発達していてマンモグラフィではしこりと乳腺の区別がわかりにくい人でも、超音波検査なら判別ができます。放射線被曝がないので、妊娠中の方や若い人の検査にも適しています。
“検診”は何歳から? その頻度は?自治体が行う乳がん検診のガイドラインでは、「乳がん検診の対象者は40歳以上の女性、頻度は2年に1度、医師による問診と視触診+マンモグラフィ」となっています。島田先生、検診は
40歳になったらやればいいのですか?
「いいえ。
30代でも受けてほしい人はいます。家族歴や女性ホルモン剤の使用歴など、個々で乳がんのリスクは違いますから。
自治体の検診は個人の乳がんの早期発見問う観点だけでなく、日本女性を集団で見たときに一番利益の高くなることを考えたガイドラインになっています。
どういうことかというと…、国民全体のがん死亡率をお金をかけすぎずに、しかも病気が手遅れにならない時期に発見する方法を考えているということ。乳がんになる頻度の多い年代に対し、早期発見の効果が証明されている方法で必要最小限の費用負担で行った対策なんですね。
ですから、
40歳未満であっても『多かれ少なかれ誰にでも乳がんのリスクがある。また乳がんのリスクや、
乳がんを発見するために必要な検査は人によって違う』と知った人は、ぜひ乳がん検診を受けてほしいのです」(島田先生)
島田先生が提案するガイドラインは…
▼20代でも検診を受けてほしい人
・家族、兄弟姉妹、伯父叔母、いとこなど2名以上が特に閉経前に乳がんや卵巣がんにかかったことがある人
・家族歴はなくてもピルを長期間使用したことがある人
・家族歴はなくても長期にわたって不妊治療をした人
▼30代半ばで検診を受けてほしい人
・女性全員
「国の指針はあくまでの国民全体の利益を考えたものですので、稀ながんや、通常だと頻度の少ない年代のがんの検診は、国の健康対策として税金をかけて行うのは難しいでしょう。限られた大切な税金ですから、個々のリスクに対するサポートを国に求めるのが難しいのは、国民も理解しなけばいけないところです。
だからこそ、私たちは一人一人が病気に対しての
関心と
知識をもって、自分に必要な検診があれば、自ら進んで早くからスタートすべき。家族に遺伝性がんの人がいる場合は、20代でも半年~1年に一度は、医師による視触診や適切な画像診断(マンモグラフィや超音波検査、MRIなど)を受けることが望ましいと思います。
また、30代半ばで検診を受けてほしいと思うのには理由があります。現在発見される乳がんの平均径は2cm前後のしこりで発見されることが多いのですが、
2cmになるまでには
約10年かかります。そして現在もっとも乳がん発症が判明する年代は40代半ば。
つまり、10年前、
30代半ばでがん細胞が発生している方が多くいるということです。そうすると、できるだけしこりを作る前の早期の乳がんを発見するには、少なくとも
30代半ばからは、コツコツと定期的な検診を続けることが必要なんです」(島田先生)
また、自治体の検査が
「2年に1回に視触診+マンモグラフィ」というのはなぜ?
超音波(エコー)検査はしなくてもいいの? 島田先生、実際はどうなのでしょうか?
「最初は
マンモグラフィも
超音波も、両方受けてほしいです。家族歴やリスクなども医師と共に見直して、濃い検査を受けてみてもらいたい。そうすれば、次にいつどんな検査が必要かも、自ずと決まってきます。
2回目からは、個々の乳房のコンディションやリスクに応じてできるだけ無駄を省いて必要な検査を絞ることもできます。
検診を続けるには、無駄に時間やお金をかけすぎるのはもったいないですからね。
40歳になれば、自治体から検診の案内が来ます。無料〜3,000円くらいなので、これはぜひ受けましょう。それと併用して、自分に必要な検査があれば
自費の検診を賢く受け続けていくことが、早期発見、自分の体を乳がんから守ることになるのです」(島田先生)