団塊世代が85歳になる2035年、要介護者の急増で介護も崩壊
また、人材不足は人材の質の低下も招きます。介護施設は、適性に欠ける人材を雇わざるをえなくなり、スタッフによる虐待が増えることも否定できません。介護の人手不足を、外国人人材やロボットで解決することも議論されていますが、これらで、今後、増えるであろう訪問介護サービスの需要を満たすのは不可能です」
さらに、’35年以降は介護施設も足りなくなり、サービスを受けたくても受けられない“介護難民”が続出するという。
「’35年以降の介護現場は、利用者が介護職員に選ばれる時代。悪態をついたり、横柄な利用者は、たとえ大金持ちでも、介護職員に嫌われ、サービスを受けられなくなるでしょう。介護難民になりたくなければ、性格をよくして、介護職員に好かれるシニアになるしかないのです」(結城さん)
迫る社会保障サービス崩壊時代。最後に、前出の河合さんが語る。
「確かに厳しい現実ですが、個人ができることはあります。
たとえば、70歳まで働くなど規則正しい生活を続けて健康状態を少しでも維持することです。また、近隣の住民と仲よくしておけば、困ったときに助けてもらえることもあるでしょう。危機に対応するべく、自ら意識改革をする必要があります」
暗い未来には、健康に注意し、人にやさしく接することがいちばんの備えになる。