漢方の世界では「“冷え”は病気」専門医警鐘鳴らすリスク
多くの病院でも漢方を取り入れるようになり、それに合わせるかのように『冷え“症”』という呼び方が広まってきました」
その漢方の世界では、昔から「冷えは病気」とされてきたという。
「漢方と聞くと中国の医学のようですが、実は江戸時代には日本独自の伝統医学として成立しており、中国の漢方においては古くから『冷え』は根本的な診断基準のひとつでした。それというのも、CTも血液検査もなかった時代は、いったいなんの病気なのかを、見た目や問診で判断する必要がありました。中医学ではその分野が300以上もありますが、日本の場合は『強いか弱いか』『寒いか熱いか』という、とてもシンプルな分類が主流でした。『寒』とはつまり『冷え』のことですので、『冷え』は古来、病気かどうかを診断する、基本的な指標だったといえます」
つまりそれだけ、「冷え症」はあらゆる病気のもとなのだ。
「それだけではなく、究極の『冷え』は死につながります。よく映画などでは、雪山で遭難した人が眠気に襲われ、やがて凍死してしまうという場面が描かれていますが、まさにこのとおりです。人間は体温が32度以下になると錯乱状態になり、やがて多臓器不全を起こします。