頭痛をともなう肩こり、「それは“首こり”です」と専門医
これらの神経症状が現れるのは、あくまで“首”の筋肉の異常によるもの。そこで肩こりとは分けて“首こり”という名前をつけました」
首こりにもっとも関係の深い筋肉は、「頭板状筋」と「頭半棘筋」の2つ。頸椎から頭部にかけてを支えるように存在している。
「これらの首の筋肉に異常が起こると、頭部の神経や頸椎に影響を及ぼし、つらい症状を引き起こすのです。さらに頸椎のなかには自律神経も通っているため、首がこっているとあらゆる自律神経の不調の原因になりえるのです」
ちなみに、首から肩、背中にかけて広く存在する「僧帽筋」も、代表的な首の筋肉のひとつだ。
40年以上にわたり“首”の筋肉に着目し続けてきた松井先生によれば、こうした“首こり”の患者は年々増えているという。
「“首こり”の主な原因は2つ。ひとつは『長時間うつむいていること』で、もうひとつは『むち打ちの既往があること』です。
なかでも近年増加しているのは前者です。パソコンやスマホの普及によって、この10年ほどで“首こり”の患者さんは増えたと感じています。とくに女性は、もともと男性より首の筋肉量が少なく、首がこりやすい傾向があります。家事や育児は下を向いて行うものが多いので、子育て経験者の多くは、首がこっていると考えられます」