連載小説「眠らない女神たち」 第三話 『グレープフルーツのユウウツ』(後編)
まだ完全には私の笑いは引かない。
「パパが、グレープフルーツを抱っこして帰ってきたんだよって」
「オレは、マ、ママが「クカカカカ」って笑ったって、教えてやろう」
パパの笑いもまだ少し続いている。
「3人で食べようね」
「うん。オレ、半分に切ってスプーンで食べたい」
「ぜいたく食いですか」
「いいんだよ。オレがもらってきたんだから」
私はふふふと笑った。
「風呂入ってくるわー」
パパは照れた笑いを浮かべながら、お風呂場に向かった。私は久しぶりに大笑いして顔も腹筋も痛かった。目尻に浮かんだ涙をぬぐう。
お風呂からあがったら2人でグレープフルーツを半分だけ食べようか。もう半分はていねいにむいて、里依紗のおやつに取っておこう。里依紗が食べるとき、パパとママで笑い転げた今夜のことを話してあげよう。きっと里依紗も大笑いするに違いない。だってパパとママの娘だもの。そのときはどうかパパも一緒にいてくれますように。
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