夏に気をつけたい感染症は「夏かぜ」「とびひ」「食中毒」 夏かぜに抗菌薬は効果がありません ~大野研究員が、身近な感染症やその予防策について解説を公開~
早く治ることはありません。
「かぜ」の原因となるウイルスは数多く存在します。ウイルスはどんどん変異します。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、一部の感染症には抗ウイルス薬が開発され、使用されていることもあります。しかし、かぜの場合は、免疫力が十分にある人は自然に治っていく疾患であるため、原因となるウイルスを特定したり、その一つひとつのウイルスに対する抗ウイルス薬を開発することは現実的ではありません。
かぜをひいたら、つらい症状を和らげる薬(解熱剤、咳止めなど)を服用しながら、体を休めることで一番早く治ります。他の人に感染を広げないようにするために、学校や仕事を休むことも必要です。
以前、当センターで行った抗菌薬意識調査*では、体調不良時に休む人は約半数でした。
以前に比べると増えてきていますが、まだまだ休めない、休まない人が半数です。かぜのウイルスは、咳やくしゃみの飛沫が飛び散って広がります。体調がすぐれないときは、自分のために体を休めるだけでなく、感染を広げないように休むことも必要です。*抗菌薬意識調査レポート 2021
https://amr.ncgm.go.jp/pdf/20211004_report.pdf
図1
<薬剤耐性>
AMR:Antimicrobial Resistance
細菌が原因となる感染症の治療薬は抗菌薬(抗生物質)