2023年2月22日 14:00
軽い身体活動が多い高齢者ほど認知機能が高い -座っている時間や睡眠時間を減らして活動時間を増やすと効果的-
これらの課題により、抑制機能※5 、ワーキングメモリ※6 、認知的柔軟性※7 といった実行機能の要素を評価しました。そして、組成データ解析と呼ばれる統計手法により、1日の行動時間が持つ相互依存性を考慮したうえで、身体活動と各課題成績の関連性を調べました。
実行機能の評価に使用した課題の一例
【結果】
分析の結果、1日に占める低強度の身体活動の時間が長いほど、抑制機能を評価するストループ課題の成績が高いことがわかりました。また、統計学的予測により、座位行動や睡眠時間を1日30分減らして、低強度の身体活動に充てることでストループ課題成績が5-10%程度高くなることが試算されました。一方、運動やスポーツといった比較的強度が高い活動(中高強度の身体活動)と実行機能の間に、統計的に有意な関連性は確認されませんでした。また、ワーキングメモリや認知的柔軟性を評価する課題の成績は、いずれの強度の身体活動とも明確な関連性が確認されませんでした。
場面別の活動と課題成績の関連性
座位行動と睡眠時間を減らして低強度の身体活動を増やした時に予想される課題成績の変化
【まとめ】
本研究では、世界で初めて1日の行動時間の特性を考慮したうえで、高齢者の身体活動と実行機能の関連性を調べました。