【医師監修】妊婦さんが氷を食べずにいられない氷食症って?
や低出生体重児(出生時の体重が2,500g未満)、早産(妊娠22週0日~36週6日までの出産)の頻度が高いと報告があるため、妊婦の貧血に対しては適切な対応と治療を受けましょう。
妊娠中の貧血は、お母さんの体の生理的な変化のため、鉄を多く含む食材をたくさん摂ることで予防できる十分な根拠は今のところありません。また、貧血のない妊婦さんが鉄分を含むサプリメントを摂取しても生理的な変化を打ち消すような予防にはなりません。サプリメントはお薬ではなく食品ですが、鉄分を摂りすぎることで胃腸の刺激となることもあります。鉄分を含むサプリメントを利用したい場合は、自己判断せずに担当医に相談しましょう。
妊娠中の食生活を豊かにすることや処方された鉄剤を内服することは、結果的に赤ちゃんの成長へとつながります。助産師や栄養士など専門職へ相談することで、貧血を改善することは可能ですので、まずは普段の食事内容を見直すことから始めましょう。
氷食症を長引かせることで、偏食や過食によって他の食品を摂る量が減り、さらに鉄分不足となることがあります。
また、氷ばかり食べることで胃腸の機能が低下したり、体温の調節にエネルギーを使うあまり妊婦さん本人の体力を消耗する可能性もあります。
大量の氷を食べることによって、歯が欠けたり、顎関節症に悩むケースもあります。妊婦健診で貧血と診断されなくても、氷を食べずにいられないという状況であれば、妊婦健診のときに医師や助産師へ相談しましょう。
まとめ
氷食症、異食症という聞き慣れない言葉に不安を感じるかもしれませんが、妊娠中に氷食症は起こる可能性のあるものです。妊婦さんが氷を食べずにいられない状況になってしまったら、妊婦健診のときに医師や助産師に相談しましょう。
■参考文献
・産婦人科診療ガイドライン産科編2017日本産婦人科学会/日本産婦人科医会
・エビデンスに基づく助産ガイドライン妊娠・分娩期2016日本助産学会
・精神疾患の分類と診断の手引き第5版(DSM-5)河上智美ら鉄欠乏と異食症の関係―第1報思春期の鉄欠乏性貧血における異食症の実態―.小児保健研究70:472―478,2011
・氷食症に関する文献的考察 Pagophagia: The Literature Review
・日本産婦人科・新生児血液学会
監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生
順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。