胎盤と内子宮口との距離が2.4cm!どうしたらいい?【助産師に相談】
3.辺縁前置胎盤
胎盤が内子宮口の縁にわずかにかかっているタイプです。
重症度は、全前置胎盤 > 部分前置胎盤 > 辺縁前置胎盤となっており、原則として帝王切開で出産します。しかし、分娩までの妊娠期間中に大量の出血を起こす可能性もあるため、十分な妊娠管理が必要です。なお、妊娠中に前置胎盤と診断されても、経過とともに胎盤が上に上がり、前置胎盤でなくなるケースもあります。
●前置胎盤で見られる症状
前置胎盤では自覚症状が少なく、無症状という方も多いです。症状として、腹痛を伴わない出血が起こることがあります。また、内診によって大量の出血を招くことがあるため、診察時の内診は禁忌となっています。
これは、子宮の壁と胎盤がおなかの赤ちゃんの重みによってずれ、胎盤から出血を起こしてしまうためです。特におなかの赤ちゃんが大きくなってから症状が出やすい傾向にありますが、そのほかでも大量の出血がある場合は、緊急を要する事態となっているため、すぐに受診しましょう。
前置胎盤の管理と出産方法
前置胎盤で出産に至った平均の妊娠週数は妊娠34~35週となっており、可能な限り37週まで待機しますが、少なくともこの時期を目指した妊娠の管理がおこなわれます。
●安静にする
出血がない状態でも早産や出血のリスクが高いため、基本的には安静にしておくことが必要です。また、運動や性交渉も控えたほうがよいとされています。また、妊娠期間をなるべく長くさせるために、子宮収縮抑制剤の使用などもおこなわれています。
●入院管理
出血がみられる場合は、基本的に入院して管理することになります。
●出産方法
・出血がないまたは少量の場合:
おなかの赤ちゃんの成長などを考慮し、妊娠37週まで妊娠を継続し、陣痛が来る前に予定帝王切開をおこないます。
・出血が多量またはおなかの赤ちゃんの状態が良くないと判断された場合:
妊娠週数にかかわらず緊急帝王切開をおこないます。
前置胎盤では通常の帝王切開よりも大きなリスクが伴うため、ICUやNICU、麻酔科などのある大きな病院(大学病院・総合病院)での対応が必要です。
出血量は通常の帝王切開に比べて多く、約14%の割合で輸血が必要となっています。そのため、出産に備えて自分の血液を採取する「自己血貯血」