出産時にラミナリアを使用する理由。挿入の痛みや挿入後の過ごし方
分娩誘発や流産の処置をおこなうとき、事前に「ラミナリア」という素材を使って子宮頸管を広げる処置をすることがあります。今回はラミナリアの使用目的やラミナリア挿入後の過ごし方など、処置を受ける前に知っておいてほしい予備知識をまとめました。
ラミナリアとは?
ラミナリアは子宮頸管を広げる処置(子宮頸管拡張術)の際に使用する5cm前後の長さの硬い棒状の素材です。原料は天然の昆布の茎根部で、サイズによって長さや太さが異なります。ラミナリアを子宮頸管の中に挿入すると、体内の水分を吸収して12時間ほどで2~3倍の太さに膨らみ、子宮頸管を広げます。
子宮頸管を広げる処置には、金属性の拡張器を用いて速く広げる方法とラミナリアなどを用いてゆっくりと広げる方法があります。ゆっくりと広げる方法では、ここ最近ラミナリアより短い時間で子宮頚管を広げることができる「ダイラパン」や「ラミセル」というものが用いられるようになってきています。
ラミナリアを使用する目的は?
ラミナリアは以下のようなときに使います。
流産手術や人工妊娠中絶をおこなうとき
流産してしまったケースや人工妊娠中絶をおこなうとき、胞状奇胎(※)と診断されたときなど、子宮の中をきれいにする処置(子宮内容除去術)が必要になります。その前段階の処置として、子宮頸管を広げるためにラミナリアを挿入します。
※胞状奇胎:胎盤の中にある絨毛が変化し妊娠継続ができない病気。
分娩誘発をするとき
出産が近づくと子宮頸管は徐々にやわらかくなっていきます。しかし、おなかの中で赤ちゃんが亡くなってしまった場合など、妊娠中期に出産を余儀なくされるようなケースや分娩誘発をおこなう場合には、陣痛促進剤を使用する前の処置としてラミナリアを挿入し、子宮頸管を広げることがあります。
ラミナリアを挿入するときの痛みと挿入後の痛み
閉じている子宮頸管を広げるために、5cm前後の長さの堅い棒状の素材を子宮頸管に挿入すると聞くと、やはり痛みがあるのか気になってしまうかもしれません。
ラミナリアを挿入する処置の際に子宮の入り口を子宮腟部鉗子でつまむのですが、このとき、人によっては、「ちくっ」「ズキッ」と痛みを感じる場合もあります。
そして、ラミナリアの挿入はゆっくりおこないますが、やはり人によっては痛みを感じる場合があります。