石井かなこさん(28歳)は、生後9カ月の娘・えなちゃんの母親。育休中に通うことになった近所のリトミック教室では、生後9カ月の女の子の母親・谷川さゆりさんと同じクラスでした。初回のレッスンからふたりは意気投合。「義母にいびられ、子どもを義実家の養子にしろと迫られている。夫はモラハラで、自由に使えるお金がほとんどない」というさゆりさんの複雑な家庭事情を聞いたかなこさんは、さゆりさんを支えようと、頼まれるたびにお金を貸していました。しかし、実はかなこさんの身の上話はすべて嘘で、さゆりさんの義母はすでに亡くなっていたのです。そんな事実を知るよしもないかなこさん。「月末に定期預金が満期になり、生活費も入るからまとめてお金を返せる」というさゆりさんの言葉を信じていました。
しかし月末になると、さゆりさんは「義母と夫に見つかり、おろしたお金を全部取られたから、返せなくなった」と涙ながらに説明。そしてその日、頭に巻いていた包帯は、「夫の仕業によるケガ」と言うのです。
「私が我慢すれば大丈夫」と話すさゆりさんに、「病院には行った!? 診断書は!? 実家は頼れない!?」とさゆりさんを心配し、何度も食い下がるかなこさん。どうにかさゆりさんを救う方法を見つけようとしていました。
しかし、さゆりさんの話は、借金を踏み倒すための嘘。本気でさゆりさんを心配するかなこさんの様子に、「お節介うざ……。タダ飯おいしかったけど、引き際かな」と考えたさゆりさんは、「夫にかなちゃんのこと話したら、『そんな闇金とはもう会うな』と言われ殴られた」とさらに嘘を重ね、ふたりはしばらく距離を置くことに。
かなこさんは、自分が介入することでさゆりさんの立場が悪くならないかなど、さまざまな考えが頭を巡っていましたが、さゆりさんの頭のケガを思い出し、「もう立場とか言っていられない段階。
一刻も早くなんとかしないと」と、さゆりさんを救おうとする気持ちは固まっていました。
そんなある日、かなこさんが娘を預け、ひとりで買い物に出かけた際、偶然さゆりさん夫婦を見かけたのです!「あれが暴力夫……! 許せないっ! 私がガツンと言わなきゃ!」と息巻くかなこさんは……。
“DV夫”に仕立て上げられ、困惑
「こんにちは! 私リトミックで一緒の石井かなこと申します!」