無排卵月経(無排卵周期症)はなぜ起こる? 原因と治療法を医師が解説
正常な基礎体温のパターンは、月経周期前半の低温相と後半(排卵後)の高温相に分かれる「二相性」ですが、無排卵月経の場合、低温期だけの「一相性」となります。
無排卵周期症においては、月経周期の長さが一定ではないことが多く、月経期間(日数)も短かったり長かったりしますが、正常な月経と区別できない場合もあります。
また、無排卵月経は不妊の原因にもなります。
無排卵月経(無排卵周期症)の原因は?
正常な月経周期では、脳(視床下部・下垂体)から分泌されるホルモンが卵巣に働きかけ、卵胞を発育させ、排卵させます。一方、無排卵月経の場合は、脳から分泌されるホルモンがうまく分泌されないため、卵胞が十分には育たず、排卵が起こりません。排卵が起こらないと、排卵後に増加するプロゲステロンの分泌が欠如するため、子宮内膜が維持できず、剥がれ落ちてしまいます。ただし、無排卵月経の場合は、排卵は起こらないものの卵胞は発育してエストロゲンが分泌されるため、その程度に応じて子宮内膜は厚くなり、その剥離による出血がみられます。
これに対し、エストロゲンの分泌がより悪くなった場合には子宮内膜は薄いままで、したがって月経も起こらない「無月経」という状態になります。
脳からのホルモンがうまく分泌されない原因はさまざまあり、ストレス、体重の変化、内分泌疾患、加齢などがあります。
無排卵月経(無排卵周期症)の症状は?
無排卵月経の主な症状は月経不順、不正出血、不妊です。月経不順は、そのパターンにより以下のように分類されます。
・頻発月経:24日以内で月経が来る
・希発月経:39日以上3カ月未満で月経が来る
・過多月経:出血量が異常に多い
・過少月経:出血量が異常に少ない
・過長月経:出血日数が8日以上
・過短月経:出血日数が2日以内
不正出血については、いろいろなパターンでの出血が起こりえます。ただし、ここで気をつけないといけないのは、長期にわたり無排卵周期が続く場合、黄体ホルモン分泌を伴わないエストロゲン単独分泌が持続することにより、子宮内膜増殖症や子宮内膜がんが発症する可能性があるということです。特に更年期において不正出血がみられた場合、無排卵月経と子宮内膜の腫瘍との鑑別診断は大切です。
いずれにしても、不正出血があった場合、自分で無排卵月経と決めつけずに、診察を受けるようにしましょう。