研修テーマは多岐にわたり、私たちのチーム(どうやら複数の人間で視察に行くようでした)はHuman Rights、つまり“人権”がテーマであることも説明されました。
あまりに珍しい状況に、緊張はピークであるものの、そもそもなぜ私なんかが呼ばれているのか全然分かりません。ただ、こんなところで面接を受けられているだけでも棚からぼた餅。通るはずもない面接だと思えば「まぁ、そんなに緊張することもないな」という気持ちが湧いてきました。
こんな体験も、そうそうすることはないし、「ここは率直に話すまで」と思い、自分の家族のこと、LGBTファミリーについて思うこと、アメリカに行ったら知りたいことを話しました。
一人でホームページを作っていた頃は、日本ではなかなか知ることのできないLGBTファミリーの情報に飢え、読めない英語を辞書を片手に、なんとか探しているような状態でした。アメリカに行けるようなチャンスがあるなら、LGBTファミリーについて聞きたいこと、知りたいことは山ほどあります。インターネットで見つけたLGBTファミリーの団体のこと。
LGBTファミリーを扱った絵本が、いろいろあるらしいこと。さらには日本では入手できない、レズビアンのステップファミリーについての指南書があるらしいこと。LGBTファミリーのサマーキャンプがあるらしいこと。など、など、など。
最後に、思い切ってこんな質問をしてみました。「なぜ、私のような専門家でもない普通の人間に、こんな面接のチャンスをくれたのか?」。すると、こう答えられたのです。「アメリカは今、同性婚で揺れています。
この同性婚の問題は、家族の問題そのものです。ですから日本のLGBTファミリーの方に、今のアメリカの運動の様子を見てもらえたらと思って」。全米で同性婚が認められるようになったのが2015年6月のこと。その2年ほど前のことでした。(つづく)
Composition:Yoshiyuki Shimazu