でも、息子はふだん、新幹線とか車の図鑑ばっかり読んでいるのに、この絵本はすごく気に入ってくれて。もう暗唱するくらい見てくれたんです」
バスが町並みをゆっくり進みながら、海に行くまでの物語。バスの運転手さんはパパで、男の子の他にもママやおばあちゃん、家族みんなが一緒に乗っている。
「3歳のときも、また絵本を作ろうと思って、下書きまでは描いたんですが、なんか忙しくなって中断しちゃいました(苦笑)。やっぱり息子が好きな新幹線が出てくる話で、新幹線に乗っているうちに、みんなが眠くなっちゃうっていう、寝かしつけにピッタリのストーリー。今はね、下の娘にも絵本を作ってあげなきゃなぁと思うんですけど、2人目あるあるで、気合がなかなか入らない。
2人目の子育てって、ついつい雑になっちゃいますね(笑)」
子どもが来てくれたおかげで
自分本位の苦しさから解放された
長男が3歳のとき、女の子の赤ちゃんを里子として迎え入れた古泉家。長男と一緒に乳児院を訪れていたので、彼には妹ができることは分かっていたはず。とはいえ、やはり、いざ可愛い赤ちゃんが家にやって来て、みんなの注目が赤ちゃんに集中するという状況は、甘えん坊の男の子にはきつかった。「保育園で出会った絵本『ちょっとだけ』は、子ども心にも『これはまさに我がことなり!』って思ったみたいです(笑)。主人公の女の子のような健気さはないんですよ。でも、それまで一人っ子だったのが、下の子ができて注目されなくなるのって、つらいことじゃないですか。赤ちゃん返りもすっごくする。だから、今は息子を最優先にするようにしています。
たとえば、息子は保育園では自分で服を着ているくせに、家ではぜったいにひとりで着ないんですよ。妹が来る前は『抱っこ』なんて、そんなに言わなかったのに、僕が帰宅して、妹が寄ってこようとすると、ダーッと妹を追い越して、僕に『抱っこ!』って言う。そこで無下にしちゃいけないなぁと思って、息子を先に抱っこしています(笑)。だから、この前、初めて息子と娘が一緒におもちゃで遊んでいる姿を見て、びっくりしました(笑)」
里親には守秘義務があるなど、いろいろ細かい規定も多い。一人を育てるだけでも大変なことなのに、さらにもう一人、赤ちゃんを引き取ろうと決意した理由とは?
「それはですね、僕自身が一人っ子で育って、一人っ子の負の側面の塊のような感じだったんですよ。