連載記事:『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方

自分を表現すると嫌われる学校の現実。守りに入る教員をどう変える?【『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方 第4回】

『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方

『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方

不登校児が0人。その小学校には、それぞれの子に、それぞれの居場所があるから。映画『みんなの学校』の初代校長・木村泰子先生に、これからの子育てに必要な「生き抜く力」についてお話を聞きました。

みなさんの中で、子どもに間違ったことをしたときに、自分から子どもに謝ることができる人はいるでしょうか?
自分を表現すると嫌われる学校の現実。守りに入る教員をどう変える?【『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方 第4回】

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「誰でも絶対間違うことがある」と話すのは、子どもたちとのたったひとつの約束「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」を実践し、教師はもちろん保護者とも一緒に「学ぶ」ことを実践した小学校の校長を務めた木村泰子先生です。

木村先生が校長を務めた大空小学校の姿がドキュメンタリー映画『みんなの学校』となって公開され、2年がたちました。そしていまなお自主上映会が開催され続けています。この映画の中で木村先生は、「やり直し第1号はわたし」と話しています。木村先生は、自分が間違ったと感じたとき、どうしたのでしょうか?

そして、問題が起こる学校現場で、親はどうしていけばいいのか。親が学校の先生に意見をすると嫌な顔になったときに、一発で効く印籠を木村先生は授けてくれました。はたして守りに入った先生に効く印籠とは…。

※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。

記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。

■「一生懸命やっている」価値観は大人失格

自分を表現すると嫌われる学校の現実。守りに入る教員をどう変える?【『みんなの学校』流「生き抜く力」の育て方 第4回】

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木村:私は思ったことしか言わないので、「バカやろ」「バカたれ」と、子どもたちによく怒りました。でも、「4つの力(※)」を大切にしながら関わっていれば、子どもは絶対に離れないんです。

自分の想いが相手に通じないと、「これだけ一生懸命やっているのに、何で通じないの?」と言う大人もいます。そういう人は、大人をやめた方がいい。そんな気持ちと態度でいたら、「子どもの前に立つ大人」としては失格です。なぜなら、「これだけ一生懸命やって、なんで通じへんの?」というのは、100%大人サイドの物の見方だからです。

子どもの立場になってみることが、何よりも重要なんです。
「自分が子どもやったら、どうかな?」。これは、「人を大切にする力」です。

「子どもやったら、どうかな?」と思ってみると、「大人が勝手にやってことに対して、何で言うこと聞かなあかんの?」という気持ちになるのではないでしょうか? 「本当に大人は、勝手やな」という気持ちに子どもがなるような行為を大人がしているのです。

参加者:でも、なかなか、そんな気持ちで子どもと関わることができません。

4つのちから:「人を大切にする力」、「自分の考えを持つ力」、「自分を表現する力」、「チャレンジする力」のこと。この4つの力があれば、子どもたちは、これからの多様な国際社会で「なりたい自分になっていけるよ」と、木村先生は話します。

■大人サイドで物事を考える教員はアウト

木村:もちろん、そういう現実はあります。ここで、みなさんに質問させてください。
子どもに対して間違えた行動をとってしまったとき、「ごめんなぁ。どうしたらよかったと思う?」と、すぐ言えますか? そんな自分を確立できていると思う人。では、そういう自分を、まだ確立できていない人は? 

どうもありがとうございます。確立できていない人が大半ですね。問題は、そこなんです。教員はお給料をいただいているから、大人サイドで物事を考えていたら、本来はアウトです。けれども、アウトであることを伝えれば伝えるほど、学校現場では、守りに入る教員が多いのが現実です。

守りに入ってしまった教員をどう変えるか。
自分の4つの力を使って、その教員に対して「教師も学校も子どもから学んでほしい」と表現するんです。それは理屈じゃありません。


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