【医師監修】子どもの体・心・脳を育てる食材・調理法の新常識【東大ママドクターが教える最新子育て食(1)】
ママたちの頭を悩ませる毎日の食事作り。栄養バランスは大切と思いつつも、ついつい「子どもが喜んで食べるから」と揚げ物や甘い物を多くあげていませんか?
普段の食生活でどんなことに気をつけたらいいのでしょうか? テレビでも活躍中の「東大ママドクター」こと小児科医の伊藤明子先生に、「丈夫な子」「頭のいい子」「心が安定した子」を育む食事について、教えていただきました。
伊藤明子先生 プロフィール
小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院で臨床研修。同病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』『天然ヘルシー「調和食」レシピ』など。
テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。
■子どもだって「糖化」は要注意! 「揚げる」より「蒸す」「煮る」
―― 子どもが好きな食べ物といえば、揚げ物や甘い物を思い浮かべるママは多いと思います。体にはどんな影響があるのでしょうか?
伊藤明子先生(以下、伊藤先生):「揚げ物も甘い物も絶対NG!」というわけではありません。これらに含まれる糖は体にとって大切なエネルギー源です。ただ、たくさん食べると「糖化」を進行させてしまうので注意が必要。
「糖化」とは、糖とタンパクが結びついて加熱によって起きる現象で、食べ物からとり込んだり、体内で糖化現象が起きて、肌や血管、骨などが劣化していくことをいいます。糖化によって作られたAGE(終末糖化産物)が老化を加速させることが研究でわかっています。
加齢とともに糖化は進んでいくものですが、子どもの頃から糖化が進みすぎると、骨の質が低い状態で成長してしまうため、将来的に骨粗しょう症やがんなどの病気のリスクが上がる傾向にあります。
シミやしわの原因や、認知症との関連も報告されています。
AGEはクセモノで、一度蓄積されるとなかなか減らすことができません。離乳食や幼児食の頃から、なるべく気をつけてあげたいですね。
―― 子どもの頃から血管や骨の劣化に気を付けないといけないなんて…衝撃的です! 揚げ物が大好きな子はどうすればいいのでしょう?
伊藤先生:揚げ物をおいしいと思うのは当たり前のこと。いきなりやめてしまうと子どももつらいので、徐々に回数を減らしていけるといいですね。
注意してほしいのは、揚げ物を特別扱いしないこと。がんばったから「今日は特別に揚げ物ね♪」はやめましょう。子どもの中で「揚げ物=ごほうび」になってしまいます。
大人の言うことがある程度わかる年齢の子であれば、「揚げ物ばかり食べていると、ベタベタ物質が体の中にたまるよ。食べ過ぎると○○ちゃんの体に良くないんだよ」と教えて納得させるのもひとつの手ですね。
―― 普段の料理で心がけることは?
伊藤先生:糖化リスクが低い調理は、「生→蒸す・煮る→焼く→揚げる」の順です。揚げ物の代わりに、積極的に蒸し料理や煮物を取り入れましょう。ただ、生のものばかりを食べることは、さまざまなリスクがあるためおすすめしません。
糖化リスクを下げる幼児食
「エビとオクラの煮物」(3歳~)
<材料 2人分>
エビ 4尾
オクラ 6本
塩 小さじ1/2
出汁 100cc
薄口しょう油 小さじ1
みりん 小さじ1
<作り方>
1.エビは殻をむき、串などで背ワタを取り除く。
2.オクラは手早く塩もみし、硬い「がく」の部分を包丁でくるりと削り取る。
3.鍋に出汁、薄口しょう油、みりん、オクラを入れて火にかけ、オクラがやわらかくなったら1.のエビを入れて火が通るまで煮る。