連載記事:「ママ、あのね」心理相談のプロに聞く“子どもの気持ち、ママの気持ち”
赤ちゃん返り「上の子はどう感じている?」不安を取り除く2つの方法【「ママ、あのね」心理相談のプロに聞く“子どもの気持ち、ママの気持ち” 第1回】
■赤ちゃん返りを防ぐには1:出産前は「上の子をたくさんハグ」
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――あくまでも「遊びの延長線上にお世話があるのですね。ところで、年齢差によって上の子の心境はやはり変わってくるものなのでしょうか?
帆足先生:赤ちゃんとの年齢差が要因となって心境が変わるということはありません。それよりも、これまでに赤ちゃんと接した経験の有無や、赤ちゃんへの興味の有無が上の子どもの心境に影響を与えると思います。もちろん、ママとの関係や上の子の心理的な発達によっても変わってきます。
例えば、上の子が1歳半~2歳くらいだと、「母子分離不安」の時期と重なります。ちょうど上の子がママと離れることに不安を感じるので、赤ちゃんの存在を受け入れるのが大変になり、赤ちゃん返りのような反応が出やすい傾向にありますね。
――なるほど。年齢差を離さないで生もうと思っている、あるいは妊娠中のママにはなかなかつらいお言葉ですが…。
帆足先生:子どもの発達のことだけを考えると大変に思えるかもしれないですね。でも、どれくらいの年齢差で生まれてくるかは自分自身で決められないこと。家族にとって良い時期に赤ちゃんが生まれてくる。その偶然性を大切に思う気持ちがあれば、どのようなことでも前向きにとらえていくことができると思います。
そこで一番大切になってくるのが、上の子に「ママに愛されている」という実感があること。その安心感があれば、子どもは安定していられます。
一方で、ママに甘えられない、怒られてばかりという状態が続いている場合は、上の子が「自分は愛されていない」と考えて、不安になり、赤ちゃんを受け入れにくくなります。
下の子の誕生は、上の子との関係を見直す良い機会でもありますね。
今後のためにも、その「気づき」を大切にしていけるといいですね。
妊娠中のママは自分の体が思うように動かないのに、上の子のお世話に家事となにかと大変だと思います。妊娠中はおなかの赤ちゃんを守る気持ちになりやすく、無意識に上の子どもとの間に距離をつくってしまいがちです。
だからこそ、今のうちに、無理のない範囲で、上の子をたくさんハグして「愛されている実感」をつくってあげてくださいね。
■赤ちゃん返りを防ぐには2:出産後は「2人だけの時間」「お姉さん(お兄さん)扱い」
――2人目が生まれてもそうではなくても、子どもとの関係をしっかりと作っていくことが大切ですね。最後に、まさに2人目が生まれて、赤ちゃんのお世話もあって「時間がない!」「上の子が赤ちゃん返りして大変」というママにアドバイスをお願いします。
帆足先生:大事なことは、2つあります。ひとつは、上の子と2人だけの楽しい時間をつくること。
下の子が寝ている間に上の子をしっかりハグしたり、絵本を読んであげたり。毎日絵本を読む時間はなくても、1日2回ハグするくらいならできますよね。朝起きた時と寝る前に「〇〇ちゃん(〇〇くん)が大好き」と伝えながらハグすることを習慣にして、上の子を安心させてあげましょう。
もうひとつは、上の子を「お姉さん(お兄さん)扱い」すること。年齢にもよりますが、ママがトイレに行く間に赤ちゃんを見ていてもらったり、おむつ替えを手伝ってもらったりするなど、簡単なお世話を頼んでみましょう。自分が赤ちゃんとは違って、ママのお手伝いをする立場だと分かれば、心にゆとりができます。
でも、子どもも大人と同じように、疲れたり、イヤなことがあって心に余裕がなかったりするときもあります。あくまでも、子どもが楽しくお世話を手伝ってくれる時だけ、お願いすることにしましょう。
そして、上の子が甘えてきたら、ママはしっかり受け止めてあげてください。そうすれば、ママの愛情を赤ちゃんに取られるといった不安がやわらぎ、安心して赤ちゃんとの生活を楽しんでくれるようになるでしょう。