連載記事:子ども×自由の先にあるもの
子どもに「自由」をどう教える?【子ども×自由の先にあるもの 第1回】
■子どもたちにとって「自由であること」は幸せなのか
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――自分のやりたいことが見つからない場合、「好きなように選択しなさい」という「自由」は子どもにとってつらい場合もある気がします。
たしかに、しんどい面もあると思います。学校でいい点数を取ることが目標にならない場合、子どもたちのアイデンティティを確立をする方法は、「やりたいことが見つかったかどうか」がひとつのキーとなる面はあります。だからこそ「やりたいことが見つからなくてしんどい」と言う子も多いです。
しかし、私はやりたいことを見つけられている子と見つけられていない子の
境界線は不確定だと思っています。
例えば、「ギターをやりたい」と言う生徒がいたとしても、いつまでギターがやりたいかどうかなんてわからないじゃないですか。それに、見つかったからといって本当に幸せかどうかなんてわかりません。
――たしかにそうですよね。では、何が大切なのでしょうか。
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やりたいことと言うより、生きていく上で
「これは大事にしたい」と思うことではないでしょうか。
例えば、「写真を撮りたい」と言っても、写真家として生きていける人はごくわずかです。でも、写真の周辺にはさまざまな仕事があるし、趣味で続けていくこともできますよね。明確に1つの職業として決めなくても、どういうジャンルの仕事にやりがいを感じるのかと言うことがある程度定まっていれば、自分のキャリアの方向性がみえてきます。
■子どもが自由に生きるために家庭でできること
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――子どもたちが自由に選択していくために、親としてはどういうサポートができるのでしょうか。
僕たちは、生徒がもう一歩先を行くために今どういう教材を投げかけたらいいのかを授業の中で考えますが、親もそれと同じで、子どもが何かする時に、
親なりのカリキュラムというものをある程度イメージしてみるといいですよね。
子どもが努力をして、「やった」と本人も思えるようなものを準備をしてあげるんです。子どもが自信を持つようになるには、
小さな成功体験を繰り返す以外にはないですから、うまくいったときには
きちんと褒めてあげましょう。
そして、失敗しても、
必要以上に責めないことが大切です。その子の努力によって、小さな1歩を踏み出したとき、きちんとした評価をしてあげることを繰り返していくことで、子どもは自信を持って次の一歩を踏み出そうと思えます。
――親としては、どうしても失敗をさせたくないと思ってしまいます。
生きていくなかで、さまざまな局面において、子どもにきちんと選ばせる事は必要です。
つい先回りしてしまう気持ちはわかりますが、それでは親が子どもの代わりに選択することになってしまいますから。
――子どもが自由に生きるために、やりたいことを見つけさせてあげたい。これまで生徒をみてきたなかで、心がけていることはどのようなことでしょうか?
自由の森学園では、できる限り多くのジャンルのものを見せて、実際に触れさせて体験させます。世の中のことって、数種類の教科ではわけられませんから。その中で、「これに手ごたえを感じたなぁ」とか、「これなら一生やっていけそうかもしれないなぁ」とか、そこまで導いてあげたい。
その先は、大学なり専門学校なり、もしくは弟子入りするなり、いろんな道がありますが、何をしている時に一番自分らしくいられるか、満足できるかを知ることにつなげてあげたいと思っています。
――親にはどんなことができますか?
学校と同じようなことをするのは難しいとしても、学校と家の往復だけじゃなく地域での活動やさまざまなボランティア活動など、さまざまなジャンルの体験をさせてあげるといいかもしれません。