連載記事:つぶさない子育て
不登校の子どもを支えられない親たち…現代社会が抱える問題とは【つぶさない子育て Vol.2】
イラスト:koyome
前回、「『心を強くする経験』は、これからの子育てを考える時、一番のキーワードになります」と、花まる学習会の高濱正伸さんに教えていただきました。
そのためには、「『そういうこともある!』と、『事件にしない』という形で、親が子どもに状況を提示してあげる必要があります」とも。
では、最近増えている不登校は、どのように考えればいいですか? 引き続きお話しを伺いました。
花まる学習会 高濱正伸さん
■不登校と言っても実態はさまざまある
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――最近、不登校が増えていることについては、どうお考えですか?
「不登校」と一言で言っても、その実態はさまざまです。じつは、「
学校が『つまらない場所』だから行きたくない」という子も一定数います。そういった子は、
大人になって自立さえできれば、不登校でも問題はないと思います。
――「不登校だからダメ」と一概には言えない?
もちろんです。ただ、長期の引きこもりの人たちの履歴を見ると、不登校からスタートしている場合も多いので、「入口の対応」という意味では「不登校であるという状態」をどう扱うかは大切です。長期化すると、「外に出るのが怖い」とか「朝晩逆転」といったことに繋がることもありますから。
――不登校については、何から考え始めたらいいのでしょうか。
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一言で言えば、
愛です。ラポールです。
【ラポール】
ラポールとは、フランス語で「橋を架ける」という意味。心が通い合い、互いに信頼し合い、相手を受け入れている状態のこと。
今の学校の先生の中には、
子どもとの信頼関係が築けていない人もいます。そんな先生のことを、子どもはどう見ているのか?
「この人は、授業をやらないとお給料がもらえない人。この人が困るから、黙って授業を聞くしかない」といった目で見ている可能性もあります。
先生に悪気がないのはわかります。でも、「そこに、【ラポール】~子どもとの信頼関係~があるのか?」という話です。
■今の学校は古い⁉
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――先生と信頼関係が築けないお子さんにはどんな特徴がありますか?
知能が高かったり、才能がある子ほど、ラポールに敏感です。今、そういった子たちが、
学校の中に居場所を見つけられないという現実があります。
――学校に居場所がない子どもはどうすればいいんでしょうか?
私は、この現実を受けて、花まるエレメンタリースクールというフリースクールをつくりました。昨年が一年目で、今は二年目なんですが、手ごたえを感じています。
――フリースクルーでの手ごたえとは?
昨年からいる(1年目からいる)24人が、先輩面するんです。「俺も暴れていたから、わかるよ」みたいなことを言う(笑)。大人に言われるより、
「自分もそうだった」という先輩(そう言っても子どもですが…)の言葉を届けることができることが大きいんです。
そういった仕組みを作ることが大事だったんです。
「現状の学校に収まりきらないタイプの不登校」に対しては、花まるエレメンタリースクールの教育実践を通して、ひとつの答えが出ました。
――どんな答えですか?
子どもが心から安心できる居場所を作ればいいのです。要は、
「仕組み」の問題なんです。この話も何度もしていますが、
今の学校がもう古いんです。先生一人一人には、絶対に悪い人はいないんです。
■日本の教育は、何が問題か?
高濱先生は、いまの日本の教育の問題点として、「粒のそろった兵隊を作る教育」なところと挙げています。そして高濱さんは、「上の言うことを忠実に聞く兵隊を作るのではなく、これからの教育では『自走する人間』を育てていく必要があるんです」と、言います。