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スッキリうんち、してるかな?

あんふぁん
お子さんは、毎日うんちが出ていますか?
読者アンケートでは「ほぼ毎日出ている」という人が約74%と大多数を占めましたが、大事なのは回数だけでなく、いいうんちがスッキリと出ること。
子どもの便秘治療をしている中野美和子先生に、「スッキリうんち」の定義や、便秘の仕組みを聞きました。

スッキリうんち、してるかな?

お話を聞いたのは:中野美和子先生
さいたま市立病院小児外科部長。排便外来を開設し、子どもの難治性便秘・便通異常・便失禁の治療を行っている。著書に「赤ちゃんからはじまる便秘問題」(言叢社)。「日本トイレ研究所」のWebサイト(http://www.toilet.or.jp/)ではアドバイザーとして、子どもの便秘に関する知識を紹介している。

Q.お子さんの排便頻度はどのくらいですか?


スッキリうんち、してるかな?

※2016年6月8日~7月5日、Webアンケート、有効回答数1184人

■排便は、食事や自分の意思だけではコントロールできない
便秘が腸の病気を引き起こすことはありませんが、「うんちが出ない」ことは子どもにとってつらいもの。おなかがいつも張っていて苦しい。
うんちを出すと痛いので、余計にため込み、食欲がなくなる。イライラしてお友達と遊べないなど、排便の悩みは生活の悩みにつながります。
食事を変えれば便秘は治ると思うかもしれませんが、子どもの場合は、好き嫌いがあるなど食事の改善自体が大変ですし、そもそも食事だけで便秘を解消するのは難しいもの。腸を動かしたり、脳に信号を送ったりして排便をコントロールしている、自律神経の働きが重要です。
自律神経の働きには、規則正しい生活やリラックスできる環境といった、毎日の生活が大きく関わってきます。

■回数の問題ではなく「いいうんち」を出すことが大事
「いいうんち」の定義は、次の2つです。
1.週に3日以上排便がある。S状結腸には3日分くらいの便がためられるので、週3日までなら便秘ではないとされています。

2.便意を感じ、トイレに行くとスムーズに排せつできる。排便後にスッキリ感がある。
つまり、小さなうんちがコロッと出るだけでは、毎日出ていても、快便とは言えません。1日分の新しい食べ物が入ったら、1日分の古い便が出るのが本来の排せつ。しかもスムーズに出るのが本当の「いいうんち」です。

■おうちのかたが子どもの排便に気を配ることが大切
「うんちが出ない」ことは、親には言い出しにくいもの。苦しむ姿を見られたくないからか、一緒にトイレに入るのを拒む子も多いようです。
生まれ持った腸の力が弱いために、うんちを外に押し出せないのが子どもの便秘の特徴です。
そのまま放っておくと腸は伸び切って、大量にうんちをため込まないと便意を感じられなくなります。結果、子ども時代の便秘が大人まで継続してしまうのです。
もし、排便状況を把握していなかったり、うんちの回数や量が少ないと思ったら、次ページで紹介する「排便日誌」をつけるなど、子どもの様子を観察してみてください。
うんちがスッキリ出れば、食欲も湧くし、ぐっすり眠れる。眠ることで消化管の活動は活発になりますから、またいいうんちが出ます。「そのうち良くなる」と甘く見ず、今いいうんちを出せているか、排便に気を配りましょう。

お子さんの便秘度チェックリスト
A:排便の回数
□ 続けて5日以上排便がない
□ 排便のペースが週3日以下

B:排便状況
□ 排便時に痛がる
□ 排便時に出血がある
□ 便がたまっておなかが張っている
□ 食欲がない
□ いきんでもなかなか出ない
□ 小さな便が何回も出る
□ ベタッとした便で下着が汚れる
□ 毎日出るが少ない。週に一度くらい大量の便が出る
□ 食欲がないが、排便すると食欲が出る

A・B両方に1つ以上当てはまったら受診を勧めます
どちらか一方の場合は、「排便日誌」をつけるなど排便の様子を観察してください。
便秘癖がつく前であればかん腸や下剤で解消できる場合も。早めの対処が肝心です。

スッキリうんちQ&A
読者アンケートで寄せられた質問に中野先生が回答します。ちまたでよく聞く便秘にまつわるアレコレも、「実は迷信」ということも…? 正しい知識をチェックしましょう!

Q.長女は便秘だけど次女は快便同じ食事をしているのになぜ違う?
A.その子の生まれ持った腸の力で便秘の度合いが決まるから
スッキリうんち、してるかな?


排便は自律神経がコントロールしており、うんちが肛門の外へ押し出されるためには、腸の力が大切です。この腸の力というのは、きょうだいで同じ場合もあれば違う場合もあります。食事はうんちの形を作る要素ですが、それだけで便秘になるかどうかが決まるものではありません。便秘予防には自律神経を整え、しっかり動く腸をつくることが大事なのです。

Q.便秘を予防するために毎日何をすればいいの?
A.リズミカルな生活を送って自律神経の働きを正常にすることです

食事は朝・昼・晩と規則正しく食べる、決まった時間に起きて眠るといった、リズミカルな生活を送ることが自律神経の正常な働きを促します。
また、自律神経は緊張状態で活発になる交感神経と、リラックス状態で活発になる副交感神経とに分かれています。園で活発に過ごす時間と、おうちで安心して過ごす時間が交互にやってくることで、どちらもが正常に働くようになります。

Q.「朝うんち」がいいって聞くけど理由はあるの?
A.快適な1日のため理想は朝ですがこだわらなくてもOK
朝うんちを勧める理由は、1.朝スッキリ出ると1日を快適に過ごせるから。2.園でうんちがしにくい子の場合、家に帰るまで我慢していることが、便秘につながりやすいから。ただ、排便にもっとも大事なのはリラックスできる環境です。朝、「早く!」と急かされながらトイレに行くくらいなら、帰宅後やお風呂に入る前など、親子ともに余裕があるときを、うんちタイムに充てましょう。頑張らせるのは長くても2~3分に。出るものならそれくらいで出ますし、無理強いは排便がイヤになる原因です。


Q.ちょっと便秘気味かなと思ったとき、親にできることはある?
A.気になったらまずは1週間排便日誌をつけてみましょう

スッキリうんち、してるかな?


「排便日誌」に記録するのは次の4つです。1.うんちが出た日時2.うんちの形(硬さ、量、太さ)3.おなかの具合4.園行事があった、風邪などの生活面記録をとることで、「硬くて小さなうんちが出ても、翌日にはいいうんちが出ている」といった排便のリズムを把握できます。また、「園行事があると便秘になりやすい」といった生活と排便の関係が分かると、積極的にトイレに誘ったり、下剤やかん腸を早めに使ったりといった対処ができるようになっていきます。

Q.かん腸・座薬・下剤はどれを使ってもいいの?
A.長い間うんちが詰まっている場合はかん腸・座薬を使って
5日以上出ないなどの重い便秘の場合、下剤(飲み薬)を使うのは良くありません。肛門近くのうんちは硬いままなのに、上から緩くなったうんちがどんどん下がってくるので、余計におなかが苦しくなります。ひどい場合は硬いうんちの隙間から、緩いうんちが漏れることも。まずはかん腸や座薬で硬いうんちを取り除きましょう。2~3日うんちが出ない、肛門に少し血がにじむなどの軽い便秘であれば、かん腸・座薬・下剤のどれを使っても大丈夫。
市販薬で構いません。

Q.かん腸や下剤を使っても治りません薬が癖になっているのかな?
A.薬は原因そのものを取り除くものではありません
かん腸や下剤などの薬は、うんちをとりあえず出して、ため癖がついている直腸を空っぽにするためのもの。便秘の原因そのものを解消するわけではありませんから、かん腸や下剤をやめればまた便秘になります。薬が癖になっているわけではありません。ため癖を直すにはうんちを出すことが大事ですから、薬は続けて使いましょう。また、市販薬は安全のため薬の量が少なく設定されています。市販薬で効かない場合は、病院で薬を処方してもらってください。

どんなうんちがいいうんち?
焦げ茶色に近いほど水分が少なく、長くたまっているうんちです。いいうんちは、色も明るいブラウン。ひどい便秘の子どもにありがちなのは、おにぎり状の大きな便。排便がとても困難になります。

スッキリうんち、してるかな?


うんちはどうやって体の外に出ていくの?
腸や肛門は刺激を受け取ることでうんちを体の外へ押し出そうと動きます。これらの刺激は自律神経が伝達していて、私たちの意思で動かせるものではありません。だからこそ自律神経を正常に整えることが大切なのです。

スッキリうんち、してるかな?


1.食べ物が胃に入る
胃に食べ物が入った刺激が大腸に伝わる。しっかり量を食べないと刺激は起きない
2.S状結腸から便が移動する
胃から刺激が伝わると、大腸がぐーっと動き、S状結腸にたまっている便が直腸に押し出される
3.便が直腸の壁を押す
便によって直腸の壁が刺激されると、大脳に刺激が伝わり便意を感じる
4.便意を感じて肛門が緩む
便意を感じていきむと、肛門括約筋が緩み、便が外に押し出される

監修/西東桂子(あんふぁんサポーター)illustrationKAWAZOE Mutsumi

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