おもしろい大人との出会いが子どもの興味をかきたてる! “キッカケ”アプリ
一方の娘は、相変わらずまったく興味のない様子。少しきょろきょろと機械類を眺めたものの、座って本を読み始めてしまいました。
ですが、かまわずセッション開始。曲の途中、子どもたちの歌声が挿入される部分があり、そこを収録するとのこと。
まずは仁科さんの娘さんがヘッドセットをつけ、マイクに向かって収録部分のフレーズを歌います。サンプリングができたら曲に挿入。通して聴いてみたり、映画のストーリーと曲のイメージについて作曲したご本人である仁科さんからお話を聞いてみたりと、本当に興味深い内容。気づけば、本を読んで知らんぷりしていた娘がいつの間にか近くに来ていて、自分もサンプリングがしたいと言い出しました。
生き生きとした表情でお仕事を手伝う仁科さんの娘さんの様子に、興味が出てきたのかいつの間にか収録にジョインするウチの娘。雰囲気は終始おだやかで笑顔が絶えず楽しかったのも理由かも
やってみることで俄然興味がかきたてられる
「もちろん!」と快く参加させてくれた仁科さん。ヘッドセットをつけ、歌う際のちょっとしたコツなども教えてもらいます。スタンディングマイクに向かって歌うなんて、娘にとって初めての体験。さすがに何度もリテイクとなりましたが、最後に「OK!」をもらって実際に自分の声が音楽にのったところを聴いたとき、ちょっとした驚きとともにぱぁっと表情が明るくなったのが印象的でした。
スタジオをあとにし、帰る道々、娘の話はこのセッションのことだらけ。「ママと同じようにパソコンを使ってお仕事をするのに、ぜんぜん違うことができるんだね!」と、興奮気味。作品が人々の耳に届くような形に完成する過程を見たことは、娘にとってなかなか興味をかきたてる体験であったようです。
小さなきっかけが大きく育つ可能性
以来、娘は映画のエンドロールを注意深く見て作曲家の名前を見つけようとすることが多くなりました。また、挿入歌の歌詞の意味を質問したり、「どうしてこう歌ったのだろう?」と考えることも。これまではただ映画を観て楽しんでいただけでしたが、映画音楽を作っている“人”を認識したことは確か。音楽そのものに興味が、というところまでいっていないものの、この、小さく芽生えた娘の興味がどのように広がっていくかは未知数です。
これを“きっかけ”に、どんどん興味の対象が増えてなにかに発展していけばいいなぁ、と少しの希望を持てるようになりました。
ユニークな大人と子どもが出会えるアプリ
(写真は表記以外すべて©岩佐史絵)