頭のいい子に育てたい!「3つのH」(ほめる・はげます・ひろげる)は子どもを伸ばす魔法の言葉
「成人後の経済状態や生活の質を高めるためには、就学前の教育が最も効率的である」ことが、ノーベル経済学賞受賞者・ヘックマン教授の研究により明らかにされています。
「教育投資」という中長期的な視点から、幼児期に必要な働きかけは何でしょうか。
発達心理学に詳しいお茶の水女子大学名誉教授の内田伸子さんに聞きました。
イラスト/柴田ケイコ
お話を聞いたのは:内田伸子さん(うちだ・のぶこ)
環太平洋大学教授、お茶の水女子大学名誉教授。発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学を専門とし、「おかあさんといっしょ」(NHK)の番組開発や「しまじろうパペット」(ベネッセコーポレーション)の開発に携わる。「子どもの見ている世界」(春秋社)など著書多数
人格の基礎となる重要な幼児期、“主体性”を大切にした関わりを
昨年4月に施行された子ども・子育て関連三法に共通して、改定された大きな特徴が「子ども一人ひとりの発達状況に配慮した保育を行う」こと。
これからの社会を生き抜く子どもたちのために、親や保育者により求められているのが、未就学期の子どもの“主体性”を大切にした関わりです。
発達段階において、子どもの脳が成長するのは全部で3回。
「第一次認知革命」と呼ばれる生後10か月~3歳にイメージが誕生し、記憶機能が活発に働き始めます。
5歳半ごろから小学1年生にかけて起こるのが「第二次認知革命」。ママに「なぜ?」と質問されると、理由や根拠を言葉で伝えることができるようになり、他人の気持ちを想像して思いやる心も育ちます。
「第三次認知革命」は9~10歳ごろ。意志力や判断力、モラル、情緒、アイデンティティーが育まれます。
脳はその後も、意志や判断力を担う前頭連合野は65歳ごろまで(コロンビア大学脳科学のチーム・2017年)、記憶を担う海馬(歯状回)も90歳ごろまで(ウェブスラ大学脳科学のチーム・2015年)、緩やかに発達し続けるという研究結果もあります。
第一次認知革命から、第二次認知革命が始まるまでの3~5歳は子どもの成長にとても重要な時期。4歳ごろに自信の土台のようなものが築かれ、その後の人格に影響を及ぼすと言われています。
内田さんより
五感を使った直接体験が多いほど、豊かな想像力が身につきます。私たちが人生で出合う課題で、答えが決まっているものはほとんどありません。絵本や図鑑といった疑似的な経験も含め、直接体験は見えない未来を思い描く材料となり、よりよい解決につながるはずです。