環境変化の激しい未来を生きる子ども達、幸せな人生を過ごすために必要なことは?
わが子の幸福を願うのは、親なら当たり前のこと。子どもたちを取り巻く環境が大きく変化している今、子どもたちが幸せな人生を送るために必要なのは何なのか。一緒に考えてみませんか。
イラスト/柴田ケイコ
好きな仕事に就いて、お金に苦労せず、やりたいことを思う存分やりきること。
自分のことが好きで、何か一つ自信を持って生きてほしいです。
いつでも相談・話を聞いてくれる人がいて、自分自身も誰かにとってそういう存在であること。自分も周囲も笑顔が絶えない、楽しい人生。
自分のことは自分でする!苦しいことを避けるのではなく、乗り越えられる人生を送ってほしいです。
健康で人に恵まれ、やりたいことを伸び伸びやれる人生だとうれしい。
とにかく何でも楽しむこと。どんなときも思いやりと笑顔を忘れない。人生は一度きりなので、自分を信じて、選んで切り開いて、最後に「自分の人生、最高に面白かった!」と言える人生。
日本だけにとどまらず、たくさんの国に行って広い世界を知り、好きなことを見つけて楽しんでほしい。
自分で未来を切り開き、いずれは結婚して子どもを持って、その子どもが立派に羽ばたけるように育てられる人。
幸せになるための4ステップって?
これからの子どもたちは、親世代には想像もつかない多様な価値観と共に成長していきます。
単純に職業ひとつとっても、パパ・ママが就職するときには存在すらしなかった仕事に子どもが就く、という可能性も大いにありますよね。
「親には予想できない、教えてあげることができない」世界を生きていく子どもたちが、幸せな人生を送るにはどうしたら良いのか。
20年にわたり、約1万5000人の子どもたちと関わってきた竹内エリカさんは、「社会で生きていく中で自ら幸せを見つけられる力」が必要だと話します。
この力を育むには、1.感じる力、2.考える力、3.協調性(人と関わる力)、4.やり抜く力という4つのステップを踏むことが大切。
1.の感じる力とは、五感が敏感なこと。ご飯を食べたときに「おいしい」などと感じることです。
これには親の言葉掛けが大きく影響していて、例えば幼稚園に向かうときに「急ぎなさい!」と言われている子と、「わあ、今日は寒いね」「ネコちゃんがお散歩しているよ」など、五感に働き掛ける言葉を掛けられた子では、後者の方が感性が豊かで物事に対して好奇心旺盛で意欲的な子になると言われています。
そしてこれが、学びを含めた“人生を楽しむこと”の入り口になるのです。
2.の考える力は、問題を解決する力とも言えます。
「代わりのおもちゃとの交換を提案する」「使い終わったら貸してもらう約束をする」など、自分で考えて解決していく力を持つ子は、将来に向かって努力をしていけるようになります。
そして、やりたいことを見つけて努力する最中には、ひとりではできない瞬間が必ずあります。
壁にぶつかったときに「教えて」「助けて」「手伝って」と言えるだけで、達成できる確率が格段に上がるでしょう。
こうした人との関わりを持てることが、3.の協調性です。人と関わり、物事を達成するといった経験を積み重ねると、自己肯定感もアップするし、人が困っているときには自分から進んで助けてあげるようになります。
こうして、意欲を持つことでやりたいことを発見し、やりたいことを解決するための方法を考え、それを達成するために人と関わることで、4.のやり抜く力に結び付いていくのです
親の楽しむ姿が人生への期待感を育てる
わが子が楽しい人生を送るためには、親自身が幸せであることもとても大切です。
「親の背を見て子は育つ」ということわざは本当にその通りで、親が楽しそうにしていると、子どもは「人生って楽しいんだ」と思うようになります。
特に、子どもの人生観を作る上で、ママの言葉掛けはとても重要。だからママは、自分が楽しいと思うことは、どんどん口に出していきましょう。楽しいことは、「子どもに向き合った内容」でなくて大丈夫。
むしろ、「ママが楽しいから、〇〇ちゃんもやってみない?」と、誘ってみてください。ママがワクワクしている様子を見ることは、子どもが人生への期待感を育むことにもつながるからです。
もし、毎日忙しくて自分が楽しむどころじゃない…と思うなら、夜寝る前に「子どもの良いところと、自分の良いところを見つける」ことを習慣にしてみてください。
そうすると、子どもだけでなく自分に対してもポジティブな気持ちが持て、ママ自身も人生が楽しいものだと思えるようになるはずですよ。
\ お話を聞いたのは /
竹内エリカさん
幼児教育専門家。
多動症・不登校の克服、運動指導では全国規模の大会で第1位ほか、14賞のコーチ実績がある。
「一生を決める0歳から6歳までの育て方」シリーズほか著書57冊。ラジオ「わくわく子育てCafé」パーソナリティ。
感じる力を育てる
五感に関わる言葉掛けを
幼児期の子どもは、5万語の言葉を覚えることができます。しかし実際には、2万語程度しか覚えていない子どもが多いそうです。
幼い子どもがかんしゃくを起こしたりするのは、自分の気持ちを言葉にできないことが一番の原因なので、語彙(ごい)を増やすことは、気持ちが安定した子を育てることにもなります。
言葉を掛けるときは難しく考えず、事実や気が付いたことを言葉にしてみましょう。
外に出たときに…
「風が気持ちいいね」「赤いお花が咲いているね」
「急いでるんだから早くして!」
考える力を身に付ける
命令を質問に変えてみて
親から子への言葉掛けは、ついつい命令調になりがち。これでは、自分で考えるという習慣は身に付きません。
やってほしいことがあるときは、質問形で話し掛けてみて。自分で考えたことは命令されるより納得しやすく、実行する確率も格段にアップします。
また、きちんと考えて主張すれば受け入れられる、という体験を積み重ねることで、社会に出ていく自信も身に付きますよ。
夜寝る前に…
「寝る時間だよ、どうするんだっけ?」
「早く寝なさい」
協調性を育む
「I(アイ)メッセージ」で伝えて
褒めるときは、「ママはうれしい」というように「私(I)」が主体の言葉で子どもに感謝を伝えましょう。
自分がやることでママ(=相手)が喜ぶ→自分もうれしい、という幸せ体験が自己肯定感の向上につながります。
きっと次からは、自分が幸せになりたいから、進んでやってくれるようになるはずです。
お片付けをしてくれたら…
「片付けてくれて(ママは)うれしい」
「(あなたが)片付けてえらいね」
やり抜く力を養う
「Yes and 法」を実践
子どものお願いは、まずは「いいよ」と受け止め、その後に「条件」を付けてみてください。
すると子どもは、「何を言っても、受け入れてくれる・肯定してくれる」「ママは味方だ」と思い、条件をクリアしようと頑張るようになりますよ。
「お菓子買って!」と言われたら…
「いいよ。でも、お買い物が終わってからね」
「今は急いでいるから、ダメ」
竹内さんからのアドバイス!
私は、子育ては最高の社会貢献だと思っています。未来の人材を育てるって、本当にすごいこと。
そして、家庭内で複数のことを同時にこなしながら、日々の生活を支えるママは、対応力が高く、社会的にも非常に優秀な人が多いものです。
だからママは自分に自信と誇りを持ってください。そんなママの姿が、これからの子どもの人生に、きっと好影響を与えるはずですよ!
80%以上のママ・パパが「楽しんでいる」。その多くが「家族が仲良しだから」「子どもがいる生活が楽しいから」との回答で、家庭生活の満足度が人生の楽しさに反映されていることが伺えます。
人生を楽しむママ・パパたち。いったいどんなことで幸せを感じているのか、教えてもらいました。
家族になっても無理することなく、自分の考えややりたいことを共有しながら実現できていること。
好きな仕事をしながら、夫や子どもとの関係も良好なこと。
結婚前はバリバリ働き、結婚後は時短勤務。出産と同時に退職して専業主婦になり、下の子が入園したらパートを始める予定です。その時々のライフスタイルに合わせて無理なく過ごせているのは、幸せなことだと思います。
わが家では家族全員のおでかけは子ども優先ではなく、パパが楽しいと思うところに行きます。パパの“楽しい”が子どもにも伝わり、みんなで一緒に楽しめていると思っています。
親になり、わが子を育てているうちに、「青い空が見えた」「雲があんなに大きい」など、今まで気付こうともしなかったことに気付くようになり、それが何とも言えず幸せです。
自分だけでは味わえなかった経験を子どもを通してできること、そして子どもの成長を一番近くで見られること。※データはすべて2019年12/4~2020年1/8あんふぁんWebアンケート(有効回答数1204)
イラスト/柴田ケイコ
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好きな仕事に就いて、お金に苦労せず、やりたいことを思う存分やりきること。
自分のことが好きで、何か一つ自信を持って生きてほしいです。
いつでも相談・話を聞いてくれる人がいて、自分自身も誰かにとってそういう存在であること。自分も周囲も笑顔が絶えない、楽しい人生。
自分のことは自分でする!苦しいことを避けるのではなく、乗り越えられる人生を送ってほしいです。
健康で人に恵まれ、やりたいことを伸び伸びやれる人生だとうれしい。
とにかく何でも楽しむこと。どんなときも思いやりと笑顔を忘れない。人生は一度きりなので、自分を信じて、選んで切り開いて、最後に「自分の人生、最高に面白かった!」と言える人生。
日本だけにとどまらず、たくさんの国に行って広い世界を知り、好きなことを見つけて楽しんでほしい。
自分で未来を切り開き、いずれは結婚して子どもを持って、その子どもが立派に羽ばたけるように育てられる人。
幸せになるための4ステップって?
これからの子どもたちは、親世代には想像もつかない多様な価値観と共に成長していきます。
単純に職業ひとつとっても、パパ・ママが就職するときには存在すらしなかった仕事に子どもが就く、という可能性も大いにありますよね。
「親には予想できない、教えてあげることができない」世界を生きていく子どもたちが、幸せな人生を送るにはどうしたら良いのか。
20年にわたり、約1万5000人の子どもたちと関わってきた竹内エリカさんは、「社会で生きていく中で自ら幸せを見つけられる力」が必要だと話します。
この力を育むには、1.感じる力、2.考える力、3.協調性(人と関わる力)、4.やり抜く力という4つのステップを踏むことが大切。
1.の感じる力とは、五感が敏感なこと。ご飯を食べたときに「おいしい」などと感じることです。
これには親の言葉掛けが大きく影響していて、例えば幼稚園に向かうときに「急ぎなさい!」と言われている子と、「わあ、今日は寒いね」「ネコちゃんがお散歩しているよ」など、五感に働き掛ける言葉を掛けられた子では、後者の方が感性が豊かで物事に対して好奇心旺盛で意欲的な子になると言われています。
そしてこれが、学びを含めた“人生を楽しむこと”の入り口になるのです。
2.の考える力は、問題を解決する力とも言えます。
お友達のおもちゃを使いたいとき、無理やり取り上げればけんかになって叱られて終わりです。
「代わりのおもちゃとの交換を提案する」「使い終わったら貸してもらう約束をする」など、自分で考えて解決していく力を持つ子は、将来に向かって努力をしていけるようになります。
そして、やりたいことを見つけて努力する最中には、ひとりではできない瞬間が必ずあります。
壁にぶつかったときに「教えて」「助けて」「手伝って」と言えるだけで、達成できる確率が格段に上がるでしょう。
こうした人との関わりを持てることが、3.の協調性です。人と関わり、物事を達成するといった経験を積み重ねると、自己肯定感もアップするし、人が困っているときには自分から進んで助けてあげるようになります。
こうして、意欲を持つことでやりたいことを発見し、やりたいことを解決するための方法を考え、それを達成するために人と関わることで、4.のやり抜く力に結び付いていくのです
親の楽しむ姿が人生への期待感を育てる
わが子が楽しい人生を送るためには、親自身が幸せであることもとても大切です。
「親の背を見て子は育つ」ということわざは本当にその通りで、親が楽しそうにしていると、子どもは「人生って楽しいんだ」と思うようになります。
特に、子どもの人生観を作る上で、ママの言葉掛けはとても重要。だからママは、自分が楽しいと思うことは、どんどん口に出していきましょう。楽しいことは、「子どもに向き合った内容」でなくて大丈夫。
むしろ、「ママが楽しいから、〇〇ちゃんもやってみない?」と、誘ってみてください。ママがワクワクしている様子を見ることは、子どもが人生への期待感を育むことにもつながるからです。
もし、毎日忙しくて自分が楽しむどころじゃない…と思うなら、夜寝る前に「子どもの良いところと、自分の良いところを見つける」ことを習慣にしてみてください。
そうすると、子どもだけでなく自分に対してもポジティブな気持ちが持て、ママ自身も人生が楽しいものだと思えるようになるはずですよ。
\ お話を聞いたのは /
竹内エリカさん
幼児教育専門家。
日本キッズコーチング協会理事長。20年にわたり発達心理について研究し、約1万5000人の親子に携わる。
多動症・不登校の克服、運動指導では全国規模の大会で第1位ほか、14賞のコーチ実績がある。
「一生を決める0歳から6歳までの育て方」シリーズほか著書57冊。ラジオ「わくわく子育てCafé」パーソナリティ。
感じる力を育てる
五感に関わる言葉掛けを
幼児期の子どもは、5万語の言葉を覚えることができます。しかし実際には、2万語程度しか覚えていない子どもが多いそうです。
幼い子どもがかんしゃくを起こしたりするのは、自分の気持ちを言葉にできないことが一番の原因なので、語彙(ごい)を増やすことは、気持ちが安定した子を育てることにもなります。
言葉を掛けるときは難しく考えず、事実や気が付いたことを言葉にしてみましょう。
外に出たときに…
「風が気持ちいいね」「赤いお花が咲いているね」
「急いでるんだから早くして!」
考える力を身に付ける
命令を質問に変えてみて
親から子への言葉掛けは、ついつい命令調になりがち。これでは、自分で考えるという習慣は身に付きません。
やってほしいことがあるときは、質問形で話し掛けてみて。自分で考えたことは命令されるより納得しやすく、実行する確率も格段にアップします。
また、きちんと考えて主張すれば受け入れられる、という体験を積み重ねることで、社会に出ていく自信も身に付きますよ。
夜寝る前に…
「寝る時間だよ、どうするんだっけ?」
「早く寝なさい」
協調性を育む
「I(アイ)メッセージ」で伝えて
褒めるときは、「ママはうれしい」というように「私(I)」が主体の言葉で子どもに感謝を伝えましょう。
自分がやることでママ(=相手)が喜ぶ→自分もうれしい、という幸せ体験が自己肯定感の向上につながります。
きっと次からは、自分が幸せになりたいから、進んでやってくれるようになるはずです。
お片付けをしてくれたら…
「片付けてくれて(ママは)うれしい」
「(あなたが)片付けてえらいね」
やり抜く力を養う
「Yes and 法」を実践
子どものお願いは、まずは「いいよ」と受け止め、その後に「条件」を付けてみてください。
すると子どもは、「何を言っても、受け入れてくれる・肯定してくれる」「ママは味方だ」と思い、条件をクリアしようと頑張るようになりますよ。
「お菓子買って!」と言われたら…
「いいよ。でも、お買い物が終わってからね」
「今は急いでいるから、ダメ」
竹内さんからのアドバイス!
私は、子育ては最高の社会貢献だと思っています。未来の人材を育てるって、本当にすごいこと。
そして、家庭内で複数のことを同時にこなしながら、日々の生活を支えるママは、対応力が高く、社会的にも非常に優秀な人が多いものです。
だからママは自分に自信と誇りを持ってください。そんなママの姿が、これからの子どもの人生に、きっと好影響を与えるはずですよ!
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80%以上のママ・パパが「楽しんでいる」。その多くが「家族が仲良しだから」「子どもがいる生活が楽しいから」との回答で、家庭生活の満足度が人生の楽しさに反映されていることが伺えます。
人生を楽しむママ・パパたち。いったいどんなことで幸せを感じているのか、教えてもらいました。
家族になっても無理することなく、自分の考えややりたいことを共有しながら実現できていること。
好きな仕事をしながら、夫や子どもとの関係も良好なこと。
結婚前はバリバリ働き、結婚後は時短勤務。出産と同時に退職して専業主婦になり、下の子が入園したらパートを始める予定です。その時々のライフスタイルに合わせて無理なく過ごせているのは、幸せなことだと思います。
わが家では家族全員のおでかけは子ども優先ではなく、パパが楽しいと思うところに行きます。パパの“楽しい”が子どもにも伝わり、みんなで一緒に楽しめていると思っています。
親になり、わが子を育てているうちに、「青い空が見えた」「雲があんなに大きい」など、今まで気付こうともしなかったことに気付くようになり、それが何とも言えず幸せです。
自分だけでは味わえなかった経験を子どもを通してできること、そして子どもの成長を一番近くで見られること。※データはすべて2019年12/4~2020年1/8あんふぁんWebアンケート(有効回答数1204)