くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て 子どもの心に届く勇気づけの声かけ
わたしたちが偏らないよう意識し、言葉かけを工夫することによって、子どもたちは健全に育ってくれます。
アドラー流子育てでは、まず子どもの気持ちに共感します
話を元に戻しましょう。
「運動会で走りたくない」と言う子どもにどう声かけをするか。
「何でそんなことを言うの!そんなことできるわけがないじゃない!ダメに決まってるでしょ!今さら、そんな勝手なこと言うんじゃありません!」
と言いたくもなりますが、
このような言葉を言ってしまったら、子どもは親に対して本音を言えなくなってしまいます。
そこをぐっとおさえて、
まずは、子どもの言い分をすべて聞いてあげましょう。
走るのが苦手だった保護者であれば共感もしやすいですが、ご自分が得意だった場合は、子どもの気持ちはなかなか理解しにくいものかもしれません。
「やってみなければわからないじゃない!そんな弱気でどうするの!ビリになっても恥ずかしくないよ。一生懸命走ればいいんだよ!」
これはどうでしょう。
子どもは「頑張って走ってみよう!」と思い直すでしょうか?
多くの場合は違います。
親は励ましのつもりで言っているのですが、子どもの心には残念ながら届いていません。
正論を語るだけでは、子どものやる気は起きない
保護者の言いたいことは、とてもよくわかりますし正論です。
でも、子どもだって、本当はよくわかっているのです。
それでも、「走りたくない」という気持ちになってしまうのです。
だったら、その気持ちに寄り添ってあげましょう。
「そうなんだ、なんだか心配になっちゃったんだね。もしもみんなより遅かったり、転んだりしたら恥ずかしくなっちゃうもんね。
嫌になっちゃうね。」
このように、まずは否定せず、弱気になっているお子さんの気持ちに共感してみるのです。言いたいことを全部言わせてあげることも大切です。
そして、全部受け止めたあと、あなたが伝えたいことを伝えてほしいのです。
「本当に心配だよね。でも頑張って走れるといいね。勇気を出して走ることが速く走ることよりとても大事だと、お母さんは思うよ。」
と、アイメッセージ(「わたしは」を主語にする言い方)で言ってみてください。
お子さんはきっと「お母さん(お父さん)は自分の気持ちをわかってくれた」と安心し、運動会では大いに力を発揮してくれることでしょう。
走り終わってからのフォローも忘れずに
運動会が終わったあとの子どもへの声かけにも、注意したいものです。