巨大化した水いぼが皮膚のできものと間違えられて手術されてしまったというお話もある程です。
治療はどうすればよいのか。取るべきか取らざるべきか、それが問題だ
じつは水いぼで結構問題になるのが治療です。診断は比較的簡単ですからね。
その問題は取るべきか否か。先程から説明しているように水いぼは時間が経過すれば自然と消えていきます。そして免疫がついてしまえば今後感染を起こす可能性はありません。そのために自然に治るのを待つべきだという考え方も一理あります。
しかし待つことによるデメリットもあります。それは今後の経過が読めないこと。どこまでこの水いぼがふえるのか?いつ最後の水いぼが消えるのか?それは診察のときには全く分かりません(赤く痒くなった水いぼは消えかけなので、そういう水いぼであれば判断がつきますが)。その予後の読めなさが問題になってくるのが社会生活との兼ね合いです。特に幼稚園・小学校のプール問題。
幼稚園・小学校のプールはかなりの確率で水いぼの子は拒絶されます。水いぼがあるだけでプールの時間に1人で別のことをしているか、見学しているかという状態に追い込まれてしまうのです。皮膚科医小児科医はあまりプールの制限が感染予防につながっているとは考えていませんが、園側・学校側がダメというのであればしたがうしかありません。
それが水いぼを巡る問題の中でも一番やっかいなものだと考えています。
もう1つ、水いぼのとり方にも問題があります。現状では最も簡単で有効な治療方法はピンセットでつまんで取ることです。こちらは痛みもありますし、出血することもあります(もちろん血液を介した感染症の問題もあります)。当然子どもたちは嫌がりますし、評判の良い治療法ではありません。だから医療者側も無条件に取りましょうとは言えず、最終的は保護者および本人の判断に委ねざるを得ないのです。取るべきか取らざるべきか。この問題にはいつまでたっても答えは出そうにありません。
〈コラム〉えっ、取ってくれないんですか?
先程のお話の逆のケースとして、プールに行きたい子が水いぼを取ってほしいといって受診することがあります。よくよく話を聞いてみると、近所の先生では水いぼを取ってくれないとのこと。実は水いぼを取るか否かについては医師側の考え方も反映されます。一般的に小児科は取らない先生が多く、皮膚科は取る先生が多いようです。