2016年9月4日 19:00
知的障害の治療法・療育法はあるの?子どもの力を伸ばす接し方のポイントまとめ
■周産期
出産前後の事故などによって脳に障害が現れることがあります。母体の循環障害、へその緒がねじれるなどで赤ちゃんの脳に酸素がいかなかったり、出産時に頭蓋内出血が起こったりして脳に障害が残る場合があります。また低体重や早産などにより、脳が未発達のうちに生まれることも原因の一つとなる可能性があります。
これらの出産前後のトラブルは周産期医療の進歩や充実によって少なくなってきています。
■出生後
脳が未発達なうちはけがや病気の影響を受けやく、乳幼児期の感染症や頭部の外傷などが原因になることがあります。日本脳炎や結核性髄膜炎、ポリオ、麻疹、百日咳などに感染し重篤化して脳炎になると知的障害を引き起こす場合がありますが、予防接種により感染の危険を減らすことができます。また乳幼児期に栄養不足だったり、不適切な養育環境に置かれることで脳の発達が遅れることもあります。
フェニールケトン尿症は出生後すぐの新生児マススクリーニング検査の対象疾患となっており、そこで自動的に検査されます。
疾患が見つかったらすぐに食事療法によって血液中のフェニルアラニンを一定の範囲にコントロールすることで、発症を予防することができます。
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参考:宮本信也・武田一則/編著『障害理解のための医学・生理学』(明石書店/2010年刊)
http://www.let.osaka-u.ac.jp/~cpshama/syllab/syllab13/clph2013_08.pdf
浜渦辰二「ケア䛾臨床哲学 ー障がいとそ䛾ケアー (8)知的障害」 2013年
知的障害って治療できるの?
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11015075492
フェニールケトン尿症など一部の病理的要因は、食事療法や薬物投与といった治療法で発症を防げる場合があります。その他の知的障害については、今現在医学的治療法は確立されていません。
障害を完治させることはできませんが、対応法を工夫したりすることによって、困難さを軽減し、子どものよい部分を伸ばしていくことは可能です。また、学齢期においては特別支援教育をはじめとする支援をうけることで、その子に合った学びの環境を整えることができます。