[第1回]「ぼくはアスペルガーなお医者さん」幼少期を振り返り思うこと
という価値観になってたかもしれない。
間違ったことを周りの社会や大人が容認するような経験を繰り返すと、特に「目に見えないこと、体験できないことは想像し難い」という特性のある子は、「事実、こういう事がおこったから、それで良いのだ」と誤解してしまう。
発達障害のある人が犯罪を犯しやすいと言われるのは、発達障害のある人に理由があるのではなく、「誤った理解」をしてしまうようなそんな理不尽な世の中が放置されているという事なんです。そのことで価値観やモラルが歪んでしまう。
自分の価値観をつくったのは、周りの環境だった
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132005555
編集部:そのような中で、畠山さんが「誤った理解」をしなかったのは、なぜでしょう?
畠山:環境ですね。
僕の場合は、小学校のころ勉強が出来て、中学から進学校に入ったんです。その後は防衛医大に進みました。進学校の中での優劣はやはり勉強です。
だから勉強を必死にして、真面目な方向に進むことが可能だったんです。
もしそれが、喧嘩が強いことがステータス、というような地域や学校であれば、不良グループなどその道に進んでいたでしょうね。
編集部:なるほど。
畠山:先ほどの話と通じることですが、発達障害がある僕ら…いや、僕は物事を見た通りに解釈していくのです。
間違っていることが良いとされる経験を積めば、それは「良いこと」「しても構わないこと」と理解しますし、同じように良い行いが最も良いとされる経験をつめば、そのように理解していくのです。
ですから、僕の場合は、環境が僕の特性とって良かったのです。
編集部:環境…
畠山:防衛大は厳しいルールがあるんですね。自衛官として寮生活をする、その中で人のモノを盗むなんてありえない。
だから適切な進み方が出来ただけです。
例えば、悪いことをしないと生き残れない環境にいたり、悪いことをする方が強い、評価される、そういう環境にいれば、自然とそういうことをすると思いますよ。
小学校の成績、最初のスタートラインがちょっと良かったから、中高一貫の進学校に親が頑張って入れてくれた、そこが大きいですよね。
畠山さんの学生時代のご様子について、詳しく伺っていきます。
医師(整形外科医)。1974年、大阪府生まれ。