2016年9月28日 16:00
「踊りは芸能人だけのもの?」振付師・南流石氏、発達障害のある子の療育ダンスに込める想い
ということは、相手の個性や年代を踏まえて工夫はするんですけどね。
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今回はエンタメ療育ということで、スキルを磨く踊りというよりも、まずは「踊れた!」という達成感を全員に感じてもらえることを大事にしました。
見よう見まねですぐに身体を動かせない子もいるでしょう?だから振り付けを教えるときも、「キュッキュッ」とか「よっしゃ」とか振り付けに言葉を添えたり、繰り返しの多いものにして、身体だけじゃなく五感全体を使って覚えていけるように工夫しました。
―確かに、シンプルな繰り返しの中で楽しめるような振り付けでしたね。それに、両手両足を動かすのが難しい人は、上半身を動かすだけでもちゃんとダンスになって楽しめるようになっていて、工夫されているんだなぁって感じました。私自身も不器用でダンスが苦手なので…(苦笑)
それは良かった(笑)今回はお子さんだけでなく大人にも一緒に楽しんでほしかったので。
―今後もエンタメ療育という切り口での活動は続けられるのですか。
そうですね、私に出来ることであればぜひ、と思っています。
特にやりたいのは、「親子」のためのダンスです。親子で一緒にやることが大事なんです。子どもをダンス教室に送って親はいなくなるのではなく、お父さんもお母さんもお時間のある方は一緒に踊ってみてほしい。
一緒に踊ってみれば、子どもが実際どういうところに苦しんでいるかも分かるし、出来たときの喜びも分かち合えるし、子育ての大きな気付きになると思うんですよね。
―それはとても大切なことですね。手足の協調運動が難しかったり、運動機能の発達がゆっくりだったりするお子さんもおられますが、周りから「不器用」だとか「どうして出来ないんだ」と言われて自己肯定感が下がってしまうことも少なくないので…
そうなんですよ。学校でもいろんな先生と話す機会があったんですけれど、「この子はこうなんです」って一言で決めつけちゃうことが多いんですよね。でも、人間のことを一言で断定しちゃいけないし、できるはずないと思うんですよ。
仮になにかひとつ出来ないことがあっても、その子にはいいところもいっぱいあるし、それを見つけて伸ばしていくのも大人の役割でしょ。
だから私は、少なくともダンスにおいては、誰が相手であっても、一人ひとりに丁寧に向き合ってその子のいいところを引き出してあげたいんです。