外では良い子なのに…発達障害の息子が母にだけ暴力をふるうのはなぜ?
周囲でよく耳にしていた「家で暴れる発達障害児」。その実態とは
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発達障害児を育てている親たちからよく聞く困りごとの1つに「子どもが家で暴れて困る」というものがあります。
更に、その暴力暴言の標的は母親であることが多いです。
私も何度か子どもの暴力で悩む母親と話をしたことがあります。そのお母さんの手には、引っかき傷やあざが沢山ありました。
全部、発達障害の子どもからの暴力による傷だと言います。
ところがその、「家で暴れる子ども」に外出先で会うと、(変な表現ですが)とてもそんな風には見えない「普通の子」であることが多いのです。
お母さんや兄弟姉妹とも、外ではとても穏やかに接していることが多く、公共の場で見る態度はとても模範的です。「こんないい子がどうして…」という場合がほとんどです。
だからこそ、悩む母親が多いようです。体中に傷をつけられている状態なのに、周囲からは「こんなにいい子なのに」「普通じゃない?」「信じられない」という言葉をかけられることが多いからです。
一体なぜ、子どもたちは家の中と外とで態度がこんなに違うのでしょうか?
息子にも現れ始めた、暴力・暴言。やはり周囲にはなかなか理解してもらえず…
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6歳になってから落ち着きが出てきた我が家の息子。
発達障害と診断された頃は、家で癇癪を起こしては何時間も泣きわめき、それはそれは大変でした。しかし最近は癇癪のコントロールも上手になり、感情を爆発させることが少なくなってきました。
何よりも社会性が伸び、幼稚園でもしっかりと人間関係を構築し始めました。
しかし、息子のこの「社会性の伸び」と相反するように、私に対する暴力・暴言が始まったのです。
毎日毎日、「このバカヤロー!」「うっせぇ」「くそボケ!」と、びっくりするような言葉が息子の口から飛び出します。
少しでも気に食わないことがあると、拳を振り上げ私にかかってきます。6歳であっても、このような暴力・暴言は身に応えます。
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ところが息子は、園や習い事など公共の場では、実に手のかからない「模範的な子」なのです。
このため私の悩みは、どこにも理解してもらえませんでした。
以前幼稚園の遠足で、息子が私のことを拳で叩きまくっているところを、たまたま先生が見かけたことがあります。
先生はびっくりして、「○○くん、お母さん痛いでしょう。どうしたの!?」と止めに入りました。
「いつもこんな感じです…」と私が言うと、先生は「信じられない…普段は本当にみんなに優しいんですよ…」と目を丸くしていたのを覚えています。
どうして母親にだけ暴言・暴力が現れるのだろう
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発達障害児の母親に対する暴力・暴言はなぜ現れるのでしょうか。
外で頑張っているから家で爆発している、という意見もよく聞きます。だから母親は受け止めてあげるべきだとも言われます。
けれども、徐々に身体が大きくなっていく子どもの暴力・暴言を全て受け止めきれるほど、母親は強いものではありません。限界があります。
発達障害児は人間に対してもこだわりを持つことがあります。息子は小さい頃、物にこだわりがありましたが、それが思い通りに動かなかったり壊れたりすると、よく癇癪を起こしていました。
そのこだわりが、人間にも向き始めているのでは…?つまり、母親に対する暴力・暴言は「母親こだわり」なのかもしれません。
そして、思い通りに動かない母親に対して、癇癪を起こしている気がします。
それが、暴力・暴言という形で出ているのだと私は思っています。
けれども、母親は発達障害児の「お気に入りの物」ではありません。暴力・暴言を受け続ければ、母親といえども壊れます。
極端な態度を少しでも緩和させるには
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息子の様子を日々見ていて感じるのは、「発達障害児の暴力・暴言を、声かけ1つで変えていくのはとても難しい」ということです。
このため、母親への内向きのこだわりをなくそうと努力するのではなく、外向きのベクトルを増やしていく必要があると思います。
家庭の外でも、自分の気持ちが言えたり、自分を受け入れてくれる場所をたくさん持っておくこと。
そうすることで、母親を思い通りにしたいというこだわり行動は、少しずつ薄れていくのではないかと私は信じています。
外で常に模範的な態度をとることは、決して理想的ではないと思うのです。
それがストレスとなり、内向きのこだわりをますます強めてしまっている可能性があります。
外では模範的、内では暴力・暴言という極端な態度が、その子の基本行動になってしまわぬよう、外でも自分を崩すことのできる相手を増やしていくことが必要かもしれない、そう思うのです。