2017年5月9日 16:00
[第1回]教員採用試験で初めてのカミングアウト。自分の考えが間違ってたことに気づいた
ーなるほど。
岩元:ただ、結構チームに迷惑かけちゃってたんですよね。誰もが努力して臨んでいる試験だから、話せないのがただの練習不足だと思ったら同じチームの人も当然イライラしますよね。
スムーズに喋れたら1番ですけど…自分にできる誠実な対応って何かなと考えて、本番では第一声で「自分には言語障害があります」と言うことにしました。
ただね、これが伝えてみて本当に良かったんですよ!
ーそうだったんですか?
岩元:言葉が出てこないときに「おいおい、ちゃんとしろよ」という視線を感じることもなくて、周囲を気にして余計に焦ることもなく落ち着いて自分らしくできました。
これまで吃音をバカにされたり笑われたり苦しい経験を沢山しましたけど、それは周りのせいじゃないと思いましたね。
「自分から、わかってもらえる環境を作ろうと動かなかったのが、ダメだったんだ」と気づいて、結構反省してます。
周りだって、どうしたら良いか知らないんですよ。だから、自分で伝えてくことが大事
ー自分から環境を作る、ですか。
岩元:そう。ある時、吃音の高校生から相談されたんです。彼は「あ、あ、あ…」という感じで普段は筆談やLINEでやりとりをしてます。文化祭のシーズンで同級生と準備をしなきゃいけないけど「自分は障害があるから話せない。もう何もできない」って言うんですね。
気持ちは痛いほどわかる。でも「自分から環境をつくったほうがいいよ」と話しました。
上手く話せないから筆談をしていることも、スムーズに喋れないことも、悪いことじゃない。ちゃんと自分から伝えて理解してもらったほうがいいと。
ーそう強く感じるのはなぜですか?
岩元:みんなだって、どうしたら良いか知らないだけなんですよ。
障害について勉強をして理解しているわけではないですから、察してもらうことを求めては「理解がない!」って憤る前に、まずは自分から伝えてくことが大事なんだと思います。
女性とお付き合いする前にも必ず「自分には言語障害があるよ」って伝えていますし。ー必ず、ですか。
岩元:吃音は自分の全てではない。
けど確実に自分の一部だから。それこそ昔は「自分に障害がなければ、もっと積極的にアプローチできた、モテただろうな」なんて思っていたんですけど。(笑)
結局、仕事でも恋愛でも同じで、障害のことを隠しても結局どこかでバレたり、言わなきゃどうしようもない瞬間はくるんですよね。