不登校支援から生まれた一冊の絵本 ー子どもの「なぜ?」との向き合い方ー

2017年8月9日 11:00
 


不登校支援から生まれた一冊の絵本

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017014914

「なぜ学校に行かなければならないの?」
「どうしてみんなと一緒じゃなければいけないの?」

子どもから「なぜ?」と問いかけられた時、あなたならどうしますか?

簡単に答えられそうで、よくよく考えると難しい…今回ご紹介するのは、そんな子どもの「なぜ?」と向き合う中で生まれた、『僕のナゼ、私のナゼ』という絵本です。奈良県北葛城郡にある「自遊空間ゼロ」という子どもと保護者のためのフリースペースを運営している桐生敏明さんが企画・編集をし、5月に編集工房DEPから発行されました。

この絵本が生まれたきっかけは、桐生さんとつながりのある北海道のNPOを訪れた際に出会った一人の不登校児の疑問でした。その疑問は、「なぜ学校に行かなければいけないの?」といういたって、シンプルな疑問だったと言います。

自遊空間ゼロは、桐生さんが陶芸教室などの親子のつながりを育むためのイベントを開催しています。その活動の根幹には、子どもとその保護者が一緒に過ごせる場所を提供したいという桐生さんの強い想いがあります。活動を続ける中で、「自然と不登校児と触れ合う機会が増えた」という桐生さん。

ある時、北海道に住む昔からの知り合いを訪ねることがありました。そこで出会った不登校児の一人から「『なぜ学校に行かなければならないの?』と聞かれたんです。子どもたちの『なぜ?』という素直な疑問に対して大人はどう接すればよいのかを自分でもしばらく悩みました」(桐生さん)。

そして、この子どもが抱く疑問との向き合い方を考えるうちに、不登校児の保護者たちから気づいたことがありました。「なぜ、不登校になってしまったの?」「どうすれば、学校に行くようになるの?」といった子どもの不登校の問題に、何とか「正しい答え」を出そうとするあまり、いつしか自分自身の本当の気持ちを忘れてしまう。自分の「なぜ?」に対して、模範解答を求めるあまり、もがき苦しむ。そんな保護者たちの姿です。

不登校の子どもと向き合い続けることは、保護者にとっても苦しいこともあると思います。子どもの問題を考えるあまり、大人のほうが自分と向き合えなくなってしまうことがあるんです」(桐生さん)

答えを探すことは、もちろん大きな意味があります。しかし、それだけではなく自分が感じた「なぜ?」はどうしてうまれたのかを考えることも必要になることがあります。

一度、子どものことに縛られずにまずは自分の置かれている環境や気持ちを素直に整理する時間を大人自身が持つことが大事なのではないか?そんな時間を持つ何かきっかけになるものはないか?そう考えた桐生さんは、子どもの実際の「なぜ?」を主題に、この絵本を作ることにしました。

子どもたちのリアルな疑問を描くために、北海道や大阪の子どもたち七人に「なぜ?」と感じたことを教えてもらうなど協力もしてもらいました。大人になったら忘れてしまうような、子どもが抱く素直な疑問が一冊の絵本にまとまっています。

http://www.free-space-zero.com/
自遊空間ZERO


イルカたちと始まる「ナゼナゼ・パズル」

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Upload By 発達ナビ編集部

絵本は、主人公のカエデという女の子が夢の中でイルカになってしまうところから始まります。何頭ものイルカたちと遊ぶ中で、カエデは「ナゼナゼ・パズル」を提案します。

「カエデッ、それナゾナゾの間違いじゃないの?」
「ちがうの!みんなが、自分の中に眠っている<ナゼ>を探し出すの。自分は<ナゼ>生きているのか、とか、<ナゼ>死ぬのか……とか」(同書8Pより)

その提案を聞いたイルカたちはもちろん戸惑います。しかし、サカナしか探してこなかったイルカたちが自分の「なぜ?」を探し始めます

そして、日常での「なぜ?」をお互いに交換していきます。だれも答えはわからないし、正解もない。そんな子どものとき、誰しも一度は考えたことのある「なぜ?」が並びます。

「ナゼナゼ・パズル」は、みんなの「なぜ?」が出揃ったら、それぞれが自分にとって一番大事な「なぜ?」を選びます。

最終的にイルカたちが選んだ一番大事な「なぜ?」はさまざまです。「私はナゼ生まれてきたの?」「僕はナゼ日本に生まれてきたのか?」「ナゼ、人は死にたいと思うの?」「そう思うことは、間違いなの?」など。大人が子どもに聞かれたら少し戸惑ってしまうような「なぜ?」ばかりです
では、実際、こうした「なぜ?」を問われたら、大人はどう答えるべきなのでしょうか?


正解だけが大事じゃない。「なぜ?」との向き合い方

桐生さんは「正解を伝えることが重要ではない」と言います。絵本の中でもそれが示されています。

この世には人の数だけ考え方があります。だから、もしかしたら「正解」は存在しないのかもしれません。どんなことに対しても、ただ、多くの人が信じている、イコール正解というだけで……。(同書P53より)

確かに、「周りの意見」が正解につながるとは限りません。自分で考えて、悩んで見つけた答えがその子にとっての一つの答えになることもあります。さらに、その答えも見つかるものと決まっているわけではありません。

「まわりの大人たちの一つの役割は、その子が抱いた一つの『なぜ?』を、本人が逃げずに向き合えるようサポートをすること」(桐生さん)。

一緒に悩む時間を過ごしたり、素直に「答えがわからない」など、考え方を伝えてあげるだけでも、身近な大人ができるコミュニケーションの一つです。

「(これまでの活動を通して)不登校になるなど問題が起きるということは、自分と向き合い始める大きな機会にもなるのではないかと感じました。それは、子どもに限った話ではなく、子どもたちの問題に関わる大人たち自身が自分と向き合う機会にもなります」(桐生さん)

この絵本には、桐生さんの「子どもたちが自分と向き合うことの大切さはもちろん、まわりの大人たちも自分自身と向き合う機会にしてほしい」という想いが込められています。

実際の子どもたちが抱いた「なぜ?」が絵本の中でどのように、語られているのかは一つの見どころです。その疑問を見たときに、大人になった今の自分は何を感じるのか?子どもの時の純粋な好奇心や疑問を思い出す機会になるかもしれません。

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