「間違ってる!」と言われ続けたぼくが、偏りを“個性”に出来た理由ー作家・市川拓司さんインタビュー
大きなものというのは、自分の背後にある歴史だったり、潜在意識の世界だったり、集合的無意識だったり……
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ー先ほどおっしゃっていた脈々とつながる「一族として意識」なども、いわば自我の存在を超えた「大きなもの」と似ていますね?
当然、一族といったものをそこに含まれていて、今、自分の目の前にある平面的な横のつながりだけじゃない、3次元的な世界へアクセスするというのが、本来の宗教という気がします。普通、ひとは潜在意識に簡単にアクセスできません。だから、お坊さんたちは修行をしているわけです。でも、発達障害のひとは前頭葉の機能が弱まっているため、潜在意識などのいわば非常識な世界へのアクセスも早いんじゃないかな。自分の深層心理への世界のゲートが開きやすくなっているとも言えます。
ーだから、発達障害のひとほど自分で自分の「宗教」を作っていくことができるし、本来の気質にも合ってるからそうするほうが楽に生きられるかもしれないということですね。
ご著書は昨年発行されたものですが、急速に発達障害が知られるようになったことで、1年経った今でも、取材されることが多いとか。そうした状況で、今後のことを考えると、当事者として発達障害がある子どもたちのためには具体的にどんな仕組みがあったらいいと思いますか?
街の「こども食堂」みたいなものあるじゃないですか。
あれの発達障害版を作ったらいいと思います。そこでみんなで模型作ったりとか。勉強させれば、それぞれの自分の個性というものに気づいて、その道の達人になっていくんじゃないでしょうか。突出した才能がなくても、その人柄で社会の中に潤いをもたらす人間もいるでしょう。
一番よくないのはそこで自己卑下を繰り返していくうちに自我がボロボロになってスポイルされること。人に振り向けるだけの朗らかさとか純真さを持っていたのが、いじけて、歪んで、破滅してっていう、それをなんとかね、乗り越えさせてあげなきゃいけないんじゃないでしょうか。
それは親だけではなくて、町ぐるみでやれるといい。親だけに任せるには負担が大きすぎますからね。
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誰かに「違う」と言われたって、決してあなたの存在は否定されちゃいない
ー成人の発達障害のあるひとにも何かアドバイスをいただけないでしょうか?
まず1つには、子どもへのアドバイスと同じで、この本を書いた理由でもあるけれど、「1人じゃない」