2020年3月6日 07:00
努力してもつまずくことの連続…ASD息子の毎日を前向きに変える、ファンタジーのエッセンスとは?
Upload By 丸山さとこ
数字の8が横倒しになる時は、「ちょうちょになって飛んでいっちゃいそうだね。」と言ってみたら、それまでは「えー、また書き直し?」と渋っていたコウも、「飛んでいっちゃわないように書き直そう!」とやる気を取り戻していました。
工夫をするのは“コウの気持ちを軽くする”ため
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物事が上手くいかずに苦しむ彼を見ていると、「それは嫌になるだろうなぁ…」と思います。
「大人である私でも、あんなに上手くいかなければ心が折れるだろう」と感じるくらい大変な様子になるコウなので、最初にファンタジーを使い出したのは“宿題を頑張らせるため”というより、“コウの気持ちを軽くするため”でした。
“結果を出すこと”は大事だけれど、頑張っていてもすぐにどうにかならないこともあります。そういう時、上手くいかない現実や自分を責めずに“上手くいかなさ”をふわっと受けとめつつ努力することを、ゆっくりと覚えていってくれたらいいなと思っています。
上手くいかなさを直視してばかりいると辛くなりますが、目をそらしていても事態は変わらず、それもまたそれで辛くなってしまいます。すぐに結果が出ない努力を地道に続けていく時、「自分が受けとめられる方法で事実を受けとめること」は、彼を助けることになるのではないかと考えているのです。
「努力も工夫もしてみたけれどできなかった」という時も、それを認めることで「じゃあどうしよう?助けを求めようかな。他のことでカバーしようかな?それができなくても困らない道はあるかな。」と、違う道を探すことができるかもしれません。
2年生の頃は、九九を覚えていても“順番に言うこと”ができず、宿題の度に泣いている時がありました。3年生の頃は、口形が乱れて「きつつき」を“き”の口のまま発音するようになってしまった時期もありました。
「何で僕だけできないんだろう」「頭では分かってるのに何で出てこないんだろう」と荒れたり悲しんだりするコウをなぐさめ励まし、時に取っ組み合いになりながら問題に取り組むこともあります。
けれど、いつもそんな調子では親子ともども息切れしてしまいます。「できるようになること」は大事だけれど、それと同じくらい「今すこやかに過ごせること」も大事なのだろうと感じています。