子育て情報『発達障害がある子どもの進級・進学――卒業まで同じ環境で頑張らなくてもいい。困っていないかを常に見守り、最適な環境で学べるように』

2020年8月22日 08:00

発達障害がある子どもの進級・進学――卒業まで同じ環境で頑張らなくてもいい。困っていないかを常に見守り、最適な環境で学べるように

という大義名分のもと、保護者が子どもに課す行き過ぎた教育やしつけをすることを指します。しかしこれは、定型発達の子どもに限った話とは言えないのではないでしょうか。

ある事例についてご紹介したいと思います。

知的障害は中度でおとなしいタイプのAさん。義務教育の期間は保護者の意向もあり、通常学級に在籍していましたが、一般の高校受験は難しく、特別支援学校高等部に入学しました。

入学してみるとAさん以外のクラスメートは、特別支援学級の出身者でした。Aさんより知的障害の程度は軽く、登校、着替えなどの身辺自立はもちろんのこと、読み書きもある程度できるようになっていました。

また、「できないことは恥ずかしいことではない、わからないから助けてください」とSOSを出す教育も受けてきたので、“できないことは他人に頼る”ことも、中学までの間に学んでいました。


ところが、通常学級に9年間在籍していたAさんは、Aさんにとって必要な支援をうけられていなかったため、持ち物管理、片づけ、着替え、一人登校などが身についていませんでした。


きめ細かな対応には限界がある

通常学級では教科書の内容を理解できるという前提で、国語、算数など授業が行われます。一クラスの人数は35人~40人、たとえ加配の先生がついたとしても基本、担任は一人でこの大人数の子どもを担当します。ついていけない子がいたら周囲や先生が「周りに遅れないように」とやってあげるなどで対応をし、みんな同じペースでカリキュラムをこなすことになります。

これに対して特別支援学級では、質問のタイミングや着替え、生活のルールなど基本のきの部分から生活を作っていきます。

通常学級では、丁寧な支援をしたくても、人数の関係もあり難しいこともあるのではないでしょうか。そして子どもは、黙って待っていれば、誰かがやってくれるという待ちの姿勢になってしまうこともあるのかもしれません。

なによりも、わからない授業を9年の間、じっと座って受け続けていたAさんの苦痛はどれほどのものだったでしょう。
さらには、身につけたい身辺自立の力は育むことはできなかったのです。
自分から親や先生につらさを発信できないおとなしいタイプの子だからこそ、進級・進学先で困っていないかどうか、大人はアンテナを立てて気を付けて見なくてはならないと思います。

小学校卒業までは、中学校卒業までは――いったん入学すると、卒業まではがんばろうと思いがちです。

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