子育て情報『世界的ベストセラーついに映画化!自閉症のある人が見てる世界とは?『僕が跳びはねる理由』映画化によせて――原作者、東田直樹さんインタビュー』

世界的ベストセラーついに映画化!自閉症のある人が見てる世界とは?『僕が跳びはねる理由』映画化によせて――原作者、東田直樹さんインタビュー

僕の場合は、警察に保護されたり、車にひかれそうになったりしたことで、勝手に外に出て行かなくなりました。

――東田さんは、記憶は線でつながっておらず点としてばらばらに存在し、突然思い出されるといいます。そのような時間の感覚を持っていることで大変だと思う点、逆に良いと思っている点等があれば教えてください。

大変だと思っているのは「前にやったでしょ」「もう忘れたの?」などと注意されることです。普通の人たちは、これくらい覚えているのは当たり前という前提のもと、僕たちが記憶していないことに対して、叱ったり怒ったりします。けれど記憶というのは本来、意思の力だけでどうにかできるものではなく、脳の機能も関係しているものではないのでしょうか。

僕がこんな文章を書けることを不思議に思われる方もいますが、僕が言う「点のような記憶」というのは、記憶が線のようにつながらないだけで、場面ごとの記憶はあるということです。場面としての記憶があれば、言葉や知識そのものは増えていきます。


僕の記憶で良かったと思っているのは、過去から現在、どの地点においても、自分という人間の存在感が変わらないことではないでしょうか。小さい頃の自分も今の自分もそれほど変わらないのです。過去に思いをはせ遠い昔を振り返るというよりは、自分がたくさんいるようなイメージです。自分という人間がこの世に無数にいるような感覚は、時間を超越しているとも言えるでしょう。フラッシュバックに怯えることもありますが、もしかしたらこれは、四次元を体感している状態なのかもしれません。

――自分の体や行動を制御できない不安はありますか?そのような不安から守るためにしていることがあれば教えてください。

僕は、体の機能に問題がないにもかかわらずみんなのように動けない自分のことを、「壊れたロボットのようだ」と表現してきました。大人になった今も、あまり違いはありません。
指示に従うことも、集団行動も上手くできないのです。じっとしていることさえ苦痛です。そんな自分を不安に思う気持ちはずっと続いています。特別な対策はしていませんが、失敗してもそれほど落ち込まなくなりました。なんとかなると、自分で自分を励ませるようになったからだと思います。

――「人間にどれだけ否定されても、自然は僕を抱きしめてくれる」という表現がありました。東田さんはどのように自然とふれあい、感じてきたのでしょうか。

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