子育て情報『【監督インタビュー】「撮りたかったのは、支えあう人々の物語」 ダウン症の娘と年老いた父親の家族の形を描く『わたしはダフネ』7月公開。撮影現場でのエピソードも』

2021年6月27日 14:15

【監督インタビュー】「撮りたかったのは、支えあう人々の物語」 ダウン症の娘と年老いた父親の家族の形を描く『わたしはダフネ』7月公開。撮影現場でのエピソードも

ということです。定型発達と言われる人も一人ひとり違うように、ダウン症がある人も一人ひとり違うということです。

そもそも、私はダウン症についての映画を撮ろうと考えていたわけではありません。インクルージョンはとても大切なテーマではありますが、私がまず描きたいと思ったのは、一人ひとりがもつ資質についての物語です。そして、回復の物語です。主人公であるダフネは母を亡くします。年老いた父親を支えなくてはいけないし、自身の痛みとも向き合わなくてはいけない。そこからどのような反応をしていくのかを描きたいと思いました。


【監督インタビュー】「撮りたかったのは、支えあう人々の物語」 ダウン症の娘と年老いた父親の家族の形を描く『わたしはダフネ』7月公開。撮影現場でのエピソードもの画像

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――:主人公であるダフネを演じているカロリーナは、ダウン症があり、主人公と同じようにスーパーで働いています。そしてポジティブな女性ですよね。

監督:彼女は自信がありすぎるくらいありますよ!ベルリン映画祭でのインタビューで何と言ったと思います?「この作品は大傑作です!こんな素晴らしい映画はほかにありません!」そして私に向かって「あなたもよくやったわよね。この傑作が生まれたのにはあなたの貢献もあると思う」と(笑)

――:スーパーで、同僚の女性が「この仕事はつなぎだから。食べていくためにやっている」というようなことを言うシーンがありました。ですが、仕事に誇りを持つダフネと話すうちに、自分のやっていることって素敵なのかもと気づかされる描写でした。監督は、そうした姿勢をカロリーナから感じて描かれたのでしょうか?

監督:カロリーナだけでなく、他のダウン症がある人々からも仕事への誇りは強く感じました。
カロリーナ自身、スーパーで働いていて、彼女はワインの棚を担当しているのですが、彼女の持ち場のワイン棚はとても整然としているんですよ。また、カロリーナの素晴らしいところは、(前向きさや仕事へのプライドだけではなく)そのアイロニー(皮肉)の精神です。自分自身を客観的に見ることができる力があるのです。

映画の撮影中、カロリーナに「泣いたほうがいい」とアドバイスされたんです。泣くことで心を解放できるからと。でもその時は特に泣きたい気持ちでもなかったし「映画が完成したらきっと泣くよ」と言ったのですね。映画が完成して初めての試写が終わったときに彼女が電話をしてきて、開口一番に「泣いた?」と。泣いてないと答えると「泣くって約束したじゃない!」と怒って、そして言ったんです。

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