2021年8月13日 14:15
『手洗い』『うがい』の教え方や練習方法。発達障害がある子への伝え方や置き換えルールも
「汚い」という概念は、どうやってできあがる?
「手洗い」・「うがい」は、何のためにするのでしょうか。健康を維持するために、ウイルスやばい菌を落とす、つまり「汚いものを体から取り除く」という目標があります。これが理解できないと、「手洗い」も「うがい」も自ら取り組んでできるようにはなりません。この「汚い」という目に見えない概念がどう育っていくのか考えてみます。
0歳のころは、おしっこやうんちが出る感覚を少しずつわかるようになる時期です。しかし、まだおしりに何か「汚い」ものがついている、という認識はないでしょう。大人がおむつ替えをしたあと、「きれいになったね」や「さっぱりしたね」と声かけすることが大切な時期です。1歳から1歳半くらいになると、うんちが出たあとそのままにしておくとおしりに何かがついていて気持ち悪い、と「自分と異物」の認識ができるようになってきます。
1歳半~2歳ごろになると、過去の記憶を思い出せるようになり、「このモゾモゾする感じはうんちやおしっこが出るんだな」と予測したり、出たときに「おむつかえて」と伝えたりするようになります。この違和感のある何かが自分の体についていることが「汚い」という状態だと理解し、「汚い」の概念を覚えていきます。
「ごっこ遊び」がもたらす生活動作の練習機会などが大切
その次は「目に見えないものをきれいにする」という「手洗い」「うがい」の動作のステップに進みます。この「汚い」を認識する過程がないと「だって何もついていないからきれいだもん」ということになってしまうからです。
2~3歳というのは、遊びのバリエーションが根本的に変わる時期で、「ごっこ遊び」ができるようになります。目に見えないものを空想し、演じ、ものに役割を託すといったことができるようになります。「ほら、手にばい菌がついてるよ」と言われて、「ここにばい菌がいるんだ、ばい菌は汚いんだ」ということをイメージして、手を洗うという行動につながります。
やがて、「洗いなさい」と言われたら洗う段階を経て、言われなくても手洗いする習慣化が徐々にできていきます。
子ども自身が「さっき泥んこ遊びしたから、手が汚れている」と考え、手洗いしようと考えられるようになってはじめて、「自分で手洗いできる」状態となるのです。
「手洗い」という動作をスモールステップで考えてみる
どのような日常生活動作でも、実際のやり方を教えるときには、動作を分解してスモールステップで教えます。