子育て情報『親なきあとの、重度自閉症の兄と私の人生。私だけ自由で申し訳ない…複雑な想いで迎えたはじめての面会』

2022年4月30日 16:15

親なきあとの、重度自閉症の兄と私の人生。私だけ自由で申し訳ない…複雑な想いで迎えたはじめての面会

と私が思うのはただのエゴなのではないか?

そういった複雑な気もちが芽生えました。


外の世界で、兄とは別の人生を送っていること、自由に行動できることへの罪悪感

親なきあとの、重度自閉症の兄と私の人生。私だけ自由で申し訳ない…複雑な想いで迎えたはじめての面会の画像

Upload By スガカズ

また、私にはこのような感情もありました。

5年前に母が倒れたときに、危険な状態だと知り、私は現在の家族(主人と子どもたち)と一緒に実家のある大阪へ向かいました。2週間ほど滞在し、毎日出来る限り付き添いましたし、意識のあるうちに子どもたち(孫)に会わせることもできました。

ですが、重度の自閉スペクトラム症と知的障害のある兄は自分から母に会いに行くことはできません。母の命をつなぐ処置が施されている病室(ICU)に、多動の強い兄を連れていくことはできないと思いましたし、母方の親戚も同じ考えだっただろうと思います。

私はこういった「私(きょうだい)は外の世界で、兄とは別の人生を送っている」「私は重要な場面で、自由に行動ができる」という事実を考えると、兄に対して申し訳なさに似た気もちがありました。


兄はそういった状況を理解しているわけではありませんし、望んでいるわけではありません。「申し訳ない」と罪悪感を持つのも私の気もち次第ではあるのですが…。


複雑な気もちを抱えたまま面会。笑顔の兄を見てすっかり気もちが楽に

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昨年の11月に、いよいよ兄と会う日がやってきました。私は自宅のリビングで、兄は施設の事務所から、画面を通して面会しました。

始めに兄のケース担当の方と話をして、5分ほどして兄がニコニコしながら事務所に入って来るのが見えました。私は「Yくん(兄の名前)!」と声をかけました。


最初は目があったのですが、スルーされました。どうやら事務所は普段入ることができない場所のようで、兄は目をキラキラと輝かせながら事務所にあるものを手にとっては戻し、手にとっては戻しを繰り返していました。

その様子を見て、今まで私にあった不安な気もちが消えました。多動の強い兄の行動や表情は、一緒に住んでいたときと同じだったのです。

「Yくん、この人誰?」と私自身を指さして聞いてみました。すると、私の方を見てすぐ、「カズちゃん!」とニコニコしながら答えてくれました。そして、また先ほどと同じように周りを気にしていました。

妹の私を覚えているのもうれしかったですが、なにより、妹よりもまずほかのことに目を向けて楽しそうにしている兄を見て、安心しました。

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