子育て情報『福祉の世界に実験の精神を。「異彩」を生かし新たな収益構造の実現を目指す。4周年を迎えた「ヘラルボニー」新たな挑戦を取材――美術展「The Colours!」8月7日まで開催』

2022年7月26日 06:15

福祉の世界に実験の精神を。「異彩」を生かし新たな収益構造の実現を目指す。4周年を迎えた「ヘラルボニー」新たな挑戦を取材――美術展「The Colours!」8月7日まで開催

「ヘラルボニー」は今まで、障害のある人のアート作品を
・ファッションテキスタイルに活用
・街をキャンパスに、工事現場の仮囲い街を美術館化
・アートライセンス事業で障害のある人たちの収益を向上
という取り組みを進めてきました。

福祉の世界に実験の精神を。「異彩」を生かし新たな収益構造の実現を目指す。4周年を迎えた「ヘラルボニー」新たな挑戦を取材――美術展「The Colours!」8月7日まで開催の画像

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「ヘラルボニー」を立ち上げた二人は、子ども時代、自閉スペクトラム症がある人のことを「スペ」と悪く言う同級生に許しがたい気持ちを抱えていたといいます。
彼らの兄には重度の自閉スペクトラム症があったこともあり「障害があっても、同じ人間なのに」と感じていました。そしていつか、この「スペ」という言葉が、差別的な用語として使われるのではなく、「スペ」だからこんなかっこいいものがつくれるんだ、という発想の転換をさせたいと考えたそうです。
アートに興味がない人に「障害のある人の作品展を見に行って」と言っても、きっと行かないだろう。その魅力を理解してもらうには、「ブランド」の傘の下で魅力あるプロダクトとすることが一つの手段なのではないか。
そう考えて、ファッションテキスタイルとして活用しようと思い至ったのだそうです。

知的に障害のある人、自閉スペクトラム症の特性のある人には「同じことをくり返すこだわり」などがあることが多くあります。細かな点だけで描いたり、小さな丸でぎっしりと紙面を埋め尽くしたり。そのこだわり、くり返すという性質による「作品」は、テキスタイル化と相性がいいと気づきました。

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そこから生まれたブランドコラボや、アートライセンス事業では、売上の数パーセントをアーティストに還元する仕組みをつくりました。例えばアパレルなどとのコラボで1000万の商品売上があれば、アパレル側から50万円が「ヘラルボニー」へ、30万円がアーティストに支払われます。
重度障害のある契約アーティストの場合、生活介護の事業所に通所していることも多くあります。その場合、月にもらえるお金は数百円であることも稀ではありません。それでは、アーティストたちは「福祉」の枠の中から出ては生きていけません。
「ヘラルボニー」の契約アーティストの中には、確定申告を行うほどになった人もいるそうです。

また、工事現場の仮囲いを活用した展示では、積極的に地域の事業所に通所するアーティストの作品を採用しています。身近な場所にアートを楽しむ環境をつくり、さらに地域に住む障害のあるアーティストの存在も顕在化する取り組みは、今までにありそうでなかったインクルーシブの形を見せてくれるものとなっています。

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