子育て情報『「高学歴なのに」社会に出た発達障害当事者の葛藤…『ルポ 高学歴発達障害』姫野桂さんインタビュー』

2023年10月27日 14:15

「高学歴なのに」社会に出た発達障害当事者の葛藤…『ルポ 高学歴発達障害』姫野桂さんインタビュー

東大卒ということで期待されるボーダーラインが上がってしまうという点は、理不尽だと思いました。

※本書では当事者の方のプライバシー保護のため、氏名や年齢、事実関係などが一部変更されています

最後に、石川さんに東大卒であることを“損”に思ったことはあるか聞いてみた。「それはあります。やはりハードルを上げられてしまうので、「東大卒だったら何でもできるだろう」というような感じで“合格ライン”が上がってしまう感じがあるんです。だから、なるべく隠しておくほうが得だなと思います。
石川真里さん(東京大学法学部卒業)の言葉

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――早稲田大卒の男性も同じようなことをお話しされていますね。

結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」と言われたことがあって。
(中略)必要のない限りは、大学名を口にしなくなりました。
三崎達也さん(早稲田大学経済学部卒)の言葉

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――そして、お二人とも「東大は自分にとても合っている場所だったので、それはすごく良かった」「自分のポジティブな部分を作ってくれたのは早稲田のおかげ」というように、誇りに思われているのも印象的でした。


プライドとの折り合い

――精神科医の熊代先生とは、高学歴の発達障害者が自身のアイデンティティと向き合っていくことの困難さについてお話しされていますね。ご自身の体験と重なるようなことはありましたか?

姫野:私自身、発達障害が分かったのが30歳のときでした。就活を始めた頃、鬱病を疑って心療内科にかかったのですが、発達障害については何も言われず、抑鬱状態という診断を受けました。

もっと早く発達障害があると分かっていたら、就職活動の仕方や仕事選びも変わってきていたのではないかと思います。当時はリーマンショックの影響で周りの友人もなかなか内定が出ない人が多かったので、発達障害が原因ではなくリーマンショックのためだと考えていました。それでも、「なぜ人事受けが良いはずの大学なのに受からないんだ」という葛藤がありました。
そのあたりのプライドの折り合いをつけられたら良かったなと思います。

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