教室から毎日脱走!?活動に集中できない年少自閉症息子。心配な母がこっそり見守るも…
そして、近くには補助の先生がいて、スバルを含む数人をサポートしてくれていました。
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スバルは、一対一で工作のつくり方を説明した時には理解できるのに、先生がクラス全体に向かって説明すると理解できないことがあります。補助の先生が近くで説明してくれることで、今自分がすべき事が理解でき「駐車場でも眺めるか」みたいな気が起こらないのかもしれないと思いました。
私はほっと胸をなでおろしお遊戯室へ向かいました。
お遊戯室で作業をしながら、座って工作をするスバルの姿を思い出して感動していると熱い視線を感じました。
振り返ると、そこには満面の笑みでガラスの扉に張りついて私を見つめるスバルの姿が……。
どうしようかとオロオロしていると、先生がやって来てスバルを連れて去って行きました。
スバルは先生に手を引かれながら、廊下の奥へと姿を消すまで私のほうを見ながらニコニコしていました。
どういう感情? 私は冷や汗が出たんですけど……。
見つかる母
それからイベント工作スタッフとして幼稚園に行くたびに、同じことが繰り返されました。
その頃にはスバルも幼稚園生活に慣れて来たのか、連絡帳に「今日も廊下の窓から駐車場の車を見ていました」と書かれることは減っていきました。しかし、私がお遊戯室で作業をしていると絶対にスバルがやって来るので、駐車場の車を見ていないだけで日頃から出歩いているのだと思いました。教室から抜け出し、先生に連れ戻されるのが日常の光景なのかと落ち込みました。
ある日の放課後、先生から呼び止められました。
先生から「お遊戯室で作業がある日、スバルくんはお母さんの自転車を見つけると教室から出て、お母さんを探しに行ってしまうのです」と聞かされました。
それ以外では教室から脱走することもなく、椅子に座って活動に参加しているらしいのです。
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私はスバルに何も言わずこっそり幼稚園に来ていましたが、スバルは駐輪場の自転車を見て私の来園をチェックしていたのでした。幼稚園に貢献しているつもりが、私の存在自体が邪魔になっていたなんて……。「それで……あの~」と先生が言葉を濁すのでイベント工作スタッフのクビを覚悟したのですが「自転車はあちらの茂みに隠してください」とお願いされました。
しのぶ母
その後は、自転車はしっかり茂みに隠し、茂みから園舎までは木や車の影に身を隠しながらジグザクと近づき、窓の近くを通るときは姿勢を低くし決して窓に映らない事を徹底しました。