お子さまの困りごとや課題に向き合うとき、優先順位を何からつけたらいいの?【LITALICO発達特性検査 監修者・井上雅彦先生インタビュー】
とよく聞かれます。時々誤解をされることもあるので、あえてお話しすると、これは特性のあるお子さまにとって、苦手とどう向き合うかという話にもつながると思うのです。
苦手を克服するために訓練する・我慢する、あるいは苦手なところはすべて環境調整で補うというふうに両極端に捉えて考えると、なかなかうまくいきません。スキルトレーニングだけでは解決できず、無理や疲弊につながる可能性があったり、環境調整だけではお子さま本人にとって本来獲得すべきスキルが身につかなかったりするからです。
スキルトレーニングと環境調整、どちらか一方だけではなく、そのときの発達段階や環境に応じた方法を選択したり、両方をミックスしていくことがポイントになります。
もしかしたら、保護者の方だけで、まずどちらからやってみるか決めたり、ちょうどいい落としどころを見つけるのは意外と難しいかもしれませんね。やってみてうまくいかない場合や、対応方法の選択に葛藤した場合、LITALICO発達特性検査のレポートを支援者や専門家に見せることで相談もしやすくなります。
年齢が低いお子さまの場合、発達段階の途中としてスキルを獲得するということがまだまだ必要な場合もあります。
また、発達段階を飛ばしていきなり難しいことに取り組むのも、無理があるということもあります。そのときにちょうどいい、「ちょっと頑張ればできそう」に取り組んで、スキルを獲得していくということが重要になってきます。
逆に、年齢が上がってくると、頑張って苦手なスキルを獲得することよりも、周りや本人が自分の特性を理解して、うまく付き合っていく方法を身につけるというほうが大切な場面も出てきます。例えば、うまくいかない場合に別の方法に切り替えたり、周りに助けを求めることができるスキルをつけていくという方法です。
LITALICO発達特性検査で紹介されるサポートの方法や、困りごとの事例は、3歳から高校生の年代まで、それぞれの年齢に応じた内容で出し分けられます。なので、同じ特性であってもお子さまの年齢によってレポートの文章や内容が変わるのです。
その理由の一つが、発達段階や環境などに応じた対応方法を選んでいくという、先ほどお伝えした観点にこだわっているからです。
幼稚園で現れる困りと高校での困りは当然違うし、その解決法やサポートも変わりますよね。
ですので、同じ特性や困りごとであっても、年齢に応じた適当な例示やサポートの内容を提示できる仕組みにしています。