「なぜ?」に着目!癇癪が起きる仕組みと影響しやすい3つの要因を作業療法士・野田遥さんが解説!
癇癪の対応は難しい
作業療法士の野田遥です。LITALICO発達特性検査の研究・開発に携わっています。
今回は、2024年の夏に行ったLITALICO発達特性検査のオンラインセミナーでの講義内容から、特に保護者の方の関心の高かった癇癪(かんしゃく)について、講義内容を再構成して詳しくご紹介します。
イベントの内容やLITALICO発達特性検査について、詳しく知りたい方は以下の記事を併せてお読みください。
今回開催したオンラインセミナーでは、保護者の方の子育てに関するお悩みや、お子さまの困りについてをテーマに取り上げました。なかでも、事前の質問や当日の質疑応答では、癇癪に関するお悩みがたくさん寄せられました。お子さまの癇癪について悩まれる方が多く、またその困っている度合いも強いのだろうなと実感しました。
まず前提として、癇癪への対応は簡単ではないと感じています。
ご自宅だけでなくて、園や学校、外出先で困った経験のある保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日々の中で、お子さまの癇癪が繰り返し起きると、全てにうまく対応するのはとても難しいです。仮に周りから「こうしたらいいよ」などと言われても、そう簡単に実践できないこともあるでしょうし、試してもうまくいかない場面が多いかもしれません。結果として、対応する保護者の方も、気持ちをうまく処理できなかったり、怒りがちになったりすることもあるでしょう。
また、お子さまの癇癪について、癇癪の程度や頻度が高く特別なサポートや対応が必要なものなのか、それとも成長の過程で必要な一過性なものなのかなど、判断に悩む方もいらっしゃると思います。
そのような場合、癇癪がなぜ起きているかに着目することで、対応のヒントが得られるかもしれません。今回は、癇癪が起きるメカニズムと癇癪に影響しやすい要因などについてお伝えします。癇癪についての理解を深め、対応方法を考える一助になれば幸いです。
癇癪とは
はじめに、癇癪とはどういう状態を指すのか整理します。
ここでは、怒りや不安、欲求不満などの感情によって、気持ちや行動のコントロールがうまくできなくなった状況のことを癇癪と呼ぶこととします。
◾️癇癪が起きた際の行動例
・声を荒げて泣く
・激しく奇声を発する
・手足をバタバタする
・床に寝転がる
・ものを投げる
・足を踏み鳴らすなど
まず始めに伝えたいのは、興奮しているときには癇癪が引き起こされやすいということです。