癇癪のお悩み、対応方法と減らしていくヒントは?作業療法士・野田遥さんが解説!
お子さまが成長するにつれ、力が強くなっていくこともあるので、より安全確保が重要になってきます。
興奮状態のお子さまを抑えて安全を確保するのが難しい場面もあると思います。ぜひ、保護者さまだけで抱え込まず、周囲や専門家に相談していただければと思います。
癇癪を減らしていくためのヒント
予防的に取り組めることの一つとして、直接的に癇癪にアプローチするだけでなく、癇癪以外の行動や選択肢を増やすようなアプローチを取ることが考えられます。
充実した時間を過ごすことができていると、癇癪が起きるような状況が減ってきたり、興奮や不快な刺激が少なくなったりすることがあります。反対に、手持ち無沙汰でほかにすることがない場合や、楽しめる複数の選択肢がないと、切り替えのタイミングで癇癪が起きることも多いですね。
例えば排水溝にものを落とす遊びが好きで、ほかの遊びにあまり興味がないというお子さまの場合、それを止められてしまうと「ほかに自分にとっての楽しいことがないから、楽しいことを奪われた」という気持ちがすごく強くなるでしょう。しかし、ほかにいろいろな遊ぶ手段があれば、「別の遊びをすればいいか」「排水溝から離れても楽しいことがある」などと切り替えやすくなるかもしれません。
そういった意味で楽しくできることの選択肢を増やすというのが重要です。癇癪を起こしていない時間が長く、充実していることが、癇癪を減らすこと自体につながるのです。
また、選択肢を増やしていくという意味では、癇癪を別の行動に置き換えたり、気持ちを切り替えてみた結果、いいことがあった、という経験を増やして実感できるようにするのもポイントです。
選択肢をどう作るかのポイントとしては、興奮するような楽しいことだけでなくて、落ちついて楽しめることを見つけることです。「落ち着くことにつながる活動をする」でご紹介したような、リラックスできるような状況や手段を増やすことが大事になってきます。
癇癪につながるサインに応じて、癇癪が起きる前の対応も重要です。興奮の波をキャッチして、癇癪の前兆の段階で落ち着けるような関わりをしてクールダウンしていくというのが大事になってきます。癇癪の前兆のサインは「モジモジしている」「動きや声が大きくなる」などお子さまによってさまざまです。
起きている時や事前にどういうことがあったかなどを分析すると、こういう時に起きやすいんだな、というパターンが見えてくることがあります。